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FREEJIA〜NightoftheBlueMoon〜 投稿者:ゼロ 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:00 No.18   
「……《魔獣の森》に……ですか?」
「そうだ。本来ならばシェイド将軍に行ってもらいたいのだが……
生憎君以外の将軍は他の任務で城を離れているのだよ、カイン・ヴァンス将軍」


【ガイア暦1656年】
【ヴィッツア大陸 聖ヘレンズ帝国 聖へレンズ城】


「魔の森の調査でしたら俺一人でも十分かと……」

この日、聖へレンズ帝国 最高司令ラーハルトより
四大将軍の一人《カイン・ヴァンス》に与えられた任務……

「いや、今回の任務は調査ではない」

彼……カインの人生に少なからず影響を残した任務。
それは……

「……ある、一人の人間を探してほしいのだ」

………………
…………
……

【魔獣の森】
近年、『魔獣が居る』……と噂される森である。
故に、普通人間が出入りすることは少ない。
……そう、《普通》の人間ならば……


『《赤髪の鬼人》……そう呼ばれているそうだ』
(赤髪の……鬼人……)
『元は《南クロス大陸》に居たそうだが近年こちらに渡って来たらしい』
(魔法大国 南クロス大陸……)
『南クロス大陸の出身らしいが……魔法は一切使わず、剣技のみで戦うそうだ』
(…………魔法の国生まれの剣士、か)
『その剣技は凄まじく……一人で100の兵士を同時に斬り殺したと云われる』
(……眉唾ものだな。いくらなんでもそんな馬鹿な……)
『愛用している武器は赤い異常なまでの長刀だそうだ』
(大き過ぎる武器は逆に使い辛い筈だが……)
『その男と異教徒共が接触したとの情報が入った』
(異教徒……《カオス》……)
『よって、その男と接触、拘束し、真相を聞き出す。もし、抵抗するようなら……』
(………………)
『迷わず……殺せ』
(……一人の人間にそれ程危機を感じる必要が有るのか?)

ガササッ!

「……なんだ!?」
考えを中断し、音のした茂みに注意を向かわせる。

ドサッ!

「……何かが……倒れた?」
茂みの中を覗くカイン。
「!?  ……魔獣……しかも地獄の猟犬ヘルハウンド……なぜここまで?」


《ヘルハウンド》
通称『地獄の猟犬』と呼ばれる魔獣である。
複数で行動し、その俊敏な動きと強靭な顎の力で獲物を仕留める。
正しく『猟犬』たる魔獣である。

……しかし、普段は森や洞窟の奥など暗い場所に潜み、夜間に複数で狩りをする。
本来ならば日の落ちる前の、
しかも森とはいえ入口付近になどは居ない魔獣である。
……そう、本来ここに居るべきではない魔獣なのである。


「致命傷を負っている……一体誰が……」
手掛かりを得ようと近ずくカイン。すると……

カッ!

「グルガアアアァ!」
最後の力を振り絞ったのか、ヘルハウンドが目を見開き、飛び掛って来た。
(し、しまった!)
完全に油断していたカインはとっさに迎撃する時間も無く、なんとか身を守る。

……ゴスッ!

……目蓋を閉じ、視界を遮断している為、状況は分からないが……
(なにか……にぶい音が聞こえた……)
好奇心&状況確認の為、目蓋を開けるカイン。
……目を開いたカインの目に最初に飛び込んできたのは……

……白、
視界いっぱいに広がる、白くなびく《何か》だった。
(白い……毛?)
視界をめぐらすと見えるのは絶命したヘルハウンド。
……そして、白毛の生物。
《それ》は声を発する。
「……大丈夫か?」

………………
…………
……

「いやあ、悪かったな。一匹仕留め損なっちまって。
……にしても一人で調査たあ……大変だねえ」
「まあ……仕事ですから。貴方こそ一人で何を?」
「オレも仕事、さ♪」
……カインと会話している白髪の男。
先程ヘルハウンドを素手で殴り殺したが……人間である。
外見は中肉中背で体全体をマントで覆っており、ザックを背負っている。
白髪の長髪を無雑作に束ねた……気の良さそうな男だ。
「おっと、自己紹介がまだだったな。オレはジュイ、旅の戦士だ」
「俺はカイン・ヴァンスっていいます」
「ほう……カイン……《ヴァンス》か……」
「……聞いたことがあるんですか?」
「いやいや、ここ最近はこの国には寄ってないから……お前のことは知らないさ」
「……そうですか」
一応は四大将軍の一人である自分を知らない……それも充分に疑わしいが……
(……やはり怪しいな……少し様子を見るか)
一応は任務だ。警戒を怠るわけにはいかない。
「ああ、因みにオレの性は無いんだが……便宜上《クロス》って名乗ったりしてる」
「南クロス大陸出身なんですか?」
ふと、カインの頭に恐ろしいモノが浮かんだが……無視する。
「多分な。孤児だったからよく分かんねえんだが」
「あ……す、すいません」
「おいおい気にするなよ。今は家族だって居るし……構わねえさ」
「結婚してるのですか?」
そういう風には見えないが……
「いやいや、色恋沙汰には疎くてねえ……女は結構好きなんだが」
自分の言ったことに苦笑するジュイ。
「じゃあ、家族って……」
「弟が一人な……っても赤ん坊の頃からオレ一人で育てたんだがな」
「それじゃあ……弟さんも……」
「まあ孤児だったわけだ」
「……俺も孤児だったんですよ」
「ほう、それは奇遇だな……ま、孤児同士お互い仲良くしようぜ。
そんなかしこまった口調じゃなくて良いからさ」
「分かりま……分かった」
「はっはっは……と、そろそろ日が暮れるな……休む場所を探そう」

………………
…………
……

(彼が《赤髪の鬼人》なのだろうか……しかし、白髪なんだし……)
寝床を決めカインは焚火の準備をしつつ考えている。
(それに悪人には見えないし……なにより嘘をついている風には見えない……)
「……よ、火ぃ着いたか? って見りゃあ分かるわな」
カインは考えを中断し見上げる。
「魚……か?」
「おおよ。やっぱ固形食糧なんかより新鮮な方が美味いからな♪」
手際良く木串をさしていくジュイ。
「手伝だおうか?」
「いいよ。それより後ろ気をつけろ」
「!?   《閃光》!」

ズバア!

振り向きざまに放ったカインの技が何かに当たる。
「ヘルハウンド!?」
後ろには多少手傷を負ったヘルハウンドが一体。
そして……赤くこちらを睨む眼光が数対。
「……どうやらさっきの奴の仲間みたいだな。
……仇討ち……つーよりは食料確保か」
魚を焼きつつ話すジュイ。
「……一……二……三…………五匹か。ジュイ、手伝ってくれ」
カインにとっては倒せない数ではないが一度に相手をするのは辛い。
「まあ、魚が焼けるまでの暇潰しってとこか」
のっそりと腰を上げるジュイ。
「……来る!」
『グルガアアアァ!』
二人に飛び掛るヘルハウンド!
「「《閃光》!」」
ズバア! 二人同時に技が炸裂する!
二人の技は一体ずつ敵の息の根を止める。
「ジュイ、《閃光》を使えるのか!?」
「イヤ、さっきお前のを見てパクった」
こんな時でも飄々と答えるジュイ。
「パクったって……いや、それよりその剣!」
「ん、これか?」
ひょい、っとジュイが持っている剣を見せる。
「それは……《聖剣ファルコン》!? な、何故?」
「いや、これはファルコンの模造刀だ。第一、本物はお前が持っているじゃないか」
……そう、この世界に七本在ると云われる『聖剣』。
その内の一本、『聖剣ファルコン』は彼、カイン・ヴァンスが所持していた。
「ま、んなことよりも……こいつ等を片付けねえとな」
残り三匹のヘルハウンドが二人に飛び掛る!
「オレに任せとけ」
三匹の間に飛び込むジュイ!
「ジュイ! 三体同時は無理だ!」
たが今から助けようとしても間に合わない。
カインに出来るのはジュイが退いてくれることを願うだけだが……

ズバア……

……ジュイは退かなかった……
そして……その場に赤い……血の花が咲いた……

ブシュウウウ……

「……《血散花斬》」
ズタズタに切り裂かれたヘルハウンド達が咲かした……赤い、花。
その血の噴水の中ジュイは……
「……腹減った……」
髪を赤く染め……居た。

………………
…………
……

「美味い! やっぱ焼きたてが最高!」
「ああ……そうだな……」
二人で焼き魚を頬張るジュイとカイン。
「どした? ……ああ、さっきので食欲無くしたか?」
「……ああ」
「でも食っとけよ。体がもたねえぞ」
「……ああ、分かってる」
カインは……心ここに在らず……といった感じだ。
(ジュイ……やはり彼が……)
赤髪の鬼人なのか?
そう、本人に聞きたかった。だが……聞けない。
(もし……彼がそうなのなら……闘わなければならないかもしれない)
だが彼……ジュイとは闘いたくない……
実力の面で考えても勝てるかどうかは不安がある。
だが、それよりも……
(彼を倒してしまいたくない……)
それは友情を感じていたのか……あるいは尊敬の念か。
自分でも理解出来ない感情に彼は悩まされていた。

………………
…………
……

「なあ、カイン」
食後、睡眠をとろうとしていたところを呼ばれる。
「……なんだ?」
目を開けて答える。
「綺麗な月だぜ……」
言われて空を見上げるカイン。
そこには月が輝いている。
「蒼くて……冷たい……良い色だ……全てを流してくれるような、さ」
月を眺めるジュイの横顔……それにカインは一人の男を重ねた。
(……師匠?)
似てもいない顔付きだが……何故か、そう……思えたのだ。
そしてその横顔が口を開く。
「月って言やあ……あの、髭オヤジはどうしてる?」
「髭オヤジ?」
当然ながら自分の知り合いにそんな名前の人物は居ない。
「その剣を前に持ってたヤツさ。剣を譲ったってことは……引退したのか?」
「師匠と知り合いなのか!?」

カインの師匠《ジェラルド・ヴァンス》
《聖剣ファルコン》の前所持者であり、聖へレンズ帝国の将軍であった男である。
そして、カインの剣の師匠であり……育ての親でもある。

「まあな……10年くらい前に暫くの間一緒に居たんだ」
「そう……か……」
「あのオヤジ……
 良いヤツなんだがな〜んか腹立つんで髭オヤジって呼んでるんだ」
くっ、くっ、くっ……とジュイは笑いを含む。
「『今度会ったらテメェより強くなってる』って約束したからさ。
……まあ、あいつも歳だろうけどな。一応会っておきたいんだが……」
「……師匠は……8年前に味方に裏切られて……」
「……死んだか……なんとなくそんな気はしていた……らしくない最後だな」
フゥ……と溜め息をつくジュイ。
「そんな言い方はないだろう!」
カインはジュイに向かい怒りをあらわにする。
「……事実だろう? それに剣士である以上は……いつか……死ぬ」
「だが……」
「……お前は剣士というものをなんだと思っている?
 人を守る存在か?
 それもまあ……間違ってはいない。
 だが、『剣』という存在は……殺すためのものなんだ。
 どんなに正当化しようとも命を奪う道具に違いはない。
 それを使うのが……つまり、命を奪うのが剣士なんだ。
 命を奪う者が……命を奪われたところでなんの不思議もない」
「だけど! ……師匠は剣士である以前に……人間なんだ!」
カインは必死で反論するが……
「……そして人間は動物だ……動物もまた、弱肉強食に生きる」
……ジュイはあくまで調子を崩さずに語る。
「だけど……それでも……人間なんだ……」
カインは……自分の手が震えるのを感じていた。
「わーってるよ……理屈じゃあ割り切れないことくらい……
……ま、今度 墓参りでもしてやるさ」
「……ああ、そうしてやってくれ……」
「酒でも供えてやるかね……って、あのオヤジ、酒は嫌いだったっけか」
くっ、くっ、くっ……ジュイの冗談も今は白々しく聞こえた……

………………
…………
……

「……ジュイ。一つ聞きたい」
「あん?」
魔の森を進むカインとジュイ。
「お前は……」
意を決して尋ねるカイン。
「……赤髪の鬼人なのか?」
「……なんだ、それ? オレは見ての通り白髪だが?」
飄々と答えるジュイ。
「いや……知らないのなら構わない……」
(そうか……違うのか…………良かった)
カインの安堵は他人が見ても気付く程だった……ジュイは気付かなかったが。
「その奇人とやらを調査してるのか?」
「ああ……ちなみに奇人じゃなくて鬼人な」
「ふーん……っと、そろそろオレのターゲットが居るみたいだな……」
「ターゲット?」
「ああ……お前は離れてな」

少し進むと視界が開けた……そこには……
「し、死体!?」
数は百にも上ろうか……無数の人間の死体が蠢いていた。
「死体、じゃねえよ。生ける屍(ゾンビ)だ」
そう、蠢いていたと称した通り……その死体達は……動いている。
「だ、だがこんな所に……しかもこれほどの数が……」

《生ける屍(ゾンビ)》
死した人間の遺体が生への執念、恨みなどで動きだしたもの。
だが生前の知識や思考能力は欠落しており、
また、生命活動が停止しているため、肉体は腐敗していく。
理由は不明だが生きているものを無差別に襲う。

「まあ……普通はこんなとこにたむろしてないわな……」
「じゃあなんで……」
「普通じゃねえってこった……ヤバっ!」

ズザア……

背後からの不意討ちを避ける二人。
「あっちゃー……囲まれてやがる」
十体程のゾンビ、それが二人を背後から襲い……同時に退路を塞いだ。
「……ジュイ、変だぞ。普通ゾンビはこんなに統率はとれてないし頭も悪い」
ジュイと背中合わせになり、百体程のゾンビに牽制するカイン。
「だから普通じゃねえっつーの。おそらくは指揮官みたいのが居る筈だが……」
「死霊術士(ネクロマンサー)か!?」

《死霊術士(ネクロマンサー)》
幽霊(ゴースト)や生ける屍(ゾンビ)を操る術士。
どのような方法で操っているかは不明。
基本的に合法な存在ではない。

「うんにゃ……違うな……
 ネクロマンサーはこんなに大量には操らない、統率しにくいからな」
「それじゃあ一体!?」
「人を治めるのは人なのが自然だ……ならこの場合は?」
「!?  ゾンビがゾンビを操るというのか!?」
「いや、ゾンビにんな知恵はねえ……ゾンビにゃあな!」
声と共に石飛礫(いしつぶて)を投げるジュイ。

ボスッ!

飛礫は一体のゾンビの頭を貫き倒す。
(凄い力だ……)
倒れたゾンビの後ろには……
「な!? ぶ、武装したゾンビだと!?」
……先程述べた通り、ゾンビには知恵がない。
故に道具を使ったりなどはできないのだが……
「剣士の格好をしたゾンビなんて……聞いたこともない!」
「……いや……だからゾンビじゃねえって」
「それじゃあ、あれで人間だとでも言うのか!?」
カイン曰く武装したゾンビ……
……そいつは体の数ヶ所が破壊されており、人間ならば間違い無く絶命していた。
「その二つしか頭にねえのか! 食人鬼(グール)だよグ・ウ・ル!」
「……ぐーる?」

《食人鬼(グール)》
ゾンビの特異変種と云われる魔物。
ゾンビとの違いは生前の想いや知恵、知識をある程度有しているということ。
だがその記憶などを保つためには生物の……特に人間の肉を食さねばならない。
人とは相容れぬ存在である。

「……つーわけだ。わーったか?」
「大体」
そのグールが……カインを見る。
「テ・イコ……クヘイ……コ…ロセ」
その命令によりゾンビ達がカインを狙う。
「な……なんでグールが帝国兵を狙うんだ!?」
「……帝国兵に殺されたからだろ……」
ぼそり、とジュイが語る。
「こいつは……生前は《カオス》のメンバーだったんだ」
「異教徒か!?」
「ああ。……しかし一人で帝国に挑み……戦死した」
「…………」
「だが、その恨みによってグールとなり……仲間を集め、帝国を滅ぼすつもりだ」
「……いくら数が多くてもゾンビでは……」
「まあ、無理だろう」
「でも、なんで……」
「それ以上は考えられないんだ」
「……憐れだな」
気の利かない言葉であったが……今はそれしか思い浮かばなかった。
「……俺はこいつをこれ以上苦しませずに楽にしてやるのが今回の仕事だ」
「そうだな……手伝うよ」
ゾンビ達は命令のせいなのか……
手に手に近くにあった石や棒切れなどを持って襲おうとしている。
「……つーか……こいつら全滅させないと逃げるに逃げられん」
「よし! 二人で協力して……」
「いや、バラバラに戦おう」
「なぜだ!? 協力しないとこんな数……」
「俺は一対多数が得意なのさ」
そう言ってジュイは背中から剣を抜く。
赤い……長刀を。
「いくぜ……赤」

シャンシャンシャンシャンシャン……

「刀が……鳴いている……妖刀か!?」
「ああ……こいつは妖刀・赤(せき)」

シャンシャンシャンシャンシャン……

妖刀・赤……その長さは2メートルを超える。
「そんな長い刀を使えるのか!?」
「まあな……俺に仕えない接近武器はねえ」

シャンシャンシャンシャンシャン……

「……早く血を吸いたいだぁ? ちったあ、だぁってろ」

シャンシャンシャンシャンシャン……

メキ!

「……うるせえよ」
ジュイは赤の柄を握り締める。

ミシミシミシ……

シャン……

「……そう、それで良いんだよ。大人しくしてろや」
「……ジュイ……その刀……」
カインは不安げに赤を見る。
「ああ……なんでも精神を乗っ取るとかなんとか……俺にゃあかんけーねえけどな」
ニッ、と笑ってみせるジュイ。
「それより……そこの十体くらいのは頼んだぞ」
「……分かった。けど、終わったらそっちを手伝う」
「……上等!」

ダッ!

二人は別々にゾンビに飛び掛る。

………………
…………
……

「あるべき場所へ帰れ!!」
……最後のゾンビを《天空昇》で倒したカイン。
「よし! こっちは終わった! ジュイ、大丈夫か!?」
振り向いたカインが見たのは……
「ハアアアアッ!」
ゾンビに囲まれながら無傷で刀を振るう男と……
……五十体近くの倒れたゾンビだった。
(こ、この短時間であれだけの数を!?)
カインは呆然としつつ、その剣技に見入ってしまう。
……それはカインの知るあらゆる剣技と違った。
敵の中心部に入り込み、近くの敵から片っ端に斬りまくる。
本人は常に高速で動き回っており、敵の攻撃を受け付けない。
もし、当たりそうな攻撃があらば……
「ウオオオオオッ!」

ザス!

刀がゾンビに食い込む。
斬り裂くではない、食い込んだのだ。

「リャア!」

ジュイはゾンビが食い込んだままの刀を振るい……
自分に当たる攻撃をしようとしていたゾンビに叩き付ける!
ゴキャア
と、嫌な音と共にその二体は動かなくなった。
「まだまだあああ!」
そんな無茶な動きをしつつ、防ぎようのない攻撃は紙一重でかわしている。
防げるかどうかなどと考えている時間はない、
ただ感覚で防ぐと避けるを使い分けているのだ。

バキイ!

……不意に鈍い音が響き……
「……ヤバッ!」
……あまりに無茶な使い方をした為だろう。
妖刀・赤が……折れている。
「……おい!?」
あまりの間抜けな事態にカインは我に帰った。
ジュイは折れた剣先も掴んでゾンビの群から出ると……

ザスッ!

……近くに倒れていたゾンビに剣先を突き刺した。
「なにをやって……!?」
……カインは我が目を疑う。

ズズズズズズ……

……赤が……刀が……血を吸っているのだ。
ジュイが折れた部分をくっ付けると……
……まるで何事もなかったかのように刀は修復される。
「相変わらず便利だが……悪趣味なヤツだぜ」
治った刀を片手に再びゾンビの群に飛び込むジュイ。
瞬く間にゾンビの数が減っていく。
「……す……凄い……」
あまりの凄さに我を失って見入るカイン。
……後ろからゾンビが近寄っているのも気付かずに。
「……な!?」
やっと気付く……が、遅い。
ゾンビは尖った太い棒の先を突き刺してくる。

ブシャア!

……赤い……血が飛び散った。
「いっ……てえだろ! このヤロウ!」
ジュイの左拳で殴られたゾンビはぶっ飛び……動かなくなる。
カインは呆然と見ていた……右腕に穴の開いた男を。
「ジュ……ジュイ! 大丈夫か!?」
自分をかばった男の傷を見るカイン。
「まあ……命に別状はねえよ。……右腕がうごかねえけど」
……ジュイは右利きである。当然、刀を持っているのも右腕である。
「すまない……後は俺がやる!」
残り三十といったところか……そのゾンビの群にカインが立ち向かう。
「おい、別に左腕でも剣は使えるぞ」
「いや、無茶はしないでくれ。これくらいは俺でも相手できる」
「……わーったよ。お前こそ無茶するなよ?」
「ああ、大丈夫だ」
カインは自信満々にそう答えたが……
(……とは言っても……これだけの数を相手にするには……あれしかないか!)
傷の治療をしだしたジュイを後ろ目で見た後、カインはゾンビ達に向かい……
「いくぞ!!」
剣を振りかぶる!
「光の翼でとどめだ!」

カッ!

……光が消えた時、ゾンビは既に全滅していた。
「ひゅ〜う♪ それが《光の翼》か……スゲエ威力だな」
口笛を吹きつつ感嘆の声を上げるジュイ。
「……傷の方は大丈夫か?」
カインは剣を収めジュイに近付く。
「まあな。これでも医学の心得があるから……治療も早かったし」
実際、腕の傷はほぼ完璧な処置が施されていた。
「そうか……本当にすまない」
ジュイに向かい頭を下げるカイン。
「おいおい、俺の仕事にお前を付き合せちまっただけじゃないか……謝るなよ」
決まりが悪そうにジュイが鼻を掻く。
「テ……イ……コク……ヘ……イ…メ……」
「なっ!?」
「……ほう……しぶといな……」
……グール、それはいまだに動く。
「ニンゲンヲ……ゴミノヨウニアツカウテイコク……ノテサキメ……」
「…………」
「キサマラハ……イズレホロビル……カナラズダ!」
……その言葉を最後に……人ならざる者は動きを止めた。

………………
…………
……

「いや〜おつかれさん。これで俺の仕事も終了だ。つーわけで、まあ飲め♪」
「……いや、飲むのは構わないけど……なんでお茶?」
カインは自分の手の中にある緑茶を見下ろして呟く。
「まだ、森の中なんだから酒はマズイだろう?」
「いやまあ……そうだが……けど何故にお茶?」
「オレが好きだから♪」
「……そうか」
とりあえず茶を啜る……美味い。
「因みにミルクも好きなんだが……すぐ傷むから旅には持ってけねえんだよな」
自分の茶を啜りつつジュイはぼやく。
「あ、緑茶がイヤなら麦茶や烏龍茶、飲んだことはないけどウコン茶もあるぞ」
「……紅茶は?」
「……イヤ、あれは匂いがどうも……」
……変にこだわるヤツである。
「まあ、なんにせよこれで報酬がもらえるぜ」
「……こんな大仕事を一体誰が?」
帝国以外にこんなことを頼むのは……カインにはひとつしか心当たりがない。
「悪いが秘密だ。そういう契約だからな」
「……そうか……しかし、今回の報酬は一体いくらになるんだ?」
これだけの大仕事を一人で引き受けたとなればその報酬は莫大な筈である。
「ん〜? いや、大したことないぜ……〜〜ペインだ」
「なっ! こんな大仕事でそれぽっちか!?」
ジュイが言った金額はカインの予想や相場を大きく下回っていた。
「まあ、金目的じゃあないから良いんだが」
「……他の目的って?」
上手くいけば《カオス》の情報を引き出せるかもしれない。
……と、いうよりは単なる好奇心で質問をするカイン。
「いや、その依頼をもってきたヤツが女なんだが……
 キツイ感じがするけど結構美人だったんで……」
「……引き受けた、と」
「ま、そういうこと♪」
「……女に利用されないようにな」
「それくらいは心得ているさ♪」
……どうだか。

………………
…………
……

「ふう……ごっそさん」
「……お前って料理も上手いのな」
食後の談笑中。
「ま、一人旅してたからな」
「……してた? ……ああ、今は弟がいるんだっけか」
「まあな……とんでもねえバカなんだが……ま、結構使えるヤツさ」
「……使えるって……」
「最近の稼ぎはあいつに任せっきりなんだ
……ま、今回はオレの趣味の単独行動だけどな」
「……どういう兄弟だよ……」
とりあえず……カインは汗が浮かぶのを感じていた。

………………
…………
……

……夜。
二人はいまだに談笑していた。
「……ははは……ん?」
ふと、ジュイの胸元にアクセサリーを見付ける。
「ん? ……ああ、こいつか?」
今までマントの下に隠れていた《それ》を取り出すジュイ。
その形状はロザリオに似ていた……が、
「……悪趣味だぞ」
……そのロザリオには小さな女性が磔にされていた。
「そうか? ……かもな。けど、これだって逸話付きの一品なんだぜ」
「なに!? レアなのか!?」
カインの目の色が変わる。
「……なんか本性だしたか? ……まあ良い。
 ついでだからその逸話とやらを話してやろう」
ジュイはそのロザリオを眺めつつ……
「……昔……ありきたりな出だしだな。
 この世界のどこかの大陸にある聖魔が現れました。
 その聖魔は不思議なことに美しい人間の女性の姿をしていました。
……しかし、その聖魔は人間を襲い苦しめたのです。
 そこで各地の英雄が集まりその聖魔を倒そうとしたのです。
……だけど、その聖魔は自分の身体を像に変え、死なないようにしました。
 英雄達はその像を十字架に磔にして、
 その聖魔が蘇ることがないように封印しました。
……しかし、その十字架はある日に消え去ってしまったのです」
ジュイが語るのを止める。
「……それは……実話なのか?」
「……さあな……実話だろうと眉唾だろうと……俺には関係ないさ」
フッ……とジュイは笑みを浮かべ……
「だがまあ……そこらの古道具屋で見つけたモノだ……多分嘘さ」
「……もし、本当だったら?」
「別に、特にどうともする必要がないだろう……
……まあ、美人だしな。それはそれでお得さ」
……危険とは思わないのだろうか。
「……ところでお前の口調変わってないか?」
「おっと……いけねえいけねえ……マジメな口調は似合わねえからな」
くっくっくっ……とジュイは苦笑し、
「まあ、んなことはどうでも良い……それより大事な話がある」
不意に真面目な顔付きになるジュイ。
「……なんだ?」
ついカインも真面目になる。
「……帰り道……分かるか?」
「……は?」
こうくるとは予想していなかった……
「いや〜実はオレってば方向音痴で……」
「で、でもここまで来たんじゃ……」
ここは森のかなり奥になっている。なかなか辿り着けるところではないが……
「目的があると簡単に行けるんだが……気付けば戻れなかったり」
「……よく今まで旅してられたな」
……まったくだ。

………………
…………
……

「おおっ! 出口だ! なんとか生還できたぞ!」
「ふう……まあ、帰りは楽だったな」
現在二人は森の出口に到着していた。
「……あ! お前の任務とやらはどうなったんだ?」
今更だがジュイが気付く。
「……良いさ……見付からなかったってことで」
「なんか……迷惑かけたか?」
「いや……楽しかったよ」
これは本心だった。
今まで色々な人間を見てきたがこういったタイプは始めてだ。
なんというか……掴み所がない。
「悪いな……今度酒でも奢るから」
「……なら、パニュール・ピニョールを頼む」
「あいよ……変な名前の酒だな、おい」
「ああ……だけどレアだ」
「……お前……レア物好き?」
「な、なぜ分かった!?」
……わからいでか……
「レアねえ……オレも刀剣を集めてるんだが……」
「レアなのがあるのか!? ……というかあの赤いのもレアだ!」
「落ち着けって……今度落ち着いたら見せてやるよ」
「ああ、楽しみにしてる!」
そうして二人は森を出ていく……

………………
…………
……

「……カイン」
森から出ると……一人の男が立っていた。
「シェイド将軍!? なぜここに!?」
「……お前の援護に来た……その男か?」
ジュイを睨むシェイド……ジュイは相変わらず飄々としているが。
「いえ……彼ではないと思います。《鬼人》は発見できませんでした」
「……念の為にその男にはついて来てもらおう」
「シェイド!?」
驚愕するカイン。
「……カイン。我等将軍は情に流されてはならないのだ」
「あー……どうでも良いが……オレはついていく気はねえぜ」
ジュイはいつでも飄々としているのだろうか……
「……我々に逆らうのか?」
「オレってば命令されるのキライなんでね……
 ついでに神だの王だのもキライなんだよ」
「……王を侮辱するか」
「お望みとあらば悪言雑言の限りを尽くすぜ」
「……良かろう……今ここで私が裁いてやる」
剣を抜くシェイド。
「でっきるかな〜?」
ジュイも左腕で赤を抜く。
……右腕はいまだに治っていない。
「ふ、二人共止めろ!」
「……カイン。黙って見ていろ」
「お前の初敗北のシーンをかい?」
「……その言葉……すぐに後悔するぞ」
シェイドは最早完全にジュイを仕留めるつもりらしい。
「……オレは人生で後悔しないように生きてるつもりだけどね」
ジュイは飄々とした態度ではあるが……
その瞳に鋭いものがあるのをカインは気付いていた。
(こ、この二人が全力で戦えば……俺では止められない)
自分の非力さを恨むカイン。
「……ゆくぞ」
「こいよ……返り討ちになりたきゃな」
そして……戦いは始まる。

………………
…………
……

「「ハアアアッ!」」
二人の剣が激しくぶつかり合う。
……おそらくこの大陸では最強クラスの戦いだろう。
(現在この大陸最強の将軍、シェイド・ハーベルト……なかなかのもんだな)
ジュイはいまだに笑みを浮かべたままだ。
一方、シェイドは……
(バカな……これほどの強さとは……いったい何者なのだ!?)
自分ほど強い者はそうはいない……シェイドはそう思っていたが……
(こいつが……その例外か!?)
シェイドはこの男に最大限の注意をはらう……
そして戦況は……僅かながらシェイドが勝っていた。
カインにはその理由が二つ挙げられる。
(やはり左腕では限界がある……それにあの長刀は一対一には不向きだ)
……だが、本来有利であるはずのシェイドは焦りを感じていた。
(隙がない……いや、全ての隙を私への誘いにしている)
迂闊に攻めれば手痛い反撃を受ける……
その為、シェイドは有利でありながら勝利できない。
(ならば……隙を作らせる!)
「はあぁぁぁぁっ!」
《天空昇》を放つシェイド。
(この攻撃ならば……なにっ!?)
……ジュイの行動はシェイドの予想外だった。
《天空昇》は下から上へと斬る攻撃である。
その時に起こった衝撃で相手のバランスを崩すことも可能だ。
だが……それをまったく逆の動きで相殺するなど誰が予想できようか。

ギィイイン!

お互いに剣が弾かれる。
「まあ……さしずめ《奈落降》とでも名付けるか」
ジュイはその予想外をあっさりとやってのけた。
(しかし……流石に辛いな……)
……ジュイとて自分の不利を悟っているのだ。

カチン

……ジュイが妖刀・赤を鞘に収める
「……なんのつもりだ?」
「なあに……こっちでお相手するのさ」
ジュイは腰から剣を抜く……その剣は……
「ど、ドラゴンズ・アイ!?」
……カインが驚愕の声を上げるのも無理はない。
《聖剣 ドラゴンズ・アイ》、これもまた七大聖剣のひとつであり……
シェイド・ハーベルトの愛剣でもある。
「くだらん……そんな偽物で私を倒せると?」
「……偽物じゃあないさ……本物でもないが……」
「……訳の分からんことを」
「まあ、言ってみれば聖剣であり、ドラゴンズ・アイでもあるが……
 本物のドラゴンズ・アイではない……ってとこかな」
「……戯言を」
「ま、試してみようぜ」

「ハアアアアッ!」
二人の斬り合いが続く。
(バカな……この切れ味、強度……本当にドラゴンズ・アイなのか!?)
……ジュイの言う通り、その剣は紛れもなくドラゴンズ・アイそのものだった。
「……どうだ? 本物……っぽいだろ?」
「……どういうことだ?」
「教えてやろうか?」
憎たらしい笑みを浮かべるジュイ。
「この剣は本物のドラゴンズ・アイじゃあない。こういうこともできるしな」
言ったその場で……みるみるその剣はファルコンへと姿を変える。
「他の剣の姿を模す剣なのさ。姿だけな。
……だがその剣を知っている人間は能力まで同じと思い込んでしまう。
……それがこの剣……《聖剣 オルタナティブ》の能力だ!」
「「聖剣だと!?」」
二人の上げる驚愕の声に満足しつつ、ジュイは笑みを浮かべる。
「果たして……お前らはこの剣の本当の姿を拝めるかな……っと」
言ってジュイはシェイドの頭上へと飛び掛る。
「なにを……!?」
その時……シェイドの……いや、カインの目にも……月が見えた。
「「《月光》!?」」
ジェラルドの……二人の師匠の剣技を……目の前の男が放つ。
「……《蒼月》」
蒼い月の下……シェイドへと剣が振り下ろされる。

ギィイイイン!

……シェイドは動けなかった。
……だが、剣がシェイドを捉えることもなかった。
「「カイン!?」」
二つのファルコン、それがぶつかり合う。
「くっ……うあああっ!」
シェイドへの攻撃を受け止めはしたが……耐えられず弾け飛ぶカイン。
「「カイン!? 無事か!?」」
二人の呼びかけに対し、カインは……
「あ、ああ。大丈夫だ……」
その言葉に二人は安堵しつつ……
「……よくもカインをやってくれたな」
「勘違いするな。お前が《弱い》からカインが庇ったんだ」
「キサマ……許さん! この戦いに終止符をうつ!! 光の……」
「遅い! 全てを滅ぼせ! 《破壊の翼》!!」
そして……《光の翼》に酷似した技が放たれる……
しかし、その威力は《光の翼》の比ではなかった。

……カインが目を開けた時、目の前には大きなクレーターがあった。
「なっ!? シェイド! ジュイ! 無事か!」
……するとクレーターの中で何かが動く。
「シェイド!」
「……心配するな……無事だ」
ぼろぼろになりながら立ち上がるシェイド。
『ほう……よく無事だったな』
「ジュイ!」
どこからともなく声がする。
「キサマ……どこにいる」
『いやあ……威力を上げ過ぎて自分まで吹っ飛んじまってなあ……
 悪いが勝負はここまでだ』
「キサマ……逃げるのか」
『ああ、逃げる。無茶してもオレに得はないからな』
くっくっくっ……と笑い声がして……
『んじゃあ、二人共、また会おうぜ』
……そして、声はしなくなった。
「……シェイド」
「……カイン、戻るぞ。」
「ああ……」
「戻ったら……特訓に付き合え」
「……特訓?」
「そうだ……今回のような醜態を晒すわけにはいかん。
 将軍とは……他の兵士の見本とならねばならないのだ」
「ああ……分かった」
……そうして……二人は城へと向かう。
(……ジュイ。……また、会おう)

………………
…………
……

……墓地。
ジェラルドの墓の前にカインは居る。
「師匠……先日、師匠の知り合いと会いました。
……師匠の所にも来たみたいですね」
……墓前には幸せを呼ぶ花《ワイルドストロベリー》と、
レア酒《パニュール・ピニョール》が添えてあった。

………………
…………
……

「……ああ、良い月だ……蒼くて冷たい良い色をしている」
……独りの男が月見酒をしている。
「……そうだな。このまま、ここに留まるかな……DCCの世話になるのも良い」
……また一口、酒を飲む。
「……しかし……この酒あんま美味くねえぜ、カイン……」
……男は独り月を見る。
……月を見るのは……独りでは……ない。

〜END〜

moonlight bath 〜A green butterfly〜 投稿者:コメット 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:15 No.43   
「何度も〜何度も〜飽きることなくー、白くー、なーが〜れる〜雪〜♪あ、カインさん、季節限定クリスマスバージョンミラクルパン販売開始って書いてある♪カインさん、行ってみましょう!」
「い、いや、俺はもう疲れたからいい…(ん?季節限定?ってことはレア物!)ま、まぁパン屋くらいならいいか。」
今日はクリスマスイヴ。カインとフリージアが訪れた商業都市イージスには雪が降りしきっていた。カイン達は将軍とその仲間達だけのクリスマス会で食べる物を買いに来ていた。カインの腕には七面鳥が吊ってある紐、ビビンバステーキやその他の食品の材料が入った袋がぶら下がっている。フリージアはクッキーが入った缶を数個とレア酒パニュール・ピニョールを持っていた。ユウとルカ、アランとリュウは芸の練習、シェイドはラーハルトから突然の任務を食らって不在。まぁ彼の場合それでいいのだが・・・。ルイとテイルはまだ来てないが、今聖ヘレンズ城に向かっている。リナとその部下達は料理係でカインとフリージアの帰りを待っている。カインは以前、ゴシッペに会ったが、彼はエル・デ・スタの町で講演会を開くので欠席。自身満々の顔で良い顔だった。
話を戻して、カインとフリージアはパン屋に入っていった。フリージアははしゃいでいて、まるで子供のようであった。カインは真っ先にレジに向かった。
「ミラクルパン一つ!表にある看板にあるやつな!」
「あ、カイン将軍!す、すみません、売り切れました・・・」
「何だと!?レア物が売り切れ!?」
「あ、あの、レア物でも何でも無いんですが・・・」
「いや、俺の為に一つくらい残しておいてくれてもよかったんじゃないか?」
カインは自分の駄々を定員に押し付けた。
「カインちゃ〜〜〜ん!!!」
店の入り口から奇声が上がった。その声の主はレジに居るカイン目掛けて突っ込んでいったが、カインは見向きもせずに買い物をし終えたフリージアの元へ(声の主をかわすように)向かった。よって、突然の訪問者の突進照準はレジの元へ・・・。
「フリージア、買い物は済んだか?」
「うん☆さ、次の店にいきましょう♪」
「(まだ行くのか・・・)」
そしてカインとフリージアは店を出た。
「こ・・・これが・・・で、伝説の・・・カップル無視・・・!」
声の主は倒れた。が、パン屋のオーナーの手によって店先に放り出された。

聖ヘレンズ城に続く雪の道。辺りはすでに暗くなっていたが、月光によってかろうじて方角は失われなかった。雪はもうやんでいて、足取りも速かった。そして驚いた事に、冬の夜なのに月光浴している緑色の蝶が何十羽も宙に舞っていた。
「わぁ〜、きれいな蝶がいっぱい♪」
「これはこの辺りに出現する蝶だ。この俺が名前を知らないほどレアな蝶だ。地域限定の蝶とはいえ、出現率は少ない。」
「へー。きっとクリスマスイブだから出てきてくれたんだね♪」
「ああ、そうかもな・・・」
カインはそう言うと、うつむき加減に歩き出した。フリージアは立ち止まっている自分を置いていくように行ってしまうカインを見て、様子がおかしい事を知った。フリージアは追いかけて、カインの、聖ヘレンズ城将軍の鎧に触れた。冷たかった。それは雪と夜の冷気が鎧に染み込んだせいかもしれないが・・・。
「カインさん・・・」
答えるのは宙に舞っている蝶だけだった。

しばらく二人は歩いていた。その二人を追うように緑の蝶もついてきた。そしてその蝶の一匹がカインの頭に止まった。カインはその蝶の羽をつかむと、立ち止まった。フリージアも横に並んだ。
「緑の蝶よ・・・、お前達を異教徒としよう・・・。お前達は俺を許さないか・・・?」
カインは声を落とし、しかしはっきりとつぶやき、フリージアを見つめた。
「フリージア・・・、こいつらが何を言いたいか分かるか?」
フリージアは、カインが手にしている緑の蝶を見た。何とか飛ぼうともがいている。まるで翼をもがれた蝶のように・・・。
「・・・カインさんから離れようとしている・・・。多分、許さないんじゃないかな?」
「そうか・・・」
カインは蝶を放した。緑の蝶は力強く羽ばたき、カインのもとから逃げた。
「異教徒はクリスマスでも・・・逃げつづけている。それなのに、俺はこんな事をしていて良いのだろうか・・・?」
カインは月夜に舞う蝶を見つめながら呟いた。
「・・・それが世の中の条理だとすれば、随分皮肉なものだ」
フリージアにはなんとなく分かるような気がした。そしてなんとなく後ろを振り向いた。
「でも、カインさん、それは違うと思うよ」
「・・・?」
「だって、ほら、カインさんが異教徒と例えた緑の蝶はきれいに躍っているよ」
カインは後ろを振り向いた。そして、その光景に目を奪われた。さっきまでバラバラに舞っていた蝶が、今は一致団結して、テンポ良く舞っていた。フリージアはこの雪の道に響かせるように、声高らかに歌いだした。
「緑の蝶よ、照らーしておーくれ♪僕ーらーのー、歩むべきー、道ーをー♪月ー明ーかーりーが、途絶えーないよーうに♪月夜にー、舞う蝶がー♪」
フリージアの声に合わせて緑の蝶も一緒に舞っていた。
(そうか・・・・・・・・・。きっと異教徒も、隠れながらだが、楽しく躍ったりしているのだろう・・・。)
カインは聖ヘレンズ城の方向を見つめた。月光に煌(きらめ)く雪の道が、聖ヘレンズ城への道へと照らし出していた。
 歌が終わった。後ろを見ると、緑の蝶が去っていくところで、フリージアは手を振っていた。カンも、去っていく蝶を最後まで見届けた。完全に見えなくなると、気合を入れてこう言った。
「よし、フリージア!聖ヘレンズ城に戻るぞ!ルイ達ももう来てるだろう」
「うん☆・・・ってああ!リナさん達、忘れてた!はやく戻ろう!」

Iris〜君に捧げる花〜 投稿者:コハル 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:06 No.28   
『訪れると・・・いいですね。平和な時代・・・』


 Iris〜君に捧げる花〜


ふわり、と紺色のマントを靡かせた風が、優しく春を感じさせる。
カインが将軍に就任してから一度目、あの時から二度目の春がやって来た。
久々の休暇。
休暇と言っても、特別、何処かへ行くというわけではない。
同時に休暇をもらった部下のアランとリュウは、それぞれ里帰りをすると言っていたが、
カインには特に帰る場所も無い。
何気なく思いついたのが、剣の修行だったため、迷うことなくそれを選択することにした。
そして今、彼は装備品や薬草などの準備のため、城下町の商店街を歩いている。街中は賑やかだ。

平和な、時代・・・。

笑顔の絶えない人々の表情。一見平和そうに見えていても、世は決して平和ではない。
いずれ訪れるのだろうか。
平和な、そんな、時代が。

ふわ、

再び、風が吹いた。
と同時に、甘い香りが漂ってきた。

「あれ?カイン様?」

名を呼ばれて、声の方向――香りのした方向――に振り向く。
そこには、両手いっぱいに色とりどりの花を抱えた赤い髪の女の子が立っていた。
一瞬、両手の花の豪華さに目を奪われていたカインだったが、
その女の子が知り合いだということに気付き、すぐに応じた。
「アヤメか。どうしたんだ?その花」
アヤメと呼ばれた女の子は、きょとんとした表情でカインを見た後、ふふっ、と微笑んで言った。
「この花、すっごく綺麗ですよね♪カイン様も、そう思いません?」
質問に答えていない。
アヤメはリナ将軍の部下四人の内の一人で、活発な性格の賑やかな女の子である。
まあ、答えはとにかく確かに、綺麗だ、という事実はまげられなかった。
「ああ、そうだな」
穏やかに答える。カインは続けた。
「で、どうしてアヤメはこん・・・」

「アヤメーーーッ!?」

・・・なところに?、と続くはずだった言葉が、突然、何者かの大声によって制されてしまった。
「あ、ヤバイっ」
気まずそうな顔をして肩をすくめ呟くアヤメ。
声の正体は彼女の後方から走ってくる青い髪の女の子、カスミだった。
彼女もアヤメと同じくリナ将軍の部下で、しっかりとした四人のまとめ役である。
「こんな、ところに、いたっ!もう、まだ、持って行っちゃ、ダメだ、って言った、でしょう!?」
「え、でも」
「でもじゃない!」
カスミは息を切らせながら、アヤメの肩をガッチリ掴んでいる。
どうやら、すぐ目の前にいるカインの存在に気付いていないようだ。
「さ、行くよ!」
「わわわっ!!カスミ、苦しいってば〜!」
カスミはアヤメの襟首の後ろを引っ張っている。
冗談ではなく、本当に苦しそうだ。しかし、カインはそれを助けてやれるタイミングを外してしまった。
「行くっ、行くからっ!普通に行かせてっ!」
アヤメの声が涙混じりになったところで、カスミは手を放す。
「わっ、ごめん!ちょっとやり過ぎだったかな・・・?
・・・あれ?カイン様!?どうしてこんなところに?」
漸く気付いてくれた。
「ちょっと、商店街の方に用があってな・・・」
カインは先程の凄まじい勢いに圧倒されてしまっている。
「けほけほっ。カスミ、気付いてなかったの?」
その場に座り込んで、苦しそうに咳き込むアヤメの問いに、カスミは苦笑いしつつ頷いた。
「・・・ところで、キミたちはどうしてここに?」
やっとの思いで話を切り出す。
「けほッ・・・えっと、リナ将軍のおつかいです」
立ち上がり、埃を払いながらアヤメが言った。
「カイン様も来ますか?」
微笑みながらカスミが言った。

***

――ついて来てみると、花をたくさん積んだ一台の馬車があった。
カスミの話によれば、月に一度、はるばるエル・デ・ルスタの町から、
この聖へレンズに花を入荷しにやってくる花屋で、
彼女たちはリナ将軍に頼まれた花を買いに来たのだ、と言う。
「二人ともおかえりなさーい。あ、カイン様も一緒だったんですか」
白い花を一輪手にとりながら、部下の一人、アオイが笑顔を見せた。
赤い髪を耳の上辺りで二つに結わい、とても明るい印象を受ける。
「もしかしてカイン様も、興味がおありなんですか?」
黒髪のサクラが首を傾げ、訊ねた。
彼女は落ち着いた性格のため、印象が薄いように見受けられるのだが、
それは単に、周囲の印象が濃過ぎるのだと思う。
「いや、特にあるわけではないが・・・しかし、見事だな」
赤や、黄色や、白、ピンク、一つ一つの花が生き生きと咲いている。
小さく可愛い花を咲かせるものもあれば、大きく綺麗な花を咲かせるものもある。
どんな者が見ても、目を奪われかねないだろう。甘い香りは嫌悪に感じない。
ふと、隅の方に置かれていた鉢植えが目に留まった。

少し紫ががった、青い花。
それは何故か寂しげで、それでいて、凛、と咲いていた。

「えっと、カトレアと、フリージアと・・・あ、あとアネモネ。
それと、あの子が持ってる花、これでお願いします」
「はいはい・・・全部で5300ペインになります。・・・あら?将軍様はアイリスの花にご興味が?」

アイ・・・リス?

「この花、アイリスっていうのか」
「ええ」
花屋の女性がにこりと微笑む。

・・・懐かしい。

二年前のことが蘇る。
同時に、当時の自分が悔しくなった。
将軍になることを夢見ていた、たった一人守りきれなかった未熟な自分。

彼女は何よりも優しかった。

自分が信じ、愛を注いできた卵から魔獣が生まれようとも、
自分が危険に晒されても。


彼女の最期は優しさ故だったのかもしれない。


未熟な自分を正当化しようと、そんな理由に至った。
それは、未熟な考えだった。

アイリスの花は、凛、とこちらを見ている。
少し、彼女に似ていると思った。そういえば、髪の色と花の色が似ていたような気もしてきた。

「・・・・・ま、・・・カ・・・様、・・・カイン様!」

「えっ、あ」
「どうしちゃったんですか?ずっと下向いて・・もしかして、体調でも・・・・?」
アオイが顔を覗き込むように話しかけてきたおかげで、漸くカインは我に返った。
「いや、少し考え事をしていただけだ。ボーっとしていたようだな」
はは、と苦笑いしながら答える。四人は不思議そうな表情をしてカインを見ている。
「アイリスの花はお気に召されましたかしら?」
花屋の女性が言った。
「ああ。ひとつ、もらおうか」
それは、無意識に出た言葉。

***

「リナ将軍、買ってきました!」
「ありがとう、皆。・・・あら?カインも一緒だったのね?」
聖へレンズ城、中庭庭園。そこに花たちに水をやっているリナの姿があった。
庭園内の花壇は聖へレンズ四大将軍の一人、リナが世話をしているのだ。
「偶然、街中で会ったんです」
「そう。・・・カイン?その、花は?」
ふと、リナはカインの腕に包まれている鉢植えに気付く。
「じゃあ、リナ将軍。私たち、戻りますね」
カスミが傍にあるベンチに、買ってきた花を静かに置くと、そう言って城内へ入っていった。
「ええ、ご苦労様」
他の三人も、二人の将軍に軽く会釈をして、カスミを追った。
「・・・珍しいですね。自分で買ったのでしょう?」
くすくすと笑いながらリナ。
「別にいいだろう?これくらい」
「誰かへの贈り物?」
「違う」
無意識に買っていた、など言えるわけがない。
「まぁ、プライベートな話を詮索するつもりはないけれど・・・」
「だから、違うって」
「人に贈るのなら、しっかり相手を考えるのよ」
「だから、違・・・」
「アイリスの花言葉は、あなたを大切にします」
リナの真剣な眼つき。
「あ・・・」
「女の子は結構、花言葉とかに敏感だから、注意することですね」
カインが何も言えないでいると、リナはベンチに置かれた花を手にとり、
くすりと笑いながらそう言うと、城内に入って行ってしまった。

ふわ、

暖かい春の陽射しに満たされた庭園に、心地よい風。
カインは腕の中にある鉢植えを、手にとって陽射しに当てた。
青い花弁が透き通る。
手を触れたら消えてしまいそうな、そんな感じがした。
光に包まれた青い花弁がその色を失い、透けて、消えていくような――。

「―――アイリス・・・!」

儚くも、自分の目の前で亡くなった彼女は。
もう消えてしまった彼女の生命は、もう触れることなどできない。
望んでも、戻らない。

・・・あなたを大切にします。

アイリスの花言葉。
そう、彼女は想ってくれたのだろうか。
カインの中を、心が駆け巡る。
二年前、失ったモノの大切さを、重さを知った。
今ならわかる。大切なモノを失うこと。
「・・・なぁ、アイリス」
鉢植えを寄せ、その青い色を見つめる。
「・・俺は・・・キミを大切にできただろうか・・・?」
微風が、アイリスを優しく揺らした。

***

コト。

置いた拍子に、鉢が地面を鳴らす。
ゆらゆらと青い花が揺れている。
今日のランスの村は、優しい風が吹いていた。
カインが将軍に就任してから一度目、あの時から二度目の春。久々の休暇。
修行の予定は急遽変更して、彼は墓参りに来ていた。
無意識に買った、彼女と同じ名の花と一緒に。
静かで長閑な村は、人々の心が魔獣を生んでしまった村。
今は昔話。
しかし、彼には関係なかった。


彼女が存在していた事実は今の話で、事実は今も消えないのだから。


「・・・アイリス」
墓前に膝をつき、優しく、声をかけた。
「アイリス、キミと同じ名前の花だ。今日、初めて知ったんだ」
香る、花の香り。
「平和な時代はまだ訪れていないけど、約束は守りたい。どんなことがあっても」
穏やかな声。けれど強い眼差し。
今日はただの墓参りではない。カインの、すべての意志を誓う日。
リナが去った後、彼は誓いを心に決めていた。
アイリス――大切なモノ――に誓うことは、意志の難さを自分自身で見つめるということだ、と。
ゆっくり深呼吸。一息置いて、彼は言葉を紡いだ。
「俺は、もう、誰も死なせないから・・・絶対に、守りきってみせるから。
・・だから、・・・本当にできたかどうかは判らないけど、無意識だったのかもしれないけど、
・・・俺がキミを大切にしたように・・・」

すべてを、大切にしたように。

「俺を、大切にしてください」

ふわ、

アイリスの花が小さく頷いた。


〜Fin〜

特別任務 投稿者:もやん 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:03 No.23   
ある日カインとユウは魔獣の森に来ていた。その理由はこうだった。
「魔獣の森の隠し通路について探してきてくれ」と言われ、暇だったユウも
一緒に連れて行かされた。カインがはりきっているいるのも訳がある。
隠し通路を見つけたものにはレア物・・・・・がもらえるからだ。
ラーハルト司令官もカインの性格が呑み込めてきたようである。あっぱれじゃ。
ちなみにこれは特別任務。何が特別なのであろう?答えは一番下にあり〜。
         ・・・それでここは魔獣の森。

ユウ「あ〜ぁ、こんどの任務はつらいぜ!しかも男二人で!!
   本来ならリナやカトレアさんやフリージアが・・・。」
カイン「まぁいつものことだろ。」
ユウ「確かに・・・って5割方この小説でオチに使うなんて、将軍として恥ずかしいぜ!」
カイン「こっちも四大将軍の一人として、恥をかけられているけどな・・・お前に。」
ユウ「んっ・・・じゃあどんなところが恥か言ってみろよ。」
カイン「・・・その・・・非の打ち所しかないってところが・・・」
ユウ「言うじゃねぇか!よぉし、こんどこそ・・・」
・・・・・・・っ・・・・・・・
カイン「まて。なにか・・・」

・・・・・・ざくっ・・・・
ユウ「おい、何の音だ?」

・・・・・ざくっ・・・ざくっ・・・ガチ!「む!」
カイン「だれだ!?」
ユウ「・・・・・・ヴェイク!?」
ヴェイク「・・・ん?・・・なんのようだ?勝負しにきたのか?あいにく今は・・・」
カイン「・・・かまっている暇は無い。・・・ところで、何してるんだ?」

魔王ヴェイクが掘っていた物は・・・?
特別レアなものでもなく、パニュール・ピニョールのビンでもなく、
ゴムパッキンのカビでもない。知りたかったら下を見てくれ、見てください。

ヴェイク「見て分からんか?レギョンを釣るためのミミズを捕っているのだ。」
ユウ「・・・・・(見たってわかんねーよ。)・・・(買えばいいじゃねぇか・・・。)」
カイン「(レア魚レギョン!?ほしい!くっ、ここは我慢だ!そうだ、暇なディアに…。)
    ・・・・・ふぅ(こんなやつを支配するなんてガルドゥーンも大変だな・・・。)
    ま、おいていこう・・・ユウ!いくぞ!」
ユウ「金が無いから買えないのか?・・・ああっ!カイン、まてぇ!」

〜歩くこと10分〜

ユウ「はぁー。もうだめだ。隠し通路なんかどこにもねぇんだよ。俺はもう帰るぞ。」
カイン「ああ、そろそろ日が暮れてきたしな。レア物は明日にするか。」
ユウ「(そのレア物に俺は振りまわされた、ってわけか・・・)」

〜歩くこと5分、帰り道にて〜

先に口を開いたのはカインだった。
カイン「・・・・・!!!(青い髪の少女!?)」
そこにはカインのおもったとおり、青い髪の少女?がたっていた。
カイン「君はここがどんな場所(以下省略)・・・君の名前は?(アイリスか?死んだはずだが…」
カインはこのことを思い出すたびに胸が痛くなる。 少女?はうつむきかげんにこう言った。
読者は?というのが気になるだろう。うん、そうだろう。

少女?「私の名は・・・・アイ・・・する人を追い続けるトレビアン様よ〜!!!!!!」
ユウは動揺している。…アレを踏んだ少年の如く。←?
ユウ「そういえばお前どっから来たんだ?さっき通ったときはいなかったぜ・・・。」
トレビアン「うふっ♪よく聞いてくれたわね。さすが私の見込んだ男カインちゃ〜ん
      (ユウ)、そこの木の陰を通ってき・・・ぐはっ!チョーモラーンマ〜!」
カイン「さて・・・この木だな。バカもほんの少しは役に立つようだな。」
たしかに木の陰に変な道があった。どこに続いているのかは分からないが。二人は歩いた。

しばらく行くと、分かれ道があった。

カイン「どうする?二手に分かれるか?」
ユウ「いっ、いやだぁー!なんかでてきそうだぁ!」
カイン「じゃあ・・・左に行くか。」
・・・・・後で気がつくことになるかもしれないが、右には南クロス城があった。

カイン「(どこだ?ここは?)」
ユウ「出たぞ!・・・ここは・・・もしや・・・あそこじゃねぇか?」
カイン「ユウ、ここを知っているのか?・・・・・(はっ!ここは聖ヘレンズ・・・。)」
ユウ「・・・・・・・知らない場所!・・・・・ぶっ!」
ユウはカインに殴られた・・・・・。
カイン「まったく、くだらないギャグにつきあわせるな。ここは聖ヘレンズ国城下町前だぞ。」
ユウ「あっ!そういえば・・・。まぁ、早めに報告にいこうぜ!」
カイン「ああ…(一瞬ヴェイクの癖がうつったかと思ったが・・・。)」

〜城の内部〜

カイン「ラーハルト司令官、木の陰から城下町前までつづく隠し通路を発見しました。」
ラーハルト「・・・・・あぁ、あれか・・・あれは私も既に知っている。」
ユウ「(がびーん)」
ラーハルト「・・・しかしながら、私しか知らない通路を見つけるとは・・・・・
      うむ、報酬としてこれをやろう。レア酒だ(たぶん)」

〜どこかの場所〜

カイン「よし、飲むぞ!」
ユウ「酒の名はなんていうんだ?」
カイン「ええと・・・・・“レア酒T,P(トレビアン・ピニョール)”」
ユウ「・・・・・(逃げようか…)」
カイン「・・・飲むか?」
ユウ「!・・・いや・・・。」
カイン「飲め!!!」
カインは無理矢理ユウの口に押し込んだ。というより流し込んだ。

ユウ「っ! アインあえお〜(カインやめろ〜)…ぐぶっ!ぶへっ!・・・(失神)」
カイン「やはり変なものだったか・・・。」

ルカ「ユウしゃん遅いダニ〜」

〜その後の様子〜

トレビアン「アイリスはもうだめね・・・次はフリージアでいこうかしら・・・。」
ユウ「あっはーん、カインちゃ〜・・・って俺何やってんだ?」
ヴェイク「ここは・・・どこだ・・・。」
ラーハルト司令官「なるほど、こんな通路があったのか。_〆(σ_σ) めもめも・・・」
         ふふふふ・・・節約っ♪」←(これがこの任務の主旨だった…。)

―――終わり―――

Seaside Holiday 投稿者:レン 投稿日:2006/11/27(Mon) 14:53 No.9   
フリージア「ん〜、いい天気〜♪こんな日に海に行ったら気持ちいいだろうな〜
      ってコトで、みんなで海水浴に来ちゃいました」
カイン「ん?誰と話してるんだ、フリージア?」
フリージア「あ、カインさん!ううん、別にこっちの話〜」
ユウ「お待たせ〜。お!フリージアの水着セクシ〜」
フリージア「もう!ユウったら、どこ見てるのよ!」
ルカ「ユウしゃんHダニ〜」
ユウ「な、なんだとルカ!」
ルイ「まったく、バカな弟を持つと大変だ」
テイル「とか言って、ルイしゃんこそ目線が・・・」
ルイ「・・・それ以上言うとどうなるか・・・分かるよな?テイル」
テイル「じょ、冗談デシ・・」
カイン「そういえば、今日リナは来ていないのか、フリージア?」
フリージア「うん。カゼひいちゃったんだって、カインさん」
ユウ「ちくしょー!リナの水着姿楽しみにしてたのに!なあ、カイン」
カイン「い、いや、別に俺は・・・」
テイル「てか、なんで、さっきからわざわざ名前つけて呼んでるデシ?」
フリージア「そうすれば、誰がどの声かちゃんと分かるでしょ?」
カイン「誰がどの声って・・・見れば分かるんじゃないのか?」
フリージア「え?そ、そうですよね。あれ、私なんであんなコト言ったんだろ?
      と、とにかく!せっかく海に来たんだから泳ごうよ!」
ユウ「よっしゃ〜!今日は、俺の愛と愛と愛でぇ〜、泳ぎまくるぜぇ!」
ルカ「愛はカンケーないダニ!」
カイン「よし、ユウ!あの島まで競争だ!負けたら、焼きそばオゴってもらうからな」
ルイ「焼きそばだと!?その勝負、俺ものった!」
フリージア「じゃあ、私たちは、あっちの【超ウルトラウォータースライダー、行き着く場所
      は天国が地獄か!?スペシャル〜】ってのに乗ろっか」
ルカ「しょ、正気ダニか・・・フリージアしゃん・・」
テイル「おもしろそうデシ。行くデシよ、ルカしゃん!」
ルカ「ほら〜、テイルも怖がって・・ないダニー!!??本気ダニか!?」
カイン「お〜い、フリージア!スタートの合図してくれ〜」
フリージア「は〜い。位置に付いて〜、よ〜い・・・」
シェイド「待て!」
ルイ「何だ、どうしたシェイド?」
ユウ「って、お前いたのかよ!?」
シェイド「はじめから、ずっといたが・・・」
フリージア「もう、これはボイスドラマなんだから、喋らないと、いるのか、いないのか、
      分からないじゃない?」
シェイド「は、はぁ?ボイスドラマ?何だそれは?」
フリージア「え・・と、何だっけ?まぁ、いいや、忘れて、忘れて!それで、どうしたの?」
シェイド「お前ら、はしゃぐのも良いが、肝心なことを忘れているぞ」
カイン「?何か忘れてたか・・?」
シェイド「まったく、それでも将軍か!いいか、準備体操を忘れているだろうが!準備体操を!」
ユウ「準備体操?別に大丈夫だって!」
シェイド「そういうちょっとした油断が、戦場では死を招くのだぞ!」
ルカ「ここは戦場じゃないダニー、ダニー、ダニー←エコー」
フリージア「ドン!」
ミンナ「え?(は?)(ん?)」
フリージア「ほら、スタートの合図だよ?競争するんでしょ?」
ルイ「じゃあ、お先に失礼」
(さっぷ〜ん)
ユウ「な、卑怯だぞ!よ〜し、俺の愛と愛と愛でぇ・・・勝ってみせる!!」
ルカ「とか言ってる間に、カインしゃんもスタートしたダニよ」
ユウ「な、ま、待てこらー!」
(じゃぼ〜ん)
フリージア「じゃあ、私たちも行こっか」
テイル「いくデシ〜」
ルカ「・・・ユウしゃん、ボクはお星様になって来るダニ・・・」
シェイド「・・・さて、私は釣りでもやりに行くかな」

まっぱに捧ぐbyジュイ 投稿者:ゼロ 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:01 No.19   
オレの名はジュイ。
自分で言うのもなんだが超一流の戦士だ(戦死にあらず)。

……そんなオレだが今は必死の逃亡劇を繰り広げている。
たまに後ろに見える《赤い》物体にとてつもない悪寒を憶える。

……なんでこんなことになったのか……
……発端は……そう、今からほんの数十分前だった……


………………
…………
……


「……ヒマだ……」
グラスに入った液体を飲み干すと共に言葉を吐き出す。
……そう、オレは今、恐ろしいくらいヒマだった。
《DCC》に雇われてはいるのだが……仕事がない。
……いやまあ……最初はあったけどさ……
調査に行った後、バッチリ迷っちゃったりしたから……
……最近はずっとお留守番(泣)

しかも報酬はスズメの涙ときた(すごく少ないって意味だ)。
……まあ、衣・食・住におやつと昼寝が付いているから不満は無いが……
……金が無けりゃあ遊びにも行けねぇ。
いやまあ……金があったって雇われてるんだから勝手に外出は出来ないんだが……
……くそ、自棄酒(やけざけ)でもしたいぜ!
……あ、さっき飲んでたのはミルクだぞ。
仕事中(することも無いが)に酒なんて飲まねえよ。

「う〜ん……」
伸びをする……本格的にヒマだ。
趣味の読書もあらかた読み切ったし……そこ、意外だと思っただろ?
良いじゃねえか、オレが読書したって。
……けど読むのが早いうえに、面白いと寝る間も惜しんで読むから……
すぐに読む本が無くなるんだよなあ……
おんなじ本読んだってしょうがないし(物語なら少しはましだが)。


……と、いうわけで……オレが今からやることも当然のヒマ潰しなのだ。
オレの前には……風呂。
風呂の中には……ここ、DCCのリーダー……ディア。
仕事の後の一風呂らしい……
……結論、覗くべし!

ガラッ

ひゅん!

……え〜……今、オレの前を鋭いモノが通った……つーより……切り裂いた?


………………
…………
……


……つーワケでオレは今、赤髪を振り乱して追い駆けて来るディアから逃げている。
……ディアのヤツ……格好はバスタオル一丁のくせに手にはしっかり……刀。
(う〜ん……マジで斬られたらかなわん)
「まて! 考えたらオレ、お前の裸は見とらんぞ!」
いきなり斬り付けられたし(なんで風呂に刀が……)
「そういう問題じゃないだろうが!」
あ、やっぱし……
「じゃあ謝るぞ。もう地面に額擦り付けて」
「あんたは絶対にそれじゃあ懲りないだろう? だから一度、痛いめにあわせる!」
きゃあああっ!
ヤバイはマズイは生命がピンチだわ!


………………
…………
……


「おおっ! この壷は!」
俺の名はカイン・ヴァンス。聖へレンズ帝国 四大将軍の一人だ。
今居るここは《花の都 エル・デ・ルスタ》、この大陸では二番目に大きな街だ。
任務で近くまできたのでよっていくことにした。
なにかレアな品が手に入るかもしれないからな。
かくて品定めをしていると……後方がなにか騒がしいのに気付く。
「……なんだ?」
後ろを向けば……誰かに追いかけられている男が……って、あの白髪は!?
「ジュイ! ジュイじゃないか!」
「おお! カイン、久し振りだな!」
俺のそばで止まるジュイ……なぜか足踏みしたままだが。
「今までなにをしてたんだ?」
「いやまあ……色々と……って、積もる話はさて置いて!」
……確かにジュイの背後に誰かが迫ってくる。
「……とりあえず逃げるか?」
「そうしてくれると非常に助かる」


………………
…………
……


「……で、なんで逃げてるんだ?」
隣で走ってるカインが聞いてくる。
「ふむ。語ると長くなることながら……」
「……ああ」
「ちょっと風呂を覗こうとしたら……あ、テメ、なんだその軽蔑の視線は!」
「……お前が一方的に悪いんじゃないか! しかも全然長くない!」
「まあ、そういう意見もなきにしもあらずだな」
「大人しく捕まって制裁を受けてこい!」
「いやじゃー! ぜっっったい殺されるー!」
あのディアの目は……本気だ。
「墓は用意してやる」
「薄情者ー! オレとお前の友情はその程度だったのかー?」
「罪を償わせるものまた友情だ」
「正論だー けど、いやじゃー!」
「……ところでジュイ。お前やたら足速くないか?」
見るとオレとカインの間に差が出来てきてる。
「そんなにとばしてねえけど?」
「俺は全力だ! お前はどこまで非常識なんだ!」
「多分、頭のてっぺんからつま先まで」
「全部か!? しかも自分で言うな!」
「……お前等、人を無視してなに談笑している!?」
後ろを見ればディアが刀を振るって街路樹を切り倒したところ……なに!?
「コラー! 自然は大事にしろー!」
「そういう問題じゃない! なんで街路樹があんなにデカイんだ!?」
……カインの言う通り、斬られた木はやたらめったらデカかった。
「……樹齢何年だろ?」
「それよりもこっちに倒れてくるのを気にしろー!」
……ああ、そういやあこのままだとこっちに倒れるな。
オレは逃げ切れるけど……カインは無理だろうし……


………………
…………
……


……そういえばなんで俺は一緒に逃げてるんだろう?

そんな疑問が頭をかすめたが……今はそれどころではない。
(くっ……かくなる上は《光の翼》で……)
吹き飛ばすか……と考えていたが……
(……ジュイ?)
ジュイの気配が変わったので見てみると……
(……足?)
頭が足に……いや、ジュイが上下逆さまになっていた。
そしてその足が大木に触れて……

ドオンッ!

……大木を横に蹴り飛ばしていた。
「な、ななななな……」
いくらなんでもそれはないだろう……と思っていると。
「ふう、やれやれ」
……ジュイは平然としていた。
「おーまーえーはー……常識というものが無いのか!?」
「無い!」
「いばるな!」
「ふっ……戦士たるものこれくらいできねば……戦場では生き残れん!」
「嘘をつけ!」
「剣を振るってりゃあいい、お前等剣士とは違うんだよ」
「あ! お前それ問題発言だぞ!」
……なんて二人で問答していたが……
追ってきてた人のことを思い出して見てみる。
……今更だが彼女が……そう、女だと気付き。
そして……バスタオル一枚だと気付いた。
……辺りにはなんだか黒山の人だかりが出来ている。
……追ってきていた彼女はあまりの事態に呆然として……なっ!
バスタオルが落ちていく!

ファサ

……と、音を立ててバスタオルが地面に落ちる。
そこには……

「じゃすと・あ・も〜めんと!」

……訳わかんない言葉を言いつつ、
彼女に自分のマントを羽織らせているジュイが居た。
……速い、すでに人間の速度じゃない。


………………
…………
……


……あたしは……目の前の事が信じられずに不覚にも呆然としてしまった。
そして……体に巻いていた布が解けるのを感じる。
「なっ!?」
とっさに声は出た。
けど、体は動かない。
こんな公衆の面前で全裸を晒すわけには……
そんなことが頭をよぎった時、あたしの体には違う布が巻いてあった。

「……ふう、ヤバかった……」
隣で今回の当事者のスカポンタンが額を腕で拭っている。
今あたしの体に巻いてあるのは……そいつのマントだった。

「ジュイ! スゴイじゃないか!」
そのスカポンタンのロクデナシの所に青い髪のボウズが来る。
……どっかで見たような……
「フ、フ、フ……オレの身体能力は一般人など軽く凌駕してるのだ!」
「それは充分知ってるが……だが、ほんとにスゴイな」
「ああ……我ながらスゴイと思うぜ……
あの瞬間、全ての感覚か異常に鋭くなったからな……
元々、視覚や聴覚に嗅覚なんかも人並み外れてるんだが……
あの時は全てが止まっているように鮮明に見えたからな……」
……ちょっとまて。
「おい、あんた」
「ん、なんだ?」
「鮮明ってことはあたしにマントを掛ける前も……」
「バッチリ精密に事細かく♪」
「……やっぱり死ねえええぇっ!」
「ぎゃー!」


………………
…………
……


……かくて、俺は何故かは知らないがジュイと一緒に逃げるはめになってしまった。
「ジュイ! お前なら力ずくで彼女を止められるだろ!?」
「えー……オレ丸腰だぜ?」
「素手でも強いだろうが!」
「けどさー……やっぱ全面的にオレが悪いワケだし?」
「なら大人しく捕まれ!」
「いや、それはなんだか危険な香りが……」
「と言うより、悪いのが分かってるんなら覗くな!」
「いや、それは男のロマンなんだ!」
「人様に迷惑掛けるロマンなんて捨てちまえ!」
「いやしかし……人間美しいものを見たいのは当然の感情だと……」
「美術品でガマンしとけ!」
「もちっと艶かしいのが良いんだ」
「ワガママ言ってる場合か! 死ぬぞ!」
「それはそれで本望かもしれん」
「だったら一人で死ねー!」

……その後、俺はなんとかそこから離脱。ジュイは……まあ、逃げ切っただろう。


………………
…………
……


……かくて、《命懸けの鬼ごっこ》という最高の暇潰しは無事? 終了した。
ディアにはちゃんと謝って許してもらった。
……今はボコボコにされた顔を氷で冷やしてるところだ。

教訓
《美を求める者には死の影が付き纏う》

……皆さんは決して真似しないように。

受けたくなかった任務 投稿者:kanachi 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:12 No.39   
・・ある日の聖ヘレンズ城。
その城下町は治安がとても悪くなり、ガラの悪い奴がうろうろしていた。
そんな時、四大将軍たちはラーハルト司令からある任務を受けていた。

――酒場、マリンにて。

「聞いたか?治安が悪くなった原因はある王子にあるって・・」頭を抱えるカイン。
「ああ。任務はその王子をぶっ飛ばす・・いや、説得させるんだったな(汗」ユウは聖魔のルカに餌を与える。
「その王子がある将軍に夢中・・その愛を伝えるために街で大暴れしたらしいな・・」シェイドは苦笑。
「そしてアレね・・『オカマ波動砲』とやらにやられたせいでガラの悪い奴が暴れだした・・・」そうリナが最後に言い、ユウ・シェイド・リナはカインをじい、と睨んだ。
「な、何故俺なんだ??」カインは汗をたらす。

「「「お前があんなオカマに目をつけられるからだ!!!」」」3人は同時に叫んだ。

「うあっ・・(汗)・・ああ、そうだよ、運命のガイア暦165X年・・あの時俺とアランとリュウでランスの山道に行ったことが全ての根源・・」
「でも、将軍はどこも悪くないですよ!」カインの隣で聞いていた部下のアランが言った。
「もぐもぐ・・・おかわり〜」横で飯に夢中なリュウ・・・。
「・・おいリュウ。お前いつまで食うつもりだ!?」カインはリュウの隣に置いてある皿を見てみる。13皿・・・。
「・・・底なしの胃袋とはまさにこのことだろうな(汗」ユウはリュウがもぐもぐと食べる様子を見る。
「しかし、部下でついてきたのはカインの部下だけだったな」とシェイド。
「カスミもアヤメも、熱で倒れてしまってね・・」リナはそう言った。
「熱?・・ああ、何だか最近流行していますよね。城の兵士のほとんどが寝込んでしまっていますし・・」アランは顎に手を当てる。
「そいつも、あのオカマの仕業だ・・」カインは机に突っ伏す。
「ええ?『トレビアン・G・マンダム』の??」驚くリュウ。
「南クロス城の王様は何をやっているわけ?あの王子を叱らないと・・・」
「とりあえず、その城へ行ってみるとしよう。あのオカマのせいで街がこの有様だしな・・・」シェイドは手に持っているコーヒーを飲む。
と、そこへ。

ガタッ・・・

酒場にいかにもガラの悪そうな奴が・・。前のデカい奴を先頭に、子分と思われる奴が4人入ってきた。
そいつらはまっすぐ将軍達にやってきた。
「お前らが、聖ヘレンズの四大将軍か?」
「そのとおり」カインは答える。
「お前らを倒しに来た」
酒場の客はざわざわ、と騒ぐ。
「おいおい・・俺らなんか恨まれるようなことをしたか?」ユウはワケが分からん、という顔をする。
「とにかくこの酒場で暴れるとマズいぞ。外に出ないのか?」シェイドは男に聞く。
「出ない。ここでやる」
この酒場の店主、マリンが客を窓や扉から逃がしている。
「マリンさん、弁償代はこちらから払います」アランとリュウは戦闘態勢に入る。

「やっちまえ!!」男が子分に命令すると3人の子分がカイン・ユウ・リナに襲い掛かってきた。最後に残った1人の子分がアランとリュウを襲う。

子分が、アランとリュウに目掛けて大剣を一気に振り下ろす。
「うわっ!!」リュウは紙一重でかわしたが、床にずっこける。
「この野郎!」アランは一太刀、子分に浴びせる。

「おわっ?!」ユウに襲い掛かってきた子分はやけに素早い。
「テメ!素早さで対等しようとしてんのか?!上等だぜ!!」ユウは剣を抜き、眼にも留まらぬスピードで応戦する。

次にリナの相手はとても冷静である。
「ふふ、どちらが先に取り乱すか、勝負よ!」戦場が酒場となっていることをすっかり忘れているリナ・・(笑)

そしてカインの相手は。
「な、何だコイツ!?」カインの相手は嫌に打たれ強い。
カインは回りこんで相手の背を蹴ってみるが、よろめこうともしない。
「これは・・・・レア敵!!(違」カインは全力の力を出して戦う。

最後に残ったのはシェイドである。
「それで・・・?サシ(1対1)でやるつもりなのか?」シェイドは鞘から剣を引き抜く。
「そのとおりだ!」一番体つきのいい親分は、長い筒状の物を出す。
「?何だそれは」
「これは「鉄砲」というものだ。まだ世界に広がっていない、新品だ!」そして親分は鉄砲を構える。
「・・・っ!?」シェイドは寒気を感じたので下にしゃがむ。その直後。

ドンッ!!

物凄い音がしたと思ったら、シェイドがいた所の壁にバスッ、と穴が空いた。
「くそっ!外したら弾を入れるのに時間がかかるんだぞ!!」親分は悔しそうに吠える。
「・・・知るか(汗」
続いてシェイドの番である。
「聖剣ドラゴンズ・アイの力を見よ!」
「ふん!」親分はまた変なものを取り出し、シェイドの一太刀を受け止める。
「ハッハッハ!これは東洋の武器、「ヌンチャク」と言われるものだ!!」
「・・・また変な武器を・・・」
「このヌンチャクの力は恐ろしいぞ!」高笑いでヌンチャクを振り回すが・・

ゴツッ!

「痛たあああああああ」親分は自分で回したヌンチャクで弁慶の泣き所(むこうずね)を打つ・・(笑)
「・・・・自業自得だ阿呆(飽きれる」
そして、シェイドは剣を鞘に収める。
「な、なんのつもりだああ?」親分は未だにむこうずねを押さえている。
「肉弾戦のほうが最も単純で良い」シェイドは親分に殴りかかる。
「うわあああああ」

バキイ・・・・

見事、親分の顔を殴り、親分は宙を舞った。
「コイツ・・・子分の力で今まで持っていたグループじゃないのか?(汗」


一方、アラン・リュウの組は。
「コ、コイツ・・・」
「強いのは強いんだけど・・・」

「「なんかスゴく疲れているように見えるのは俺たちだけか?!(汗」」

子分は大剣を杖にしてヒーヒーと息を切らしている。
「とにかく・・叩くなら今だ!!」
「行くぞ!紅蓮!!!」
2人は子分に目掛けて紅蓮を発動する。
「あちゃああああ」のた打ち回る子分。
「はあ・・やっと倒せた」リュウは床に座り込む。
「よく見るとコイツ、ガリガリだぞ?!どおりで体力が無いわけだ・・・」

ユウは。
「流石にずっと走り回っていると疲れてくるぜ・・」息を切らしながらやっとそのセリフを言う。
「ルカが行くダニ!」ルカが子分に爪で斬りつける。
「・・・・あらら!!?」ユウは予想外の結果に驚く。

ピクピク・・・

子分はルカの姿を見た瞬間、泡を吹いて倒れてしまった。
「コイツ・・・・猫恐怖症だったのか(汗」
「だったら初めからルカが行けば良かったダニね」
「・・俺の愛と愛と愛では勝てなかったのか・・・」
「勝てるはずが無いダニ」ルカは冷たく言い放つ。
「ぐはっ!!!」

リナは?
「長期戦はこりごりだわ・・もう酒場がどうなろうといいわ!光のつば・・・」リナは剣を構えるが・・
「や、やめてくれえええええ」
子分が土下座をして降参した。
「初めからそうすれば良かったのよ(まさかあんなハッタリにだまされるとは・・)」リナも悪い人だ・・(笑)

最後にカイン。
カインは何度も蹴ったり斬りつけたりしているが全く倒れようともしない。
「何なんだコイツ・・・ん!?」
よく見てみると相手の靴の裏からクイが伸び、床に刺さっているではないか!
「こんなものでよくバランスを取っていたな・・(汗)だがこれまでだ!天空昇ぉお!!」
天空昇は下から上に行く技なのでクイは見事に抜け、相手は飛んでいった。
「ふう・・・。何とか片付いた。みんな無事か〜?」

「「「「「あ〜〜〜〜〜〜疲れた〜〜〜〜〜〜」」」」」
「うおっ・・・(汗」
カイン以外、全員椅子にドカッ、と座る。
「どいつもこいつも馬鹿ばかり・・飽きれてしまうわ」リナはため息をつく。
「おいオッサン。アンタらの動機は何だ?」ユウはシェイドに殴り倒された親分を蹴り起こす。
「や、雇われたんだ・・・」
「誰に?」
「確か・・・トレ・・ぐはっ」親分が『トレ』と言った瞬間に蹴り飛ばしたカイン。
「カ、カイン将軍!?」アランは驚く。

カインは拳をふるわせる。
「あいつか・・・今度こそ許さないぞ、トレビアン!!」
「「「「「何?!」」」」」カイン以外全員驚いた。
「『トレ』だけで気づくとは・・流石だな」シェイドは苦笑いで言う。
「それだけ勘が良くないと生き残れないのでね・・・」カインも苦笑いで答えた。
「では、南クロス城に向かおうかしら」リナはマリンに弁償代を払う。
「アラン、リュウ。・・・気をつけろよ・・(汗」
「「はい・・・・」」



――――南クロス城にて。

王室に、4人の将軍と将軍の部下が2人来ていた。
「ブレイド王3世からのお言葉です。貴方の国の王子が聖ヘレンズで迷惑しているとのことで・・・」カインはそこまで一気に話す。
そして王は。
「うちの子が?それは迷惑だったな。オカマになろうがずっと可愛がってきたが・・・」

―――――――この王、親バカだあああああ

6人の思想は見事にシンクロ。
「失礼ですが王、今後彼にはちゃんとした男になってもらうように・・・」ユウも話す。
「うむ・・・」王が頷いたその時。

「ひっ・・」突然カインがふるえだす。
「!どうした?」シェイドが小さな声で聞く。
「さ、寒気が・・・は、早くここから・・」
それと同時に何やら足音が聞こえてきた。

「あららん!フリーダム・ゴッデース!!」

トレビアンが現れたのである。
「カインちゃん!いつここに来てたの〜〜?」トレビアンはカインの下へ走り出す。
「た、助けてくれシェイド!」カインはシェイドの後ろへ回る。
「王!このように貴方の国の王子はカイン将軍に夢中です!止めてください!!」アランは王に向かって叫ぶ。
「やめないかトレビアン!」
「何で?!さっきあたしの話を聞いてうんうんと嬉しそうに頷いていたじゃない!」

「「え゛っ・・・・・」」
カインとシェイドは固まる。
「うっ・・そうだな・・・」王は何も言い返せないようだ。
「お、王!!!!(泣」カインは涙を堪(こら)えながらシェイドにしがみつく。
「やはりカインがここに来たのはマズかったな・・(汗」シェイドはカインを背に隠す。
「・・・(親バカ・・・)・・・・」リナは無言である。
「と、とにかくトレビアン!カイン将軍に手を出すのは止めてもらおう!」ユウはトレビアンに叫ぶ。
「あらら?!あんた達、あの5人(酒場に突如現れた馬鹿親分とその子分)に倒されたんじゃなかったの?!」
「すごーく迷惑したんですよね・・」リナは苦笑いを浮かべる。
「なら今度はあたしと戦いなさい!それで全員に勝ったらカインちゃんをGETよ!」

「ふ、ふざけるな!」カインはガタガタ震えている。
「この国の王子であろうと、近づけば即殴る・・」シェイドは聖剣を鞘ごと腰から引き抜く。
そしてシェイドの前にアランとリュウが構える。
「無駄無駄!今度のオカマ波動砲はパワーアップしたのよ!」
「何ぃ!?」

オカマ波動砲とは、食らうと丸一日動けなくなる、ある意味恐ろしい(笑)技である。
「お、面白いじゃないか!」ユウは冷や汗をたらしながら言う。
「待て待てトレビアン!ヴェイクはどうした?!この前話していただろう?!」そんなことを聞く王。
「ヴェイクちゃんは魔王よ!?魔王城なんて行く前に死んでしまうわ!」

「聖ヘレンズにも来るな!!」叫ぶカイン。
「手本になってもらうわ!標的はユウ・スティン!!」
トレビアンは今度は手をパン、と合わした。そして。

「行(ゆ)け!『フリーダム・ゴッデース魔弾』!!!」

「何じゃそりゃああ!!?」ユウは紙一重で避ける。するとユウの後ろにメイドが!
「きゃあ!」

ドガーーン

「・・・ふにゃあ」メイドはぶっ倒れた。
「ええ??・・これってただの『波動砲』と全く同じじゃないか!」アランは倒れるメイドを見てそう言う。
「あー、可哀相・・・」リュウも言った。
「NONO!『フリーダム・ゴッデース魔弾』は1回気絶し、さらに2日間全く動かなくなるのよ!」
「どーゆー技なのだ(汗」苦笑するシェイド。
「しかもこの前の『オカマ波動砲』とあまり変わらないのに名前が大きく変化しているとは・・」そしてリナが付け加えた。
「もういっちょ食らいなさい!」
再びトレビアンは『フリーダム・ゴッデース魔弾』(笑)を放つ・・・標的はリュウ!
「うわあ!」魔弾は簡単に避けられるものではない。見事腹に命中する。
「リュウ!大丈夫か?!」アランはぶっ飛ばされたリュウのもとに駆け寄る。
「・・・きゅう」リュウは目を回して気絶・・・。
「カイン・・・絶っっ対あのオカマに姿を見せるなよ・・・」シェイドは自分の背中で震えているカインに囁く。
「死んでも見せるものかっ!」
「イヤそれは無理だが・・・(汗」

「っていうか王!何故止めないんですか!!」リナはさっきからぼー、と観戦している王に叫ぶ。
「というより止められないのだ・・口喧嘩しても必ずトレビアンが勝つ・・・」

―――――この王、信じられないほど親バカああああああ

気絶したリュウを除き、5人の思想はまたシンクロ。
「と、とにかく、どんなことをしてもいいからトレビアンを止めてくれ(願」と王。
「あたしはそう簡単に止まらないわよ〜!フリーダムゴッデ・・いて、舌噛んだああああああ!!(またか・・」魔弾を放とうとして舌を噛み、のた打ち回るトレビアン・・。
「というより技名が長すぎだ(汗」ユウはそう言ってトレビアンに殴りかかる。
「気絶させておくぜ!」
「ふん!フリゴデ弾!」なんと、トレビアンは技名を短縮して魔弾を放ったのである(汗)
「おわあ!?」ユウは流石に避けられず、ぶっ飛ばされてアランも巻き添えを食ってしまった。
「ユウ!アラン!大丈夫?」リナは駆け寄るが・・。
「「・・・・ばたんきゅう」」2人とも気絶。
「全く・・・ユウは連れの聖魔も連れてこなかったのか??」シェイドは気絶しているユウを見る。
「というか怖ッ!フリゴデ弾・・・」落ち着いたのかやっとカインが喋った。
「あ〜らカインちゃんそこなのね〜」そう言うとトレビアンはフリゴデ弾をシェイドに目掛けてぶっ放してきた。
「そんな阿呆な魔弾を食らってたまるか!」シェイドは後ろのカインも引っ張って避ける。
「・・・行きます!」一気にトレビアンに仕掛けるリナ。
「無駄無駄無駄ァ!このフリゴデ弾が・・・ってあれ!?」トレビアンは手を合わせたが魔弾は出ない。
「ほあたああ!!」
「いや「ほあたああ」ってリナ!?」カインは横から突っ込む。
完全にチャイナ娘になってしまっているリナは剣の鞘でトレビアンを殴った。
「・・・・ぴよぴよ」トレビアンの頭の周りにはひよこが踊っている。

――――――――・・・・・

そして生き残った(?)カインとシェイドとリナは息を切らしながらその場に膝を着く。
「ぜー、ぜー・・・」そして最も精神的に疲れたのはカインだった。
「カイン・・お疲れ様(汗」リナは倒れこむカインを見ながら言う。
「本当にショック死できる・・・」カインは完全にヘバってしまった。
「ん?そういえば、何故トレビアンは魔弾を放てなかったんだ?」シェイドは考えてみる。
そこで王がやっと口を開く。
「トレビアンがその技を練習しているのを見ていたが、MPが切れて何度も薬を飲んでいたぞ」

――――――――――――それを先に言ってください、王!!!

3人は吠えた・・・・。
その後、王にみっちり話し、なんとか任務を終わらしてきた。今は聖ヘレンズの王室。
「ご苦労であった・・。それで何故カイン将軍とユウ将軍が気絶しているのだ?(汗」ラーハルト司令はリナとシェイドが背負っている2人を見た。
「実は王子が妙な魔弾を放ちまして・・ユウ将軍はそれを食らって気絶し、カイン将軍はショックのため気絶しました・・」シェイドとリナもかなり疲れているご様子。
「分かった分かった・・しばらく体を休めるがいい」
2人を背負った2人がふらふらと出て行った後・・ラーハルトは冷や汗をかいた。

―――俺が開発した技をあの王子に教えてしまったのがマズかったな・・・・・あの技はまだまだ進化するぞ(汗)

今更真実を話すわけにもいかず、ただ黙るしかなかったラーハルトであった・・・。

彼は月の光と共に 投稿者:孤高のカラス 投稿日:2007/03/26(Mon) 05:28 No.48   
―イージスへの道、某時刻。

「くっ・・・・」
一人の男が、足を引きずりながら歩いている。
森は音も無く静まり返り、まるで全ての生き物が死に絶えたようだった。
「街にさえ・・・つくことが出来れば・・・・」
彼は、自分自身に言う。

月は煌煌と輝き、彼を夜の森にて照らしだす。


―バプテスマの塔。

2人の剣士が対峙していた。
黒い髪を持つ男と、銀に光る髪を持つ男が、剣を構えている。
彼らは間合いを詰めて行き、お互いの切っ先が届く程になった。

そして次の瞬間、黒髪の男は銀髪の背後に移動していた。

「・・・!」
銀髪の男は声にならない声を出す。

「最終奥義・・・【刹那】・・・・」
黒い髪の男はあくまで冷静に言い放つ。

「なっ・・貴様、自爆する気か!?」
銀髪は迫る死への恐怖と彼の行動への驚きから、振り向く。
だが、振り向く前に、その時は訪れた。

「カイン・・・あとは・・頼んだぞ・・・・」
彼は、最後に、彼の -聞こえないはずの- 弟子に呟いた。
そして、次の瞬間には、響き渡る轟音と共に、2人分の血痕が残されいた。

彼の名は、【ジェラルド・ヴァンス】。
かつて最強の将軍と謳われ、仲間の裏切りによって死なれたと思われていた人物である。


―イージスへの道、某時刻。

彼は、歩いていた。
血を流し、何度よろめいても、歩きつづけている。
いつも着用しているはずの鎧は鉛の様に重く、彼を地へと引きずり落とそうとする。

「死ななかっただけでも・・・幸運か・・・・」
彼は誰もいない森で、一人呟く。
「あと少し・・・あと少しだ・・・・」

―ドサッ・・・・

次の瞬間、彼は倒れていた。
当然である。
体は既にボロボロ、体力はとうに限界に達していた。
彼を突き動かしていたのは、すでに気力だけだったのだ。
「ここまで・・・か・・・・・」
彼は誰にでもなく -彼自身でもなく- 言う。
「カ・・・イ・・・・ン・・・」

月は、何事もなかったかのように、煌き続ける。




ドサッ・・・・

「誰っ・・・!?」
青い髪の女性は、振り向いた。
この誰も居ないはずの -魔物すらもいない- 森で物音を聞き取った。
それは幻聴とは思えず、確かな音だった。

「・・・何・・・・?」
彼女は好奇心からか、音のしたほうへと歩を進めていく。

月は彼女を照らし、森は彼女を奥へと誘い込む。

「・・・・・!!」
そこには、一人の男が倒れていた。
黒い髪を持ち、漆黒の鎧を纏い、月の光で輝く剣を携えていた。
ただ、彼には普通とは違う所があった。
体中から出血しているのだ。

「・・・・・。」
彼女は黙ったまま、彼を手当てし始めた。
幸いにも彼女は医者として旅をしていたため、医療を心得ていたのだ。

彼女は手当てをし続け、終わったころには森さらに漆黒に染まっていた。

「ふぅ・・・。終わった・・。」
独り言のように呟く。
「全く・・・この人は一体・・・・。」
普段はこのような疑問をもたない彼女も、持たざるを得なかった。
彼の傷は深く、常人であれば既に死んでいるはずだったのだ。

そして、闇がさらに深くなった時間に、彼は目を覚ました。

「・・・・私を助けてくれたのか?」
「あぁ・・・そうだよ。」
「・・・・・礼を言う・・・。」

そう言って、彼は立ち上がろうとする。
だが、傷は深く、彼はよろめき、立ち上がることが出来なかった。

「ちょっと焦りなさんなって。傷は完全に癒えてないんだよ。」
「・・・・。」

彼は黙り込んだが、数秒後にまた話し出した。

「名は・・何という?」
「リスティ。【リスティ・ホワイト】だよ。そういうあんたは?」
「私は・・ジェラルド・・・【ジェラルド・ヴァンス】だ。」

彼女は、名を聞いて記憶を掘り起こそうとする。
「ヴァンス・・・ねぇ。」
「・・・・なんだ?」
「いや、なんでもないんだよ。」

カイン・ヴァンス。
彼女はその人に会っていた。
だが彼女は、
(苗字が同じなんて、よくあることだろう。)
と思い、気にも止めなかった。


「少し・・・静かな所へ行くか・・・・。」
「どこでもいいけどさ、ちゃんと休みなよ。で、どこだい?」
「カラクム大聖堂にある・・Lavi-en-Roseと呼ばれる場所だ。」
「私も、医者として着いて行くからね。あんたの傷は深いんだから。」
「・・・あぁ・・・。」

そして、数十秒の沈黙のあと、ジェラルドが聞いた。
「この傷は・・・どのくらいで治るか・・分かるか?」
「多分、5日くらいでとりあえず動けるようにはだろうね。」
「・・・・・あぁ・・・・。」

月は煌きを増し、彼らの行く先を見守っていた。

これは、カインが師匠に再会する数日前の話である―

あの人の沸点 投稿者:自由男 投稿日:2006/11/27(Mon) 14:52 No.8   
あの人は優しかった。
だから、私はあんなことが起きるとは思っていなかったのです。

あの人は厳しさの中にも優しさを秘めている人でした。

「どうしたカイン!そんな太刀筋ではとてもじゃないが戦闘にはでれんな!!」
「な、なんの!」
部下に指導している時、あの人はとても厳しかった。
でも、あの人は怒ってはいない。叱っていたのです。
それは、誰一人死んで欲しくないがゆえの厳しさ。
優しいからこその厳しさ。
あの人はそんな人でした。
あの人は料理が好きでした。

私もよくあの人に料理を教えてもらったものです。
「リナか・・・。これからクッキーを焼くのだが、お前も一緒に作るか?」
「は・・・はい。」
エプロンはちょっとアンバランスな気もしましたが・・・。
あの人はそんな人でした。

あの人はレアなものが好きでした。けれど・・・

「きゃあ!」
ガシャン!!
使用人の女性があの人の壺を割ってしまった時です。
あの人が初めに発した言葉は
「怪我はなかったか!?」でした。
「も、申し訳ありません!ヴェイク様が苦労して手に入れられた壺を・・。」
彼女は青ざめた顔をしていました。でも・・・
「いいんだ。」あの人が発したのはその一言だけでした。
「でも・・確かこの壺は南クロス城の王子が作らせた品で、世界に数個とか・・。」
「確かにこの壺は世界に数個だ。でも君は、世界に一人しかいないだろう?」
・・・少しだけ、ほんの少しだけなぜか気に障りましたが・・。
レアなものが好きでも本当に大事なものはわかっている人。
あの人はそういう人でした。
だから・・・あんなことが起きるとは本当に思っていなかったのです。
いえ・・・ある意味そういう人だったからなのかもしれません・・。

「カイン!あそこに置いてあったプリンを食べただろう!?」
すさまじい剣幕で部下の青年にくってかかるあの人。
「すいません!珍しいものだったので・・。」
「あのプリンは私が集めた貴重な食材を入れて作ったのに・・・。」
怒ってました。とても怒っていました。
叱るのではなく本当に怒っていました。
「ゆるさん!!光の・・・」
「くっ・・。あ!ユ、ユウ将軍!いいところに!!」
「お!?なんだなんだ!?」
「翼ぁ!!」
閃光とともに飛んでいく一人の銀髪の青年。
彼を盾にして逃げた青髪の部下。
それを追うあの人。
その日聖へレンズ帝国に未だかつてあったことのない惨劇が起こりました。

悪夢 投稿者:Reinhalt 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:02 No.21   
カイン「疲れた・・・。」
シリア「でも、楽しかったじゃない。」
レイン「・・・・。」
カイン「ラフレシアを倒したほうびに何をもらうかさんざん口論したあげく・・
くじ引きで決める事になり・・・」
ダグラス「そこのシェイドとかいう将軍が見事にシリアの
「遊園地のチケット」っていうのをひいて・・・」
リナ「3人分余計に手配してしまったから・・・」
シェイド「わたしたちにも行けと・・・」
カイン「行ったらジェットコースターの乗らされる事25回、
お化け屋敷に行かされる事22回、メリーゴーランドに乗らされること13回・・・。」
リナ「ううっ、死ぬかと思ったわ。」
シェイド「あれしきで何を・・・。」
リナ「(違うわよ・・・シェイドがメリーゴーランドに乗って凄く
喜んでいた記憶はあるからよ・・・)・・・うえっ。」
カイン「乗り物酔いか?」
レイン「シリア、おまえ精神的には凄いタフなんだな。」
シリア「普通よ☆」
カイン「やっぱり化け物だな・・・。」
シリア「なんか言った!!?」
カイン「・・・いえ・・・・。」
ダグラス「んっ、あのユウとか言う将軍は?」
シェイド「そういえばさっきからみてないな。」
リナ「ユウは今、個室で寝てるわ。あれだけ苦手なお化け屋敷に
22回も生かされたんだもの。無理も無いわ。」
カイン「まぁ、静かで良いじゃないか。」
シェイド「でも、先ほどまでの活気は何処にいったんだ?あれだけ
さわさわしていたのに今は、波の音しか聞こえないな。」
ガチャン。隣の個室の扉が開いて、ユウが現われた。
ルカ「ゆうしゃん大丈夫ダニか?」
ユウ「おー・・・・・・・・す・・・。」
いつもの元気が無い。
カイン「大丈夫じゃないみたいだな。」
ユウ「ああ。」
リナ「いつも寝たら8時間は起きてこないユウがたった2時間で起きるなんて・・・
海でも凍るかしら?」
ユウ「いやぁーーー、急に静かになっちまって寝ていられなくて・・・。」
カイン「つまり、恐くて一人じゃ寝てられないと・・。」
シリア「ん〜・・、それにしても静かねー。幽霊船だったりして。」
ユウ「お、おいおい言っていい冗談といっちゃいけねー冗談があるぜ。」
リナ「言っていい冗談じゃない。」
シェイド「大体、真に受ける方がどうかしている。」
ユウ「おいおい、ひどいなーみんなで。」
ルカ「それにしても古そうな船ダニねー。行きはもっと豪華だったダニ。」
シリア「ここに船の説明が書いてあるみたいだけど文字がよめないわ。」
ルカ「ちょっと、見せてくれダニ。・・・これは昔の新聞ダニ・・・・・!?」
ユウ「ど、どうかしたのかルカ?」
ルカ「旧シルフド語ダニ。」
シェイド「なんだって!!??」
レイン「それがどうかしたのか?」
ルカ「旧シルフド語は今から約1200年前にしゃべる事を禁じられた言語ダニ。」
シェイド「危険な呪文が簡単に唱えられるから使用を禁止されたんだ。
もし、喋ったら全財産没収、又は即死刑だ。」
ルカ「でも、今では旧シルフド語を知っているのは100万人に一人ぐらいダニ。」
シリア「あのー・・・ぜんっっぜん話が見えてこないんですけど・・・」
シェイド「つまりだ、この古そうな木造の船と旧シルフド語がかかれている
ことから推理してこの船は少なくとも1200年前に作られたってことだ。
で、ルカなんて書いてある?」
ルカ「う〜〜ん、全部は汚くて読めないダニ・・・・・・・。」
読み出したと同時にルかの顔から血の気が引いていった。
ユウ「お、おいルカ、ど、どうした!?」
ルカ「古歴○○○○年、つまり今から2000年以上も昔ダニ・・・
エスレプレス号は460人の乗客と80人の乗組員を乗せて・・・・
○○港を出発してそのまま帰らなかった。しかし、この船はたびたびあっちこっちの
港に現われていて人が間違えてのってしまった場合生きて帰ってきたことは未だに無い。
カイン「幽霊船だな。」
シェイド「ああ・・。」
ユウ「お、おいちょっと・・・冷静にそういう事言うのやめよ・・・」
キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
何処からとも無く女の悲鳴が・・しかし、その悲鳴の主の心は笑っているのが感じ取れた。
レイン「決定的だな。」
ユウ「ウオオオオオオオオ!!サ・・イ・・ア・・クだあぁぁぁぁぁぁ!!」
カイン「で、どうする・・救助を求めるにしても方法が無いぞ。」
リナ「シェイド、あなたテレポートが使えたわよね。」
シェイド「だめだ、結界が張ってある。」
カイン「とりあえずどうする?」
シェイド「舵を操作できないかしらべに・・・」
カイン「ユウのことだ。」
ユウ「悪霊退散!!悪霊退散!!テヤァァァァ!!」
シェイド「・・・・リナ・・・。」
リナ「・・・・はい・・。」
ドカ・バキ・ボキ・ズドーン
ユウ「ぐはっ・・・。」
見事にリナの右フック・左フック・アッパー・フラッシングストレートがきまった。
バタン
リナ「まぁ、これで2日ぐらいはおとなしくしているでしょう。
もっとも動けないでしょうが。」
カイン「ふう、これでゆっくりどうやって幽霊船から脱出するか考えられるな。」
ユウ「ピク・・・ウワアアアア!!」
ルカ「アレだけの攻撃を受けていながら復活したダニ・・・。」
シェイド「2日はおとなしくしてるんじゃなかったのか・・・リナ?」
リナ「・・・・・・・先に進みましょう・・・。」
ユウ「ウオオオオオオオ!!ま、まあてええててく、くれぇぇーーーーー!!。」
数十分後・・・・・・・・
シリア「キャァァァァァァァァァァァ!!」
カイン「ど、どうした?」
シリア「ゴ、ゴキブリが。こ、こないでぇぇぇーー!!」
ダグラス「お、落ち着けシリア!」
カイン「なんだ、ただのゴキブリじゃないか。驚かすな。
最も一番驚いたのはそこの人みたいだけどな。」
見るとユウが倒れている。顔がぴくぴくと痙攣している。更に口から泡を吹いている。
シェイド「そこの情けない男を正気に戻してやれ!」
カイン「はい。リナ、ちょっと手伝ってく、お、おい、リナ!」
レイン「もしもーし・・・リナさん気絶してるぞ。どちらかと言うと石化してる。」
シェイド&カイン「は?」
一同は仕方なくそこでやすむ事にした。
2時間後・・・
リナ「・・・・ん・・・・」
シェイド「起きたか。」
ユウ「・・・うっ・・・うう」
シェイド「おまえはもう少し寝ていろ!」
カイン「リナ、おまえゴキブリが苦手だったのか・・・。」
リナ「(ギクッ)な、なんで!?」
カイン「おもいっきり気絶してたぞ・・・・ゴキブリって聞いて。」
リナ「・・・・出発しましょう・・・。」
一同「(図星だな)」
数時間後・・・
ユウ「ふう、あれからなんともなくだんだん落ち着いてきたぜ。なぁ、カイン。」
と軽くカインの方をたたいた。
「ゴトン」と何か重たい物が落ちた音がした。
ユウ「?」
見ると床にはカインの頭が落ちていた・・・・・。
ユウ「カ、カイン!?」
皆の顔が真っ青になったが・・・・
シェイド「よく見ろ!それはカインに似ている剣士の亡霊の頭だ!」
そう、シェイドだけは冷静だった。
ユウ「ウ、ウワ、うわぁあああああああああああ!!」
カイン「お、落ち着け!ユウ!」
と本物のカインがユウをなだめようとしたが・・・
しかしこうなってはユウは手がつけられない・・・。
カイン「この、亡霊が!光の翼!光の翼!」
と、本物めがけて技を発動しようとするがあまりに慌てたのか技は不発に終っている。
カイン「ま、待てユウ・・俺は本物だー!!!」
シェイド「リナ!ユウを取り押さえろ!
こんなぼろ船の中で光の翼を使ったらみんなお陀仏だ!」
リナ「はい!」
シリア「きゃああああああああああああ!!ゴッ、ゴキブリーーーー!!!」
リナ「えっ!?」 ピシ
リナとシリア石化と発狂のため行動不能・・・
シェイド「カイン!」
カイン「はい!」
ダグラス「おおっ!こんな所に太陽の金貨が!!」
カイン「何!それは俺がもらう!勝負だ!」
ダグラスとカインレア物をめぐって戦闘中のため行動不能
シェイド「こいつら〜。仕方がない。俺が止めるしかないようだんば。ユウ覚悟!」
レイン「あんさんやりますな〜。
じゃ、こっちの番やでー・・「シリアと知り合(シリア)い?」
???「おおっ、これは一本とられましたなー。」
ひゅうううううううううう〜〜〜〜・・・カキン。
シェイド凍ったため行動不能・・レイン勝負中なので行動不能。
ユウ「紅蓮!光の翼!天空昇!」
シリア「イヤアアアアアアアアアア!!」
ダグラス「誰が渡すかよ!おらあああ!」
カイン「それは必ず俺がもらう!てやあああああああ!!」
リナ「・・・・・・。」
シェイド「・・・・・・。」
その次の日彼らは偶然漁師に発見され奇跡的に一命を取り留めた。
(全員鎧や服などは捨てていた)
王様「で、何があったのか報告してくれ。」
カイン「う、ず、頭痛が・・・思い出せません・・・。」
リナ「・・・・・・・・・・忘れました・・・。」
ユウ「・・・・・脳が思い出すなと言っています・・。」
シェイド「・・・・・思い出したくありません・・・。」
王様「はぁ〜、もうよい、その事はもう聞かん。
ところで帰ってきた所で悪いが任務がある。」
一同「どんな任務でしょう。」
王様「おっほん、この前行った遊園地の港に現われる幽霊船の調・・・、お、
おい何処に行く!?」
王様が二個目の「ゆ」を言った瞬間に全員が立ち、出口にむかって歩き出した。
ユウ「は、腹が・・・。」
カイン「ちょっと急用を・・・。」
リナ「休暇を。」
シェイド「えーと、この前のレポートを・・・・。」
王様「あ、おい。」
しかし、この前から幽霊船は現れなくなったそうです・・・・・

カインの楽しい休日 投稿者:結城キョウスケ 投稿日:2010/07/21(Wed) 22:31 No.1176   
「ふあぁぁぁぁ、よく寝たじゃあ行くか」

これは、カイン・ヴァンスの休日の話
この日カインは、休日をもらい釣り堀に来ていた。
「ここで、珍魚レギョンを釣るぞ!」
2時間後………
「……さてと次へ行こう」
結果は………空魚しか釣れなかったらしい
次にカインは、図書館へ行き
レアもの図鑑をずっと読んでいた。
「おぉ、これもいいな、いやこれも捨てがたい」
5時間後………。
「申し訳ございませんが、そろそろ閉館時間ですので
 お引き取りいただけますか」
図書館の館長が泣きながら言っていたそうだ………。
「そうか、では行くとしよう」
最後にカインは、酒場へ行き
レア酒パニュール・ピニョールを飲みながら考えていた。
「今日は、この酒以外何もレア物が手に入らなかったな
 ………でも、まぁ次があるさ」
そう思いながら
レア酒パニュール・ピニョールを飲みきり
帰宅した。

Re: カインの楽しい休日 - 結城キョウスケ 2010/07/21(Wed) 22:33 No.1177
どーも結城キョウスケです。
始めて、小説に投稿してみました。
FREEJIAファンの皆様取り敢えず
下手くそですが、読んでください。


Iris's village 〜A piece world〜 投稿者:コメット 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:14 No.42   
ランスの村、それはガイア大陸4大大陸の一つ、ヴィッツア大陸にある聖ヘレンズ城より少し西に位置した小さな村である。途中の山道では空魚が出現するが、それらを倒さなければランスの村にはたどり着けない。淋しい村ではあるが、暖かい人たちが住んでいる。
ある暖かい日差しが差す朝、一人の黄色いドレスを着た女性が窓から顔を出した。蒼い髪が風で宙に揺らめく。家の前では5〜6歳くらいの男の子が木の裏に隠れていた。その男の子は自分を見ている女性に気づくと、人差し指を唇にあてた。「静かにして」というメッセージだ。その女性はそっと微笑んだ。かくれんぼでもしているのかな、と思った。
蒼い空を仰いだ。雲一つ見えない。何も悪い事が起こる予感はない。そしてその女性は窓を開けたまま、まだ寝ている弟を起こしに行った。弟の寝顔を覗きこむと、少し笑っていた。あと1分寝かせてあげよう。蒼髪の女性は朝食を食卓に並べ始めた。

昼、蒼髪の女性はランスの村から少し北に位置する魔獣の森に向かった。弟はもう止める事も諦めた。それに、彼女には回復魔法と武器の杖がある。これまでに何回も行った事があるが、傷一つ見せずに弟の元へ無事に帰っている。だがそれは彼女が強いからではなく、運のおかげか敵にあまり遭遇しないからである。
彼女はこの森で聖魔を育てている。逆に言えば魔獣を育てているとも言う。彼女が育てているのはアリードの卵といい、魔獣か聖魔のどちらかが生まれてくるという曰くつきの卵だ。彼女はこの卵から聖魔が生まれてくるように、こうしてこまめに卵を隠してある魔獣の森に来て、この卵に愛を注いできた。何故隠しているのかというと、村の人に魔獣が生まれてくるかもしれないからと言われるに違いないからだ。だが、彼女はこの卵からは聖魔が生まれてくる事を信じていた。
彼女は聖魔の森に行きたがっている。しかし、その森に行くにはヴィッツア大陸をほとんど横断しなければならない。彼女の足ではかなり厳しかった。そしてある日、このアリードの卵を見つけたという事だ。聖魔の森へ行くのは厳しいが、この卵で聖魔が生まれてくればどんなにうれしいだろうか。だから今も彼女はこの卵に愛を注いできたのだ。
いつも通り、森の奥まで入ってきて、卵がある所へ来た。今日も卵は無事だ。少し赤い斑点が見えてきたが、彼女にはこの赤い斑点が何を意味するのかは分からない。ただ抱きかかえて祈り続ける事しかできなかった…。

村へ帰る途中のランスの山道に夕日がかかろうとして、山道にある橋が燃えるように紅(あか)く染まった。この全世界の血の紅い空は、平和を願う蒼髪蒼眼の彼女をちっぽけな存在にし、世界は彼女を嘲(あざわら)うような構図ともとれるのだが、彼女はそんな事は気にしなかった。この時、ただ思った事は自分の蒼を紅く染める夕日が穏やかだな、という事だけだった。
一休みするようにそこにあった岩に座り、夕日を見つめた。この夕日は確かに綺麗ではあったが、やはり嘆きの鐘は止められない。ただ無駄に時が過ぎ、死者が増えるばかりであった。
彼女は一言こう呟いた。それはもう口癖となった言葉…。
訪れるといいな………平和な時代………。

たった一人の友達 前編 投稿者:リンカ 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:05 No.26   
ここ、魔獣の森で一人の女が釣りをしていた。
DCCのリーダーディアである。
ここにある大きな湖は、ディアが見つけ出した場所である。
この湖は凄い、珍魚レギョンでさえも、50匹以上はいっているであろう。
ディアはここで、1時間以上釣りをしている。

???「やっぱりね!!ビンゴ!!」
ディアは驚き、そして振り向く。
ディア「ティアナ・・・か・・・。」
ティアナ「よかった、覚えててくれて。」
この女性はディアのただ一人の友達であった。
・・・というよりただ一人の喧嘩(決闘)友達であった。
ディア「忘れるわけ無いね・・・。だって・・・」
ティアナ「あ〜、みなまで言わなくていいから♪」
ディア「う・・・。」
ティアナはディアと喧嘩を30日ほどした。(休憩アリで)
そして、勝ったのはティアナのほうであった。
ディアは4歳年下の彼女に負けたことを悔やんでいる。それに、
ディア「あいかわらず小さいな・・・おっと失言。」
身長はまるで子供、・・・というよりどの点から見てもティアナは子供である。
ディアはそのことも悔やんでいる。
ティアナ「んぁ!?ソレは禁句のハズだよ・・・。」
ディア「♪」
しばらく口喧嘩が続く・・・。

〜口喧嘩すること約10分〜
ディア「で、何でココがわかったんだい?ここは、誰にも教えていないんだけど。」
ティアナ「風が教えてくれたよ。」ディア「・・・うそだね。ここは私たち以外誰もいない、言っても平気さ。」
ティアナ「・・・分かった言うね・・・。あれだよ・・・、幽霊。」
ディア「・・・はぁ〜。また・・・ソレか・・・。」
ティアナは生まれながら幽霊が見える体質なのだそうだ。
ディア「でも、何のようなんだ?」
ティアナはこの言葉を待っていたかのように微笑みだす。
ティアナ「せっかく会ったんだ!!幽霊の友達探しにつきあえぇ!!」
ディア「な!!あたしはヒマじゃ・・・。」
ティアナ「釣りしてたのは何故だぁ!!」
ディアはかなり慌てた!!
なんたってティアナに付きあうと、普通の人間は生きては帰ってこられない。
ティアナ「ヒマなら付きあうことね!!ハイ決定ぃ!!(ズルズル)」
ディア「あああぁぁぁぁぁ・・・!!」
ディアの運命はいかに!!

まっぱの誓い Vol-1 投稿者:Kata-yu 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:16 No.44   
フリージア「今日は休暇を利用してみんなで温泉に来ているんですよ。」

男湯
ユウ「たまにはいいよなー、温泉。シェイドも一緒に入ればよかったのにな。」
カイン「まったくだな。…ってユウ。壁に耳をつけて何やってんだ?」
ユウ「しーっ!女湯の声が聞こえるんだよ。」

女湯
フリージア「わーっ。リナさんていつも鎧着てるから分からないけど、胸大きいんですねー!うらやましいなー。」
リナ「そんなことないですよ。フリージアさんだってスタイル抜群じゃないですか。」

男湯
ユウ「おお、たまんねえ…。」

女湯
フリージア「触らせてもらったら私も大きくなるかなぁ。エイッ!」
リナ「あん!変なトコ触らないで下さい!」

男湯
ユウ「あ、鼻血が…。」

女湯
フリージア「どうやったら、リナさんみたいに大人の女性の魅力が出せるのかなぁ?」
リナ「うふ。今度ゆっくり教えてあげますよ。」

男湯
ユウ「ああ、俺にも、手とり足とりまったりしっとりじっとりねっとり教えてもらいてぇ〜。」
カイン「ユウ!いい歳してバカなことしてんじゃない!」
ユウ「年頃だからこそ、こういうことがしてーんだろ〜。」

女湯
リナ「あら、フリージアさん、珍しい所にホクロがあるんですね?」
フリージア「やん。くすぐったいー!」

男湯
カイン「…珍しい…所にホクロ……レア…。(見たいっ!!!!!!!!)」
ヴェイク「ふっ。みっともない連中だ。」
カイン「ヴェイク!」
ユウ「ヴェイク…っていつ生えたんだぁ?」
ヴェイク「ふん。人に邪(よこし)まな心がある所なら、私はどこにでも現れる。」
ユウ「手ぬぐいいっちょで、何て誇らしげなんだ…。」

女湯
ダーク「おーい。頼まれてた酒を持ってきたぞー。」
リナ「ありがとう。湯船で呑むお酒は最高なのよね。」

男湯
ユウ「なんでダークのおっさんは女湯に平気で入れるんだぁ?」

女湯
フリージア「へえー。お酒かぁ…ってリナさん確かお酒弱いんじゃ!?」
リナ「少しくらいなら平気ですよ。おいしい。エヘッ。」
ダーク「むむ?度数80…。間違えて持ってきたようじゃな。」
フリージア「ああ、リナさんが沈んでくー!誰かー!!」

男湯
カイン「くっ。リナを助けないと!」
ユウ「カイン。ナイス口実っ!」
ヴェイク「うむ。私が倒す前に死なれては困るからな。」
カイン「…っ!このメンバーでいると、かつてない親近感を覚えるのは何故だっ!?」
ユウ「あと一人いれば完璧だな。」
ヴェイク「言ってる意味がよくわからんが、とにかく行くぞ!」

女湯
カイン・ユウ・ヴェイク・シェイド「大丈夫かーっ!!」
フリージア「キャーっっっ!!!」
ユウ「って、何でシェイドまでいるんだぁ?」
ダーク「おお、シェイド。さっきから外で壁に耳をつけて何をしとったんだ?」
シェイド「うっ。私は風呂場で事故が起きないように見張りをだな…。」
カイン・ユウ・ヴェイク「ぅおい!!!」
男連中「そもそもお前がだなぁ…わいわいがやがや。」
フリージア「早く出てけーっ!!男って、男ってぇ…。」
リナ「(ぶくぶくぶく……。)」

終わり

カインがハンターになった理由 投稿者:氷川シフォン 投稿日:2008/04/09(Wed) 18:20 No.66   
カインがハンターになった理由

エイガー「アベル、本気でハンターになるのか?」
アベル「ああ、魔将軍を倒すには極限まで自分を鍛える必要がある。そのためにはハンターとして不可能と言われる依頼にも挑戦し、経験を積むのが一番だ。」
エイガー「なるほどな。しかし何でレモリア大陸なんだ?」
アベル「ヴィッツァ大陸は帝国側、ヘルズ・キッチンに近いクロス大陸は魔王側に目を付けられる可能性が高い。今は、オレの存在を隠しておきたいんだ。」
エイガー「わかった。カトレアもそれでいいな。」
カトレア「私はお二人について行きます。」



一ヵ月後………
アベル「よし、これでこの依頼も完了だ。これでハンターランクB。ここまでは順調だったな。」
エイガー「気を抜くなよ。ここから依頼の難易度がぐっと上がるからな。」
アベル「ああ………分かっている。」
カトレア「では次の依頼といきましょう。次はジルドゥクの森で………」
アベル「ちょっと待て、ジルドゥクの森か?」
カトレア「はい………何か不都合なことでもありますか?」
アベル「大ありだ。ジルドゥクの森にはレア敵もレアアイテムを持っている魔物もいないぞ。」
エイガー「………さあ、行こうかカトレア。」
カトレア「は、はい………」
アベル「おい、待て………」
エイガー「レア敵やレアアイテムが依頼と何の関係があるんだ!」
アベル「お前こそオレたちはなぜわざわざレア敵やレア物の充実しているレモリア大陸でハンターをやっていると思ってるんだ!?」
エイガー「こっちのセリフだ!ハンターになって自分を鍛えるという話はどこへ行ったんだ!?」
アベル「それはそれとしてレア物集めればいいじゃないか。レア物欲しいだろ?」
エイガー「ほしくない!ついでにレア敵は大して強くもないのに変な特殊攻撃するから会いたくもない!ミステリーサークルとか使われたらMP回復アイテムの無駄だ。」
アベル「カトレアのビビンバステーキがあるから回復には不自由しないだろう。レアな物は見逃してはいけないんだ!」

カトレア「二人の意見がこうも食い違っていては困りました…ジルドゥクの森には聖剣B.Tもあるという噂なのですが…」
アベル「エイガー、カトレア、何をしている!ジルドゥクの森へ向かうぞ!超一級レア物がオレたちを待っている。」
(タッタッタ…)

エイガー「………単純すぎる………あれではレア物に釣られて敵に回りかねんな。」
カトレア「え…まさか…アベルに限って…」



こうして、オリオンの翼の三人は、バンガーズとジドゥルクの森で鉢合わせることになりました。

Re: カインがハンターになった理由 - コスモス 2012/01/03(Tue) 12:44 No.1614
とても面白かったです エイガーの最後のセリフは
回帰の果てにでも言ってましたね
でもレモリア大陸はB.Tがあるということで
魔王側も帝国側もいるんですよねσ(^_^;)
なんだかカインの身を隠す場所がないようです


[瞬殺の流星] 彼らの涙ぐましい努力 投稿者:ハルマキ 投稿日:2007/06/30(Sat) 01:11 No.53   
ヴィッツア大陸のとある場所
そこに3人の山賊のような格好をした男達がたむろしていた。
ここまで特徴を言ったらわかる人も多いだろう。
そう、この3人は[瞬殺の流星]の
バズー、リッチー、ジードである。
「おい、やったぜ!ついに買えたぞ!!」
バズーは一人テンションが上がっている。
それもそのはず、彼はおそらく人生で一番高い買い物をしたのだ。
彼が買った物・・それは巨機兵と呼ばれる人形である。
巨機兵とは基本的に主人を守るための人形と言っても
いいだろう。
これを作ったのはライドネルの村に住む
フレイヤー博士である。
バズー達はこのフレイヤー博士から巨機兵を買ったのだ。
10万ペインという驚くべき大金で。
「で・・巨機兵は手に入れたが、
 これからどうするんだバズー?」
3人の中で冷静なリッチーが尋ねた。
「もちろん、3年前我々に恥をかかせてくれた
 カイン・ヴァンスを倒しに行くに決まっているだろ!」
言うまでもないが、カイン・ヴァンスというのは
聖ヘレンズ国の将軍である。
[瞬殺の流星]の3人は3年前、当時まだ兵士だった
カインの放った、奥義[光の翼]によって
名前のとおり瞬殺された経験を持つ。
今回、バズーが巨機兵を買ったのは
カインにリベンジを果たすためである。
「でも、カイン・ヴァンスはどこにいるんだ?」
3人の中で影の薄いジードが尋ねた。
「俺の予感では・・・イージスの町のような気がする。
 よーし!早速行くぞリッチー、ジード!
 そして、ペペロン5号!!」
バズーはペペロン5号と名付けられた巨機兵と共に
イージスの町へ出発していった。
後からリッチーとジードがついてくる。
しかし、二人は同時にあることが気になっていた。

−なんでペペロン5号なんだ?
 1号〜4号はどこいったんだよ・・−

彼の予感は的中し、カインはイージスの町に現れた。
早速ペペロン5号を起動したが・・・

あえなく破壊・・・

「次だ!次会ったときが貴様らの最期だと思えー!」

そして3人は反省会を行った。
「うーむ、カイン・ヴァンスがあそこまで強いとは・・・」
と、バズー
「こりゃペペロン5号を改良しないとダメかもしれないな・・・」
と、リッチー
「賛成だ」
と、ジード
こうして彼ら3人はペペロン5号に改良を施した。
新たに加わったのは[灼熱パンチ]と呼ばれる技。
MP消費は激しいが、その分強力である。
「よーし!完成した!
 名付けて新・ペペロン5号だ!」
また、リッチーとジードは同時に思った。

−6号ってつけろよ・・・−

「で、今度はどこに現れるんだよ。カイン・ヴァンスは」
リッチーが尋ねた。
「ふっふっふ・・・今度はちゃんと情報がある。
 ライドネルの村に向かっているらしいぞ」
「じゃあ、そこへ先回りをして待ってようぜ」
ジードが言った。

そして、3人はライドネルへの道で
カインを待ち伏せしていた。
彼が現れるまで3日かかったが、情報どおりやってきた。
しかし・・・

バズーが弱点をばらしてしまい
新・ペペロン5号あえなく破壊・・・

「次だ!次会ったときが貴様らの最期だと思えー!」

そして3人は反省会を行った。
「今回の失敗は弱点をばらしたお前にある。」
リッチーがバズーをにらみつけながら言った。
「すいません・・・」
バズーはカインの誘導尋問に引っかかった自分が
情けなくて反論できなかった。
「しかし、カイン・ヴァンスの奴
 だんだん強くなってきてるぜ
 ペペロン5号もまた改良しないとやばくないか?」
「そうだな・・・」
こうして3人は再びペペロン5号に改良を施した。
いつの間にやらペペロン5号にはたくさんの装備が
つけられていた。
「よーし!これなら今度こそ
 カイン・ヴァンスに勝てる!」
バズーは自信満々に言った。
「で、今度はどこに現れるんだよ」
リッチーが尋ねた。
「ふっふっふ・・・また情報がある!
 今度はイージスの町だ!」

イージスの町で待ちかまえていた3人の目の前に
カインが現れた。
早速ペペロン5号をけしかけたが、

どこかへ飛んでいってしまい不戦敗・・・

彼らは何週間もの間ペペロン5号探し続けた。
そして1ヶ月後・・・
彼らはとある場所でペペロン5号を発見した。
しかし、ペペロン5号には・・・
「か・・・核がない!!
 おい!やっと発見して!それはないだろ!!」
実は数日前、ペペロン5号の核をカイン達が取っていったのだ。
怒りと悲しみと悔しさにふるえるバズーは
聖ヘレンズ城の方へ向いて

「ちっくしょー!カイン・ヴァンス!!
 次に会ったときが貴様の最期だーーー!!」

と叫んだ。
[瞬殺の流星]とカインとの戦いはまだまだ続く・・・
                        [完]

あとがき
[瞬殺の流星]の見えない努力を書いてみました
きっとカイン達が旅をしている間にも
バズー達はカインを倒すためにあれやこれやと
手を尽くしているんでしょうね(笑)。
かなり長い文になってしまったことをお詫び申し上げます。

ユウ・スティンの荒んだ少年時代 投稿者:ハルマキ 投稿日:2007/07/27(Fri) 07:31 No.54   
ここは聖ヘレンズ城・・・
ヴィッツア大陸を統治するブレイド3世が住まう城である。
今、この城の稽古場には武器がぶつかる音と厳しい声が聞こえてくる。
「なんだその腰は!!
 そんなへっぴり腰じゃ、当たる攻撃も当たらねえぞ!」
「は、はい!」
厳しい声の主はラウル。
この城の上級兵で下級兵士たちを指導している。
彼の実力は当時、聖ヘレンズ国の2大将軍であった
ジェラルド・ヴァンス、ヴェイク・ジェイルとほぼ互角であったが、
彼は将軍の地位に就くことを拒んだ。
自分と同じ目線で兵士を育てたい・・・と思ったからだという。
「ラウル殿!」
練習中にやってきたのは同僚の巡回兵。
「どうした?何かあったのか?」
「はい・・・実はまた彼が・・・」
「あいつがまた何かやらかしたのか?」

聖ヘレンズ城下町

町の中を銀髪の兵士がリンゴをかじりながら歩いている。
その後ろから一匹の子猫もついてくる。
「ユウしゃん・・・。物を盗んじゃいけないダニよ・・
 これで何回目ダニか?」
子猫が喋った!
・・・いや、この子猫は聖魔である。名前はルカといった。
そして、この銀髪の兵士の名前はユウ・スティンといった。
ユウは今し方、町の露店に並んでいたリンゴを店員の目を盗み、
盗んできたのだ。
「いいだろ?別に・・・」
ユウは言った。
「でも、ユウしゃん・・・。
 稽古に戻らなくていいダニか?またラウルしゃんに叱られるダニよ」
「ふん!あいつなんか俺の気持ちを読めねえくせに偉そうに
 兵士を指導してるしさ」
ユウがそう言いながら町の袋小路を曲がったとき・・・
「・・・何をしておるのだユウ?」
現れたのはラウルだった。
ヤッバ・・・と思ってももう遅い。
ユウは城の尋問室に連れていかれた。

「全て聞いたぞ。
 お前が店の品物を盗んだことも・・・稽古をさぼったこともな!」
「・・・・・」
ユウは無言だった。
「お前は不真面目すぎだ!そもそも盗むなんて兵士のやることじゃない!
 兵士というのは、力なき民を守るのであって・・・」
「うるせえ!」
やっとユウが口を開いた。
「なんだと!?私はお前を思って言っているんだ!
 なのに、なんだその口の聞き方は!?」
「俺を思って言っている?はは!そいつはいいや!」
ユウはまるでラウルを馬鹿にするように言った
「だけどな、あんたには俺の気持ちはわかっていない。
 俺が過去に負った深い心の傷をなんにも知っちゃいねえんだ!」
「ユウ!」
ラウルは呼び止めたが、彼は振り向きもせず
尋問室を後にしていった。
「・・・あの馬鹿者が・・・」
彼はそっとつぶやいた。

かつて、ユウの父親は魔王の腹心である
魔将軍からルカを守ってそのまま亡くなった。
それ以来、ユウは心に深い傷を負うようになっていた。
しかし、彼は父の仇を取るため、かつて父が働いていた
聖・ヘレンズ城の兵士になろうと決める。
最初は真面目に稽古をしていたのだが、ある日届いた
兄・ルイの手紙を見て、彼は変わった。

−父さんの仇は俺に任せておけ・・
 だから、お前は好きに暮らすといい−

ルイにとっては弟を思う気持ちで書いたのだろうが、
ユウにとってこの手紙は、やる気を失わせる物でしかなかった
「ったく・・・ラウルの野郎だってルイ兄だって
 みんな俺の気持ちをわかってないぜ・・・
 くそ!」
彼はやり場のない怒りを壁に叩きつけた。
「ユウしゃん・・・」
後ろからルカがユウの様子を見ていた。

数日後、ラウルは魔獣アラーネア討伐の任務を受けた。
彼は兵士を率いて、アラーネアのいるという森に向かった。
当然、ユウも例外なく・・・
ユウは最初からやる気がなく、鎧をつけている以外は
ほぼ丸腰に近かった。
やがて、アラーネアの居場所についた。
アラーネアはラウル達に気づくと、鋭くとがった足で
こちらに襲ってきた。
兵士たちは次々と足に群がり、斬りつけている。
ラウルも隙を見て、弱点である目を攻撃している。
ただ、そんな状況下でもユウは参戦せずに見ていた。
「こいつで終わりだ!天空昇!!」
ラウルの天空昇がアラーネアを突き上げる。
地面に叩きつけられたアラーネアは動かなくなった。
「ふう・・・」
彼は一息つくと、参戦せずに見ているユウの元へ向かった。
「お前、どういうつもりだ!
 我々が戦っている中、戦おうとしない!
 それに剣はどうした!」
「・・・・・・・」
ユウは無言だった。というのも、彼はあるものの
動きをとらえていたからだ。
そのものは、どんどんこちらに迫ってくる。
それは、倒したはずのアラーネアだった。
「ラウル!危ねえ!!」
ユウが叫んだときにはもう遅かった。
ラウルはアラーネアの足で胸部を一突きされ、
その場に崩れ去った。
この瞬間、ユウに怒りがこみあげてくる・・・。
「よくも・・ラウルを・・・」
ラウルの剣を持つと、彼はアラーネアに飛びかかっていった
「燃えな!紅蓮!」
炎を帯びた剣がアラーネアを焼き、今度こそアラーネアは動かなくなった。
「ラウル!」
ユウは倒れたラウルに駆け寄った。
仲間の兵士たちも駆け寄ってくる。
「・・・まさか・・お前が倒すとはな・・・」
「喋るんじゃねえ!今、おくすりを・・・」
ユウはおくすりを取り出そうとしたが、ラウルに止められた。
「無理だ・・・。もう私は助からない・・・・」
「何言ってんだよ!」
ユウの目には、涙がたまっていた。
傷が深いのにもかかわらず、ラウルは彼に語った。
「・・・誰か守りたいという気持ちがあれば・・・・
 それが力となるんだ・・・・。」
「っ!」
「ユウ!私のぶんまで・・・生きて・・・くれ・・・」
それが、彼の最期の言葉だった。
「ラウルーー!!!!」

城に戻り、ユウはラウルの戦死を報告した。
国王ブレイド3世もラーハルト司令、そしてジェラルド、ヴェイクも
このことに驚きを隠せないでいた。
やがて、部屋に戻った彼はただ静かに泣いていた。
ルカも彼の気持ちを察して声をかけずにただその様子を見ていた。
「俺の目の前で、また親しい人が亡くなった。
 俺を守ろうと・・・」
ユウの記憶に、再び目の前で斬りつけられた父の姿が
蘇ってきた。ずっと、忘れようと思っていたこの記憶を・・・。
だが、忘れてはならない。父やラウルの思いを無駄にしないためにも・・・。
「ラウル・・・。俺、将軍になるよ・・・」

それから数年の時が流れた。
「ユウ・スティン!」
「はい!」
ラーハルト司令に名前を呼ばれ、彼はひざまずいた。
「本日より貴方に将軍の地位をさずける!」
「光栄でございます・・・」
ユウは後ろで立っているシェイド、リナの元へ行こうとした。
「待て、貴方に渡したいものがある。」
ラーハルト司令がユウを呼び止めた。
ラーハルト司令の手には彼にとって見覚えのある剣が
握られていた。
「ラウル殿の使っていた光剣ヘヴンズブレイドだ。
 使うといい。」
「ありがとうございます!」
ユウはラーハルト司令から剣を受け取り、
後ろを振り向いた。
立っているシェイドとリナの間にラウルの残像が見えたような気がした。

−ラウル・・・。今度は俺がみんなを守る番だ。
 だから、この剣を通して俺を見守っててくれ−



あとがき
長い上に、文章がぐちゃぐちゃなような気がしますが・・・(爆)
楽しんでもらえたら光栄です。
ユウにもきっとこんな少年時代があったのではないかと
思い、書いてみました。
ちなみにユウの特技に「盗む」があるのですが
これは少年時代に培われたのではないかと思います(笑)。
    

魔族の逆襲 投稿者:氷川シフォン 投稿日:2008/09/24(Wed) 18:35 No.68   
実は私も「バジルとキリトと」の続編考えていたんです。



バジル「クックック…また会ったなルイ=スティン。今日こそお前を殺してやるよ。」
ルイ「ふっ…カーバンクルごときにやられるお前に負けるわけないだろう。」
バジル「ん?お前だって負けていたではないか。」
ルイ「馬鹿な。ついに頭までおかしくなったのか?オレがカーバンクルにいつ負けた?」
バジル「この前会った直後だ。クックック…」
ルイ「はあ!?この前会った直後…」

〜回想〜
この前バジルと戦った後、シオンは家でティナと一緒にfreejia外伝2あの日の約束で遊んでいました。
シオン「くっ!ナタリーのMPが切れた…」
ティナ「落ち着いてシオン!こうゆう時はアイテムを使えば…って、何でおくすり買ってないの〜!!?」
シオン「ごめん…忘れていた。」
ティナ「ああ〜!石化睨み!しかもおくすり(石化回復)もない〜!!」
シオン「つ、強い…」
ティナ「も〜シオンってばゲーム下手だね。」
〜回想終わり〜

バジル「…という具合に、あっけなく負けていたではないか。」
(ガ〜ン!!)
ルイに9999の精神的ダメージ
今日のやる気が10減った
今日のおやつが25減った
今日のかすり傷が99増えた

ユウ「ルイ兄もオレと同じ落ち込み方するんだな。」
キリト「おっと、あちらの闘いには手出し無用ですよ。あなたの相手はこの私です。」
ユウ「キリトか。よ〜し、やってやるぜ!」
キリト「では始めましょうか。哀愁のカタストロフィーを…」
ユウ「ところで、その『哀愁のカタストロフィー』って…」
キリト「ふふふっ…今日はちゃんと調べてきましたよ。」
ユウ「じゃあ、やっぱり意味を知らずに言ってたんだな。」
キリト「な…何を馬鹿な。いいですか。『哀愁の』というのはとても悲しいという意味、そして『カタストロフィー』とは、悲劇的な結末のことです。」
ユウ「それならよ、とても悲しい悲劇ってことで、悲しいの意味が重複してるじゃねえか。同じ意味の言葉を二回繰り返しているなんて…お前、馬鹿だろ?」
キリト「ほー、それならあなたはどうなのですか?」
ユウ「え?オレ?」
キリト「『愛と愛と愛』なんて、何で三回も繰り返す必要があるのですか?同じ言葉を三回も言うなんて、知性のかけらも感じられませんね。」
ユウ「グッ…」

その頃、魔将軍二人の攻勢に押される聖ヘレンズ二大将軍の元へ、助っ人たちが近づいてきていた。
バジル「クックック…ルイの奴、まんまとオレの罠にかかったな。そうだ、とどめはこいつに刺させてやろう。出でよ、魔獣カーバンクル!!」
(ガオーッ!)
バジル「今度こそ完璧に洗脳したカーバンクルだ。さあ、奴をなぶり殺せ!」
(ガオーッ!グルル…グルル…)
バジル「ば…馬鹿な…なぜ…今回は洗脳は完璧だったはずなのに…ぐわああああ!!」
シオン「大丈夫ですか!?ルイ将軍!」
ルイ「バンガーズのお前達…一体何を?」
ティナ「翡翠石を使ったんです。」
ルイ「…お前達が何でそんな危険なもの持ってるんだ;」
バン「悪ぃ…城へ届けようとして忘れてた。」
ルイ「………;」

キリト「おやおや、間抜けなバジルはやられてしまったようですね。仕方ありません、こちらはこちらで始めましょうか?哀愁のカタストロフィーを…」
チカ「な〜に言ってるの!?かたすとろふぃ〜っていうのは、自然界や人間界の大変動を意味することもあるんだよ。そんなことも知らないなんて、やっぱ本当のバカじゃん!」
コロン「そうだそうだ!キリトのバーカ!」
イーグル「はーっはっはっは。ま、どんなに勉強しても知能指数1万のオレ様には勝てねえってことだよ!」
キリト「くっ…何ですかこのやたらうざい人たちは…」
ボーズ「しかも…『仕方ありません』というのは誤用だな…形容動詞の『ない』は『ありません』とは活用できない…」
イーグル「ボーズ、お前国語に詳しいんだな。」
キリト「…失礼、今日は五時から見たいテレビがあるのを忘れていました。非常に名残惜しいですが、それではアディオス。フローラルの香りの元に…」
ユウ「ああっ!こら、また逃げんな!」

頼れる兄貴。だけど・・・。 投稿者:自由男 投稿日:2006/11/27(Mon) 14:48 No.3   
カイン一向は酒場にて談笑していた。
不意に、話題は兄弟の話になった。

フリージア:「ユウにはお兄さんいるんだよね?」
ユウ:「ん?おお。」
フリージア:「どんな人?」
ユウ:「そうだなぁ・・・。冷静沈着な男だな。」
アラン:「ユウ将軍とは正反対ですね。」
ユウ:「なにぃ〜!」
フリージア:「でもいいなぁお兄さん。あたしもお兄さん欲しかったかも。」
ユウ:「カトレアさんがいるじゃねぇか。」
フリージア:「うん、お姉ちゃんも好きだけど、
       頼りになるお兄さんっていうのにも憧れるなって。」
リュウ:「カイン将軍は兄弟はいないんですか?」
ユウ:「!おいリュウ。カインは・・・」
カイン:「いや、いい。リュウ、俺は施設で育ったんだ。」
リュウ:「あ!すみません・・・。」
カイン:「謝る必要はないさ。ジェラルド師匠も良くしてくれたし、
     実の兄弟はいなくても楽しかったからな。」
フリージア:「ね、アラン君はお兄さんいるんだよね?どんな人?」
アラン:「兄ちゃんは・・。」
シェイド:「ヴェイク・ジェイル。聖へレンズ国将軍だった男だ。」
ユウ:「!シェイド!?いたのか?」
シェイド:「さっきからいた。気づかなかったのか?」
カイン:「ヴェイク将軍は・・・俺の上司だった人だ。」
リュウ:「そうだったんですか!?」
シェイド:「とても責任感の強い男だったな。将軍を辞めたのもその責任感からだ。」
アラン:「兄ちゃんは昔から責任感が強かったですよ。
     昔兄弟3人で森に行ってる時にソラがいなくなって、
     兄ちゃん責任感じて日が暮れても探して、終いにはソラが先に帰ってきて・・。」
ユウ:「そりゃ方向音痴だったんじゃねぇのか!?」
カイン:「そういえば・・・。」

以下、カインの回想シーン。

ヴェイク:「行くぞ、カイン!」
カイン:「はい!」

・・・数時間後。

カイン:「おかしいですね。いつまでたっても目的地に着かない。」
ヴェイク:「近いと聞いていたんだがな・・。」
カイン:「というより・・。戻ってきてませんか?」
ヴェイク:「・・・。(冷静に対処しろ。この状況は・・・。)」
ヴェイク:「カイン。悪いがお前が先頭に立ってくれないか?」
カイン:「は・・はい・・。」

回想終了。

カイン:「あれ以来、行軍の時はいつも俺を先頭にしてたな。」
ユウ:「やっぱり方向音痴だったんだな・・・。」

ところ変わって魔族の軍。
ヴェイク:「ハックション!!」
ソフィア:「まあ、ヴェイク様、お風邪ですか?」
ヴェイク:「そういう訳ではないんだがな・・。」
ヴェイク:「なかなか遠いな・・・。」
ソフィア:「あの・・・ヴェイク様?」
ヴェイク:「なんだ。」
ソフィア:「この景色、先ほども見たような気がいたしますわ。」
ヴェイク:「・・・。ソフィア。先頭代わってくれ。」
ソフィア:「はあ・・・。」
ヴェイク:「(なおらんものなんだな・・・。)」

後悔した休暇 投稿者:kanachi 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:11 No.38   
ここは聖ヘレンズ城。
玉座の近くの通路では先ほどラーハルト司令から休暇をもらった聖ヘレンズ城の四大将軍が雑談をしていた。
「せっかく休暇をもらったんだしよ、どこか遊びに行かないか?!」ユウは元気よく言った。
「そうそう、全員暇なんだし」カインもわくわくする。
「でもどこへ行くのです?・・聖ヘレンズも治安が悪くなってきていますし」リナは顎に手を当てた。
「・・・別にどちらでも良いが・・そうだカイン、お前に知らせがある」とシェイド。
「ん?何だ」
「これだ」
シェイドは1枚の張り紙を取り出した。
3人が見てみる。その内容は・・『アスレチック大会開催!商品は10万ペインと希少な「パニュール・ピニョール」』
アスレチック大会とは、いろいろな障害物を乗り越えるレースのことである。・・言うところ、「筋肉○付」だろう。
「あ、アスレチック〜〜??」まずそこを言ったリナだったが・・
「おお!パニュール・ピニョール!レア酒!その話乗ったぁ!」カインは「レア」に目が無いのである。
「おお!10万ペイン!装備や道具を買える!その話乗ったぁ!」ユウは眼がペインになっていた。
「お前ら・・将軍とは思えないほど単純な奴だな・・・・(汗」
「同感です、シェイド・・」リナもため息をついた。
しかも4人がいたのは一般兵士も通る普通の通路。カインとユウの単純さは兵士達によってしばらく語り継がれるだろう・・。


そしてアスレチック大会当日。
参加者は全員私服。もちろん、四大将軍も私服である。
『今日は〜、第一回アスレチック大会にお越しいただき、ありがとうございます〜〜』
拡声器で司会者の声が流れる。
(第一回って・・次もあるのか)
聖ヘレンズの兵士も何人か参加しており、大会は賑わっていた。

『それでは〜〜、よーーい、始め!!!』

司会者の合図と共に全員走り出した。
まず1個目の障害物は、空魚の大群である。
「「何ィ?!?!」」参加者は驚く。
『そいつらを殴って進んでください!もちろん、移動系の魔法を使えば即退場!なお返り討ちに遭った場合、スタッフが救助します』
この時点で普通の人はリタイアするだろう。すでに参加者の半分が棄権した。

「うわ〜、素手でなんて戦ったことないぞ!」カインは言う。
「んっ?カインか?」後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。振り返ってみると・・

「ヴェイク!?何故アンタが?!」

カイン達は驚いた。
「魔王様のお出まし?それとも、個人的趣味?」リナは拳を構える。
「まさかお前らがここに来ていたとは・・俺も酒が欲しくてな!」
「貴様・・以前と全く変わってないな・・」シェイドは苦笑いを浮かべる。
「ふん、先に行かせてもらう」
いつの間にかヴェイクが先に走り出していた!
「あ、こら待て!!」ユウも後を追いかける。

「ええい、もうヤケだ!殴りまくるぞ〜〜〜」カインは腕をぶんぶん回すと空魚を殴った。
カインの攻撃を食らった空魚は・・絶命(笑)

続いてシェイドも回し蹴りを食らわした。
ふっとんで行く空魚・・・それを見て。
「布団が吹っ飛ん(ふっとん)だ〜!さすがにこれは受けへんなあ」
観客、参加者のほとんどが凍り、ずっこけた。
「こ、コジッペ・・・ピエロ姿でアスレチックに来るのは異常だぞ」ユウは呆れながら言う。
「ユウはんもあきまへんな〜。ユウはんも変な事を言う(ゆう)はりますやん!」
カチン。
「コジッペ・・・殴るぞ?」
「勘弁して〜な〜(汗」
「このままでは氷河期になりかねないな・・(汗」シェイドは暴れる空魚を足で抑えながら言う。
「ちょっと貴方達!ヴェイクがそこで留まっているわ!今がチャンスよ!」リナは走り出す。

この時点で、残っている参加者は7名となった。
カイン・シェイド・ユウ・リナ・ヴェイク・コジッペ・そして、?????。

ヴェイクが留まっているのには、ちゃんと理由があった。
「ええい、離せ!この野郎!!」
そう、7人目の参加者に捕まっていたのだ。
「いや!絶対に離さないわよ・・・・あ!カインちゃん!!」
そして、『そいつ』はカインに向かって突進してきた。
「っげ・・・・」
一同はこう叫んだ。

―――――おかま野郎、トレビアン!!!

「な、何故トレビアンがここに・・・」
トレビアンはいつの間にかカインの目の前まで来た。
「ひっ・・・・」カインは思わずしりもちをついた。
「カ、カイン!」ユウはカインの肩を組み、立ち上げさせる。
「ゴメンねカインちゃん!あたしヴェイクちゃんに浮気しちゃった!」

え゛・・・・

「何ィ?!」叫んだのはヴェイクである。
「ヴェイク。ありがとう」お礼を言うカイン。
「こらこら待て待て待て!!何故こんな『おかま』に惚れられなければならないのだ!!」
ヴェイクは必死に反論する。
「あたしがうっとりするほどの男よ?元気出して♪」
「誰もそんな事聞いていないッ!」
「い、一国の王子が魔王に惚れる・・信じられない光景だな・・(汗」
ユウは未だに腰を抜かしているカインの肩を組みながらそう呟いた。
「もっちろん、カインちゃんも可愛がってあげるからね〜〜」
「・・・・断る!!!!」

カインとトレビアンとヴェイクとユウが暴れている中、
「・・リナ、先に行くとするか・・」
「そうですね。トレビアンは彼らに任せましょう」
シェイドとリナは再び走り出した。

続いて、2個目の障害物。
「何じゃこりゃあああ?!」
先にコジッペが着ていた。
「コジッペ。どうかしたの・・・」と、リナが障害物を見た瞬間・・

「嫌あああああああ!!」思わず後ろにいたシェイドに抱きついてしまったリナ。
「・・・・リナ将軍・・・?(頬が赤くなる」わざと『将軍』と呼ぶシェイド。
「あっ!!すみませんッ・・」我に返るとぱっ、と離れる。

―――――見たぞリナァァァァ!

後ろからユウとカイン、そのさらに後ろにヴェイクとトレビアンが来た。
「み、見られてしまった・・・」リナは顔を赤くする。
「リナ!お前って、シェイドに気があったのか?!」ユウは驚いた顔で言う。
「あ、そ、それは・・あまりにも気味の悪い障害物を見たから・・・・」
「ユウ。・・・それは・・・ただの事故だ。見てみろ、『アレ』を」シェイドは障害物に指を差す。
ユウは障害物を見てみる。すると・・
「・・・・ぎゃあああああ!」
ユウは驚いて隣にいたカインに飛びついた。
「どわっ!おいユウ!お前いきなり何を・・・、ってあれ?!」
ユウは気絶・・・。(笑)
かなり遅れたが、その障害物とは蛇。目の前に広がるプールの中に蛇がいるのだ。
当然、プールは蛇で埋め尽くされており、1匹ずつニョロニョロと動き、「シャー」と威嚇の声が聞こえる。

「ヴェイクちゃ〜〜ん!待ってえええ」トレビアンは逃げるヴェイクを追いかける。
「うわああ!!!・・・・っこの、オカマ野郎がああああああ!!」

ドガッッ!!

「ああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
ヴェイクはトレビアンを蹴り飛ばし、ぶっ飛んだトレビアンは見事、蛇のプールに入ってしまった。

あ・・・・・・・・・・?!

全員、トレビアンの様子を伺った。
「アレ?!何なのコレ?!し、沈むうううう!」トレビアンは溺れ(?)かけ。

「と、とりあえず毒蛇ではないようだ。進むか」カインはおそるおそるプールを見る。
「・・・起きろ、阿呆が!」シェイドはユウを蹴った。
「ぐはっ!!・・・蹴ることは無いだろう、シェイド!」
「喋っていられるのなら致命傷では無い筈だ」
「お〜、相変わらず厳しいですな、将軍?」カインはにや、と笑う。

「とにかくその気味の悪い障害物を越えなければ・・・。よっと」ヴェイクはひょい、と蛇のプールに飛び込む。
「・・・・よし。俺もっ」続いてカインも飛び込む。
2人はわらわらと集まってくる蛇を振り払いながら前進。
「カイン。プールの深さはどうだ?」シェイドが上から聞く。
「あ〜。結構深い!もう首まで蛇が・・」そう言った直後、1匹の蛇がカインの首に巻き付き、首を絞められてしまった。
「!うっ」
「カインはん!」
コジッペがプールに飛び込み、カインの首を絞めていた蛇を引き剥がした。
「ケホッ、助かったよ、コジッペ」
「あんさん、今は丸腰なんやから気をつけなあきまへんで。まったく・・。ほな、わいはここで棄権しますさかい」
コジッペはプールサイドに上がる。
「ん?何故だ、もうやらないのか?」
「ああ。あんさん方とおると、なんか危なくなりそうでなあ・・(汗」
「そうか・・。お疲れさん」
カインはまた前進。

一方、プールサイドでは。
「・・そろそろ、私達も行くべきではないか?」シェイドは横で凍っているリナとユウに声をかける。
「あんな気持ち悪いところ行きたくないです!!」リナはここで棄権するつもりだろう。
「俺も・・・しかも、この蛇プール、50mもあるじゃねえか!」ユウも棄権を希望。
「ったく、仕様が無い。・・・・第一、どんな蛇だ?これは」
シェイドはプールの近くまで行き、蛇をずるっ、と1匹引っ張り出す。
「・・牙はなし。だがこの太い体・・締め付けられたらマズいな」
そしてシェイドは用心しながらプールに入った。

この時点で、残ったのはカイン・シェイド・ヴェイク・そして、?????・・・・(笑)
そして、先に入ったヴェイクとカインは。
「やっと10m・・かなりハードだぞこれ」
ヴェイクは蛇を振り回す。
「・・・あっ?!ヴェイク後ろッ!!」カインは声を上げた。
「・・・な?」

「チョモランマーーー!!」

突然トレビアンが蛇の山の中から出てきてヴェイクにしがみついた。
「お、オカマ野郎・・・あのまま沈んでいればいいものを!」
「イヤよ沈んだら死んじゃうじゃない!」トレビアンは反論。
「・・・・いっそ死んでほしい・・」カインは後ろからそう言った。
「カッチ〜ン!よくも言ったわねカインちゃん!これを食らいなさい!!」
トレビアンは手を妙に動かした後・・・
「食らえ!オカマ波動砲!!!」トレビアンはカインに目掛けて気色悪い色の波動砲を出した。

「な、何ぃ!??」
「ていうか何だその技?!」ヴェイクも突っ込んだ。
「あっはー、このオカマ波動砲を食らうと全身麻痺して丸1日動けなくなるのよ!これでカインちゃんはあたしのモノ〜♪もちろん、後でヴェイクちゃんも頂くわ♪」

「お、俺も食らうことになるのか?!」ヴェイクは焦る。
「そんなもの食らったら俺の人生があああ!!」しかも、カインは蛇に絡まれて動けない状態。このままではまともに食らってしまうことに・・・・。
波動砲はもう、目の前!
「うわああ!」

「この阿呆!」

誰かの手がカインの髪を引っ張り、なんなくかわすことができた。
「か、感謝するぞシェイド・・・・(疲」ぜー、ぜー、と息を切らしながら感謝の気持ちを伝えるカイン。
「ああ・・・。この後、お前がトレビアンに襲われると思うと寒気がしてな・・・(汗」シェイドも息を切らしながら言う。
「あ〜、惜しいわ!ええい、今度はヴェイクちゃん!あんたよ!」
「な、何だとおお?!」
トレビアンはまた手を動かす。
「嫌だあああああ」
ヴェイクはもがくが、余計に蛇が巻き付いてきた。

「ちぇすとおおおお」
トレビアンの波動砲は見事にヴェイクに命中。
「痛っつ・・・?!体が動かない!」
「あっはん♪」ずるずるとヴェイクに近づいていくトレビアン。

「おいおいおい?!どうするシェイド?!」カインはおろおろと慌てる。
「・・・私は決して情に流されない。あの男の最期を見届けるまで・・・」シェイドは手を合わせ、黙祷(もくとう)を捧げる・・(笑)
「待てえいシェイド!・・・っうわあ離せオカマ野郎!」
「失礼ね!あたしはトレビアン・G・マンダムよ!!」
「明らかに嫌味な名前だな!!」
「何よ!せっかくあたしのモノになるのに、嫌なの?!」
「最初から嫌と言っているだろうが馬鹿者!!」
「無駄よ!もうあたしの『オカマ波動砲』を食らってしまっているわ!覚悟するのね」
「うう、俺はこんな奴に・・・(泣」正直言ってヴェイクの内心は思い切り泣きたい気分である。

「・・・・うがあ!もう見ていられない!!」カインは蛇を一匹掴み、振り回す。「「っ!?カイン?!」」ヴェイクとシェイドは驚いた顔でカインを見る。
「分かる!!ヴェイク!お前の気持ちが分かるぞおおおおお!!!!」そして振り回した蛇をトレビアンに投げつける。

「・・・痛ッ!!舌噛んだああああああ!!!!」トレビアンは蛇プールから抜け出し、逃げていった・・(失格)
「・・・・・あいつ、どうなって舌を噛むのだ(汗」シェイドはトレビアンが逃げていった方向を見ながら呟く。
「助かったぞカイン・・・その礼とはなんだが俺は棄権する・・ましてや動けないしな」
「ああ。運んでやるよ」
その後、ヴェイクはカインに手伝ってもらい、プールサイドに上がる。
「またな」そう言い残すとヴェイクは呪文を唱え、その直後消えた。


そして残ったのはカインとシェイド。
「よし、トレビアンもヴェイクもいなくなったし・・レア酒は俺が頂く!!」カインは蛇を掻き分け、ずんずんと進む。
「私も諦める・・・」
「ん?何故だシェイド!」
「考えてみればここで優勝しても嬉しくない・・・10万ペインなんて私の所持金の一部だし、パニュール・ピニョールなら貯蔵してあるし・・・」
「そ、そうか・・(貯蔵してあるのか。今度貰いに行くとしよう)じゃあ、俺の勝ちだな!」

『優勝は〜〜〜カイン・ヴァンス選手〜〜〜!!!』

スピーカーから放送が流れる。
「これが約束の品じゃ!」会長がカインにパニュール・ピニョールと10万ペインを渡す。
「ありがとうございます!」
「ちなみに、この酒はある人物の特製品。他の酒とは一味違う。つまりレアを超えるレア」
「おお!では会長!これを・・」
「確かその人物の名前は・・・『トレビアン・G・・・・』」
「(何?!)」
カインは持っていた酒をガチャンと落とす。
「○△□※☆▼〜〜〜〜!!!」会長は泡を吹いて倒れる。
「ふ・・・・会長。前言撤回、10万ペインのみ頂きます・・・」
そしてカインは無言で会場を去っていった。


その後日。

聖ヘレンズ城の王室でラーハルト司令が四大将軍を集めた。
「休暇は楽しかったか?・・ん、どうした、顔が青白いぞ」

「シェイドに持ちかけられた大会優勝したけど結局後悔・・」
「妙な障害物にオカマ登場さんざん振り回されてやる気が失せた・・」
「蛇の山しかも50m気絶したあと蹴られて起こされた・・」
「蛇の山を見て思わず抱きついて(あえて誰かは言わない)しまったすごく恥ずかしい・・」
カイン・シェイド・ユウ・リナは口々にぶつぶつと文句を言い出した。

「ま、まあ良かろう(汗)体調が不調のようだが任務がある」
「「「「何でしょうか・・・」」」」4人は既に気力無し・・(笑)
「その大会で観客が妙なオカマを見たというのでそいつの正体を調べ・・・・ってどうした?!」

カインは気絶、シェイドは現実逃避、ユウは頭を振って否定し、リナから「止めてください」という怯えた気が発せられた。
「お、おいお前達!しっかりしろ!(慌」


・・・今度、あのオカマに遭ったらどうしてくれよう・・・・

4人は兵士たちによって自室に運ばれながらそう考えていた・・。

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