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ヴェイクとバジルの暇な一日 投稿者:ハルマキ 投稿日:2006/11/29(Wed) 17:44 No.46   
ここは、魔王城ヘルズ・キッチン・・・
魔王ヴェイクや魔将軍たちがいる城である。
しかし、今この城にはヴェイクと
魔将軍の一人バジルしかいない。
なぜなら、同じ魔将軍のキリトもソフィアも
それぞれ用事があると言って城を空けているからだ。」
ヴェイク「・・・・・・・・」
バジル「・・・・・・・・」
玉座の間には沈黙の空気が流れる。
すると、そんな空気の中、ヴェイクが口を開いた。
ヴェイク「バジル・・・」
バジル「はい・・・?なんでしょうか?」
ヴェイク「暇だ・・・」
バジル「・・・・・・・・」
ヴェイク「・・・・・・・・」
再び沈黙の空気が流れる。
すると、今度はバジルが口を開いた。
バジル「でしたら、人間を殺しに行きませんか?
    ・・・くくく」
ヴェイク「人間を殺しに・・・か・・」
バジル「・・・・・・・・」
ヴェイク「・・・・・・・・」
また、沈黙の空気が流れる。
すると、さっきのバジルの質問にヴェイクは答えた。
ヴェイク「やめておこう・・・
     そんな気分ではない・・・」
バジル「くくく・・・そうですか。これは失礼・・・。」
ヴェイク「・・・・・・・・」
バジル「・・・・・・・・・」
また、沈黙の空気が(以下略・・)
ヴェイク「お前を追っている男はどうしている?」
今度はヴェイクがバジルに質問した。
バジル「ルイ・スティンのことですか?
    くくく・・・今頃、俺のことを血眼で捜してますよ。
    なにしろ、あいつは三度も俺に負けてますから・・。
    多分、奴は俺を倒すために地獄の底まで
    追ってきますよ・・・。・・・くくく」
ヴェイク「ほぉ・・・」
バジル「・・・・・・・・」
ヴェイク「・・・・・・・・」
また、沈黙の空気が(以下略・・・)

こうして、ヴェイクとバジルの暇な一日は
沈黙の空気の中、静かに過ぎていった・・・


 −終わり−

遠きまだ見ぬ空の歌(前編) 投稿者:氷雨 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:08 No.31   
日も明けて間もない、まだ冷たい朝の大気の中で。
 肌寒さに身を震わせながら、一人の少女が小屋の中から姿を現した。
「……ん〜ん、今日もいいお天気!」
 胸いっぱいに澄み切った空気を吸い込み、深呼吸を一つ。
 空と同じ晴れやかな気分で、彼女は大きく伸びをした。
「おはよう、リリィちゃん。また、薬草摘みかい?」
 彼女──リリィはその声の主の方を向くと、にっこりと笑った。
「おはようございます、シーナさん。
 ──昨日、ラウルおじさんが森でケガされたでしょう?
 その時、止血の薬草が大分減っていたのでそろそろ摘んでこようかと思って」
 そう言うと、右腕に持つバスケットをちょっと掲げてみせる。
 彼女のその仕草に、シーナは笑ったようだった。
「そうかい。リリィちゃんも大変だね。
 ……でも、気をつけるんだよ。
 最近、この辺りの森にも魔物が出るって噂があるからね。
 森の奥まで行ってはいけないよ」
 言葉の後半でシーナは陽気な口調を一変させ、神妙な口ぶりでリリィに言い聞かせる。
 ──確かに以前はこの近くにある森に魔物の姿などありはしなかった。
 だが、ここ最近になって魔物の姿が目撃されているらしい。
 もっとも、魔物が目撃されたのは森の最深奥の辺りでの話。
 見かけたという者も一人、二人といったものなのだが……。
「大丈夫です。その薬草は森の入り口辺りにいっぱい生えていますし……。
 私には、心強い味方がいますから」
 それでも普通の少女にはあまりに恐ろしい存在であろう魔物の話を、
しかしリリィは気丈に笑って言い返した。
「ははっ、そうだったね。でも、用心に越したことはないよ。気をつけて行っておいで」
「はい。じゃあ、行ってきます! ──行こう、イーサ!」
 彼女の呼びかけに、背後の小屋の中からバサリという大きな羽ばたきの音が応える。
 それを確認すると、彼女はいつものように近くの森へと走り出した。


 先程まで冷え切っていた大気も、幾分か陽の光によって暖かくなってきた頃。
 リリィは鬱蒼と生い茂る森を前にして、今日はどの薬草を摘んでいこうか考えていた。
 一口に薬草、といってもケガの消毒、止血、化膿止めなどに使うものから、
解熱、食あたりなどに使うものまで色々な種類がある。
「えっと、ルルド草と……カームの実も取っていこうかな……」
 昨日家で確認した薬草の数を思い出しながら、何種類か今日摘んでいく薬草を決める。
 そして、リリィは慣れた様子で森の中へと分け入っていった。
 既に、どこにどの薬草が群生しているかはよく心得ており、
手際よく薬草や薬になる木の実をバスケットに放り込む。
 さわさわと風に揺れる木々の声に耳を傾けながら、リリィが一通りの薬草を
摘み終えた頃には陽も大分昇り、軽く汗ばむほどに大気も温まっていた。
「よしっと。こんなところかな」
 左腕にかけるバスケットの十分な重みに、彼女は満足げに頷くとその場に立ち上がる。
「終わったよ、イーサ。帰ろう?」
 ぽんぽんと服をはたきながら、姿は見えずともすぐ側にいるであろう連れに声をかける。
 ──しかし、しばらくしても彼女の耳にはその鳴き声も、羽ばたきすらも聞こえてこない。
「……あれ? イーサ?」
 いつもなら、彼女に呼びかけにイーサは即座に鳴き声か羽ばたきかをもって応えていた。
 ちょうど、先程のように。
 しかし、彼女の呼びかけにいつもの音は返ってこず、
ただ木々の葉音だけが聞こえてくる。
 リリィはどうしたのかな、とちょっと首を傾げてから、今度はもう少し大きな声で呼ぼうと──

 ……キー……

 大きく息を吸い込んだ次の瞬間、イーサの鳴き声が聞こえてきた。
 方角からして、もっと森の奥──だが、そんなに距離は離れていない。
「もう、勝手に森の中に入って……」
 ほっとした反面、多少腹を立てながらリリィはさらに森の奥へと踏み込んでいく。
 段々、鳴き声に近づいていくと、バサバサという羽音とともに視界の端に忙しなく動く
白いものを見つけることが出来た。
「こら、イーサ! 勝手に森の中に入っちゃ──」
 そこまで言いかけ、ふとリリィは口を閉ざす。何か、違和感を感じた。
(……なに……? この、におい……)
 軽い怒りと安堵の気持ちを追いやり、リリィの中でむくむくと不安が首をもたげてくる。
 木々の間を通る風が届けてくるのは、土と花々と葉のにおい。
 それと──これは……血?
「っ!? イーサ!?」
 さっと血の気が引いていくのを感じながら、リリィはイーサの所に駆け寄っていく。
 イーサがケガをしたのかもしれない。でも、どうして──

 ガツッ!

「痛っ!」
 イーサの羽に触れたと思った次の瞬間、何かにつまずいてリリィは危うく転びそうになった。
 足元を見下ろしてみると、──草花の緑に混じって見分けるのに苦労したが──緑色の光沢を
放つ、大きな影がそこに横たわっている。その何かの所々に、ぼんやりと赤いものも見えた。
(なん、だろう……)
 怖々とリリィはその場にしゃがみこみ、じっと目を凝らしながら自分がつまずいた何かに
手を伸ばしてみる。
 最初に手に触れたのは──柔らかい感触。そして、ぬるっとした生暖かいもの。
 そこで、リリィは一瞬にしてそれが何なのかを悟った。
(──人! 人が倒れてるんだ!)
 イーサは、きっとこれを自分に伝えようとしたのだ。だから……
「イーサ! 人を呼んできて! 私より、あなたの方が早いわ!」
 彼女の指示に、イーサは力強くはばたくとあっという間に羽音は遠く聞こえなくなった。
(この人……すごい、ケガしてる……)
 凄まじい血のにおいに顔をしかめながらも、リリィはバスケットの中に手を突っ込んだ。
(ここじゃあ、応急処置程度しか出来ないけど……何もしないよりはましだわ)
 意を決すると、リリィは手探りでその人物の止血を始める。
 ──背後から人々の足音が聞こえてきたのは、それからしばらくしてのことだった。


 柔らかい、白い光。
 微かに香る、草花のにおい。
 そして、自分を包み込む暖かいもの。
 ──最初に、彼の意識に入ってきたのはそれらだった。
「う……」
 ぴくり、とわずかに眉をしかめてから、ゆっくりとその重いまぶたを押し上げていく。
 光に慣れない瞳に視界が白一色になった後、徐々に色々なものが視界に飛び込んできた。
 木で作られた天井と、火の入っていないランプ(まだ外が明るいのだから当たり前だ)。
 首を横に向けてみると、やはり木製のテーブルとその向こうに窓が見える。
 窓の外はまるで穏やかな春の陽気、新緑がさやかな風に揺れていた。
 そして自分自身はというと──清潔そうな白いベッドで、鎧を外されて布団に包まっていた。
「……う〜ん……」
 取り敢えず今、自分はどういう状況におかれているのだろう、と考える。
 今現在分かることといえば。体のあちこちがとてつもなく痛いということぐらいだ。
「よっ……っと」
 ひとまず寝たままでいるのもなんだと思い、彼は満身創痍の体に鞭打って上半身を
起こし、改めて自分の体を見下ろした。
 自分の血と土で汚れた服。
 そして腕やら足やらにベッド同様に真っ白な包帯が巻かれており、骨折してしまったらしい
左腕は添え木でしっかりと固定されていた。
 左腕が鈍痛とともに熱を持っているため、全身がやや火照っている。
 それでも出血や各所の痛みは治まりつつあるのが分かり、彼は改めて胸をなでおろした。
 ケガ自体は、骨折した左腕を除けば深い傷もなく打撲がほとんどで大したことはないようだ。
(あの時は、マジで死ぬかと思ったんだけどな……でも、いったい誰が手当てを……?)
 きょろきょろと部屋の中を見回すが、人影は見当たらない。
 代わりに奥へと続く扉と外への扉を見つけた彼は、そこから外に出てみることにした。
 幸い、足は骨折しておらず痛みはするが歩くのに大して支障はない。
 あえて言うとするなら、切った額からの出血で多少ふらふらするということか。

 ガチャッ

 ドアを開けた途端、緑と花の香りを運ぶ風が男の顔をなでる。
 燦然と降り注ぐ陽の光に目を細めながら、彼は眼前に広がるのどかな村の風景に安堵した。
「おや、気がついたかい?」
 横手からの声に振り向くと、そこにはふくよかな体つきの年配の女性が洗濯籠を抱えて
立っていた。
「あ、え〜っと……おばちゃんが、俺を助けてくれたのか?」
「いんや、違うよ。あんたを見つけて手当てしたのは、リリィちゃんって子さ。
 あんた、名前はなんていうんだい?」
「ユウ、だ。……そのリリィって子は、今どこにいるんだ?」
「そうだねえ……多分、今頃だと……」
 彼女はしばし考え込んでから、ある方向を指差す。
「こっちの道を行った先に、ちょっとした野原があってね。
 多分、そこで子供達と遊んでるんじゃないかい」
「分かった。ありがとな、おばちゃん!」
 礼を言うと、ユウはそちらの方へ歩き出した。
 その後姿を見送りながら、女性は感心したように、
「は〜……あんだけのケガしてるのに、丈夫な子だこと」
 勿論、その呟きはすでに遠く離れていたユウには聞こえるはずもなかった。


 野原への道すがら、ユウは村の様子を見て回った。
 建っている小屋や家屋の数から察するに、せいぜい二十人前後の村なのだろう。
 所々に、小さな畑や家畜の姿が見受けられる。
(あの森は地図に載ってたけど、この村のことは全然描かれてなかったよな……。
 これだけ小規模な集落なら、無理ないかもしれねえけど……)
 すぐ左手に見える森はともかく、この村の存在は調査隊の報告でもなかった。
(ま、あんなことにならなけりゃ、俺も知らずにいただろうけど)
 そう考えると、なんとも複雑な思いになる。昨晩の苦い思い出に、溜息が漏れた。
「はあ〜っ……ったく、なんでこう俺のトコに回ってくる任務ってのは──おっ」
 続いて愚痴まで漏れそうになった所で、野原が見えてきた。
 新緑と色とりどりの花が咲き誇るそこでは、数人の子供たちが思い思いに駆け回っていた。
 ユウもそちらの方に近づいていくと、子供の一人が彼に気付いた。
「あ〜っ、今朝のお兄ちゃんだ〜!」
 さすがは小さな村。すでに村のほとんどに彼の存在が知れ渡っているらしい。
「ケガ、大丈夫〜?」
「あ、ああ。大したことねえよ。それより、リリィって子いるか?」
 まさか、こんな小さな子供たちが自分の手当てをしたわけじゃあないよな、と思いつつ、
ユウは寄ってきた黒髪の少年に尋ねる。
「リリィお姉ちゃん? リリィお姉ちゃんなら、あっちにいるよ〜」
 そう言って、少年が指差した先にはやはり数人の子供と、それに混じって一人の少女がいた。
「リリィお姉ちゃ〜ん!!」
 ぶんぶか手を回す少年に、彼女もこちらに気付いたらしい。
 他の子供たちと一緒にこちらへと歩いてくる。
「…………」
 近づいてくる少女を見て、ユウは絶句した。
 年の頃は、彼自身より一つ、二つ下だろうか。
 ──陽の光を反射してきらきらと輝く長い髪は、銀色というよりは白に近い。
 若草色の服の袖から伸びている細い腕は、血の気が引いているかのような真っ白な肌を
している。それでも病的なものを感じさせないのは、今も彼女に降り注いでいる陽の光に似た、
穏やかで暖かい雰囲気のせいだろうか。
 彼女は透き通るような空色の瞳でユウを見てから、白い花がほころぶような笑顔を浮かべた。
「良かった。気がつかれたんですね。お体のほうはいかがですか?」
 ぼーっと少女に見とれていたユウはしばらくしてから、少女に尋ねられたことに気付く。
「……へっ? あ、ああ。大したことねえよ。
 君が手当てしてくれたんだろ? ありがとうな、本当に助かったぜ」
「どういたしまして。
 ──あ、紹介が遅れました。私はリリィ・ティルスといいます」
「俺はユウ。まあ……旅の剣士、ってヤツさ」
 一瞬、口を滑らしそうになりユウは内心冷や汗をたらす。
 さすがに「本当のこと」を話すのは、あとあと面倒なことになりかねない。
 こちらを見ているリリィの視線を浴びながら、ユウは必死に頭を働かせる。
 同時に、自分の焦りを悟られないことを祈るばかりだった。
 ──元来、嘘を吐くことが苦手な性質なのだ。
「旅の途中であの森に迷い込んじまって、彷徨ってる間に足滑らせて崖から
落っこっちまってよ〜。
 木がクッションになって死にはしなかったものの、ケガしたもんだから近くに人里が
ないか根性入れて探し回ってたんだが……気がつかない内に、あそこでぶっ倒れちまった
らしいんだよなぁ、これがまた」
「……そ、それは大変でしたね……」
 ユウの話に、リリィはさすがに呆気に取られた様子で相槌を打つ。
 ──どうやら、辛うじてごまかせたらしい。
 まあ、ある意味まったくの嘘を吐いているわけではないのだが。
「お兄ちゃん、剣士さんなの〜?」
 二人の会話の隙間を縫って、子供の一人がそう言ってユウの手を引っ張った。
「お? おう、そうだぜ〜。これでも聖──ゴホン──世界をまたにかける大剣士なんだぜ!」
「じゃあ、何かお話聞かせてよ! 魔獣を倒した話とかさ!」
「あ、俺も聞きたい!」
「私も〜。ねえ、聞かせて!」
 一人の提案に周りの子供たちも次々に同意し、わらわらとユウのそばに近寄ってくる。
「へっ、マジかよ!? お話って言われてもなぁ……」
「ふふ、良いですね。私も聞きたいな」
 子供たちにせがまれ困り果てていたユウは、リリィのその一言にぴたりと動きを止める。
 そして、
「……ぃよっし! 特別に、俺が魔獣サイクロプス・ロードを倒した時の話をしてやるぜぇ!」
『わ〜い!!』
(正確には俺とプラス一匹、だけど)
 こっそりと胸中でそう付け足すと、ユウはかつての魔獣討伐のことを話し始めたのだった。


 ユウが魔獣討伐の話を終え、子供たちが家に戻っていった頃にはすでに陽が西に沈み
かかっていた。
「すみません、ユウさん。まだ、ケガが治っていないのに子供たちの相手をしてもらって……」
「気にすんなって、俺も話をしただけだし。
 それに、リリィには助けてもらったんだからこれぐらいはしないとな?」
 小屋へ戻る道を並んで歩きながら、丁寧に頭を下げるリリィにユウはぱたぱたと手を振った。
「しっかし、あそこまで盛り上がるとは思わなかったな〜」
 ユウの話はそれほど時間のかかるものではなかったのだが、話の各所で子供たちが
代わる代わる質問を投げかけていたためにここまで時間がかかってしまったのである。
 もっとも、あれだけ興味津々に聞いてもらえたのだから、話す側としても
悪い気はしなかったが。
「多分、あの子達はまだ村の外に出たことがないから、余計に興味があったんだと思います。
 ……私も、せいぜいあの森に行ったことがある程度ですし。とても面白かったですよ」
「? リリィも、別の町とかに行ったことがないのか?」
 リリィの言葉に、何気なくユウはそう聞き返す。
 すると、リリィは少し悲しげに微笑んでこう答えた。
「……私、目がほとんど見えていないんです。近づけば、ぼんやりとは見えるんですけど」
「……え?」
 一瞬、ユウはリリィの答えの意味を掴みかねた。
 ──いや、それが真実だと思えなかったのだろう。
 今迄のリリィの素振りを省みても、そんな素振りなど一つもなかった。
 違和感など──
(あ……)
 一つだけ。そういえば、最初にリリィを見た時に一つだけ引っかかっていたことがあった。
 改めて、ユウはじっとリリィを見つめる。リリィの──「透き通るような」空色の瞳を。
「……そう、だったのか。悪い」
「いえ、気にしないでください。私も言わずにいて、すみません」
 さすがにばつが悪そうに謝るユウに、リリィは左右に首を振った。
「生まれた時から目がほとんど見えなかったので、慣れているこの辺りを行き来する
くらいなら問題ないんですけど、ここ以外となると……。
 私の、勇気が足りないだけなのかもしれないって、思うんですけどね」
 いつしか、リリィの表情は自嘲気味なものへと変わっていた。
「勇気が、足りない?」
「ええ。いつも、私の見える世界には深い霧がかかっていて──本当は世界は
どこまでも広いはずなのに、まるで閉ざされた世界にいるような気になっていました。
 でも、今日世界を回っているユウさんの話を聞いて……本当は、自分で自分の知っている
『世界』に閉じこもっているだけなんじゃないかって思えて……」
「…………」
「私は、もっと世界の色々なことを知りたい。けど、そのためにはこの『世界』の外に
自分から出なきゃいけない。そう、思いました」
 夕日に髪を紅に染めながら、少女は滔々と胸のうちを語る。
 その姿は凛としていて、とても美しい。
 リリィの真摯な思いを、ユウも真剣な表情で受け止めていた。
 しばらく二人の間に沈黙が落ち──ややあって、口を開いたのはユウだった。
「……俺としては、そこまでマジメな話をしたつもりはなかったんだけどな。
 でも……俺も、故郷を出る時それなりの覚悟をしていった。俺の覚悟と、リリィの覚悟は
また違うものだろうけど、しっかりとした覚悟さえあるのなら……不可能じゃないと思うぜ」
「……はい」
 そう話した直後に、ユウは急に照れくさくなったのかわざとらしく咳払いすると、
ぱっといつもの陽気な雰囲気に変わった。
「っかあ〜っ、なんかこういうしんみり系っていうかシリアス系っていうか、
俺のキャラじゃないよなぁ。はあ〜、自分で調子狂っちまうぜぇ」
「ふふっ……そうですか?」
 大げさに溜息を吐くユウに、リリィも小さく笑って応じる。
 ──もう、リリィの家は目の前に近づいていた。
「そうそう、こういうのはカインのヤツの担当なんだよなあ、まったく」
「カインさん、ですか?」
 ドアの取っ手に手をかけながらなおもぼやくユウに、リリィは小首を傾げる。
「ああ。俺の知り合いなんだけどな。
 そいつときたら変にマジメだし、熱いし、融通きかないしで──」
 本人が聞いていないのをいいことに、ユウはなおもそう言い募りながらドアを開けた。
 ──次の瞬間、

 バサッ!

「──へ?」
 中から聞こえた音に、ユウがリリィに向けていた顔を正面に戻した瞬間、

 げしっ!!

「うをっ!?」
「きゃっ!?」
 部屋の中から白い何かが飛び出し、ユウに体当たりをかます。
 痛みと驚きに後ずさるユウに、リリィも悲鳴を上げる。そして、
「い、イーサ!?」
 リリィがイーサと呼んだそれは、真っ白な翼を持つ大型の鳥──鷹、のようだった。
 猛禽類特有の鋭い金色の瞳に見据えられ、ユウはどことなく睨まれているような気さえした。
「イーサ、この人を傷つけてはダメよ!」
 強い調子で叱るリリィに、イーサはしばらくユウの正面に滞空していたかと思うと、
くるりと方向を変えて部屋の奥にある止まり木に優雅に着地した。
「いてて……あの鷹、リリィが飼ってるのかぁ?」
「は、はい。あの子はイーサといいます。いつもは私を守ってくれるんですけど……」
「……それじゃ俺は悪者かよ」
 ユウは半眼になって呻く。一方、リリィは戸惑いを隠せない様子だ。
「で、でも最初に森でユウさんを見つけたのはイーサだったんです。どうしたのかしら?」
「さあな……と、とりあえず中に入ろうぜ」
 玄関先に突っ立っているのもなんだ、と二人も部屋に入ってドアを閉めると、
リリィはランプに火をつける。
 薄暗くなっていた部屋の中が、オレンジ色に染まった。
「じゃあ、私夕飯の支度してきますね。
 下準備はしてありますので、すぐに出来ますから」
 そう言って、リリィは奥の部屋へ行ってしまった。
 部屋に残されたユウは少々びくつきながら、止まり木のそばに近づいていくと
主のごとき気高さを持つ白い鷹を見つめた。
 互いを見詰め合うことしばし。
(……睨んでる……メッチャ睨んでるぞ、オイ)
 猛禽類特有の鋭い金色の瞳は、それにしても異様なプレッシャーをもってユウの方を
見つめ──もとい、睨み返している。
 リリィいわく、最初に自分を見つけたのはこの鷹だというが……その割には、
自分は余程この鷹に嫌われているらしい、ということはユウにも分かった。
「……なんだかなあ……俺、なんかしたか?」
 さっぱり嫌われる理由には思い当たらず、ユウはぼそっとイーサに尋ねる。
 ──勿論、答えが返ってくるはずもなく、イーサはユウから顔を逸らしただけだった。
(こ、こいつ……憎ったらしい鷹だな……)
 その反応に多少むかつきながらも、ユウは乱暴に椅子に座った。
 そして、ちらっと折れた自分の左腕を見下ろす。
(これぐらいのケガなら……ま、なんとかなるか)
 ──左腕なしで、というのは正直キツイがあまり悠長なことは言っていられないだろう。
 窓から宵闇とともに訪れる星の瞬きを見上げながら、ユウはあることを心に決めていた。


「はぁ〜、食った食った♪」
 いかにも満足そうな笑顔でユウはぽんぽんと自分のお腹を叩いた。
「良かった。お口に合わなかったらどうしようと思ってたんですよ」
 すでに空になっている食器を片付けながら、リリィも嬉しそうにくすっと笑った。
「口に合わないなんて、とんでもない! ホンットに美味かったぜぇ。ごちそうさま」
「いえ、お粗末さまでした」
 ユウの心からの賛辞にリリィははにかむように少し顔を赤くしつつ、食後のお茶を
ユウと自分の前に置いた。
「そういえば、ユウさんはいつまでここに滞在されるんですか?」
 片づけを終えて自らもユウと向かい合うように椅子に座ると、リリィはユウに尋ねた。
 その問いに一瞬、ユウの手が止まるが、次の瞬間にはなにごともなかったかのように
ユウはティーカップを手にする。
「ん〜……ゆっくりしていきたいのは山々だけど、あんまり世話になるのも悪いしな。
 明日には、たとうと思ってる」
「えっ……!?」
 唐突といえば唐突なユウの答えに、リリィはさすがに驚きを隠せなかった。
「そんな、まだケガも治っていないのに……」
「それもそうなんだけどな。でも、旅を続ける分には大して支障はねえし……。
 それに──実は森で連れとはぐれちまったんだ。あっちも俺を探してるだろうし」
「そう、だったんですか……」
 見るからに落胆の表情を浮かべるリリィに、ユウは少なからず罪悪感を感じながらも
つとめて明るい口調で続けた。
「悪いな。世話になっといて、慌しくなっちまって。
 でも、いつか必ずまたここに来る。そん時は、もっと色々な話聞かせてやるよ。
 だから……また、美味い飯食わせてくれな♪」
「……はい。喜んで!」
 にっと笑って言うユウに、リリィも沈んでいた表情を明るい笑顔に変えた。
 ──昼に見た、あの花のほころぶような可憐な笑顔に。
 それを見てまた朱が差した顔を隠すように、ユウはくいっとお茶を一気に飲み干すと
ぱっと立ち上がる。
「よし、約束な! ──さて、飯も食ったことだし。
 ちょっと早いけど、明日の出発に備えて今日はもう寝るな!」
「分かりました。ユウさんは、そちらのベッドを使ってください。
 私は隣の部屋にいますから、何かあったら呼んでくださいね。
 もし傷が痛み出したり、熱が出てきたら痛み止めと熱冷ましもありますから」
「おう、サンキュ」
「じゃあ、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ──」
 ティーセットをトレイにのせて隣の部屋に行くリリィにそう声をかけ──
 途中で、ユウは重大なことに気付く。
 この部屋には。もう「一人」先客がいたことに。

 パッタン

「…………」
 その事実に気付いて固まるユウの前で、無情にも隣の部屋への扉は閉じてしまった。
 ……どうやらその「先客」はリリィに対しては従順そのものだが、部屋から彼女が
いなくなってしまえば話は別らしく。
 背後からちくちくと刺さる視線に、ユウは内心涙を呑んだ。
(…………今日、寝れるかな……俺……)

 ──結局、ユウが寝付けたのは大分時間が経ってからのことだった。

遠きまだ見ぬ空の歌(後編) 投稿者:氷雨 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:09 No.33   
ゥオオォォンッ!!

 鼓膜をびりびりと震わせる咆哮は、すぐ近くから聞こえ──
「飛べ、イーサ!!」
 叫ぶと同時、ユウは自分も大きく後方へ跳ぶ。次の瞬間、

 ズドッ!!

 一瞬前までユウがいた地面が盛り上がり、そこから大人の腕ほどもある太さの木の根っこが
凄まじい速さで飛び出した。
「はっ!」
 一刀の下にその根を切り伏せると、ユウは体勢を立て直す。
「なんだ、こいつは……」
 上空へと退避したイーサはユウの隣に滞空すると、訝しげに呟いた。
 その眼前に、森の奥から大きな影が姿を現す。
「……ダーク・トレント。魔の気にあてられた木の化け物だ。とりあえず、厄介な点は二つ。
 一つは、本体の動きは遅いけど枝や根っこによる攻撃は変幻自在で動きも速いってこと。
 もう一つは──」

 ザッ!

 言葉の途中で、ユウはいきなりその影──幹に顔を持つ大木の魔獣に向かって駆け出した。
 迎え撃つように飛来してくる枝や根をすべて舞うようにすれすれでかいくぐり、ちょうど顔の
部分に向けて剣を振りかぶり、振り下ろす。
 ──しかし、

 ガンッ!

 固いものが衝突しあう音がしただけで、剣は幹を多少抉っただけで止められていた。
「チッ、やっぱダメか」
 ユウは舌打ちして剣をひき、後退しようとする。
 ──が、それに合わせてその背後からユウの背を貫かんと槍のように木の根が突き出した。
「! ユウ、後ろだ!!」
 イーサが気付き叫ぶも、その「槍」はユウの背中を易々と貫く。
 ──はずだった。
「へっ、あっま〜い」
 軽く身を沈め、タンッという軽い音とともにユウは地を蹴った。
 バク宙の要領でひらりと宙を舞って「槍」をかわし、着地ざまその根を一閃する。
 ──まるで軽業師のような身のこなしは、ユウ自身の機動性と最小限にまで削ぎ落とした装備
ゆえのものだ。この魔獣を相手するにあたり、ユウは「防御」することより「回避」に重きを
置いて装備を整えた。魔獣の一撃は、どれもまともに受けた時点で致命傷になりうるからだ。
「その程度で俺を捕らえようなんて、1012億とんで4年早ェんだよ!」
 高らかにそう宣言すると、ユウはさらに間合いを離してイーサに近づいた。
「……とまあ、二つ目は本体はメチャメチャ固いから生半可な攻撃は効かない、ってことだな」
「…………」
 魔獣を睨んだままそう続けたユウに、イーサは呆気にとられたように黙り込んだ。
「そんな訳で、ここは一発どかんと大技でも食らわさないことには──ん? どうした?」
 ようやくイーサが固まっていることに気付いたらしく、ユウは話を中断して問いかける。
「ど、どうしたって……わざわざ私に説明するために、ヤツに斬りかかったのか?」
「いや……それもあるけど、もしかしたら効くかな〜とか思ってよ。やっぱダメだったけど」
 問い返すイーサに、ユウはやはりさらりと答えた。
 ──ユウは機動性においては目を見張るものがあるが、いかんせん一撃が「軽い」。
 技を使うにしても、片手で繰り出す技の威力など高が知れている。
「ま、まあとりあえずヤツの特徴は分かった。どう倒すつもりだ」
「そこなんだよなぁ……正直、片手が使えない今の俺の腕力じゃ傷をつけるのがやっと。
 かといって、持久戦に持ち込んでもこっちが先に消耗するのは目に見えてらぁ」
 間断的に襲い来る根や枝を避け、あるいは切り払いつつユウは息さえ切らさずぼやいた。
 ──だが、それも時間の問題だ。
「木だけに火には弱いだろうけど、こんな森の中でヤツが燃えるくらいの火を使ったら……」
「周りに燃え移ってこちらも蒸し焼きになる、か。正に八方塞がりだな」
「ンな、あっさり言いきらねえでイーサもなんか考えてく──おわぁっ!?」
 一瞬、言い合いに気をとられた隙に後ろから忍び寄っていた根がユウの右腕に巻きつき、
ユウの体を持ち上げた。
「げっ、しまっ──!」
 回避することも、剣さえも封じられて焦るユウの眼前に、鋭い枝の先端が迫る。
(やられる──!)
 息を呑み、次の衝撃を覚悟するユウの視界の端に──二つの「光」が走った。

 ザンッ!

 一つの光はユウに迫っていた枝を。もう一つの光はユウの腕に巻きついていた根を両断する。
「ユウしゃん! 大丈夫ダニか!?」
 枝を切り落とした光──淡いピンク色の毛並みを持つ猫は華麗に着地すると、人間の言葉で
そう叫んだ。
「おっ、ルカ! 無事だったか!」
「当たり前ダニ。やっぱりユウしゃんにはボクがいないと駄目ダニね〜」
「うるへー。そっちこそ、今迄どこほっつき歩いてたんだよっ」
 やれやれと言わんばかりの口調で言う猫の聖魔──ルカに、ユウは仏頂面で言い返す。
「ユウしゃんを探してたに決まってるダニ。──それより、そっちの聖魔しゃんは?」
「あ、ああ。こいつはイーサだ。イーサもサンキューな、助かった」
 ルカの言葉で思い出したように、ユウは腕に巻きついた根をへし折ったもう一つの光──
凄まじい勢いの水流を放った聖魔に礼を言う。
「礼には及ばん。……お前が、こいつの相棒という聖魔か」
「ルカダニ〜。相棒って言うより、お目付け役っていう方が正しいダニ。
 いっつもユウしゃんの間抜けっぷりには苦労させられてるダニよ〜」
「それは……確かに苦労しそうだな」
 妙なところで共感している聖魔二匹に、当のユウはぶるぶると体を震わせている。
「ぃやかましいっ! 誰が、間抜けでおっちょこちょいで救いようの無い馬鹿だっ!?」
「誰もそこまで言ってないダニよ……」
「ある意味、自覚がある分潔くもあるな」
 会って早々息のあった二匹の突っ込みに、ユウは「う〜」と恨めしげに唸った。
「とっ、とにかく! さっさとヤツを片付けるぞ!」
 自棄気味に言い放ち、ユウは改めて剣を構えなおす。
「片付ける、といってもな……何か良い案でもあるのか?」
「へっへ〜、火がダメなら──な。俺とルカがヤツの注意をひきつけるから、イーサはヤツの
後ろに回れ。俺の合図で、ヤツの本体にありったけの水──いや、氷のブレスをかますんだ」
「? 分かった。指示に従おう」
 不敵に笑って言うユウに、イーサは半信半疑のまま高く飛び上がった。
「おし、そんじゃ俺達も行くぞ、ルカ!」
「ボクもなんだかよく分からないけど──行くダニ!」
 吠えて駆け出すユウに続き、ルカも魔獣の前へと躍り出る。
 鞭のようにしなりながら四方八方から迫り来る枝や根を、ユウの素早い太刀行きと剣技の妙、
ルカの鋭い爪と相手を翻弄する動きとが息のあった連携で次々に切り落としていく。
「ルカ、何本切った?」
 互いに背を合わせるように立ち止まり、相手の隙を窺いながらユウはルカに尋ねる。
「ええっと……七本くらいダニ」
「へへっ、じゃあ俺の勝ちだな♪ これで──」
 不意に言葉を切り、ユウは体をコマのように反転させるとルカを真上から捕らえようと
していた二本の触手をまとめて切り払った。
「十本目だ!」
 ほとんどの枝と根を切り払い、攻撃の波が止んだ瞬間を見計らって、ユウは声を張り上げた。
「イーサ! 今だ!!」
 ユウの合図とともに、背後に回っていたイーサは大きく息を吸い込み、翼を羽ばたかせる──

 キィ──ィンッ

 甲高い空気の悲鳴とともに放たれた冷気の暴風は、見る間に魔獣の枝を、根を、幹までもを
凍らせていく。
「おっしゃあ、でかしたイーサ!」
 巨大な氷のオブジェとなりつつある魔獣に向かって正眼に剣を構えると、ユウは愛剣に気を
込めた。鋼のそれから光そのものの刃のごとく姿を変える様は、「光剣」の銘に相応しい。
 逆巻く気を纏う剣を握り締め、ユウはその「光剣」を一気に振り上げる。
「食らいやがれ化け物──天空昇!!」

 ドォォンッ!!

 光を纏い、高みへと昇る竜の角のごとく突き上げる一撃に、凍てついた魔獣の体が大きく
揺らいだ。そして、

 ……ビキッ バキバキッ──

 ユウの渾身の一撃を食らった箇所に、大きな亀裂が入ったかと思うと、そこを基点に魔獣の
全体へと波紋のように亀裂が広がっていき──

 バギィンッ!!

 轟音とともに魔獣の体が──それこそ氷塊のように──砕け、がらがらと崩れ落ちていく。
 もうもうと立ち込める砂埃の中──数秒後にはそこに大小様々な木片の山が築かれていた。
「……ぃよっしゃあぁ! ダーク・トレント撃破ってな!!」
 それを確認するや否や、ユウは高々と剣を掲げて勝利の雄叫びを上げる。
 思いもかけない魔獣の最期に呆然としていたルカやイーサも、ユウの下へと近寄った。
「す、すごいダニ、ユウしゃん!」
「確かに、見事だ。だが、いったい何故──」
 興奮してはしゃぐルカに、イーサも驚きを隠せぬ様子でユウに声をかける。
 ユウは得意げににやっと笑うと、剣を鞘に収めながら説明した。
「前に、えらい寒い地方では木が凍ることで真っ二つに割れちまう現象があるって聞いてな。
 それと同じように、ヤツを凍らせちまえば衝撃に脆くなるんじゃねえか、って睨んだんだ。
 まさか、ここまで上手くいくとは思わなかったけどな〜」
「……なるほどな……凍裂、というヤツか。
 しかし、お前がそこまで頭の回るヤツだとは……私はお前を見くびっていたようだ」
 畏怖と賞賛の言葉を述べるイーサに、ユウはひらひらと手を振ってみせる。
「ま、これも水の聖魔のお前がいなきゃ出来ないやり方だったんだし。
 お前が助太刀してくれて、本当に助かった。ありがとな、イーサ」
「いや……こちらとしても、礼を言わねばならんな。
 お前がヤツを倒さなければ、たとえすぐにではなくともいずれ村に襲い掛かっていたろう」
 素直に礼を述べるイーサに、ユウは目を丸くした。
「な、なんかお前にそこまで素直に礼言われるなんて……それはそれで気持ち悪いぜぇ」
「……どういう意味だ」
 ぼそっと呟いたユウの台詞を聞きとがめ、イーサは一転してじろっとユウを睨む。
 険悪になりかけた雰囲気を察したか、ルカは慌てて二人の間に割り込んだ。
「で、でもとにかく良かったダニ。これで聖ヘレンズ城に戻れるダニね、ユウしゃん!」
 ──その一言が新たに波紋を呼ぶとは思いもせずに。
「……聖ヘレンズ……だと?」
「おわっ、馬鹿! それは──」
「えっ? えっ? ボ、ボク何かマズイこと言ったダニか?」
 訝しげに問い返すイーサと慌てたユウに咎められ、ルカは目をぱちくりさせた。
「そういえば、先程お前が使った『天空昇』という剣技……聖ヘレンズに伝わるものと聞く。
 ユウ、お前はまさか……」
(あっちゃ〜……完全にバレたな、こりゃ)
 疑惑の目を向けるイーサにユウは深い溜息を吐くと、
「……リリィや村の人達には秘密な。じゃねえと、お前が聖魔だってこともバラすぞ」
「……交換条件、か。良かろう。
 どちらにしろ、リリィに『喋るかける』つもりは今後もないからな。
 お前がただの旅の剣士ではないと知ったところで、別にどうこうするつもりもない」
 バサリ、と大きく白い翼をはためかせ、イーサは空高く舞い上がった。
「戻るのか?」
「ああ。リリィに余計な心配をかけるわけにもいかんからな」
「そっか……そうだな。リリィによろしく──って、お前がリリィに『よろしく』言うわけにも
いかねえか」
 苦笑して言うユウを、イーサは「フン」と不機嫌そうに鼻であしらう。そして、
「ユウ」
「ん?」
「彼女は、お前がまた来るのをいつまでも待ち続けるだろう」
 イーサの静かな言葉に、ユウもふと真顔になった。
「お前が嘘を吐かなければならなかった訳も──真実も。
 お前が打ち明けるのを彼女は信じて待っている」
 諭すようなイーサの台詞に、ユウはわずかに目を見開いた。
 脳裏に、最後の別れの時に彼女の顔に浮かんだ戸惑いの色がよぎる。
(……そういう、ことか……)
 やがて、ユウは根負けしたようにふっと微苦笑を浮かべると、
「……ホンット──敵わねえぜ。リリィにも。イーサ、お前にも」
 その台詞に、白い鷹はわずかに笑ったように見えた。
「──では、いずれまた会おう」
「ああ。また、な」
 別れの挨拶を交わすと、イーサは向きを変えて村の方へと一直線に飛び去っていった。


「ったく……最後の最後まで、憎ったらしい鷹だぜぇ……」
 とうに見えなくなった鷹に向けてそう呟くと、ユウは置いておいた荷物袋を担ぎ上げた。
「ほれ、俺達も帰ろうぜ。……って、何してんだルカ?」
 相棒に振り向いたユウは、そこでルカが何やら悩んでいる様子なのを見て首を傾げる。
「ユウしゃん。どうしてイーサしゃん達に聖へレンズの将軍だってこと、隠してたダニか?」
 どうやら何故ユウに咎められたのだろう、と考え込んでいたらしいルカはユウにそう尋ねた。
「あー……それな」
 ユウは歩き出しながら、その訳を話し始める。
「なんっつーか……ここら辺みたいな辺境に聖へレンズの将軍がわざわざ出向いてくるには、
何か訳があるんじゃないかって勘ぐられるのが嫌だったんだよ。
 実際、俺もあのダーク・トレント討伐の任務で来たわけだけど……まさか、近くの森にそんな
魔獣が現れた、なんて知ったら村の人間は不安がるだけだろ? 魔獣のことにはまだ気付いて
なかったみたいだしな。幸い、というかこの森にヤツ以外の魔物とかは生息してないみたい
だから、俺がヤツを倒しさえすれば、問題なかったわけだし。
 だから、そもそも将軍である事を隠して余計な詮索されないようにしたってワケ」
「そうだったダニか〜」
 ユウの後をついていきながら、ルカは納得したように頷いた。
 普段、よくふざけた言動をしているので忘れがちになるが、ユウは中々機転が利く。
 抜けているようで、抜け目ないところがあるのだ。
 しかし、長年ユウと付き合っているルカはさらに抜け目がない。
「けど、イーサしゃんにはバレてたみたいダニよ? リリィしゃんって子にも?」
「うっ……」
 ルカの鋭い突っ込みにユウは痛いところをつかれたように、呻いてたじろぐ。
「し、仕方ねえだろ。嘘吐くのは苦手なんだぜぇ?
 イーサはともかく、リリィにまでバレてたとは思わなかったけどよぉ……」
 だが改めて考えると、リリィは確かにこちらの機微を察するに長けているような節はあった。
 恐らく、嘘を吐いていることへのユウの僅かな葛藤すらも、感じ取っていたのだろう。
「ホント、ユウしゃんは爪が甘いダニ〜。
 そんなんだから、あの魔獣にも崖から突き落とされるんダニよ」
 もぐもぐと言い訳するユウに、ルカはさらに容赦ない一言を浴びせる。
「うぐ……」
 これにはユウも反論できず、落ち込んだ様子で黙り込んだ。
 その様子を見て、ルカは溜息を吐くとぽつりと付け加える。
「ホント……崖から落ちたときは、すごく心配したダニよ……」
「ルカ……」
 トーンを落として呟かれたルカの言葉に、ユウは軽く目を見張って相棒を振り向いた。
 そして、ルカが今にも泣き出しそうにしているのを見て取ると、立ち止まって屈み込み、
わしわしとその頭をなでた。
「ごめんな、心配させて」
「……まったくダニ。ユウしゃんと付き合ってると、寿命がいくら合っても足りないダニ」
 強がって減らず口を叩くルカにユウは苦笑いを浮かべると、ひょいっとルカの首根っこを
掴みあげて自分の頭の上に乗っけた。
 ──もう、この相棒と出会って十年近く経っているというのに、不思議とそんなに重さを
感じないのは、その間にそれだけ自分が成長したということなのだろうか。
 そして、その間ずっと変わらずにこの相棒は自分の側についてくれている。
 父を目の前で失った悲しみも。父の遺志を継ぐために修行に明け暮れた辛い日々も。
 乗り越えてこれたのは、いつもルカが側にいてくれたからだという事も、よく分かっている。
「だ〜から悪かったって。
 聖ヘレンズに戻ったら、好きな食いもんたらふく食わしてやるから、機嫌直せよ」
「……本当ダニか? 絶対ダニよ!」
 彼の言葉にルカはぴくっと反応すると先程までの泣き出しそうな様子はどこへやら、すこぶる
嬉しそうに念を押した。
「へいへい」
 どうやら相棒の機嫌が直ったらしい事を確認すると、ユウは再び森を抜ける道を歩き出す。
 前方から明るい光が差し込んでいる。森の出口は、もうそう遠くないだろう。
「──そういえば、イーサしゃんの言ってたリリィしゃんって、どんな人ダニ?」
 ユウの頭の上に乗っかったまま、ルカはふと思い出したように尋ねた。
「ん〜? ああ、森で俺を見つけてケガの手当てしてくれたコだよ。
 『あの』イーサの飼い主とは思えないほど、ホンット親切なコだったぜぇ」
 「あの」という部分をこれでもかという具合に強調して言うユウに、ルカは「ふ〜ん」と
意味ありげに頷くと、
「ユウしゃん……よっぽど、そのリリィしゃんのことが気になってるんダニね〜」
「なっ──た、確かにちょっと可愛いな〜とか思ったけど、それだけだぞ。ホントだぞ」
(……それを気になってるっていうんダニ……)
 口に出して突っ込むとユウがさらにムキになることは分かりきっていたので、ルカはその
突っ込みを胸中にとどめておいた。
 今はユウの顔は見えないが、恐らく朱が差しているに違いない。
 一方、ルカの予想通り、真っ赤な顔でルカの言葉を否定したユウは、ふと真面目な顔になると
言葉を続けた。
「それに……リリィは、さ。目が、あんま見えてないらしいんだ」
「え? でも、ユウしゃんのケガの手当てをしてくれたのは、そのリリィしゃんじゃあ?」
 「ああ。そこが、すげえって思ったんだけど──目が見えないからどうだって話じゃなくて、
当然のことみたいに俺のケガの手当てしてくれたりとか、村の子供の世話見たりとかしててよ。
 それに……もっと世界の色々な事を知りたい、ってことも話してくれたんだ。
 自分は、村とこの森のことしか知らないから、ってよ。だから──」
 そこまで語ってから、ユウは急に強くなった日差しに目を細めた。
 頭上を、そして周囲を覆い尽くしていた深緑が途切れ、燦々と降り注ぐ陽光が視界を白く染める。
 徐々に慣れてくる視界に──広大な草原の新緑、どこまでも続く蒼穹が映った。
「約束、したんだ。また、会いに来る──その時は、また色々な話を聞かせてやるって、さ」
 彼女の言っていた外の「世界」には、彼女自身も知らない──想像もつかないモノがそれこそ
星の数ほどあるだろう。リリィ自身も言っていたように、確かにそこに踏み出すには勇気がいる
かもしれない。元来、人間という生き物は、特に「未知」のものを恐れるように出来ている。
 だが、同時に人間という生き物は──「未知」を恐れるだけで終わるようには出来ていない。
『私は、もっと世界の色々なことを知りたい──』
 そう胸の内を語ったリリィの真摯な表情に垣間見えた、強い意志を──彼は知っている。
 彼女自身は自分に勇気が足りないと言っていたが、そんなことはないとユウは思っていた。
(リリィは、もう自分の作っていた「壁」の向こうの「世界」に、ちゃんと目を向けてた。
 あとは……「きっかけ」、だよな)
 自分が世界を回る内に知りえた話をすることが、彼女の決意のきっかけとなるのであれば。
 かつて、幼い身で故郷を離れる時に似たような迷いを抱いた自分としては、これほど嬉しい
ことはない。
「まあ……助けてくれたリリィに俺が出来ることといえば、そんくらいだし?
 幸い、話すネタには困らねえからな〜、俺の場合」
 ユウは口調をいつもの軽い調子に戻し、うんうんと一人頷いた。
「そうダニね。ボクも、そのリリィしゃんに会ってみたいダニ!」
 ユウの言葉に、ルカも乗り気な様子で同意する。
「おっし! 決まり、だな♪」
 ユウは明るい笑顔で話を纏めると、ルカが落ちないように気をつけながら空を見上げた。
 蒼穹に輝く太陽は、朝見たときより高く天へと昇っている。
 ──そうだ。この空も、村で見た空も。リリィが、あるいはユウ自身も知らない地の空さえも。
すべては、繋がっている。
 彼女もそう遠くない未来に、自分の力で知ることになるだろう。
(リリィが今居る「世界」も、リリィの言う外の「世界」も……結局は「一つ」だってことさ)
 たとえ、その目に映る景色は違えど。
 彼女と自分は今、同じ空の下に立っているのだという事を──。
「さ〜て、さくっと聖ヘレンズに帰るぜぇ〜!」
「帰るダニ〜!」
 再び視線を草原の先に──微かに見える街の遠景へと戻し、気合いを入れるユウにルカも
元気よく応じた。
 また、いつか──。
 あの少女に告げた、自分のその言葉まで嘘にはしたくないから。
 だから、今は目の前に続くこの道を歩いていこう。
 そして、必ず──。
 また少女の下へ訪れるその時は、今度こそ真実を話そう。

 そう固く誓い、振り仰いだ空は──
 あの少女の瞳のように、透き通るような美しい蒼だった。

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Afternoon of one day 投稿者:国際生 鞠子 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:13 No.41   
ラティスの村の北に位置する丘。地面には背の低い花が咲き乱れている。
「・・・ここへ来るのも久しぶりだな」
長い青髪を後ろで束ねた背の高い青年がそこに立っている。



南には教会、自分の育った村、この村を出れば聖魔の森、闇の洞窟がある。
・・・あまり考えたこともなかったがこんな小さな島の癖に色んなものがあるな。
そんなことを考えながらボンヤリそこに突っ立っていると、
「おーい、ルイお兄ちゃーん!いつー、帰ってきたのー?」
大声で叫びながら少女がこっちへ走ってくる。
「―――フィーナ」
「はぁ・・・ねえねえ・・・はぁ・・・いつ帰って・・・はぁ・・・きたの?」
かなり息が荒くなっているが、フィーナはそんなことは気にせずにルイの腕にぶら下がる。
「無理するなよ」
「うん、だからいつ?」
「さっきだ」
自分の腕に引っかかった細い腕をそっと退けて、彼はフィーナの少し後ろを小股で歩く。屈託のない笑顔がこちらを振り向く。
「テイルは?」
「聖魔の森に行っている。今頃仲間と―――」
「ルイしゃーん、ボクは今戻ってきたデシー!」
ルイは後ろを振り向いた。
「・・・帰ってきたようだ」
小さな点がすごいスピードで向かってくる。やがてクリーム色の子猫と分かるまでの大きさになり、ルイの前で急停車した。何か口にくわえているようだ。
「お土産に木苺デシ。あ、フィーナしゃん、お久しぶりデシ」
テイルが差し出した山盛りの木苺の実にフィーナが身をかがめる。思わずルイも身をかがめる。つんとした甘酸っぱい匂いが二人の鼻をついた。
「うわああ、いい匂い。ねえ、一緒にお花摘もうよ」
「行くデシー。ルイしゃん、これ預かっといてデシ」
そう言われるなり大量の木苺がルイが差し出した両手に転がり込んできた。
「ルイ兄ちゃんはー?」
遠ざかっていく背中が振り向いて質問が飛んできた。
「俺はいい、見とく」
「じゃ見ててねー」
くるり、また背中を見せて影が遠ざかっていく。



 ―――ラティスの村・・・何年ぶりだろうか。
 そこら辺に座り込み、手持ちの袋の中に木苺を入れて同じくそこら辺に放り出しておいてから彼は思った。
 今俺はあいつ―――父の仇―――を追っている。それだけで時間が過ぎていく・・・本当にこれでいいんだろうか?
ルイは手を頭の後ろに回して芝生の上に寝転がった。ふう、とため息をつく。

暖かい太陽の光が降り注いでいる。

―――親父。待っていてくれ・・・。

涼しい風がひゅう、とあっちからこっちへ自分の頬を掠めて走り去っていく。

―――いつかあいつを倒すまで・・・。

抜けるような蒼い空に途切れた雲がさあっと流れていく。

―――バジル・・・お前は今何処にいるんだ?・・・それにしても今日は―――

フィーナの笑い声が遠くで聞こえる。

―――すべてが気持ちいい日だな・・・・・・。

ルイはそのまま目を閉じた。暖かくて、涼しくて、聞こえるものは笑い声と草の揺れる音・・・・・・。



「寝てる?」
「みたいデシ」
手にいっぱい花を抱えて戻ってきたフィーナとテイルは、ぽよんとした寝顔をみおろした。
「起こさないであげようね」
「・・・それにしても可愛い寝顔デシね」
「ふふっ・・・」
「あ、木苺は何処デシ?」
「これじゃないかなあ?すぐそこにあったけど」
フィーナが転がっていた袋を拾い上げた。
「ルイしゃん・・・わかってないデシね。木苺は袋に入れたらつぶれちゃうデシ」
「気にしないのよ、テイル」
ひとりと一匹はルイの左、右横にそれぞれ座り込んだ。
「・・・気持ちいい日デシね」
「・・・そうだね」
「だからルイしゃんも寝ちゃったんデシね」
「フィーナも寝ちゃいたい」
「夜寝られなくなるデシ。全く、ルイしゃんそのこと考えてるんデシか?」
「ふふふ・・・」
フィーナはその場に大の字に寝転がった。
「何かおかしいデシか?」
「テイルって理屈っぽい・・・」
「わ、悪かったデシね!どうせボクは・・・」
「しー、起こしちゃうよ」
「あ、危ないデシ・・・ルイしゃんはそのあと何するかわからないデシ」



 ふっと目を覚ましてみると、右隣にテイルがいる・・・腹が空に向かったまま寝ている・・・無防備だな・・・。左隣にはフィーナが・・・寝ている・・・こっちも見る限り無防備だ・・・。
ルイは二人を起こさないようそおっと起き上がった。いけねえ、爆睡したか・・・そうでもないな。
「イ・・・ル・・・・・・イ・・・むにゃ」
ルイはフィーナの方向を見た。寝言で俺を呼んでいる?
「・・・え?」
「・・・イル・・・テイル・・・たいやき・・・食べよう・・・ふにゃ」
 聞いた瞬間、ルイは一気に興ざめして正面を向いた。なんだ、自分の名前かと思ってしまった。そして、聖魔相手に嫉妬気味な自分に気づく。
―――まさかこれにテイルが答えるなんてことはないだろうな。そう思ってルイはテイルの方向を見た。
「・・・食べるデシー・・・ニャー・・・」
―――本当かよ。
「フッ・・・・・・こいつらどんな夢見ているんだ」
吹き出しそうになるのを押さえて、それでも苦笑しながら再び正面を見た。すると今度は、
「ルイ・・・お兄ちゃん・・・も・・・」
「え・・・」
ルイは思わずフィーナの方向を見た。
「・・・食べない・・・の・・・」
―――やっと俺か・・・だから何で俺が聖魔に嫉妬しなくてはいけないんだ。もう問題ないじゃないか。
再び自分でクスリと笑った。
「食べるよ」
ルイはそう言ってまた地面に寝転がった。全く、こいつら睡眠が浅すぎる・・・。
そう思って再び目を閉じる。



風が三人の上を掠めて笑いながら走っていく。

太陽はやさしく見守り、

空が全てを包み込む。

聞こえるのは草の揺れる音。

この瞬間にも全ては回っている。

どこかで命が消えたとき、どこかで新しい命が芽生える。

果たしてどこまで命の回転は続いていくのだろうか、そんなの誰も知らない。

誰も知らなくてもいいのかって?

そんなもの、問題ない。



なんでもないようで幸せな1日が、そこにあった。


Fin.



あとがき

故郷の村に一時帰省したときのルイの話。外伝2『あの日の約束』の前の話ですね。
というか帰省したかどうかも分からないのに書いていいのか(ぉ
あとフィーナちゃんの感じがあまり分からなかったのでこんな風かなと。
何か読み終わったときにほっとするようなものを書きたかったので。
そう感じていただければ嬉しいですね。

http://michaelkorsoutlet.wp-i.com/Michae... - Michael Kors Outlet Online 2013/12/10(Tue) 21:43 No.1928 home
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遠きまだ見ぬ空の歌(中編) 投稿者:氷雨 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:08 No.32   
──翌朝。
 小鳥のさえずりで目を覚ましたユウは、欠伸を噛み殺しつつベッドから抜け出した。
「う〜……眠い……」
 昨日はイーサの視線の恐怖に眠気が勝るまで中々寝付けなかったためか、いまいち頭が
すっきりしない。
(……顔でも洗うか)
 ユウはベッドから這い出て、そばの台に置かれていた洗面器に水差しから水を入れる──
恐らくどちらも先に起きていたリリィが用意しておいてくれたものなのだろう──と、片手で
じゃばじゃばと顔を洗った。
「っくぅ〜っ、つめてぇ〜っ!」
 汲み上げたばかりだったのか、その水は氷のように冷たく、顔を洗っただけでも凍えそうだ。
 それだけに、頭のぼうっとしていた部分はあっという間にどこかへ行ってしまう。
 一緒に置かれていたタオルで顔を拭き、気分がすっきりしたところで顔を上げると、イーサが
止まり木でこっくりこっくりと舟を漕いでいるのが目に入った。
「ったく……昨日はあれだけ人に睨みきかせやがったくせに、調子がいいヤツだぜぇ」
 よっぽど突付いて起こしてやろうかとも思ったが、それも後で何をされるか分からないと
思い返したユウはそのままにしておいた。

 コンコンッ

 奥の部屋と繋がるドアからのノックの音に気付き、ユウはそちらに振り返る。
「起きてるぜ〜」
 彼の応えにドアが開くと、そこにはリリィが立っていた。
「おはようございます。よく眠れましたか?」
「お、おう。もうばっちりな」
 まさか「イーサが怖くて中々寝付けなかった」などとは、口が裂けても言えない。
「朝食の支度が出来てますから、今持ってきますね」
「あ、いや……俺がそっち行くわ。何度も持ってきてもらうのも悪いしよ。
 ──って、俺がそっちの部屋に行っても平気なら、だけどさ」
「そうですか? では、こちらにどうぞ」
 リリィの案内で奥の部屋に行くと、そこはユウが寝泊りしていた部屋とほぼ同じ造りに
なっていた。ただ、内装や置かれている小物などはやはり少女らしい。色々な植物の鉢植えも、
ユウのような素人目で見ても丁寧に手入れされているのが分かる。
「へえ……色んな花があるんだな〜。これ全部リリィが世話してるんだろ?」
「ええ。私のちょっとした自慢なんです。育て方の難しい花とかもありますし……。
 でも、花は見た目だけじゃなくて、香りでも楽しめるでしょう? だから好きなんです」
「……なるほど、もしかして──だから薬草にも詳しいとか?」
「はい。よく分かりましたね?」
 しげしげと花々を眺めながら問うユウに、リリィは少し驚いたようだった。
「俺の手当てをしてくれた、って言ったろ? 普通の傷薬とは、においが違ったからな。
 傷薬に使える草は色々な種類があるけど、それがどの草かってことまで把握してるのは
本当に詳しい人間くらいだろうし」
 ユウはリリィの顔を振り仰ぎ、けろっとした顔で答える。
 ──剣士であるユウにとって傷薬は必需品なのだから、少し気を払えば分かる事だ。
「確かにユウさんの言うとおり、森で花や草を摘んでいる内にもっと詳しく知りたいと思って、
人に教わったりして薬草のことも少しずつ勉強したんです。
 薬草の知識があれば、困っている人を助けることも出来る──そう、思って」
「それで、俺も助けられたってわけだ。大したもんだな〜……」
「いえ、そんな……それより、早く朝食にしましょう。料理が冷めてしまいますから」
「──それもそうだな。飯!飯!飯!」
 リリィの言葉にユウも顔を上げると、くるっと踵を返して席に着く。
 テーブルの上には、森の近くだけあって──焼きたてのクルミ入りのパンや木の実が彩りを
添えるサラダやスープなどが並べられていた。
「そんじゃ、いっただきま〜っす!」
「はい、どうぞ召し上がれ」
 元気よく、きちっと両手を合わせるユウにリリィも微笑んで答える。
「しっかし、ほんっとリリィは料理上手いよなぁ。誰かに教わったのか?」
 香ばしいパンにぱくつきながら、ユウはふとした疑問を投げかける。
「はい。シーナさん──このすぐ近くに住んでいる人に教わりました。
 薬草とかについても、その方に教わったんですよ」
「ふ〜ん……もしかして、この家の前で洗濯物干してたおばちゃん?」
「会われたんですか?」
「ああ。手当てをしてくれたのがリリィってことと、リリィの居場所を教えてくれたんだ」
 ──程なくして、テーブルの上を彩っていた料理の数々は大半がユウによって平らげられた。
「ごちそうさま〜。──さてっと、そろそろ出発の準備でもするかな」
「あ……そうですね。ちょっと待っててください」
 リリィは食器をさげて戻ってくる時に奥からユウの荷物袋、鎧などの装備品、そして一振りの
剣を一つずつ持ってくると律儀にテーブルの上に置いていった。
 それと、両手の上に載るぐらいの木箱を持ってくる。
「悪い、重かったか?」
「え、ええ。私がユウさんを見つけた時は、他の人達がユウさんをここに運び込んで
くれたんですけど……剣とかって、結構重いんですね。初めて知りました」
「まあ、初めてだったらそう思うかもな。でも、それでも軽い方なんだぜ。
 俺、あんまり重い鎧とか大剣とか好きじゃねえし」
 事実、持ち前の身のこなしの素早さに重きを置くユウは、正統な剣士としては軽装ともいえる
装備をしている。愛剣──光剣ヘブンズ・ブレイドにしても、刀身は細身な方だ。
「そうなんですか?
 それでも、こんな剣を軽々と扱うなんて……やっぱり、ユウさんって凄いんですね」
「そ、そうかぁ?」
(……な、なんかそうやって改まって言われると照れるぜぇ……)
 心から感心しているらしきリリィの賞賛に、ユウはぽりぽりと頬を掻きながらこそばゆい
思いであさっての方に目を逸らした。
 ──元々、そのお調子者な言動から、相手に甘く見られることが多いユウにとって、
これだけ率直な賞賛を受けることは少なかった。
 普段ならここでふざけて「当然」と言い切ることも出来ただろうが、ユウを「上辺」で
見ていないリリィに対しては、どうもそんな取り繕い方は通用しない気がした。
「……敵わねえな、まったく」
「え?」
 苦笑しながら呟いたユウに、リリィは疑問符を浮かべる。
「いや、独り言さ。
 ──そうだ。世話になった礼に、良いものやるよ」
 ふと何かを思い出したようにユウは荷物袋をごそごそ漁ると、布で丁寧に包んだ何かを
リリィに手渡す。
 布からは微かに、甘い香りが漂ってくる。
「なんですか?」
「ワイルドストロベリー、っていう花だ。なんか、すっげえ珍しい花らしくてさ。
 あの森の中で偶然見つけたんだ。
 なんでも、幸せを呼ぶとか、願いを叶えてくれるとか言われているらしいぜ」
 荷物袋の口を閉めながら、ユウは前に聞いた話を思い出しながらそう説明した。
「本当は、知り合いのレア物好きにくれてやろうかってつもりだったんだけどな。
 ……ま、見つけただなんて言わなきゃバレねえし?」
 意地の悪い笑みを浮かべて、ユウはしゃあしゃあと言いのける。
 リリィはしばらく布に包まれた赤い小さな花を目の前に近づけて見つめていたかと思うと、
再び大事そうに布に包んでぺこりと頭を下げた。
「ありがとうございます。大切にしますね」
「こっちこそ、ホントに世話になりっぱなしだったからな」
 それに、とユウは胸中で付け加えた。
 ──本当のことを語らずに、自分は彼女の前から立ち去ってしまうのだから。
 勿論そのことに良心は痛むし、出来るなら本当のことを話していきたい。
 だがしかし。今、彼女に本当のことを話すのは簡単だが、それによって彼女を不安に
させてしまうだろう。
 彼女を不安にさせたまま立ち去るぐらいなら、己の心の痛みなどどれほどのものだというのか。
(後味が良いとは言えねえけど……仕方ねえよな)
 そんな想いは露ほどにも出さずに、ユウは鎧や剣を装備しようとして──そういえば左手が
使えないのだということを思い出す。
「あ、お手伝いしますよ。それに、先に傷の包帯も替えないと」
 どう装備しようか悩むユウに、それに気付いたらしきリリィはそう声をかけて先程の木箱の
ふたを開けた。中には、乾燥された草──薬草だろう──と包帯が入っていた。
「あー……じゃあ、頼んだ」
 自分のふがいなさに多少落ち込みつつも、ユウは傷口の包帯の交換と鎧の装備をリリィに
手伝ってもらう。
 傷の方は元々、大したことがなかったので大抵が塞がりかけていたが、左腕はさすがに
そういう訳にもいかない。疼きは大分治まっていたが、改めて添え木でしっかり固定される。
「あくまで応急処置ですから、ちゃんと他の所で治療を受けてくださいね。
 特に左腕は骨折の症状自体は軽いみたいですけど、当分は無理に動かしたら駄目ですよ?
 一応、荷物袋にも傷薬を多少入れておきましたから」
「お、おう。そうする……」
 その手際の良さに──普段から他の村人も看ているのだろうか?──感心しつつ、ユウは
リリィの念押しにこくこく頷いた。
 そして、鎧の装着も終えると腰に愛剣を提げる。
「よし、準備完了〜っと」
 一通り装備を確認するとユウは椅子から立ち上がり、家の外に出た。
 リリィもその後ろから続いて外に出る。
 ──旅立ちの空は、突き抜けるような快晴。じんわりと冷ややかな空気を暖めていく太陽が、
我が物顔で輝いている。
「それじゃあ、そろそろ行くな。世話ンなったぜ」
「いえ……私も色々話が聞けて、とても楽しかったです」
 にっこりと笑って答えるリリィに、ユウも照れくさそうに笑った。
「じゃあ……またいつか、な」
 そう言ってユウはリリィに背を向けて歩き出す。
「……ユウさん!」
 しばらくその背を見送っていたリリィは、不意にユウを呼び止めた。
「ん?」
 肩越しにユウが振り向くと、リリィは何かを言おうと口を開き──しかし、結局何も発さずに
俯く。ユウには、その表情に戸惑いのようなものが見えた気がした。
 しばらくして、小さく左右に頭を振ると彼女は笑顔で顔を上げる。
 そこに一瞬前までちらついていた戸惑いは、どこにもなかった。
「いえ、なんでもありません。──お気をつけて」
「……ああ。リリィも、元気でな」
 荷物袋を担ぎなおすと、ユウは今度こそリリィの前から立ち去った。


「……ユウさん、行っちゃったね」
 しばらく立ち尽くしていたリリィは、部屋の中から近づいてくる気配に気付き、そう
話しかけた。
「そういえば、どうして昨日ユウさんにあんなことしちゃったの?」
 音もなく自分の横に着地した白い影を見下ろして、リリィは彼に尋ねる。
「──な〜んて……聞いても仕方ないか。ふふっ」
 そう言って笑う彼女を、イーサは見上げたようだった。
 そして、地を打つ勢いで翼をはためかせて高く飛び上がると、ユウの後を追うように森の
方へと飛び立っていった。
「……お別れの挨拶にでも行くのかしら……?」
 空の蒼と森の緑の狭間に消えていく白い点を見送ってからリリィは部屋に戻ると、
イーサがいつ戻ってきてもいいように窓を開け放っておく。
 ──村の子供たちがあの青年が去った事を知ったら、さぞ残念がることだろう。
 皆、まだいっぱい話を聞きたがっていたのだから。それは彼女自身も同じだ。
 でも、同時にこうも言ってあげよう。「あの人は必ずまた来てくれるよ」、と。
(私も、もっと料理の腕を磨いておかなきゃ)
 リリィはそう心に決めると、彼からもらった小さな赤い花を部屋にあった花瓶にさして、
優しく笑いかけた。

 彼との「約束の証」は、窓からの春風にさやかに揺れていた。


 名もなき森に再び戻ってきたユウは、早速「相棒」を探すべく自分が崖から落ちた所へと
向かっていた。
「しっかし、ルカのヤツ……どこにいるんだぁ?」
 なにしろ、ほぼ丸一日自分は森から姿を消してあの村にいたのだから、ルカも完全に彼を
見失って途方に暮れていることだろう。
(……むしろ、俺の方が心配かけちまってるんだよな……)
 これで村で介抱されてぬくぬくベッドで一夜を過ごしたなんてことを言ったら、本気で
どつかれるかもしれない。いや、絶対どつかれる。
 ルカにその事を言おうか言うまいか真剣に悩んでいると、

 バサッ

「ん? どこかで聞いた音が……」
 頭上からした音にユウが上を見上げると、そこには──
「げっ! い、イーサ!?」
 ぎょっとしてたじろぐユウを尻目に、イーサは堂々と彼の肩に着地する。
「な、なんだよ……まだどつき足りないってのかぁ?」
 内心びくつきながらも虚勢を張るユウに、しかしイーサはじろっと相変わらず鋭い眼光で
見下ろしてきた。
(こ……怖っ!!)
 正直、泣きたいような心持ちでユウはイーサから目を逸らす。
 なにはともあれ、この膠着状態をどうにかしなくてはならない。
 ユウは悩んだ末、再度歩き出しつつちらっとイーサを見上げる。──そろそろ、頃合だろう。
「……もしかしなくても、リリィには隠してるのか?」
「…………」
 ユウの言葉に、勿論反応はない。──ように見えた。彼はなおも畳み掛ける。
「ここまで来て、だんまりも無いんじゃねえの?
 ……周りに他の人間の気配が無いことぐらい、分かってるんだろ?」
 木々の葉擦れの音が、訪れた沈黙を覆う。しばらくして、ユウの肩の上の気配が変わった。
「……いつから気付いていた?」
 低い──落ち着いた響きのその声は、わずかに驚きを含んでいた。
 その瞳に宿る輝きは、人のそれさえも凌ぐかのような知性に満ちている。
「わりと最初っから、な。
 なんていうか、俺の愛と愛と愛にかかれば、それぐらいお見通しっていうか?」
 おどけて答えるユウに、容赦ない視線の刃が突き刺さる。これにはさすがにユウも怯んだ。
「だ、だから、睨むなってば怖いから。
 俺の出身、ラティスの村でよ。何回か聖魔の森には行ったことがあるから、分かるんだ。
 それに俺の連れも、聖魔だし」
 「当たり?」と目で尋ねるユウに、イーサも観念したらしく溜息とともに答える。
「……いかにも。私は、水の聖魔だ」
「やっぱな〜。……っていう所で、なんでお前がこんな所に──しかも正体隠してリリィと
一緒にいるのか、すっごく疑問な俺なんですけど?」
「…………」
 ユウは上目遣いにイーサを見上げるが、イーサは彼を見ようともせずに黙り込む。
 そのまま答えずにいるのかと思いきや、
「……私の一族は、昔からこの森で人目を忍んで生活していた」
 淡々と語り出したイーサの口調に、感情は読み取れなかった。
「だが、あるとき森に一人の男が入ってきた。最初は、旅人か村の人間だろうと私も他の者も
大して気にも留めなかった。……が──」
 そこでふつりと言葉を区切ると、イーサからにじみ出るような怒りの気配が湧いて出る。
「奴は私達の一族の者を、次々と殺していった。笑いながら、いたぶるように。
 無論、我らも対抗したが……まったく歯が立たなかった。たった一人の男に。
 ……奴は、旅人でも村の人間でもなかった。──それどころか……『人間ですらなかった』」
「──!?」
 これには、ユウも驚愕に目を見開いた。
 脳裏に、子供のときの記憶がまざまざと蘇る。
 聖魔の森──子猫の聖魔を──黒いマント──薄い冷笑──血に染まった父の、背中──。
 後に知ったあの者の正体もまた──。
「ま、さか……そいつは……」
 口の中が、からからに乾いていた。喉の奥がひりつくようで、飲み込む唾もない。
「人の形を取ってはいたが、恐らく──魔族。それも、かなり高位のな」
(やっぱり……)
 奴だ、と直感がそう告げていた。あの時の──事も無げに父を切り捨て、見下ろしていた
混沌と狂気が渦巻く冷たい瞳を、忘れたことなど一度もない。
「そのときまだ子供だった私も奴に向かっていったが、敵うはずもない。
 一族の者すべてを殺され、虫の息だった私に奴はとどめもささずに笑って言った。
 『絶望に支配されながら、みじめに死に逝け』──とな」
 ぎりっ、と小さな音を立てて、イーサの爪がユウの肩当てを引っ掻いた。
 今だ冷めやらぬ怒りと憎しみと悔しさを、無理矢理鎮めようとするように。
「……そうして奴が立ち去った後、私はただ死を待つだけとなった。
 そこに駆け付けたのが──リリィだった」
 少女の名が出た辺りで、少しずつではあるがイーサから怒りの気配が引いていく。
「我らが襲撃を受けたのは、村から大分離れた場所だったが……彼女は目が見えない分、
他の感覚に優れているのだろう。何かの音を聞きつけたに違いない。
 彼女は瀕死だった私を拾い上げ、村で介抱してくれた。
 それ以来……私は彼女の側にいる。聖魔である事を隠して、な……」
 語り終え、イーサは再び沈黙した。そこに、怒りの気配は既にない。
 ──彼が、リリィによってどれだけ救われたか、知れようというものだ。
 一方のユウは今だ衝撃が治まらない様子だったが、なんとか平静を取り戻す。
 イーサが語った魔族が──父を殺したあの男であるか、改めて確認したい気もしたが、
したところでどうなるわけでもない。何年かは過去の話だ。
「……なるほど、な。それでリリィと一緒にいるってわけか。よーく分かった。
 でも、──自分で聞いといてなんだけど──まさか本当に話してくれるとは思わなかったぜ」
「フン……貴様が信用に足る人物か否か、ぐらいは分かる。馬鹿にするな」
 にべもなく突っぱねるイーサに、ユウは複雑な表情でぼやく。
「……なんか、褒められてるんだか貶されてるんだかよく分からねー台詞だな……。
 ──まあ、それはともかくとして、だ……」
 思いの外、すぐに立ち直ったユウは不意に足を止めると上を見上げる。
 相変わらず、背の高い木々がさわさわと囁きあいながら頭上を覆い隠していた。
 一見、何も変わりないようだが──
「……そういや、なんでわざわざ俺を追ってきたんだ?」
 上を見上げたままふとした疑問を投げかけるユウに、イーサはすこぶる不機嫌な口調で答える。
「決まっている。
 ……貴様が運んできた『災厄』が何かを、確かめるためだ」
「『災厄』?」
 イーサの口から出た思いもかけない単語に、ユウは視線を戻しておうむ返しに問い返す。
「この森に確かに崖はあるが、そう簡単に落ちるほどのものではない。
 それに、昨日から森の木々が異様にざわめいていれば──何かがおかしいと思うのは当然だ」
「なるほど、それでえらく俺のこと目の敵にしていたわけね。
 ……つっても、『俺が運んできた』ってまたヒドイ言われようだぜぇ」
 そうは言い返しつつも強い調子に出れないのは実際の所、ユウ自身もイーサの言い分が
あながち間違ってはいないと思ったからだ。

 ゥオォ……ォン……

 遠く、しかし二人の周りの大気まで震わせるそれはまるで大地の唸りのよう──。
 しかし、それが何者かの「咆哮」であることはユウもイーサも気付いていた。
 辺りの気配をうかがいながら、ユウは荷物袋を木の脇に置いて鞘から剣を抜く。
 細身の刀身が主に応えるように、木漏れ日を照り返して眩く煌いた。
「しかし……いったい、お前とヤツはどういった関係だ?」
 イーサの問いに、ユウは頬を引きつらせるとあさっての方を見ながら白々しく答えた。
「い、いっや〜……仕事でな。ちょちょいのちょいっと退治してやろうと思ったんだが、
ちょっくら油断して崖から突き落とされちまって……あの時はホントに死ぬかと思ったぜぇ」
 苦り切った顔でぼやくユウに、イーサは心底呆れたような溜息を吐く。
「……それであのザマか。見た目に違わず迂闊な男だな、お前」
「やかましい。……けど、確かにな。
 ヤツが俺の血のにおいを追って、ここまで来たことは明白だ」
 ユウの口調に隠し切れない苛立ちが混じる。
 イーサの言うとおり、油断せずにいればとうにけりは着いていたはずの相手だ。

 ズンッ……ズズッ……

「責任は取る。それが男ってもんさね。
 ……どっちにしろ、さっさとヤツを倒さないことには俺もどうにもならないしよ」
「こちらとしても、お前にこのまま尻尾を巻かれては村に危機が訪れるだけだ。
 ──仕方が無い、加勢してやる」
 意外な一言にユウはきょとんとイーサを見るが、この聖魔がそんな冗談を言うはずもない。
「……魔獣とやりあった経験は?」
「あるわけがなかろうが。だが……退くつもりもない」
「上等。お手並み拝見と行きますかね」
 不敵に笑ってから、ユウは大地を鳴動させながら徐々に近づいてきている「それ」に向かい、
剣を構えた。
「さあ、来やがれ!!」
 高らかに響き渡ったユウの声に応じるように──森の奥から「それ」は姿を現した。

http://michaelkorsoutlet.wp-i.com/Michae... - Michael Kors Outlet 2013/12/10(Tue) 21:26 No.1927 home
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祝!FREEJIAV発売! 投稿者:ハルマキ 投稿日:2007/12/01(Sat) 02:46 No.61   
バンガード「パンパカパーン!ついにFREEJIAVが発売だ!ってことで、皆乾杯!!」      
シオン「登場から騒がしいな・・・」
ティナ「仕方ないよ。あれがバンガードの性格だからね」
シオン「・・・・・・・」
バンガード「いや〜、ついに出たな。
      俺達がこれからどんな冒険をしていくのか
      ワクワクするな。」
ティナ「ホント!これからどう物語が広がっていくんだろう?
    楽しみだな〜」
シオン「ああ・・。そうだな・・・」
バンガード「テンション低いなお前。もっと楽しもうぜ!」
シオン「楽しむも何も・・・・。
    この人数では楽しめない・・・。」
ティナ「そう言われてみれば・・・
    私達の他に来てるのはピンクパールのメンバーと
    聖ヘレンズ国の方々だけだね。」
バンガード「ったく!他の奴らは一体どうしたんだ?」
イーグル「さては、俺の華麗でとても格好いい容姿に
     恐れをなしたな!」
チカ「キャハハ!言ってる意味がわからないジャン!
   やっぱイーグルはバカジャン!」
コロン「そうだそうだ!イーグルのバーカ!」
イーグル「うっせー!ガキと犬に言われたくねーよ!」
コロン「僕は犬じゃありません。聖魔です!」
チカ「犬と聖魔との違いがわからないなんて、
   イーグルはバカジャン!キャハハ!」
イーグル「ぐぬぬぬぬ・・・。
     おい!ボーズ!お前もなんとか言ってくれ!」
ボーズ「・・・・たこわさび・・、おいしい・・・。」
イーグル「期待していた答えと違ーう!!!」
バンガード「・・・はぁ、相変わらずだな・・・お前ら。」
カイン「しかし、確かにバンガードの言うとおり、
    俺達以外の人が来てないっていうのは妙だな・・・」
シェイド「何かの罠かもしれないな・・」
ルイ「あるいはユウのせいで俺達が来る場所を間違えたか・・」
ユウ「なにぃー!?俺のせいだってのかよ!」
ティナ「うーん・・・。」
シオン「・・・・・・・。
    ん?なんだ?このメロディーは・・・」
カイン「も・・もしや・・・」
トレビアン「そーよー!もしやももやしも・・って痛ッ!舌かんだ〜!」
カイン「なあ、みんな。2次会の会場へ行かないか?
    もしかしたらみんな集まってるかもしれないし。」
ユウ「それもそうだな!
   ちなみに2次会の会場は聖ヘレンズ城下町の酒場マリンだぜ!」
バンガード「お!またたくさん飲めるな!」
ティナ「身体に良くないよ、バンガード」
シオン「とにかく・・・。ユウ将軍達についていこう。」
イーグル「よ〜し!俺達もついていくぞ!
     って、すでに誰もいねぇ〜!?お〜い!待ってくれ〜!!」
トレビアンだけ残される
トレビアン「こ・・これが・・・。う・・噂の・・
      集団無視!!」


あとがき
FREEJIAV発売記念ということで
Vのキャラ初登場です。
約1名おまけもいましたが・・・(笑)
ちなみにVの新キャラでは
ピンクパールのメンバー全員が好きです。
それでは!

http://fashionmodernbags.com/ - Michael Kors Outlet Online 2013/12/10(Tue) 20:58 No.1926 home
The Zune concentrates on being a Portable Media Player. Not a web browser. Not a game machine. Maybe in the future it’ll do even better in those areas, but for now it’s a fantastic way to organize and listen to your music and videos, and is without peer in that regard. The iPod’s strengths are its web browsing and apps. If those sound more compelling, perhaps it is your best choice.

当たり前だ!! 投稿者:GOD 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:06 No.29   
バズー「ちくしょう!!また、カイン・ヴァンスにぺペロンを壊されちまったぜ。」
シード「そろそろ、ぺペロン6号でも買うか?」
バズー「バカを言うな!!50万ペインもするんだぞ」
リッチー&シード「だよなぁ・・・・・」(泣)
バズー「このままじゃ、カイン・ヴァンスに勝てないなぁ」
そこに・・・。
トレビアン「あ・ん・た・た・ちーーーーー」
瞬殺の流星「誰だ?」
トレビアン「あんた達、私のカインちゃんに何をするつもり!!」
リッチー「今、カインちゃんって言ってなかったか?」
トレビアン「そうよ!!私のカインちゃんよ!!」
バズー「お前はだれだ?」
トレビアン「私は、トレビアン・G・マンダムよ!!カインちゃんの大切な人・・」
瞬殺の流星「なにーーーーーー!?」
そのころカイン達は、聖へレンズ国の城下町にいた。
フリージア「たまには、買い物もいいですね。」
カイン「そうだなあ。フリージア後で酒場に行くぞ。」
フリージア「いいですよ。でも、なんでですか。」
カイン「レア酒パニュール・ピニョールが入荷しているかもしれないからな。」
フリージア「その前に、ユウも呼びませんか?」
カイン「いいぞ。シェイドも呼ぼう。リナは、風邪らしいからな。」
そして・・・・・・。
ユウ「酒場かぁ、たまにはいいなぁ。なにを飲もう?」
カイン「もし,パニュール・ピニョールがあったら、それを飲んでみろ」
ユウ「遠慮しとくぜ」(汗)
フリージア「カインさん!!あの人たちは・・・・・。」
バズー「カイン・ヴァンス!!来ると思っていたぜ。」
カイン「また、お前たちか!!」
バズー「お前の命もここまでよ!!人質を用意したからな。武器を捨てないとこいつを殺すぞ。」
カイン「人質とは?」
バズー「こいつだ!!」
トレビアン「カインちゃん助けてーーーー」
カイン「げ!?」
シェイド「お前は!!あの時のおかま。」
バズー「どうした。武器を捨てないと、こいつを殺すぞ!!」
カイン「別にかまわないが?」
瞬殺の流星「なにーーーー。こいつはお前の大切な人なんじゃないのか!?」
カイン「違うな。まったくの誤解だ。」
バズー「く、こうなったら俺たちが相手だ。」
ユウ「もう、俺の出番がないだろう」
ユウ「カイン、シェイドここは俺にやらせろ。」
ユウ「光のぉぉぉ・・・」
カイン&シェイド「光の翼!!」
ユウ「え!!まてーーーーい」
ちゅどーーん。
ユウ「出番が少なかった」(泣)
カイン「出番ならあるぞ」
ユウ「えっ!」
トレビアン「私の番よ!!」
ユウ「俺の前に出てくるな!!羽ばたけ光の翼!!」
トレビアン「ふ、お○まの翼!!」
シェイド「出た!!あの技だ!!」
トレビアン「ぐはっ、フリーダム・ゴッデース。」
シェイド「弱い・・・・。なんでだ?」
カイン「シェイド、お前って・・・・」




http://michaelkorsoutlet.wp-i.com/Michae... - Michael Kors USA Outle 2013/12/10(Tue) 20:51 No.1925 home
Hi there just wanted to give you a quick heads up. The text in your article seem to be running off the screen in Ie. I’m not sure if this is a formatting issue or something to do with web browser compatibility but I figured I’d post to let you know. The design and style look great though! Hope you get the issue solved soon. Cheers

俺は・・・死ぬのか? 投稿者:ハルマキ 投稿日:2007/04/05(Thu) 18:38 No.50   
-ガイア暦1657年-
ヴィッツア大陸 グランドパレス地方

雪が降りしきる白銀の森の中を
一人の青髪の青年と、一匹の子猫の聖魔が歩いていた。
青髪の青年の名はルイ・スティンといい、
聖魔の名はテイルといった。
彼らはある男を追って旅していた。
魔王に仕える魔将軍の一人バジル・・・
ルイの父親を殺し、さらには自分の妹のような存在だった
フィーナを殺した極悪非道の男である。
「バジル・・・お前はどこにいるんだ!!」
彼は叫んだが、当然この森にバジルはいない。

白銀の森の中を歩き続けて丸二日経ったとき、
突然ルイが苦しみだした。
「・・・っ!」
「ルイしゃん・・・大丈夫デシか・・?」
テイルが彼を気遣い、声をかける。
「問題ない・・・」

-テイルに心配はかけたくない-

彼はそう思ったのだろう。
立ち上がり、再び歩き始めた。
だが、歩く度に痛みが増してくる。

彼は肩を負傷していた。つい最近バジルと戦った際に。

あの時、彼はバジルに殺されそうになった。
しかし、キリトという男の出現でバジルは撤退していった為、
彼は近くの村の人に助けられ、なんとか一命は取り留めた。

肩の傷もそのときに介抱してもらったのだが、
今見ると、包帯は紅く変色していた。
傷口が開いたのである。

-くそ・・・。-

だんだんと痛みが彼の身体を蝕んでいく。
「ルイしゃん・・・さっきから顔色が悪いけど、
 本当に大丈夫デシか?」
テイルはだんだんとルイの容態に気づいてきた。
そのとき、彼は一つの標識を見つけた。
「ルイしゃん!この先にスノースリーブスっていう村が
 あるみたいデシ!
 そこへ行けば、きっと体調も良くなるデシ!」
「・・・そうだな・・・」

-スノースリーブスの道-

相変わらず白銀の森が続く。
しかし、この辺では魔物が出現していた。
とは言っても、出現するのは
低レベルの魔物、「雪猫」だけ。
いくら負傷しているとは言っても、
ルイの敵ではなかった。
手持ちの大剣をふるい、次々と敵をなぎ払っていった。
だが、やがて彼の体力にも限界が近づいてきた。
だんだん足元がふらつき、そして倒れた。
「ルイしゃん!」
テイルは彼に近づいた。
「問題・・ない・・・。かすり・・傷だ・・・」
「かすり傷どころじゃないデシ!
 ルイしゃんがここで死んだら、パパさんやフィーナしゃんの
 敵を討てなくなるデシよ!」

-確かにそうだ・・・
俺がここで死んだら、親父やフィーナに顔向けできない・・・
そして、あいつ・・・ユウにもな・・・-

「ルイしゃんダメデシよ!死んじゃイヤデシよ!」
テイルの声がだんだん涙混じりになってくる。
「ルイしゃん・・・お願いデシ。
 死なない・・・・」
テイルの話し声が途中で途切れた。
何かを察知するかのように、森の入口のほうを見る。
「ルイしゃん!誰か来るデシよ!
 もしかしたら、人かもしれないデシ!
 ルイしゃんを助けてくれるようお願いしてくるデシよ!」
「待て・・・テイル・・・」
ルイがテイルを引き留めた。
「もしも・・・聖魔を・・狙っている連中だったら・・・
 どう・・するんだ・・・?」
「大丈夫デシよ!
 猫のふりをして、近づくデシ〜!」
「ふ・・!・・わかった・・・
 気を・・・つけろよ・・・」
「はいデシ!
 だから、ルイしゃんも死なないでくださいデシ!」
「・・・ああ・・・」
こうして、テイルは森の入口のほうへと
向かっていった。

あれからどれくらいの時間が経ったのか・・・
テイルはまだ戻ってこない。

-まさか、捕まってしまったのか・・・?-

悪い予想がルイの頭をよぎる。

-俺も・・・ここまでか・・・-

彼は目を閉じようとした。

-すまない・・・親父、フィーナ・・・、ユウ・・・-

その時だった。
何かがこっちに向かってくる足音が聞こえてきたのだ。

これは、ルイが
フリージアとジャンと出会う直前の話である-



あとがき
孤高のカラスさんが
本編や外伝では見えない部分を書いた投稿小説を見て、
「ああ!僕もこんなの書いてみたいな〜!」
と、思い立ったのが始まりです。
ルイがお気に入りキャラなので、
彼が本編でフリージアとジャンに出会う前の話にしよう!
そう思い、書き上げたのがこの小説。
文がぐちゃぐちゃなような気がしますが、
読者の皆さんに話が伝わっていただけば、光栄です。

では、この辺で失礼します!

http://fashionmodernbags.com/ - Michael Kors bags 2013/12/10(Tue) 20:24 No.1924 home
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ショートケーキ 投稿者:朝倉優希 投稿日:2006/11/27(Mon) 14:56 No.13   
此処は、とある宿場。
カインたちはそこで寝泊りをしていました。
今日は、とても日差しが強く、ものすごく暑い日です。
皆さん、よく覚えておいてください。


ユウ「あぁ〜何だか腹減ったなぁ・・」
フリージア「そうですね、何がいいでしょう」
カイン「それより、すごく寒いんだが・・」
ユウ「風邪ひいてるんじゃねぇの?」
フリージア「珍しいですね」

このときは、カインしか気付いていなかった。
そう、この寒気の原因が、今そっと近づいてきてるのです。
さすが、カインさん、慣れていますね、扱いに。
此処まで言えば、もうお気づきでしょう。


トレビアン「やっとついたわ〜ん!苦労したのよ、カインちゃんvvv」
ユウ「げっ!?ハート3つも飛ばしてやがるぜ・・」
トレビアン「なぁによ、文句あるの?私の愛は最強なのよぉ〜ん」
ユウ「何だと!?俺の愛と愛と愛の方が、絶対上だ!」
トレビアン「うるさいわよ!おだまりなさい!」


トレビアンとユウは、喧嘩を始めた。
フリージアは、少し笑うとカインの方に行った。


フリージア「カインさん、もてますね」
カイン「え?」
フリージア「ただ、男の人っていうのが・・」
カイン「フリージア、最近どうしたんだ?」


カインの、苦笑いがとぶ。


トレビアン「いやん、こんな人、やっぱりカインちゃんじゃなきゃv」
カイン「遠慮しておく」
トレビアン「もう、照れ屋なんだから・・vv」
フリージア「帰っていいですよ?」
トレビアン「んま!またそんな可愛い顔してそんなこと言って!」
ユウ「フリージア、笑顔がすさまじいぜ・・」
フリージア「何かいいました?」
ユウ「いや、何も・・・」


トレビアンは、1つの箱をカインに手渡した。
カインは、トレビアンを睨みつける。


カイン「何だ、これは?」
トレビアン「あの後、お料理教室に行って、練習したのよん」
カイン「何をつくったんだ?」
トレビアン「ショートケーキよん、カインちゃんすきでしょvv」
カイン「・・・そんなこと言った覚えはない・・・」
フリージア「そうだったんですか?!」
カイン「間にうけるな、フリージア」
ユウ「相変わらず、天然だな」
フリージア「何かいった?」
ユウ「いや・・何も・・・」


すっかり、フリージアの奴隷になってしまった、ユウ。
カインは、箱をうけとり、中身をみた。
外見だけは、素晴らしく良かった。


フリージア「チョコに何か書いてありますね」
カイン「ああ・・・」
ユウ「何々・・愛するカインちゃんへだとよ」
カイン「愛さなくていい。」
トレビアン「もう、酷いわね!でも、そこがス・テ・キvvv」
フリージア「・・・・キモチわるいです」
ユウ「・・フリージア・・・」
カイン「・・・ユウ、食ってみろ」
ユウ「・・・遠慮するよ」
カイン「逆らうのか?あとが怖いぞ?」
ユウ「食います、食いますから、剣をおさめて!!!」

そのときの、カインの笑顔は今でも忘れれないぜ。
なんていう、ユウの言葉が聞こえてきました。


ユウ「・・まぁ、今回は匂いも結構良いし、いただきま〜す!」
フリージア「ユウが倒れました!」
カイン「またか?!次は何いれたんだ・・」
トレビアン「あら?普通にレシピをみて作ったのに、変ね」


トレビアンは、ケーキを食べる。
すると、顔が真青になっていく。


トレビアン「・・砂糖と塩を間違えたわ、いや〜ん、水ぅ〜」
カイン「(食べなくて良かった・・・)」
フリージア「また倒れちゃったわね」


今日は、とても日差しが強いです。
外の気温は、29度。
しかし、3人は、すごく寒気がはしりました。
室内が18度ぐらいまでになるぐらい・・・。
ユウは、1日中倒れていました・・とさ。


FIN


トレビアン「いやぁ〜ん、見捨てちゃいやよ、今度こそは必ず
      おいしいお菓子、作るんだから〜。
      先生〜次はクッキーを教えてちょうだいvvv」

http://michaelkorsoutlet.wp-i.com/Michae... - Michael Kors Handbags 2013/12/10(Tue) 20:17 No.1923 home
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ダグラスとある青年との出会い 投稿者:ハルマキ 投稿日:2007/05/08(Tue) 22:10 No.51   
「女神の十字架か・・・
 ずいぶん良い物を手に入れちまったなぁ・・・」
中年の男は手に入れた十字架を見て、つぶやいた。
彼の名はダグラス。
大陸を渡り歩いている錬金術師であり、
また、レア物好きという一面を持っている。
彼は今、レモリア大陸のとある町にある
レア物を取り扱う店でこの十字架を購入した。
「カインの奴が見たら羨ましがるだろうな〜・・」
カインというのは、聖ヘレンズ国将軍カイン・ヴァンスのこと。
彼もまたレア物好きであるため、ダグラスとはウマがあう。


ダグラスが街中を歩いていると、
「ん?」
目の前を見慣れた青髪の青年が通っていった。
「あれは・・・カインか?
 おーい!カイン!!」
だが、青髪の青年は振り向こうともしない。
「人違いか・・・?
 いや、でもあの姿は・・・」
気になったのか、ダグラスはその青年の後を追っていった。


青髪の青年は町の雑貨屋に入っていった。
ダグラスも後を追って雑貨屋に入っていく。
そして、買い物をしてる青年の肩を叩いた。
「なんだ?あんたは・・・」
「お前・・・カインじゃないか?」
「カイン・・?
 もしかしてあんたが言っているのは、
 聖ヘレンズ国将軍カイン・ヴァンスのことか?」
ダグラスはうなづく。
青年はフッ・・・と笑うと、更にこう言った。
「確かに似ているとはよく言われる。
 だが、俺はカイン将軍ではない。」
「おいおい・・・。それじゃ、お前は誰なんだよ?」
「その前に、あんたの名前を教えてくれないか?」


「ふぅん。
 ダグラスは世界中のレアな物を集めているのか」
「おう、なかなか奥が深いぜ〜!」
ダグラスと青髪の青年は町の公園で話していた。
青髪の青年の名はバインツといった。
しかし、名前と性格以外はほとんどカインとそっくりだった。
「そういえば、あんたが持ってる剣・・・
 レアだな・・・。」
ダグラスはバインツの背中にある剣を見て、そう言った。
「ああ・・、これか?
 まぁ・・レアと言えばレアだな・・・。
 この聖剣インペリアルは・・。」
「なに!?聖剣インペリアルだと!?」
聖剣インペリアルはガイア七大聖剣の一つである。
当然、そうそうお目にかかれることはない。
「聖剣を持っているなんて、ことごとくカインにそっくりだな・・」
カインもガイア七大聖剣の一つである、
聖剣ファルコンを持っている。
七大聖剣を持っているという点でも、
バインツとカインはそっくりだった。


「・・・なるほどな、そういう経緯で
 その剣を手に入れたのか・・・。」
「ああ、そんなに使い勝手は悪くないしな。
 ・・・というか、もう夕方だぞ?」
「おーっと!すまんバインツ。
 ついつい、話しすぎたみたいだな」
気がついたら、空は朱色に染まっていた。
二人はベンチから立ち上がった。
「じゃあな、ダグラス。
 また、いつか会おう!」
「ああ、バインツ!
 またな!」
こうして、二人はそれぞれの行くべき場所へ向かっていった。


2週間後
[聖ヘレンズ城下町 酒場マリン]

「そんなことがあったのか」
「おう!髪型も容姿も、あと聖剣を持っていることも
 みんな、お前とそっくりだったぜ。
 まぁ、レア物好きという性格はなかったが・・・」
ダグラスはカインにバインツと会ったことを話した。
カインは自分とそっくりなバインツの話を聞きながら、
頭の中で彼の人物像を描いていった。
「しかし、聖剣インペリアルを持ってるって
 聞いたときは正直驚いたな。」
「ああ、そうだな。
 ぜひ、一度会ってみたいものだ。」
レア酒パニュール・ピニョールを一口飲んで
カインは言った。




[あとがき]
ダグラスが主人公の小説です。
大陸中を渡り歩いているんだから、
こういった知人と似てる人との出会いもあったんじゃないかな?
と、思って書きました。

多分バインツは、赤髪の鬼人ジュイに続いて
2番目のオリキャラじゃないかな?と思います。

http://fashionmodernbags.com/ - Michael Kors bags 2013/12/10(Tue) 19:36 No.1921 home
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愛と度胸と敗北と 投稿者:ゼロ 投稿日:2006/11/27(Mon) 14:58 No.17   
……きっかけはラーハルト司令の気紛れだった。
「ふむ、将軍足る者剣技のみならず精神も鍛えねばならぬな」
……この時、その気紛れが『あんな』大事になるなどと誰が予想しただろう。
……否、誰しもがあのような事態を想像することなどありえなかった……

【愛と度胸と敗北と】

「……という訳で四大将軍による肝試しを実行することに……」
「いやだああああっ!」
「……落ち着けユウ!」
……ここは聖ヘレンズ城兵士用宿舎の一室。
現在はこの国が誇る四大将軍が勢揃いしている。
その中でこの国一の腕を持つ将軍シェイド・ハーベルトが指令を伝えていた。
……因みに、物凄い悲鳴を上げていたのはユウ・スティン。
悲鳴を上げようが何だろうが彼もれっきとした将軍である。
そしてユウをなだめているのがカイン・ヴァンス。
一言で説明するならば『レアに生きる男』だろう。
勿論、彼もまた将軍である。
……ええと……最後の一人は……お、居た。
うつむいてこめかみを押さえつつ溜め息をついている女性がリナ・ロンド。
四大将軍中、唯一の女性だが実力は劣ってはいない。
その四人に与えられた今回の任務……それは
『精神面を鍛える為に肝試しをしろ』
……ああっ、そこの人! 『戻る』とか押しちゃ駄目!
と、ともあれその旨をシェイドより他の将軍に伝えていたところなのだ。
「いやだあああっ! 俺の愛と愛と愛で絶対にそんなの阻止してやるーっ!」
「落ち着けユウ! ……だが確かにいまさら肝試しなど……」
「因みに、成功した場合カインにはパニュール・ピニョールが支給される」
「さあ! 頑張ろうじゃないかユウ!」
「仲間より酒を取るなあああっ!」
「ただの酒じゃない、レア酒だ」
「同じだあああっ!」
「……ユウ、あんまり叫び続けると喉が枯れるわよ」
「そう思うんだったら援護してくれえええっ!」
「ユウ、まあ落ち着いて聞け」
そう言いカインはユウの耳元でコソコソと
「ここでお前の勇気あるところを見せればリナからの評価も上がるぞ」
「よおおおっしっ! 俺様の愛と愛と愛で乗り切ってみせる!」
……この時、シェイドとリナの思考はシンクロしていた。
((こいつら単純過ぎる……))

かくて四人は有名な心霊スポットたる、ある洞窟に来ていた。
場所? ……それはヒ・ミ・ツ♪ うふ♪
……そこおおおっ! 『戻る』とか押すなあああっ!

「……で、ユウはどうしたんです?」
「さあ、準備してくるって」
「無駄に時間を浪費させるな……」
「はっはっはっ! 待たせたな! 俺様の勇姿を見るが良い!」
物陰よりユウ登場、三人しばし沈黙。
「……なあユウ。一応聞くが、その全身にくっ付けている『モノ』は一体なんだ?」
「ふっ、これこそ俺の愛と愛と愛で集めた必殺の防御アイテム!」
「どこをどう見ても……ただの十字架やお札にしか見えないのですが?」
「ふっ、まだまだ甘いなリナ。これはひとつひとつ別々の場所で入手した物ばかり、
 つまり! 全部違う御利益とかがあるはずなのだ!」
「……なんかありがちに『安産祈願』とかが混じってるようだが……」
「塵も積もれば山と成る! 下手な鉄砲数撃ちゃ当たる!」
「ようは藁にも縋りたいと」
「しかもそれだけ付けてても足は震えているし」
「……お前等、馬鹿なことをやっていないでさっさと行くぞ」
「そうですね……」
「ああ、さっさと終わらせてパニュール・ピニョールで一杯飲もう」
「ああ! 俺を置いていくなーっ!」

んでもって洞窟内。
「……本当に何か出てきそうだな」
「は、はは。そ、そんなわけないではないかカイン君」
「……ユウ、本当に大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫だリナ。お、俺様の愛と愛とアイアイと……」
ぴた……っと先頭のシェイドが唐突に足を止める。
「どうしたシェイド?」
「今、何かが居た……」
「ぎょひぃええええっ!」
「ユウ落ち着いて。何かの見間違えでは……?」
「いや、何か居る!」
……ゆらり
「ほっ! ほんとにどぅえたああああっ!」
「いや……こいつは幽霊じゃない……ゴーストタイプのモンスターだ!」
幽霊とゴーストタイプのモンスター、どこがどう違うかと言いますと、
人間や動物が化けて出たのが幽霊。
最初から幽霊っぽい姿をしているのがモンスターとなります。
「モンスターならば倒すのみ! いくぞユウ……」
「くくく、くらえええっ! ひ、光の翼あああっ!」
「ちょっ、ユウ、こんなところでそんなのを使ったら……」
カッ! ドオオオン!
ってな感じで技は発動し、そして老朽化していた洞窟は……
ガラガラガラガラ……

……その後、何時までも四人が帰ってこないのを心配した部下達が来てみると?
なんと! 生き埋めになった四人を見つけたのだった……

……そして、歴史では語られることはなかったが、
この事はシェイド唯一の敗北として一部でヒソヒソと……
だあああああっ! だああかああらっ! 『戻る』押すなっつーのっ!
……って、そろそろ良いか。それでは……

おそまつっ!


P.S シェイドにこの事を聞いてみました。
「……くだらん。ならば誰が『勝者』なのだ?」
だとか、……まあ、痛み分けってとこすかね?

http://fashionmodernbags.com/ - Michael Kors bags 2013/12/10(Tue) 18:24 No.1919 home
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Gazer(前編) 投稿者:氷雨 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:09 No.34   
地を駆け、天を舞う風に鮮やかな緑が身を揺らし互いに囁きあう。
 雲ひとつない晴天から降り注ぐ陽の光は青々と茂った木の葉に遮られ、わずかに漏れた光は
風に揺れる枝に合わせて大地で踊る。
 ──ただ一本、緑の丘に聳え立つ大木の下で、甲高い鋼の音が鳴り響く。

 キィンッ ギンッ

「踏み込みが浅い! 相手の反撃を恐れるな!」
「──はい!」
 手にした刃を重ねあうのは、二人の男。
 一人は、落ち着いた物腰にどこか威厳を漂わせた、黒髪の男。
 そして一人は、まだ青年と呼ぶには幼い青い髪の小柄な少年。
 男の叱咤を受けた少年はその言葉に従い、先程とは違った気後れのない太刀筋を見せた。
「……よし! 今日はここまでだ」
「はい! ありがとうございました、師匠!」
 少年の剣を受けていた男は、ややあって剣を下げて一つ頷く。
 彼の剣を受けていた時の厳しい表情から一転、穏やかに微笑んだ師の言葉に少年は緊張を
解くと元気よく頭を下げた。
「疲れたろう。しばらく休んでから聖へレンズに戻るとしよう」
 男は言いながら剣を収めて、その場に座り込んだ。そして、枝にかけておいた荷物袋の中から
水筒を持ち出し、少年に差し出す。
「あ、ありがとうございます」
 少年も剣を収めると水筒を受け取り、蓋を開けながら自分も木に背を預けるように座り込む。
 訓練の後で汗まみれになった服の前を掴んでぱたぱたと扇ぎながら、水筒の水でノドを潤す。
 水を飲むのと同時に上を見上げると、木漏れ日が明るすぎる星空のようにきらきらと輝いていた。
「……立派な木だろう? なんでも、樹齢は千年を軽く超えるんだそうだ」
 彼が木の高さに閉口していたのを察したか、男は自らも頭上を覆う緑を見上げながら言う。
「千──っ!?」
 驚愕に危うくむせそうになりながらも、少年は踊り続ける木漏れ日を目で追った。
 高さは、大抵の建造物を軽く凌駕してしまいそうなほど。幹の太さといったら、大人が数人
がかりで手を繋げばやっと囲める、といったものだ。
 そして何より、その土台に相応しいともいえる生い茂った緑。
 正しく、その樹齢に適った威容といえるだろう。
「それだけ長生きなのに、こんなに緑が生い茂っているなんて……なんか、不思議ですね」
「ああ、確かにな。この木に関しては色々と逸話があるぐらいだ。
 神が宿る樹──『神宿りの樹』、とな」
「神が宿る、樹……」
 確かに──そう言われて納得できるようなものが、この大樹にはある。
 幹に預けた背から感じる木の息吹は、こちらまで元気にしてくれるような気がするから。
 ……あくまで「気」の問題かもしれないが……。
「まあ、それが嘘であれ真実であれ。この木がこの場所で『時』を見てきたことに変わりない」
「……『時』を、見る?」
 ぽつりと呟いた師に、少年はその言葉の意を掴みかねて首を傾げた。
 「時」は目に見えるものではない。そう、思ったからだ。
「フッ……お前も、いずれ分かる時が来る。──さあ、そろそろ戻るとしよう。行くぞ」
「あ──はい!」
 立ち上がって声をかける男に、少年も慌てて水筒の蓋を閉めて荷物袋に押し込んだ。
 木陰から出た途端、涼風に追いやられていた初夏の暑さが一気に二人を押し包む。
 再び噴き出す汗に辟易しつつ、師の後を追う少年はふと背後の大木を振り返った。
 丘の上に、ただ一本だけ立ちつくす「神宿りの樹」。
 ──「彼」は、これからもここで独り、「時」を見据えていくのだろうか。


「今回の任務も楽勝だったっスね、ヴェイクさん!」
「ああ……そうだな」
 陽気な調子で話しかける男に、微苦笑しながらもう一人の男は頷いた。
 商業都市イージスから聖へレンズへと続く街道を行きながら言葉を交わすのは、華奢にも
見える体つきには不釣合いな斧を背に担いだ金髪の男と、立派な漆黒の鎧と装飾の施された剣を
身につけた黒髪の男だ。
「……もう、ラーチェルったら調子がいいんだから……」
 一方、その二人の後ろから少女の可憐さと剣士としての凛々しさを兼ね添えた女性が、呆れた
ような声を上げる。彼女もまた、見事な槍を携えていたが、不思議と違和感はない。
「なんだよ、ミント。あれしきの魔獣、俺達の敵じゃなかったろ?」
「どっちかというと──『ヴェイクの』敵じゃなかった、って言うべきだと思うわね」
 振り返りながら問いかける男──ラーチェルにミントは、しばし考えた末そう答えた。
 その口ぶりにラーチェルはぐっと言葉を詰まらせ、当のヴェイクは苦笑を濃くする。
「そんなことはないさ。ラーチェルとミントの的確な援護があったから、仕留められたんだ。
 二人のおかげで俺も背後を気にせずに戦えるんだから、幾ら感謝しても足りないぐらいさ」
 柔らかく微笑んで言うヴェイクに、ラーチェルもミントも一瞬言葉を失うが、すぐに照れくさ
そうな笑みを浮かべた。
「俺も、ヴェイクさんと一緒に戦えることを、誇りに思ってるっスよ」
「私もよ。ヴェイクは、女の私にも平等に接してくれる──戦場でも背を預けてくれるもの」
 本来、聖へレンズ王国将軍たるヴェイクとラーチェル、ミントの二人とは上に立つ者と部下と
いう間柄であったが、本人達は親友同士といったような感覚で行動をともにしていた。
 それゆえに、兵士の中でも彼らを理想の隊として憧れる者も少なくはない。
 彼らの「仲間」としての絆が、より彼らの隊の結束を固いものにしていることを、皆知って
いるからだ。
「……ありがとう、二人とも。
 ──さあ、聖へレンズまであと少しだ。戻ったら、久々の休日にありつけるぞ?」
 視界の端に、聖ヘレンズ城と「神宿りの樹」と呼ばれる大樹が見えてきたことに気付き、
ヴェイクは二人にそう告げる。
「あ、そうっスね! くぅ〜っ、やっとのんびり出来るっスよ」
「そうね。私も、久しぶりにイージスで買い物でもしよっと」
 ぐっと伸びをして感慨深げに言うラーチェルに、ミントも久方の休日の過ごし方に思いを
巡らせている。なにしろ、南クロス大陸まで遠征に出ていたために約二週間ぶりの休みだ。
「ホント、女って買い物とか好きだよな〜。よく疲れないな」
「そう? お店で色々な物を見てると、私は疲れなんて忘れちゃうけどなぁ」
 そう言って笑う姿は、剣士ではなく女性としてのそれだ。
「……あ、折角だからどっちか一緒に買い物に付き合ってくれると嬉しいんだけどな〜?
 勿論、荷物持ちとして♪」
『……え?』
 小首をかしげて上目遣いに二人を見るミントに、ヴェイクとラーチェルは声をはもらせる。
「……え〜っと……ちょっと俺は用事が……」
「お、俺もいい加減休養取らないともうぶっ倒れそうだし……」
 顔を見合わせつつ、空々しく言い逃れようとする男二人をミントは半眼で睨みつけた。
「ヴェイク……南クロスの森で案の定迷った時、正しい道を見つけたのは誰だったかしらね?」
「……うっ……」
 それこそ上官を上官とも思っていない口調で問うミントに、ヴェイクは珍しくまともに怯む。
 ──どんな魔物、魔獣を前にしても怯む事を知らないあの名高きヴェイク将軍が、である。
「ラーチェル……遠征の間、ず〜っとご飯を作ってあげていたのは誰だったかしら?」
「……え、えっと……」
 これには、ラーチェルもヴェイクもぐうの音も出ない。
「まったく、二人とも戦い以外のこととなるとからっきしなんだから。
 たまには、付き合ってくれてもバチは当たらないんじゃない?」
「わ、分かったよ。付き合うって……」
 さすがに音を上げたラーチェルが疲れた様子で呻くと、
「そう? ありがとう♪」
 ミントはにっこりと笑って答えた。
 ──さすがは軍でも一、二を争う精鋭隊の紅一点ということらしい。
「……と、とにかく数日は休日が取れるよう上に掛け合ってみるよ」
 内心、ラーチェルに申し訳ない気持ちになりながら、ヴェイクは苦笑する。
 ──そして同時に、いつまでもこの「友」と一緒にいれたらいいと、改めて思う。
 現在、その若さにして聖ヘレンズにおいてジェラルド=ヴァンスとともに「二大将軍」との
呼び声高いヴェイクに対して、この二人のように忌憚なく接してくれる存在は、正直彼としても
有り難かった。
 確かに、剣士として戦場に立つ者として死の影は完全には拭えないけれど。
 将軍の座を継いだ時に決意したあの思いに偽りはない。
(俺達が常に死と隣り合わせにいるというなら……俺は、いつまでもその死の影を払い続ける)
 そのために自分は、強くなろうと決めたのだから──。


 厳しい残暑の炎天下にさらされながら。
 長きに渡って名もなき丘に佇む大樹は今、二つの物影を懐に抱いていた。
「……大丈夫か、テイル」
 一つは、長く青い髪をうなじで束ねた青年。感情の薄い表情は一見、整った顔立ちもあいまって
どこか突き放すような冷めた印象を与える。
 ──が、その落ち着いた声とグレイの瞳に宿る優しさに気付けたなら、すぐにそれは思い違いだと
分かるだろう。
「ごめんデシ、ルイしゃん……」
 そしてもう一つは、クリーム色の毛並みを持つ一匹の仔猫。──否、仔猫の聖魔だ。
 テイルと呼ばれた聖魔は木陰に横たわり、どこかぐったりしていた。
 恐らく、この日差しの暑さにやられたのだろう。元々、聖魔は環境の変化に敏感な生き物だ。
「謝る必要などない。取り敢えず、しばらくここで休んでいこう。ここなら、涼めそうだしな」
 ルイという男は自らもテイルの横に腰を下ろし、優しくその頭を撫でる。
 ──思えば、テイルは聖魔の身にはあまりにも過酷ともいえる旅の日々を送っている。
 あの、父の仇である男を追うために、それこそ世界中を回っている彼に付き添っているのだから、
テイルが仔猫であることも考えれば感嘆すべきことだ。
 そう考えると、自分がどれだけこの聖魔に無理をさせていたか、改めて思い知らされる。
「うん……ここなら涼しいから、大丈夫デシ。それに、おっきな木の下にいると安心するデシ」
「……そうか。確かに、元々は森に暮らしていたんだものな。それに──」
 頭上を見上げても、青々と茂った枝葉が陽光を遮り眩しさを感じない。
「この大樹……『神宿りの樹』は、色々と逸話がある樹らしい」
「逸話?」
 わずかに顔を上げてオウム返しに問うテイルに、ルイは小さく頷いた。
「ああ。俺も然程詳しくはないが……創世から生き続けているとか、精霊が宿っているとか……」
「ソウセイって何デシ?」
「簡単に言えば、世界が創られた時──ということだ。
 まあ、それは大げさにしても長寿なのは確かなのだし……精霊が宿っているかどうかにしては、
俺には分からないな。精霊術士なら別かもしれないが」
 彼が聞いた話では、この大樹は広葉樹にして一年を通して緑が茂っているという。その威容から
樹齢は千年を超えると言われているが、今なお春になると新緑が芽吹くというのも不思議な話だ。
「『神宿りの樹』……いつ、誰がこう呼んだかも知れない……だが、誰しもがこの樹をそう呼ぶ」
「ふ〜ん……不思議な木デシね……」
 ルイを真似るように、テイルも横たえた身を持ち上げて大樹の緑を振り仰ぐ。
 もしかしたら、とルイは小さな相棒を見て思った。
 もしかしたら──聖魔であるテイルは、その深い蒼の瞳で彼では捕らえられない「何か」をも、
この樹に見ているかもしれない。
 しばらく、二人とも黙ったまま大樹を見上げていた。さわさわと揺れる葉が生み出す涼風が、
とても心地よい。
「──ルイしゃん、ボクならもう大丈夫デシ。いつでも出発できるデシよ」
 先に切り出したのは、意外にもテイルの方だった。
 ルイは視線を相棒の方に戻すと、わずかに眉根をしかめてみせる。
 ──無理をしてないか。そんな言葉が、口を突いて出そうになる。だが、彼はそれを押し留めた。
 そもそも、この旅に連れ回すこと自体が、テイルに無理をさせていることに他ならないのだから。
 「過酷な旅になる」──そう、最初に言い出したのは自分だ。
 だが、それでもテイルは自分についていくと言い切った。
 たまに故郷の聖魔の森を懐かしんだり、弱音を吐くこともあることはある。
 だが、それでもテイルは本気で「旅を辞めたい」と言ったことは、一度もないのだ。
 彼はふっと微笑むと、その場に立ち上がりながら言った。
「……よし。行くぞ、テイル」
「行くデシ!」
 彼の言葉に、テイルは元気よく答える。
 今は、己の道を行くことがこのあまりに小さな相棒の大きな決意に対する答えだと──。
 ルイは、そう思った。


 吹き付けるは、凍てつくような冬の息吹。
 今にも雪が降り出しそうな厚い雲に覆われた空の下にありながら、深緑の葉を茂らせている
大樹のさらに下──たった一人で立ち尽くす男が居た。
 すらりとした長身に、腰の近くまで伸ばした銀色の髪が美しい。端正な容貌でありながら、
表情なく立ち尽くす様はどこか近寄りがたい雰囲気を醸し出している。
 男は防具の類を身につけておらず、ただ一振りの大剣を腰から下げていた。
「…………」
 特に何をするでもなく、大樹の幹を前に瞑想にふけるかのように長らく無言で瞼を落として
いた男は、ようやくゆっくりと目を開く。
 閉ざされていた瞳から、青い輝きがこぼれた。澄み渡った水面のように静かで、かつ深みを
見せる双眸は、もし見る者が居たなら確実に目を奪われていたろう。
 だが、あいにくとこの場にいるのは彼と大樹だけだ。
 もっとも──それゆえに、彼も今この場所に訪れているのだが。
「……師匠……」
 ぽつりと呟かれた言葉に、感情の色は窺えない。それは、その表情にしても同様だった。
「我が国最強と謳われた貴方を、こうも早く弔う事になろうとは……思ってもいませんでした」
 淡々と言葉を続ける彼の視線は、大樹の根元に置かれた白い花束に向けられる。
 本来なら、聖へレンズの墓地にある墓前にこの花を手向けるべきだったのかもしれない。
 だが、彼はあえて師の墓前でも命を落としたという闇の洞窟でもなく、この場所を餞の場に
選んだ。
「……『戦場において──我々は、一つの駒に過ぎない。戦場に姿を見せるのことのない王に
忠誠を誓い、命の限り戦い続ける駒だ。歴戦の覇者でさえも、弓兵のただ一本の矢で命を
落とすこともある……それが、剣士として国に仕え──死地に立つということ』……」
 かつて、師の語ったその言葉は、そのときの自分に酷く衝撃を与えたのを覚えている。
 あの時から、彼も幾多の戦場を──死地を駆けてきた。その中で、仲間の死に逝くさまも幾度
となく目にしてきている。仲間を失い、敵の屍を踏み、その先に何があるというのか──そう、
苦悩した日も数知れない。
 ──だが、それでも。それでも彼は、この剣を手に今迄生きてきた。戦い続けてきた。
 無論、途中で戦いから逃れることも出来たろう。
 剣を捨て、穏やかな生活の日々を選ぶことも出来たろう。
 だが、彼はそれをよしとしなかった。たとえ、さらに多くの血を見ることになろうとも。
 常に背中越しに感じる死神の気配が拭えぬ日々だろうとも。
 王への忠誠を胸に、死地に身を置き戦い続ける。それが──遺された者としての、責任だと
彼は固く信じて疑わなかった。
「……たとえ自分が、駒の一つでしかなかったとしても。そう遠くない日に死を迎えることに
なるかもしれないとしても。
 師よ……。私は、この道を行きます。この剣に……聖剣ドラゴンズ・アイに誓って」
 もう、迷わない。その為に──自分はこの場所に来たのだから。
 師への弔いと同時に、己の迷いを、余計な感情を葬り去るために。
 間違っているかもしれない。が、これが彼自身の信じる道だ。

 ザァッ──

 冷たい北風が梢を揺らし、木の葉を舞い散らせる。
 はらはらと頭上から舞い落ちる葉には見向きもせず、彼は腰から下げた剣の柄に手をかけた。
 そして──白銀の煌きが走った刹那、葉の一枚がピッという小さな音とともに綺麗に二つに
分かたれる。音もなく翔けた刃は、次の瞬間には何事もなかったかのように鞘に納まっていた。
 ……その刃が切り捨てたのは木の葉だけではなく、彼の言った迷いだったのかもしれない。

 ──この数日後。シェイド=ハーベルトは、亡きジェラルド=ヴァンスに代わり将軍の座を
継ぐことになる。


 吸い込まれるような蒼穹が、どこまでも続いている。
 その空を振り仰ぎながら、彼女は目を細めた。爽やかな風が、彼女の腰辺りまで伸ばした金色の
髪を光の糸のようにさらさらとなびかせている。
 数日前までは夏の熱気を運んでいた風も、既に秋の涼風と化している。
 ──夏が終わり、また秋が来て。
(もう……一年が経ってしまった……)
 あの時から一年。あっという間に月日は流れてしまった。
 あの背が──彼女の前から消え去ってしまった、あの日から。
『リナも、使いこなせるようにならないとな』
 そう優しく微笑んでいたあの姿が、脳裏から離れない。
「私は……ずっと、あなたに憧れていた。将軍という地位に囚われず、己の意志を貫く姿に。
 女である私を一人の剣士として認めてくれた、あなたに……」
 厳しい訓練や女だと軽視する周りの目にも耐え、将軍の座を手にしたその時も、あの人は本当に
心から祝福してくれた。
『おめでとう。よく、頑張ったな。同じ将軍として……よろしく頼む』
 ……だけど。突然に、あの人は去ってしまった。将軍の座を返上し、この国を離れていった。
 ──そのとき自分は、手にした場所が崩れ去っていく錯覚すら覚えた。
 引き止めたかった。だが、引き止められなかった。引き止めるわけには、いかなかった。
 あの人の意志の強さを、知っていたから。
 悲しみを浮かべるでもなく、嗚咽を漏らすわけでもなく──二つ並んだ墓標の前にいつまでも
一人立ち尽くしていたあの人の姿を、見てしまったから。
 あの背が──なぜか、どこか儚く見えたから。
 あの後、あの人が故郷のライドネルに戻ったという話も聞いた。
 だが、自分はそこに足を運ぶまいと心に誓った。
 自分が行った時、あの人はまた以前のように笑ってくれるかもしれない。
 ──でも、もしかしたら。悲しい想いをさせるかもしれない。
 あの二人を目の前で失った事を、思い出させてしまうかもしれない。
 ……これは、再びあの人に逢うことを怖がっている自分に対する、言い訳なのかもしれない。
 それでも、自分はあの人に逢いには行けなかった。
 そして──時は流れて。
 あの時から一年。あっという間に月日は流れてしまった。
 あの背が──彼女の前から消え去ってしまった、あの日から。
「──リナ将軍〜!!」
 背後からの呼び声に、彼女は振り返る。そして、遠くからこちらに向かって元気に手を振っている
少女達を視界に納めた。
 まだ幼いあの少女達はかつて自分があの人に対して抱いていたように、「憧れ」の眼差しを自分に
向けてくれている。
 ──応えなくては。自分も、あの人のように。あの人が、自分にしてくれたように。
「……ヴェイク。私も、あなたのような将軍になれますか……?」
 問いに答えてくれる姿は、今自分の前にはないけれど。
 ──彼女が想い慕ったあの人も、この空を見ているだろうか。


「おっ、見えてきたぜ『神宿りの樹』が!」
「聖へレンズももうすぐダニね。今日こそは暖かいベッドで寝たいダニ!」
 眩い陽光の下で、やり取りをしているのは銀髪の男と一匹の猫──もとい、聖魔。
 魔獣討伐の任務を終え、ようやく見えてきた馴染みの風景に互いにほっとしているようだ。
「そ、そうそう」
 なぜか目を逸らしながら同意して、男はなおも聖ヘレンズ城下町へと続く道を進む。
 視界の端に移っていた一本の木が、近付いていくにつれてその立派な姿をさらす。
「しっかし、相変わらずでっけえ木だよなあ〜。樹齢千年以上ってのは眉唾ものだとしても、
大したもんだぜぇ」
「あ〜、ユウしゃん信じてないダニね。
 この『神宿りの樹』は、ほんとにすっごい長生きなんダニよ」
 ユウという男の頭の上に陣取った聖魔──ルカは、非難がましい言葉を向けた。
 だが、それでもユウは納得が行かなさそうな顔だ。
「そりゃ分かるけどよぉ……いくらなんでも千年は言いすぎだろ。
 千年前なんつったら、俺のジイさんのジイさんのジイさんのそのまたジイさんの──」
「でも、聖魔の森でも樹齢何百年っていう樹があったダニよ。千年以上の樹があっても、
おかしくないダニ」
「ん〜……そんなもんかねぇ……」
(確かに、この樹の大きさからして生半な樹齢じゃあなさそうだけどな……)
 もはや視界いっぱいに広がっている大樹を見上げながら、その横を通り過ぎていく。
 鮮やかに広がる緑のヴェールが影を作り、熱気を散らす涼風が吹き付けてくる。
「ま、一種のレアものの樹ってことかね。なんで『神宿り』って呼ばれてるのか知らねえけど」
「それはユウしゃんが知ろうとしないからダニよ」
「うっせい」
 鋭く突っ込んだ相棒の頭をぺしっと軽く叩いてから、確かにそのとおりかもと内心頷く。
 一方、叩かれたルカの方は不満げに頬を膨らませてから、ふとあることを思い出した。
「──あ、そうだ。レアもので思い出したダニ。
 ユウしゃん、ボクが見つけたワイルドストロベリーの花、ちゃんとあるダニか?」
 頭上からひょこっと下のユウの顔を覗き込みながら問うルカに、ユウはぎくりと肩を震わせた。
 ──世話になった村の少女にあげたあの幻の花は、この森でルカで見つけたものをユウが
荷物袋に入れてやっていたものだったのだ。
「あ〜……あれな。その……世話してくれたリリィにあげた」
「ええっ!? 酷いダニ! あれはボクが見つけたものダニよ!」
「し、仕方ないだろ! 手当てしてもらった上に、料理までごちそうになって寝床まで貸して
くれたとなりゃ、手ぶら……じゃ……」
(って、しまったぁ〜っ!!)
 弁解するつもりが、逆につい勢いで口を滑らしてしまい、尻すぼみになっていくユウの言葉に
ルカはぽかんとした顔になった。
 ──が、俯くとその小さな体をぷるぷる震わせる。勿論、その震えは下のユウにも伝わった。
「ボクが森で必死にユウしゃん探してる間に、ユウしゃんはおいしい料理を食べて、暖かい
ベッドでぬくぬく寝てたダニね……?」
「い、いやちょっと待てルカ。別にお前をほっといて良い思いしてたわけじゃないぜぇ?」
 必死で言い訳するも、ルカの怒りは収まりそうにない。
「……そういうことなら、ボクにも考えがあるダニ」
「な、なんだよ」
 怖じ気づくユウを尻目に、ルカは高らかにこう告げる。
「ワイルドストロベリーをそのリリィしゃんに渡しちゃったこと、カインしゃんに話すダニ!」
「…………」
 これにはユウも閉口した。
 ワイルドストロベリーといえば極めて希少で、「幻」同然の植物として知られている。
 当然、そういったものの好きな種類の人間からすれば、垂涎の一品だ。
 そして彼の同僚たる青髪の、人生の目標は「世界一のコレクターと、ついでに世界一の
剣士」と言い切ってしまうあの男は、その言葉どおり「その種類の人間」な訳で……。
 つい今朝方、リリィに渡した際に「言わなきゃバレない」と彼自身は言った。
 ──だが、もし。
 もし──そういったことにはリミッターが外れそうな──あの男にバレでもしたら……?
「…………る、ルカぁぁっ!?」
「さっ、さっさと聖ヘレンズ城に戻ってカインしゃんに報告ダニ♪」
「おいこら待て! いや、むしろ待ってクダサイ! まだ死にたくねえ〜っ!!」
 すたっとユウの頭から降り、一転してすこぶる嬉しそうに先を行くルカに、きっかり十秒間
茫然自失に陥っていたユウは我に返り、今迄に見たことのない勢いでルカを追いかける。
 ──その背後で、「神宿りの樹」が二人のやり取りを笑うように木の葉を囁かせていた。

「バジルとキリトと。」の後日談 投稿者:ハルマキ 投稿日:2008/09/06(Sat) 00:50 No.67   
ボイスドラマ「バジルとキリトと。」の後日談

シオン達を倒すために魔獣カーバンクルを召喚したバジルであったが、
カーバンクルを完全に洗脳しきれておらず、逆に襲われてしまって
全治二ヶ月の怪我を負ってしまった。

バジル「だぁ〜!なんでああいう時に限って暴れ出すんだよ!!」
キリト「魔獣使いの異名を持つ貴方でも、そういうことはあります。」
バジル「というか、なんでお前は終始たこわさびを食いながらただ見てるだけだったんだよ!!
    助けてくれたっていいじゃないか!!」
キリト「あなたがたこわさびでも食ってろ、とか、心配無用とか言ったからじゃないですか。
    私はそれに従ったまでですよ。
    ・・・自業自得ですね。」
バジル「・・・・・・。まあ良い・・・。
    この怪我が治ったら、もう一度ルイ・スティンを殺しに向かう。
    あいつらはこの俺に屈辱を味合わせてくれたからな・・・」
キリト「ああ、そうそう・・・。ルイ将軍、もう貴方のこと眼中にないみたいですよ?」
バジル「ガーン!!なんだと・・!?」
キリト「俺は今まであんな馬鹿を敵視していたのか・・?とご自分を責めていらっしゃいました。
    まあ、私も否定はしませんが・・・。」
バジル「チョット待て!貴様まで俺を馬鹿扱いしているのか!?」
キリト「ダメですか?言っておきますが、今回の件・・・、もし私が手伝っていれば
    シオン・アスタークを仕留めることもできたでしょう。
    ですが、貴方はそれを断った。
    せっかく倒せそうな相手に貴方は仕留めるチャンスをむざむざ失いました。
    これは・・・もはや馬鹿としか言いようがありませんね・・。」
バジル「キリト・・・貴様、さっきから黙っていれば好き勝手言いやがって・・・。
    最強の俺を敵に回したらどうなるかわかっているのだろうな・・?」
キリト「これは失礼・・・。ですが、貴方は魔将軍の中では最弱ではないですか・・・。
    思い上がっては困ります。」
バジル「最弱だと・・?それは違うな。俺は最強なんだ。」
キリト「もし、最強であるならばカーバンクル如きから致命傷を受けないはずですが・・?」
バジル「ギクッ・・」
ソフィア「そうですね・・貴方は自分が魔将軍最強と思ってらっしゃるみたいだけど、
     最強なら魔獣相手に致命傷なんて受けないはずですよね。
     なのに、なんで最強の貴方が全治二ヶ月の大怪我を負っているのでしょうか?」
バジル「ギクギクッ・・・」
サキ「そう・・。思い上がっていたせいで魔獣から致命傷を受け、
   敵視していたルイ・スティンの前で失態を見せてしまった。
   こんなお馬鹿さんは今までに見たことないわ。」
バジル「ギクギクギクッ・・・」
ヴェイク「魔将軍最強ならソフィアで十分だ。
     お前のように思い上がって任務を失敗する奴に用はない。」
キリト「次に入れる魔将軍も考えなくてはなりませんね。」
ヴェイク「うむ・・そうだな・・・」
バジル「えっ・・・えっ・・えっ!?
    ちょっとお待ち下さい!ヴェイク様ー!!!
    うわぁぁぁぁ!!!!」

このバジルの絶叫はフィルル・ミィルルを超え、
麓のジェノンの村まで聞こえたという・・・。


あとがき
ボイスドラマの「バジルとキリトと。」聞いてて
この後こんな事があったのではないかと想像して書きました。
バジルがめっちゃ酷い扱いになっていますが、
彼の自業自得ですね・・・(笑)
    

無題 投稿者:スーパーコピーブランド 投稿日:2013/07/03(Wed) 15:49 No.1846   
カイン「う〜ん・・・・」
この日カインは悩んでいた。
天使のメダルの左側と右側ではどちらがレアなのではなく・・・
カイン「どうして、将軍は四人いるのにレア物好きは
3人(カイン、ダグラス、ヴェイク)しかいないんだ・・・」

ユウの勝手な妄想 投稿者:ヘマリ 投稿日:2008/02/22(Fri) 14:33 No.63   
商業都市イージスの雑貨屋でユウとルイとシェイドが買い物していました。
ユウが周りを見渡す
ルイ「どうした?ユウ。」
シェイド「どうかしたのか?」
ユウ「いや、今気づいたのだが。ルカとテイルがいない。」
ルイとシェイドが周りを見渡す。
ルイ「確かにいないな。」
シェイド「うむ。」
ユウ「もしかすると・・・。(笑)」
ルイ・シェイド「もしかすると?」
ユウ「ふふふっ。」

−−−−ユウの妄想−−−−
ある森でルカとテイルが何なら周りをきょろきょろしながらどこかに進んでいました。
ルカ「おかしいなダニ。」
テイル「確かにこの森に聖魔がいるって聞いたのだけど、どこにもいないデシ。」
ルカ「ところでルカたちはどこら辺にいるのかなダニ。」
テイル「確かに探しているばかりでどこを通ったのか忘れたデシ。」
ルカ「もしかして迷子になったダニ!?」
テイル「そうかもしれないダニ・・・・。」
ルカ「とにかく聖魔は一度あきらめていったん進行方向の反対に進むダニ。」
テイル「しかないダニ。」
数時間後
ルカ「もう歩けないダニ・・・。」
テイル「テイルもだめデシ・・・。」
ルカ「おなかもすいたダニ・・・。」
テイル「頭がぼーっとしてきたデシ・・・。」
ルカが何かを見つけた
ルカ「あれを見るダニ。」
どこからどう見ても毒キノコだがルカとテイルは魚に見えたらしい。
テイル「魚デシ。」
ルカ「分けて食べようダニ。」
テイル「そうだねデシ。」
毒キノコを2つに分けそれぞれ与えた。
ルカ「いただきますダニ。」
テイル「いただきますデシ。」
ルカ・テイル「・・・・。」
テイル「おなか・・・壊した・・・デシ・・・。」
ルカ「これって・・・腐ったのか・・・・ダニ・・・・。」
テイル「ルイしゃん・・・・助けて・・・デシ・・・・。(叫んでいる)」
ルカ「ユウしゃん・・・・来てくれ・・・・ダニ・・・・。(叫んでいる)」

−−−−−−−−
ユウ「ってな感じで迷子になって叫んでいたりして。(笑)」
ルイ・シェイド「・・・・。」
ユウ「どうした?2人ともそんな顔をして。」
ルイ「ユウ、後ろ・・・。」
ユウ「後ろ?」
ユウが振り向く。
ルカ・テイル「ジー・・・。」
ユウ「・・・。」
テイル「最低デシ。」
ルカ「信じられないダニ。」
ユウ「ごめん・・・。気づかなかった。」
テイル「知らないデシ・・・。」
テイルとルカは知らんぷりで雑貨屋を離れる。」
ユウ「待ってくれ・・・。」
ルカ「嫌ダニ。」
ユウ「大きい魚買ってあげるから・・・。許してくれ、頼む!」
ルイ「そんな手に引っ掛かるのか・・・。」
シェイド「確かに・・・。」
テイル・ルカ「・・・・。」
ユウ「(ごくり)。」
テイル「本当にデシ。(目が輝いている)」
ユウ「ああ。」
ルカ「ありがとうダニ。」
ルイ・シェイド「ぇ・・・・。」
ルカ「それじゃ今から行くダニ。」
ユウ「今から!?。」
テイル「嫌なら許さないデシ。」
ユウ「わっわかった。それじゃ今から行こう・・・。」
ルカ「わーいダニ。」
ユウとルカとテイルは魚を買いに行った。
ルイ・シェイド「・・・・。」
シェイド「まぁ、こんなこともある・・・。」
ルイ「そうだな・・・。ユウの考えをしないものだな。」
シェイド「まぁそうなるな・・・。あまり聖魔にも迷惑かけないほうがましだな。」
ルイ「問題ない・・・。かすり傷だ・・・・。」
シェイド「そのセリフ使い方が間違っているぞ・・・・。」
ルイ「それもそうだな。」

魚が売っているほうでは。
ユウ「とほほ。」
ルカ「あとこれもほしいダニ。」
テイル「あとこっちもね。」
ユウ「はい・・・。」

―完―

魔王軍の休日の過ごし方 投稿者:ハルマキ 投稿日:2008/02/17(Sun) 21:19 No.62   
みなさんこんばんは。魔将軍のソフィアです。
本日は魔王軍の休日について皆さんに紹介したいと思います。

では、まずはヴェイク様の休日から

(ヴェイクの部屋)
ソフィア「ヴェイク様、失礼します。」
ヴェイク「おお、ソフィアか。
     見てみろ、私のコレクションを!」

ヴェイク様は休日になると、ご自身が集めたレアなアイテムの数々を
こうして並べて、一日中眺めているそうです。

ヴェイク「お前も見るか?特にこれがオススメだぞ?
     このアネモネの帽子はマニアの間でかなり有名な品でな、
     手に入れるのにどれほど苦労したことか・・・。
     あれは、私がレモリア大陸の・・・」
ソフィア「あ・・あの、ヴェイク様・・・。
     その話はまた今度にしてください・・・
     まだ、仕事中なので・・・」
ヴェイク「そうか、つまらんな・・・」

ヴェイク様はレア物の話をし始めると12時間くらいはかかります。
全く、困った物です・・・。
では、続いてバジルとキリトの部屋へ行ってみますか。

(バジルとキリトの部屋)
ソフィア「失礼しますよ、バジル、キリト」
バジル「ソフィアか・・・。
    今、良いところだ邪魔をするな!」

キリトとバジルは休日になると決まってチェスをしています。
でも、バジルが勝ったところを私は今までに一度も見たことがありません・・・。

キリト「チェックメイト」
バジル「何ぃ!?」
キリト「これであなたとの対戦結果は1000勝0敗ですね。」
バジル「ぬぬぬぬぬ・・・もう一回だ、キリト!!」
キリト「ええ、構いませんよ?」

なんだか、バジルが凄く子どもっぽく見えます・・・。
しかし、普段でも共に任務をこなしているせいか、
キリトは彼の扱いが上手ですね。
さて、次はサキさんの部屋へ行ってみますか。

(サキの部屋)
ソフィア「失礼しますよ」
サキ「あら、ソフィアさんじゃないの。
   どうかしたかしら?」
ソフィア「いえ、サキさんは休日でも勉強熱心ですね。」
サキ「ふふ当然よ。魔法を使いこなすには日々勉強しなきゃいけないからね。」
ソフィア「そうですか。私も見習わなくてなりませんね。
     あ、邪魔しちゃなんですから、私はこれにて・・・」
サキ「ええ、それじゃあ」

私もサキさんには負けられませんね。
いつまでも「赤髪の魔女」と呼ばれられるように
魔法の勉強はしておかなくては・・・。

さて、魔王軍の休日の過ごし方はわかりましたか?
え?私は休日には何をしているのかって?
ふふふ・・それは秘密です・・・。
では皆さん、ご機嫌よう・・・。




あとがき
久々の投稿小説です。
人間と対抗している魔王軍にも休日はあると想像しながら
書きました。
ところでソフィアさんの休日の過ごし方って
何なんでしょうかね?
それでは!

物々交換 投稿者:月の光 投稿日:2008/02/22(Fri) 18:45 No.64   
ある日、ユウが泣きながらいろんな町を行ったり来たりしていた。
ユウ「あ〜〜〜TОT」
ユウ「なんでこうなるんだよ〜〜」
〜〜1時間前〜〜
カインとユウは二人で散歩をしていた。
謎の爺さん「あの〜〜、、」
カイン&ユウ「ん?」
謎の爺さん「私の名前は青田 照汰≠ナす。」
カイン&ユウ「?青田、、んーどっかで聞いたことがるような、、気のせいか?」
青田照汰「これをイージスの京子≠ニいう5歳くらいの子供に届けて欲しいんじゃ、、そしてその子からもらっったものをエル・デ・ルスタの婆さんに渡してその人からもらったものを、、あとはその人に聞いてくれ、、金は払う。」
カイン「残念だが無、、」
青田照汰「そうか、金とこれもつけてか、、」
爺さんはレア物の金貨を出した
カイン「そ、、それは、昔いた、伝説の海賊の船長ハンター・E・ゼロがつかっていたもので何に使っていたかは不明で、一部の人には呪いがかかっている、もう一部の人はこれをもっていると幸福が来るという噂がある幻の金貨で世界にたった3枚しかなく、」
ユウ「ああ、わかったわかった、、とにかくそれがほしいなら頑張れよ!じゃあ俺雑貨屋いってくるよ!」
カイン「それにはどれくらいかかりますか?」
青田照汰「3時間くらい、、かな?」
カイン「じゃっ、ユウ任せたぞ!」
ユウ「えっ!!」
ユウ「昔の海賊の船長のはん、、なんちゃらの金貨を手にれてもあげないからな!!」
カイン「すいません!!嘘です。僕が行ってきます。」
ユウ「それでいいんだ、、、カインくん、、」
ニヤッと笑うユウ
カイン「怒」
カイン「そーいえば前のあれ、、シェイドにチクろうかなぁー」
ユウ「すいません。僕が行きます。シェイド相手に喧嘩はできません。」
カイン「それでいいんだユウくん、、」
今度はカインがニヤっと笑った。
〜〜ということ〜〜
ユウ「なにーっ!!今度はラティスの村ぁ!?船つかわねぇーといけねェーじゃねーか!!ちくしょー!!故郷だから何となくいいけどさぁ!!」
〜〜50分後〜〜
ユウ「はい、、これスノースリーブにいた元気な子供からもっら恐竜のフィギュア、、」
男「いらねぇからまたスノースリーブにもどてほかの人を行ってもらえ、、」
ユウ「えぇーー!!つーかなんで、スノースリーブからって知ってんだよ。」
〜50分後〜
ユウ「いらないって、、」
元気な男の子「あっ!」間違えたラティスの村にいる、、」
ユウ「頼むからほかの所にして、」
元気な男の子「んじゃー、、ランスの村にいる女の子に渡して、、6歳くらいの、、」
ユウ「へーい!!」もう3時間来てんじゃねーか、、
〜〜20分後〜〜
ユウ「はい!これ、、」はぁはぁ
女の子「わーーい!!この恐竜のフィギュアは、なんと、、」
ユウ「フィギュアの説明いいから次のこと教えて、、」
女の子「あ、うんえーとねそろそろもどっていいよ。」
ユウ「わーーい!!!」
女の子「じゃあこのカツラ、、はい、、」
ユウはカツラを手に入れた!!
ユウ「はい?(↑)」
女の子「これね、昨日、お父さんの頭の上で拾ったの」
ユウ「へぇ〜このガキ、いいもんもってんな〜しかしそれは断じて拾ったとは言わないと思う。」
女の子「うるさいなぁはやくいけや!」
ユウ「はい!!すいませんでした先輩ィ!!」
ガキ相手にビビってしまった、、と思ったユウ
〜10分後〜
ユウ「はい、爺さん、もって来たよ。」
青田照汰「おぉーすばらしいカツラじゃ、、おっほほほ〜」
ユウ「だろ!だろ!(中古だけどな、、)とにかく金くれ!」
青田照汰「はい、これお金、別に大金。とは言ってないからね、、1000ペイン(日本単位だと約10万円)と金貨」
ユウ「ユウは金と金貨を受け取り、さっきまでのことを振り返った、、」
この物々交換にかかった金(船などの金)1300ペイン
もらった金1000ペイン
ユウ「金貨はカインにやるし、、結果的に、、」
ユウ「損してるーー!!!うわぁぁーー!!」
ユウ「300ペイン損してるーー!!」
ユウは過去に例がないほど無駄な時間を過ごした、、と思ったとさ、、

                      おわり

カイン、シェイド、そして精霊の剣を使う者 投稿者:ハルマキ 投稿日:2007/08/24(Fri) 22:23 No.55   
ヴィッツア大陸の北西部
魔獣の森よりもさらに西に人も寄りつかない
霧に包まれた湿原がある。
ミスト湿原と聖ヘレンズ帝国の人間はそう呼んでいる。
この湿原のことは国王ブレイド3世はおろか、
ラーハルト司令、ダーク・ヘイストン参謀、
そしてカイン達4大将軍もあまり詳しいことは知らない。
ただ、知っているというのは、この湿原を発見したときに
なにやら巨大な蛇のような魔獣の姿が目撃されたということである。
そこでラーハルト司令はこの魔獣を倒すため、
二人の人間をミスト湿原に向かわせた。
その二人とはカインとシェイドである。
前述したようにカイン、シェイドら4大将軍は
この湿原のことをよく知らない。ゆえに今回の任務は
難航を極めると確信していた。
やがて、二人は問題の湿原に到着した。
「ここか・・・ミスト湿原というのは・・・
 本当に霧に包まれた湿原だな」
カインが言った。
「こう霧が深いと魔物がどこにいるかわかりにくい。
 気をつけて進むぞカイン。」
「わかったシェイド」
二人が湿原へと進もうとしたとき、向こうに人影が見えた。
「ん?誰かいるぞシェイド」
「待て、魔物かもしれない・・・」
シェイドは鞘から聖剣ドラゴンズ・アイを抜き、構えた。
カインも鞘から聖剣ファルコンを抜き、同様に構えた。
二つの聖剣の先に立っていたのは、
容姿がカインそっくりの青年だった。
(なんだ・・?カインそっくりじゃないか?
 ひょっとして変身能力をもつ魔物か?)
シェイドはそう思い、さらに身構えた。
「ん?あんた達は一体?」
青年がそう聞くと、シェイドは青年に詰め寄った。
「その前に自分が何者なのか教えてもらおうか?
 返答次第では容赦なく斬る!」
すると、カインそっくりの青年はこう答えた。
「俺はバインツ。レモリア大陸でハンターをしている。」
「バインツだと!?」
反応したのはカインだった。
「そうか、お前がダグラスの言ってたバインツか・・・」
カインは以前ダグラスに聞いていた。
レモリア大陸にカインそっくりの奴がいると・・・。
「一度会ってみたかった」
「俺も、一度本物のカイン将軍に会ってみたかったんだ。
 本当にそっくりだな・・・」
カインもバインツも一度自分とそっくりの人に会ってみたいと
思っていた。それが、今、果たされたのだ。
でも、そんな中でシェイドはまだバインツに警戒していた。
「ここへは何の用で来た?」
シェイドはさらに詰め寄った。
「たぶん、あんた達と同じ理由さ
 ここにいる魔獣を倒しに来たんだよ。」
バインツは答えた。
「シェイド。あいつはどうやら普通の人間だ
 変身能力をもつ魔物じゃない。」
カインはバインツに質問ばかりするシェイドをなだめた。
「しかし、カイン・・・。
 何かがあってからじゃ、遅いのだぞ!」
「シェイド・・・」
「あのさ・・」
二人の会話にバインツが入ってきた。
「もし、良かったら俺もあんた達についてっていいか?」
「別に構わない。目的が同じみたいだからな」
「おい!カイン!
シェイドはカインを止めようとした。
するとカインは言った。
「シェイド・・・。そんなに怪しいんだったら
 一緒に行動してみたほうがいいんじゃないか?
 そのほうが確認しやすい。」
カインの考えはもっともだった。
そんなに怪しいのだったら、一緒に行動してみて確認したほうが
早いと・・・
「少しでも怪しい素振りを見せたら容赦なく斬るからな・・・」
「それじゃ、そういうことで・・・
 ところでさっきから俺を警戒しているあいつは?」
バインツがカインに尋ねた。
「あいつはシェイド・ハーベルト
 俺と同じ聖ヘレンズ国の将軍だ。」

カイン達三人は湿原の中を進んでいた。
「そういえば、お前は聖剣インペリアルを持っていると
 ダグラスから聞いたんだが・・・」
カインがバインツに尋ねた。
聖剣インペリアルとは、カインの聖剣ファルコンや
シェイドの聖剣ドラゴンズ・アイと同じ、
七大聖剣と呼ばれる代物である。
「ああ、あれか。最近、イージスの町を歩いてたら
 鑑定屋のじっちゃんに呼び止められてな、
 偽物だっていうことがわかった。」
「に・・偽物・・・」
「それで、あまりに悔しくてその剣は売ってしまった。」
カインはなんとも言えない彼の哀しさに少し同情した。
「でも、そしたらお前の武器は?」
「ま、楽しみは後に取っておくさ・・・。
 それよりシェイド将軍。例の魔獣に近づいているみたいだぜ」
バインツは前方にいたシェイドに声をかけた。
「お前も聞こえたか。
 ああ、確実に私達は魔獣に近づいているらしい。」
シェイドはどうやら魔獣のうなり声を聞いたらしい。
同様にバインツも聞いたらしい。
カインだけは何も聞こえなかった。
だが、何かが動く気配だけは彼にも読み取れた。

湿原の奥、そこはそれほど霧も深くなかった。
上空には若干だが青空も見える。
だが、三人はそんな空を見る暇さえなかった。
例の魔獣とついに出くわしたのである。
「こいつは、ミドガルズオルム・・」
シェイドが言った。
魔獣ミドガルズオルム。
ヨルムンガルドとも呼ばれている大蛇の魔獣。
よく、沼地などに生息している。
「なるほど、確かにこういうところほど生息しやすいな。
 気をつけるべきはあの鋭い牙と太い胴体だな・・・」
カインは敵を分析し、そして飛びかかっていった。
「どけぇ!」
カインの[閃光]が敵を貫く。しかし、その刃は
ミドガルズオルムの胴体を貫通しなかった。
「くっ・・・硬い鱗に守られているのか・・
 ならば、これでどうだ!
 刃よ突き上げろ!!」
今度は[天空昇]でミドガルズオルムを天へと突き上げた。
しかし、さほどダメージを喰らった様子はない。
その時、カインに向かってミドガルズオルムが突進してきた。
すんでのところでかわしたが、もしまともに喰らってたら
かなりのダメージだっただろう・・・。
「奴には、普通の攻撃が効きにくいか・・・。
 カイン!私に任せろ!」
「頼んだ!シェイド!」
今度はシェイドがミドガルズオルムに向かっていった。
「この戦いに終止符を打つ!光の翼!」
聖ヘレンズ国の奥義[光の翼]が炸裂する。
これは効いた。翼のような光の刃が次々とミドガルズオルムを
突き刺していく。
「カイン!光の翼を効果があるみたいだ!」
「わかった!」
「なら、俺も混ぜてもらっていいかい?」
バインツが言った。
「バインツも光の翼が使えるのか?」
「いや、似たような技なら使える。」
そう言うと、バインツは鞘から剣を抜いた。
その剣は神々しい光を纏っていて神秘的だった。
「その剣は・・?」
カインが尋ねた。
「この剣は精霊剣コスモス・・・。
 光の精霊コスモスの加護を受けた剣だ。」
「な!?精霊剣・・・!?」
精霊剣というのは、ガイア世界に存在する
4大精霊の加護を受けた剣で、それぞれの精霊から加護を受けた剣が
一本ずつ存在する。
精霊剣イフリート、精霊剣ノア、精霊剣コスモス、
そして精霊剣カオス。
これらの剣は七大聖剣が誕生した時代に、
精霊達が自分たちの力を残すために作ったとされる剣であり、
その在処は今も解っていない。
「そんな剣をなんでお前が!?」
カインの言うとおり、在処が解らない剣の一本を
なぜバインツが持っているのか?
彼はその答えを言った。
「うちに代々伝わる剣らしい。
 先祖は高名な精霊術士だったらしくてな
 その時代に手に入れたらしい・・・。」
「・・・・・・・・・。」
カインはその答えに納得したのか、黙り込んでしまった。
「さて、早いとこ奴を倒すか・・・。」
バインツは剣を構えると、ミドガルズオルムに向かっていった。
「光の精霊コスモスよ。
 汝の力を解放せよ!」
それは、一瞬の出来事だった。
神々しい光が翼のように連なり、一つ一つ音もなく
爆発していく。
光が消えた時にはミドガルズオルムは跡形もなく消えていた。
「光翼爆とでも言っておこうか・・・」
そうバインツは言った。
これを見たカインとシェイドはただ、唖然としているだけだった。

「だが、バインツの助けがなければ、あの魔獣を
 出来なかっただろう・・・。本当に助かった。」
カインがバインツに礼を言った。
「いいって、気にするなよ。」
「しかし、あれほどの力を出せるのなら、
 レモリア王国の将軍になれるのでは?
 なぜ、ならない?」
シェイドはバインツに尋ねた。
「悪いけど、俺は自由のほうが好きなんだ。
 あまり城に仕えるというのは性に合わなくてね。」
バインツは答えた。
彼の発言からすると、バインツはカインとは正反対の人間なのだろう
ただ、姿が似ているだけで性格は一致しない。
前にダグラスもそう話していたのをカインは思い出していた。
「それじゃ、俺はこの辺で・・・
 報酬をもらいにレモリア大陸へ戻らないといけないしな。」
「ああ、またいつか会おう。」
カインがそう言うと、バインツはイージスの町の方面へと
消えていった。

帰り道の途中でカインはシェイドに聞いた。
「なあシェイド。精霊剣ってどこかを探せばきっと見つかるよな?」
「知らん。そもそも精霊剣がどこにあるなど、
 誰も知る由がない。」
「でも、どこかの大陸を片っ端から探せばきっと見つかるだろ?」
シェイドの足が止め、カインに聞いた。
「お前は精霊剣が欲しいのか?」
「ああ、だってレアだからな・・・。
 なんてったって1本ずつしかこの世に存在しないんだぜ?
 ああ!コレクターの血が騒ぐ!」
シェイドは頭をかかえてこう思った。
(聞いた私が馬鹿だった・・・。)



あとがき
カインに似た青年バインツ再登場です。
今回はカインの他にシェイドとも絡ませてみましたが
またぐちゃぐちゃになってしまいました・・・。
さて、前回は聖剣インペリアルを持っていたバインツですけど
偽物にした理由はこの剣は○○ィ○が所持しているらしいので、
物語を崩したくないのであえてこうしました。
その代わり、精霊剣という新たな物が出てきましたが、
これはオリジナルの設定で
ガイア世界に存在するのかはわかりません。(爆)
とにかくまあ、読んでもらえたら光栄です。



彼女は希望を抱く 投稿者:孤高のカラス 投稿日:2007/04/01(Sun) 11:29 No.49   

―ガイア歴1655年、ランスの村。


「アイリス・・・!アイリス!!」
一人の青髪の青年が、少女を抱き叫んでいた。
「・・約束したじゃないか・・・・。平和な時代になったら・・聖魔の森に行こうって・・・・。」
彼の声は悲しみと憎悪を含んでいた。
「魔獣ラフレシア・・・俺はお前を・・・お前を許さない!!!」
彼は、全ての力を剣に込め、巨大な獣に斬りかかって行った。


―某時刻、ランスの村へと続く道。

青髪の少女が彼女の住む村へと歩んでいた。
彼女は長い髪をなびかせ、風を全身に浴びながら足を進めていった。

そこへ、一人の男が彼女の元へと歩いてきた。
「こんにちは、アイリスさん。」
「・・・・?」
彼は彼女の見たことの無い人物だった。
昼間だと言うのに漆黒の服を纏い、金髪を輝かせていた。

「誰ですか?・・・村の人じゃないみたいですけど・・・。」
「ただの旅人ですよ。とある所であなたの噂を耳にしましてね。ここまで来たんです。」
彼女は困惑した。
彼女自身は有名なわけでも無いし、むしろ殆ど村から一人で出たこと無いくらいだった。

「・・とある所で聞きましてね。あなたがアリードの卵を死なせてしまい、深く悲しんでいる、と。」
「・・・!!」
彼女は驚愕した。
アリードの卵の事を知っているのは彼女と親しい者だけであり、村人達でさえも知らないはずだった。

「あなたは・・・?」
「先ほども言った通り、私はただの旅人です。けれど、あなたが悲しんでいると知って放っておくわけには行きません。」
彼女はすでに混乱に近い状態になっていた?
誰なんだこの人は。どこで卵の事を知ったのだろうか。

「1ヶ月ほど前、とある場所でアリードの卵を見つけたのです。それで、あなたに届けようとここまで来たのですよ。」
「あ・・・・。」
彼女は絶句した。
まさか、この人は1ヶ月もの間彼女を探しつづけココに来たのだろうか。
この時点で、彼女にとってはこの人が誰なのかは関係が無く、ただひたすら何処で噂を聞いたのかが知りたかった。

「私の噂を・・・何処で聞いたんですか?」
「忘れてしまいましたね。何せずっと前の話ですしね。」
「・・そう・・・ですか・・・。」

彼女は、この会話が終わる頃には彼への疑いの感情を無くしていた。
どうやら、金髪の男は彼女に心を操る催眠術を掛けたようだったが、彼女はそれを知る由も無かった。

「それで・・そのアリードの卵を・・私にくださるのですか?」
「もちろんですよ。ここに来た理由はそれしか無いですしね。」
彼女は歓喜を上げそうなほどまでだった。
前に死なせてしまったアリードの卵の分まで、愛情を注ごう。
彼女はそう心に決めた。

いや、もしかしたら金髪の彼が彼女にその感情を植え付けたのかもしれない。
が、それは誰にも、-彼女にも- 知る術は無かった。

「アリードの卵は、魔獣の森へと隠しました。あそこなら誰にも見つからないでしょうからね。案内いたしましょうか?」
「はい、お願いします。」
彼女は金髪の彼に導かれるまま、魔獣の森へと入っていった。


―そして、これが少女の悲劇の始まりであり、青髪の青年の戦いの始まりであった。












―あとがきもどき
なんか俺の頭の悪さ全開ですね。
もうちょっといい話に出来たんじゃないかなーとか思っても自分の頭じゃ無理のようです。
あぁーもうちょっといい形容詞とか知ってればなー、と遅すぎる後悔。
ちょっと落ち込む。

次は・・・何の話にすればいいのやら・・・。
もうちょっといい話書けないかなぁ・・・俺。
「師匠、俺に力を!」もとい、
「KAZさん、俺に作文力を!」とか言ってみる。

とにかくKAZさんFREEJIAVの作成頑張ってください。
俺の小説がちょっとでもKAZさんのやる気を引き出せれば光栄です。

ではこの辺で。

不思議な木の実 投稿者:モモ 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:13 No.40   
ある晴れた日、ライドネルの宿屋の一室からレア物について熱く語る声が聞こえてきた。
その部屋の中には熱弁をふるっている男が一人とそれに無理矢理つきあわされている男女が三人。
もちろんしゃべっているのは聖ヘレンズ国四大将軍の一人カイン・ヴァンスである。
そして後の三人は、同じく四大将軍の一人ユウ・スティン、その兄ルイ・スティン、
最後に精霊術士のフリージア・ラスターである。

カイン  「この壺はな、紀元前500年前に人魚が作ったとされている壺で、こっちの傘は・・・」
ユウ   「もう充分わかった。もうやめろ。」
カイン  「いいや、まだまだあるぞ!!フリージアはまだ聞きたいだろ?」
フリージア「はい!その石は何ですか?」
カイン  「それはだな、人類が生まれる前にドラゴンが作ったとされている石、その名も『ドラゴリラ・ストーン』だ!!!」
ユウ   「ド、『ドラゴリラ・ストーン』!?なんかドラゴンかゴリラかわかんねーな。」
ルイ   「それよりテイルとルカは何処に行ったんだ?」
フリージア「そういえばいないね。」
ユウ   「あぁ、あいつらなら森に木苺を取りに行くっていってたぞ。」

その直後ルカとテイルが大きな風呂敷を抱えてやってきた。

ルカ   「ユウしゃん、ユウしゃん珍しい木の実を見つけたダニよ!」
カイン  「なにっ!?レア物か!?」
テイル  「これデシよ。」

テイルが広げた風呂敷にみんなの視線が集まる。お世辞にもおいしそうとは言えない柄ばかりだ。

ルカ   「これキレイダニ!ユウしゃんこれ食べてみてダニ♪」

ルカが指さしたのは緑色で派手な黄色の星模様のついた木の実だった。

ユウ   「えっ・・・これをか!?さすがにこれは・・ふがっゴクンっ。」
フリージア「ユウ大丈夫?」
ユウ   「あぁ、なんともな・・うぉっ!」
ルイ   「どうしたユウ!!」
ユウ   「か、体が熱い・・・」

その瞬間ユウの体が光った。次の瞬間みんなは我が目を疑った。

カイン  「ユウ、その体どうした!?」
ユウ   「えっ?うわっなんだこれ?」

なんとユウの体がすごい筋肉質に、つまりマッチョになっていたのである。

フリージア「今の木の実が原因かなぁ?」
ユウ   「ルカっ!どうしてくれるんだよぉ〜。」
テイル  「次はこれを食べてみてくださいデシ♪」

そう言ってテイルは茶色で赤いハート模様の実をユウの口に投げ込みました。

ユウ   「ふがっ!ゴクンっ」
ルイ   「おいユウ大丈夫か?」
ユウ   「うぅ・・・うわぁっ!!」

また突然ユウの体が光り出した。次の瞬間ユウの体は元に戻っていました。」

カイン  「良かったなユウ、元に戻って。」
ルカ   「良かったダニ〜♪」
ユウ   「『良かったダニ〜♪』じゃねぇよ!」元はといえばお前がなぁ・・」

その時である。どこからともなくあの恐ろしい声が聞こえてきたのは・・・

トレビアン「カインちゅわぁぁぁん!!会いたかったわぁぁぁん!!」
一同   「げっ」
トレビアン「あら、感動の再会で『げっ』とはなによ、『げっ』とは。
こんな所でも会えるなんてやっぱり私たち運命の赤い糸で結ばれて・・ふごっゴクンっ」

トレビアンが話し終える前にフリージアがあの緑色の木の実をトレビアンの口の中に投げ込んだのである。

フリージア「さっ、もうそろそろ行きましょう♪」
フリージア以外の三人と二匹 「すげぇ・・・」
トレビアン「あっちょっと待ちなさいよ!っていやぁ〜ん!」

突然トレビアンの体が光り出し、体がマッチョになっていた。

トレビアン「やだっ!ちょっとなによこれ・・ってあら?」

もうその場にはマッチョになったトレビアンと、怪しげな木の実達しか残っていなかった。

トレビアンが元の体に戻ることが出来たのは十六種類あったうちの十六個目。
そのため何度も体が変化したため、トレビアンは一週間寝込んだという。

終わり

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