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釣りロ○ンを求めて(2) 投稿者:にょにょも 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:11 No.37   
「いやぁ〜助かったよ、ルイ兄」
ユウは嬉しそうに言うと、差し出されたコーヒーを一口啜った。
パチパチと音を立てて燃える焚き火の向かい側にルイが座っている。
「ルカの奴、起きねぇんだもんよ〜。参ったぜ、ホント」
ライドネル村の途中の道で、ウロウロと彷徨っているユウをルイが発見したのは、ほんの20分前のことだった。
「相変わらず、だな。だがよくココまで来られたな。少しは進歩したのか?」
「いや〜、それがさあ。偶然、ライドネルの方に行く荷馬車に乗せてもらったんだけどさ〜....」
「『ありがとう、おじさ〜ん♪』なんてニコニコ手を振って、見送った後でどっちに行けばいいのか判らなくなった。そんなトコか?」
「うん。ここって真っ暗だし、周りは草木しかないし、急に心細くなるしさ....。
あっ!そういやルイ兄、どうしてこんなトコで野宿してるんだい?」
「....たまに気分をかえてみたくなるんだ。」
「.....あ!、ゴメン。」
「どうして謝るんだ?気にする事は無いだろう。父さんの敵は俺が必ず討つ。お前はお前の道を進めばいいんだから、な?」
「俺にも少しは手伝わせてくれよな。ルイ兄ばっかりに苦労させたくないんだ。だって....俺。」
「真っ暗闇でも一人でトイレに行ける様になったらな。」
そういってルイはニヤリと笑い、コーヒーを啜った。
「くう〜〜〜。もう寝る!おやすみっ!!」
ユウは毛布を頭から被るとその場で横になった。
(ルイ兄の馬鹿野郎!わからずや!もうあのときの子供じゃないんだからな。俺だって、俺だって....。)
そんなユウを見つめながら、ルイは

「その気持ちだけでいい。あれはお前の手に負える相手じゃないんだ。多分、今の俺でもな。」

と、小さくつぶやいた。


 ユウが目を覚ますとルイの姿はもうそこには無かった。
「次に会ったら、毛布返さなきゃな....って、あれ?ルカ?」
眠い目をこすりながら周囲を見回すと、水辺の方にちょこんと座っているルカの姿があった。
(ん?誰かいるみたいだな)
ふらふらと近づいていくと、それはディアだった。
「起きたか。銀髪、後ろには立つなよ!釣られたくなかったらな。」
ひゅん!
と音がして、キラキラ光る何かが前髪をかすめた。それは釣りの仕掛けだった。
「わわっ!お、おい!危ねえな〜。」
「だから言っただろうが!釣り針には『カエシ』が付いているんだ。刺さると中々抜けないんだよ。」
「うああ、痛そうダニ」
「大の男がペンチで掴んでも抜けないからね。最悪の場合は切って開くしかないのさ。」
言いながらディアはリールを巻き、糸をピンと張らせると竿を置いた。
「ところで、本当に釣れるのか?レギョンだぞ、相手は....。」
ディアはスッと立ち上がり、大きな杭に括り付けてある一本のロープを指差した。
「一週間前にワナを仕掛けておいた。あとはこれを引き揚げるだけさ。ちゃんと入ってるよ。」
「成る程〜、保険を掛けた訳だな。じゃあもう釣る必要ないじゃんか?今度は何を狙ってるんだよ。」
「ライドネルクジラさ。この前は取り込みにしくじっちまったが....、ん?」
その瞬間、ぎゅぎゅうーん、と
竿先が、大きく弧をえがいて水面に突き刺さった。

「な、なんかひいてるダニ!」
「ま、まさかクジラ?!」
リールからはものすごい勢いでラインが引き出されていく.....。
「銀髪!そのロープをほどけっ!」
ディアは小舟を繋いでいるロープを指差した。慌ててユウが解きだすと彼女は小舟に飛び乗った。
「お前も来い!」
ユウも乗り込み、小舟は岸を離れた。
「コイツは一体なんなんだ?」
「多分、この湖の主かもしれないが....その正体を見た奴がいないんだよ。」
水面を走るラインが緩んだのを見て、ディアはゆっくりと竿を立てながらリールを巻いた。
「銀髪、もっと漕いでくれ。根に入られたらアウトだ....。」
「く〜っ、人使いの荒い姉ちゃんだぜぇ。よーし、俺様の実力みせてやるぜ〜!!」

その15分後。
「ひ、ひいぃ....。ぜえ、ぜえ....。も、もう、ダメ....」
「後もう少しだ。ほら、もう見えてきた。かなりの大物だよ」
魚の影が水面にゆっくりと浮かび上がってくる。それは二人の乗っている小舟とほぼ同じ大きさだった。
「すっ、げえ〜。おい、これなんていう魚なんだ?」
「....。」
彼女は水面を凝視したまま動かない。が、その肩はかすかに震えていた。
「ま、そんな大物釣れたら感激で声も出せないよな」
「まさか、こんな事って....。」
「うわっ、何だ!?」
小舟が大きく揺れて魚が水面から顔を出した。
ワニみたいな頭部、鎧を着けたような体に、水かきのついたひれ。
それは二人が見たことの無い魚だった。魚はジャンプを繰り返し必死に抵抗した。
小舟は大きく揺れ続け、二人は船べりにしがみつくだけで精一杯だった。
揺れが収まった時にはもう、魚はいなくなっていた。
「あ〜あ、逃げられちまったか。勿体無かったな、大物だったのに」
「いいさ、主の顔を拝めたんだからね」
「あれ、結局なんだったんだ?」
「さあ、知らないねえ....。あえて言うなら古代魚かな」
「おかしな湖だよな、ココは」
「さ、岸に戻るよ。サッサと漕ぎな!」
「少しは休ませてくれよな〜〜」


その夜、城下町のレストランではレギョンのフルコースがテーブルに並び
皆、その美味しさに夢中になっていた。
そこへ一人の女性が入ってきた。
「こんばんは、そちらのワインうちに間違って届いてたわ」
「お、マリンちゃん。いいところにきたね」
「あら、なあに?楽しそうね」
「実は.....。」
ダークはレギョンとP・Pの話をマリンに聞かせた。
「私もこういう商売してるから気になるわ。是非味見させてくださいな」
コ、コ、コ。と音を立ててパニュールピニョールがグラスに注がれた。
「ありがとう」
マリンはそのまま一口目を味わい、そしてレギョンの卵を食べてもう一口飲んだ。
「どうだね?素晴らしいだろう」
ダークはまるで、新しいおもちゃを自慢する子供のように誇らしげな笑みを浮かべて訊いた。
「ええ、驚きましたわ」
ダークは満足そうにうなづく。
「このワインとおんなじ味なんですもの」
「え?」マリンは持ってきたワインを指差した。それは最近よく売れている安物のワインだった。
「マスター、このワイン開けていいか?」
「どうぞ、それ人気があるんですよ。」
新しいグラスに注ぎ、香りを確かめて一口含む。
「!!!!!!!!!!!!!!!!」
カイン達もワインを飲んだ。
「全く、と言っていいほどよく似ている」
「つーかさ〜、同じでしょ?」
「美味しいでしょ?これね、たったの250ペインなの」
それを聞いたダークはひっくり返ってしまった。
「わ〜!ダーク参謀」
「きゃ〜、なんか私悪いこと言っちゃったかしら」
「ダークしゃん、なんか哀れダニ」
ダークはそれから一週間ほど寝込んでしまった。
その後しばらくの間、彼の前ではワインの話は禁句だったという。

<おしまい>

釣りロ○ンを求めて(1) 投稿者:にょにょも 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:10 No.36   
ある土曜日の午後、ダーク参謀は聖ヘレンズ城内にある図書室で
調べ物をしていた。
ありとあらゆる酒を揃えた通好みの店を開く事が彼の夢だったからだ。
 当然、酒には肴が付き物。通をうならせ、感動をあたえる為にも
食材に関する知識は持っていなくてはならないだろう。
 仕事が早く片付いた日はこのように図書室で酒や食材の勉強をしているのだった。
『幻の珍味』そのタイトルに惹かれてページをめくっていたが、やがてある項目に
釘付けになってしまった。
                   −珍魚レギョン−

その体表はアンコウの如くブヨブヨと弾力に富んでいる。身のほうは
まるでフグのような旨みを持っていてじつに美味い。
肝はフォアグラ以上に濃厚でなめらか。火を通してもその食感は変わらない。
だが、それだけではないのだ。その特筆すべきは卵にある。あのキャビアの
王様と呼ばれる「ベルーガ」ですら敵わないという。イクラなんて問題外だ。
小生はこれをP・P(パニュール・ピニョール)と共に食したことがあるが
(勿論、禁止令がでる以前の話である。念の為)口の中に広がる香りは何とも
素晴らしく、天にも昇るとはこのような事なのかと大変感激したのであった....。
....残念な事に乱獲によって数が激減したため、現在では保護の指定を受けている。

「なんということだ。じつに、じつに残念な話だ....。」
ダーク参謀は目頭をそっと指で拭うと、本を閉じて大きくため息をついた。

 その夜、ダーク参謀はカインとユウを連れてエスタ・デルソルの酒場に入った。
正確に言えばユウだけは逃げ損ねたのだ。リナは部下を連れて商業都市へ買い物に
出かけていて留守。シェイドはといえば一日中、兵に剣の稽古をつけていた為に
早めに就寝してしまっていた。
「参っちゃうよなァ?一食浮いたには違いねぇけどよ〜」
と、ユウは熱く語り合うダークとカインの背中を見ながらルカに問いかけた。
カウンター席にダークとカインが座り、ユウ達は食事をとる為近くのテーブル席についていた。
「ダークしゃんはいい人ダニ。何でも好きなものを頼みなさいっていってくれたダニ」
大きな骨付き鳥モモにかぶりつきながらルカが答える。
テーブルの上はクロスが見えなくなる程料理を盛られた皿で埋まっていた。
「あのなあ....。」
「ユウしゃんはさっきネコ缶をルカに食べさせようとしたダニ。
ルカはネコじゃないダニ〜!」
「経費削減の為に、土曜日の夜から月曜日の朝まで食堂が
利用できなくなったのはお前も知ってるだろう?
給料だって減らされちゃったし、俺だってパンの耳で乗り切ろうと....。
ネコ缶の方がパン耳より高いんだからな〜!ゼータク言うな〜。」
そんな言い合いをしながら食事を済ませると
ユウ達はカウンター席に移動した。

「P・Pの最高の肴が珍魚レギョンですか....。
うわさではレモリア大陸で養殖実験が行われているようですね。
実用化には後数年はかかると....。」
「だがなあ、カインよ。あの魚は警戒心が強くなかなか養殖しにくい。
私が生きているうちに実現するとは思えんよ。
闇商人ぺぺでも入手は困難だそうだ。非常に残念でたまらないよ....。」
どうもダーク参謀は泣き上戸らしい。、彼の目の前には涙で水溜りができていた。
 ユウはバーテンに「何回目?」と尋ねた。
バーテンは澄ました顔で「16回目です」と答え飲み物を差し出した。
「うあ。今日のは特にひでぇなあ〜。
あ、それとミルクも貰えるかい?....ありがとう。」
ルカにミルクを手渡そうとしたときに
「ちょっと、
大の男がメソメソメソメソとうっとおしいったらありゃしないよ。
酒がまずくなるじゃないか。」
カウンターの端で赤い髪の女が飲んでいた。声の主はこの女性らしい。
「あ、お魚釣りのお姉しゃんダニ〜♪」
「ぶはあっ」
急にルカが立ち上がったので、ユウはミルクを思いっきり
自分の顔面に浴びせてしまった。
「ダークしゃん、このお姉しゃん釣りの名人ダニ。
レギョンもきっと釣れるダニ〜♪」
「なにっ!?」
ダークとカインは同時に叫んだ。
そんな二人を赤髪の女はせせら笑うように見ながら答えた。
「釣り以外の暇つぶしの方法を知らないだけさ。
それと、『お姉しゃん』はよしとくれ。
なんだかこそばゆくってね。あたしはディアだ。
本名?....ふ、そんなものは忘れたよ」
白い雫をぽたぽたと滴らせながらユウは
「なんだァ?そりゃ」と心の中でちいさな突っ込みを入れていた。
「レギョンのメスを釣り上げてくれたら1万ペイン出そう。
引き受けてもらえないだろうか?」
身を乗り出すようにして懇願するダークにディアは一瞥ををくれると
「断るね」
落胆するダーク。すっかりしおれてしまった様はとても参謀様には見えない。
「リスクの大きな仕事をさせるんなら、それなりの金額になるっていってるんだよ。
1万程度じゃ、誰に頼んだって引き受けちゃくれないよ」
「一体幾らなら請けるんだ?」
カインは不安げな表情でディアを見る。
「5万。」
「!!!!!!」
「と、いいたいトコだけど3万ペインに負けとくよ」
負けてくれたとはいえども薄給のカイン達には信じられない金額であった。
ダーク参謀といえどもそう簡単には出せないだろう。
しかし、ダークは静かな微笑を浮かべて答えた。
「いいだろう。だがそれは成功した時点で支払う。前金は一切無しだ。
それでいいかね?」
「構わないよ。貰えるんなら問題ないさ。
ただ、準備が必要なんでね。すぐにはできないよ」
「いつになりそうだね?」
「来週の土曜、ライドネル湖に来な。潮まわりが最高の時なんだ」
そう言うとディアはカウンターに代金を置いて去っていった。

 そして釣行前夜。ユウはカインの部屋を訪ねた。
カインはなにやら大きな箱を準備しているところだった。
「何だァ?それは」
「これか?この中には『解けない氷』が入っている。
ダグラスの錬金で作らせたんだ。レギョンの鮮度を保つためにな」
「よくやるよな〜。俺は魚よりお肉に愛を感じちゃうんだけどね。
カトレアさんのビビンバステーキ最高!」
「なんたってレギョンは『レア』だからな。万全の準備をしなくては....」
「レギョンをどうするつもりなのです?」
「勿論P・Pの肴にって....うっ?リナ!?」
「や、やっべえ....」
 ユウがドアをきちんと閉めておかなかったのが原因のようだった。
二人の会話はすっかりリナに聞かれていたのだ。正義感の強いリナの瞳は怒りに燃えていた。
が、対照的にカインとユウの全身は『解けない氷』よりも更に凍り付いていた。
「あなた達、天然記念物のレギョンを食べる事は禁じられているのよ!
犯罪よ!いますぐに中止しなさい!!さもなくば....」
リナはすばやく剣を抜き、身構える。
「リナ、れ、冷静に話し合わないか?」
女とはいえ4将軍の剣だ。凄まじい威力がある。
「こっちに向けるな!俺はカンケーねえって〜」
「見逃した時点であなたも同罪よ。ユウ、覚悟しなさい!」
「そりゃねえだろ〜!?」
「待ちたまえ。リナ将軍、君には是非食べてもらいたいのだよ。
レギョンは美容効果を高めるコラーゲンが豊富でな、それは若さと美しさを保つ成分だよ。
昔から高貴な女性達が奪い合ったという魚なのだ。」
それは立派なガウンを羽織ったダーク参謀だった。
既に就寝していたようだが騒ぎを聞きつけて来たらしい。
「美しい君だけが最高の美を得る資格がある。と、私は思っているのだがね」
 「え?あ....、その、こ、光栄です。あ、あの、
....私で何か、お力になれることがございましたら
喜んでお手伝いいたします。」
先ほどの気迫はどこへやら。すっかり大人しくなってしまったリナをカインとユウは
ただただ唖然として見つめる他無かった。
「では、城下町のレストランに予約を入れておいてくれたまえ。
勿論、貸しきりでだ」
「早速手配いたします。では私はこれで失礼いたします。」
リナが去った後、カインとユウは安堵のため息をついた。それを見てダークは
「女性を口説くには『美容』、『ヘルシー』、『オシャレ』、
『ゴージャス』、『カワイイ』これらのいずれかが
確実に効くんだ。覚えて置いて損はないぞ」
「....お見事でした。」
「明日は早い。きちんと寝ておくようにな」
スリッパの足音を響かせ、ダークは寝室へと戻っていった。
「お前はどうするんだ?」
「ん〜、ルカがどうしてもいきたいって言うからさあ。付き合って
やろうかと思ってさ」
「そうか、集合は4時に直接現地だ。寝坊するなよ」
「え!?そんなに早いのかよ」
「人目につくとマズイっていうのもあるが、早朝が狙い目らしい」
「わかった、じゃあな。おやすみ〜」
ユウはあわてて部屋へ戻っていった。彼の事だから向こうで寝るつもりなのだろう。
カインは窓際に立ち、カーテンを開いて外を見上げた。
月がくっきりと夜空に浮かんでいる。雨の心配はなさそうだ。
「ん?確かユウって....ま、いいか」
再びカーテンが引かれ、部屋の明かりが消えた。その数分後、聖へレンズ城から
大きな荷物を背負った銀髪の青年が出て行く姿を何人かの人たちが目撃する。
後に『待遇の悪さに、とうとう将軍様まで夜逃げされたのだ』というウワサがたつのだが
ひどい政治のせいもあってか、しばらくの間消えなかったという。

Gazer(後編) 投稿者:氷雨 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:10 No.35   
──気がついたら、自分はそこにいた。
 緑の天蓋が頭上を覆うその場所は、かつて姉や祖父とともに何度か通りかかったことがある。
 確か、そう──「神宿りの樹」と呼ばれる老齢な大樹。千年以上の齢を重ねてなお、新しき息吹を
育み続ける神木。
(神宿りの、樹……)
 改めて、心の中でその名を反芻する。
 なぜ、自分がここにいるのか。そんな疑問が浮かぶが、しかしそれは不安を伴うものではない。
「あなたが……私を呼んだの?」
 ──なんとなく、そんな気がしていたから。
 だが、大樹は彼女の問いかけには答えない。ただ駆け抜けてゆく風に梢を囁かせるのみ。
 同じく風に金色の髪を揺らしながら、彼女はその深い緑色の瞳をぱちくりさせた。
「あれ? 違ったのかなあ……」
 確かに、何かに「呼ばれた」ような気はしていたのに。それとも思い違いだったのだろうか。
「う〜ん……ま、いっか! でも、本当に何度見ても立派な樹……」
 しばし唸った末、あけらかんとした体で頷くと彼女は目の前の大樹に歩み寄ってその幹に手を──

 ──パシンッ

「えっ……?」
 耳元で、何かを引っ叩いたかのような音を聞いた気がして、彼女はきょとんとして顔を
上げる。そして、目を見開いた。
 一瞬──何が起きたのかすぐには理解できなかった。
 ただ、我に帰って真っ先に分かったことといえば──寸前まで目の前にでんと構えていた
神宿りの樹が、視界から綺麗さっぱり消えていたことだった。
「あ、あれっ? 樹が、ない……!?」
 きょろきょろと辺りを見回すも樹は見当たらず、それどころかどの方角を見渡しても新緑の
草原が広がるばかり。まるで、あの一瞬でまったく違う場所に飛ばされてしまったかのようだ。
「い、いったいどうなってるの〜!?」
 さすがに動転して叫ぶ彼女の耳に──ふと、何かが聞こえてくる。
『……リ…ア…』
「……えっ……?」
 遠くから──いや、心に直接響いてくるその声は、聞き覚えのない男の声。
 だけど……なぜか、とても懐かしい──
『フリ……ジア……』
「誰……誰か、私を呼んでいるの……?」
 再度辺りを見回すも、目に映るのはざわめく緑と空の蒼だけ──。
 ……いや、
(あれ……?)
 いつの間に、そこに現れたのかは分からない。だが、確かにそこに「彼」はいた。
 彼女より幾分背の高いその青年の顔は、然程距離は離れていないはずなのにはっきりとは
見えなかったものの、なぜかフリージアには彼が笑っているように思えた。
「あなた、誰……?」
 呟くような彼女の問いは、果たして彼に聞こえただろうか。
『フリージア……』
 なおも自分の名を呼ぶ青年は、こちらに片手を差し伸べる。
 華奢すぎず、武骨すぎない大きなその手は、確かに自分に向かって差し伸べられていた。
 ふと、何かが彼女の心の琴線に触れる。
 ──そうだ。自分は……「彼を知っている」。
「まさか……」
 フリージアはほぼ無意識に彼に歩み寄っていき、その手を掴もうとした。
 ──ずっと探し求めていた。その手の温もりを。
「あなたは──」
 もう少しで手が触れる、というところで彼女の後ろから吹いた風が前髪に隠れた青年の顔を
露にする──

 「フリージア!!」

「──ふえっ!?」
 不意に耳元で名を呼ばれ、フリージアはがばっと──ベッドから身を起こした。
 きょろきょろと視線を巡らす内におぼろげな視界が鮮明になっていき、ついに両手を腰に当てて
いる女性の姿を捉える。その背後では、窓から白銀に覆われたいつもの朝の風景が見えた。
「もうっ、何度呼んでも起きないんだから。
 朝ご飯の支度が出来てるから、支度が出来次第降りてくるのよ?」
「う、うん……」
 ちょっとだけ眉をしかめて──しかし、いつもの柔らかい物腰はそのままに──姉はそう言うと、
ぱたぱたと下の階へと降りていった。
 しばらくぼうっとする頭の靄を払うのに悪戦苦闘しつつ、フリージアはようやく先程までの光景が
なんだったのかに思い至った。
(……ゆ、夢かあ……)
 思わず、ぼふっという音とともに枕に顔を突っ伏す。
 ──でも、ただの夢というには、また違うような気もする。あの、神宿りの樹が見せた幻は──
「……へへっ、でもちょっと嬉しかったかも☆」
 あの青年の姿は──彼女の知らない、「彼」の幻だったのか。
 せめて顔は見たかったなあと思いつつ、知らぬ間に顔がほころんでくる。
「──フリージア〜! ご飯なくなっちゃうわよ〜!?」
 階下から聞こえてくる姉の呼びかけに、フリージアははたと我に返ると、
「ええっ!? い、今行くから残しといてよ〜!」
 そう叫び返すとフリージアは慌ててベッドから抜け出した。
 ──たとえ、あれが幻だったとしても。
 今日は一日、すこぶるいい気分で過ごせるに違いなかった。


 まだ午前中だというのに、熱気が支配しつつある真夏の太陽の下。
 そよぐ風も熱風となる炎天下から逃れるように、一人の少年が木陰で寝そべっていた。
 年の頃は、十代半ばほど。どこにでもいそうな黒髪の少年であるが、ただ違う点といえば
簡素な鎧と剣がそのすぐそばに放り出されていることだろうか。
 大樹の作る涼やかな恩恵に浸りながら、気持ちよさそうに寝息を立てている。
「──い……お〜い、リュウ!」
 そこへ、遠くからもう一人──銀髪の少年が声を張り上げながら駆けてくる。
 恐らく、「リュウ」というのがこの幸せそうに寝ている少年の名なのだろう。
「むにゃ……もう食えねえよ〜……ぐー……」
 照り付ける陽光の下からすぐそばの木陰に駆け込んできた少年に、リュウは寝言で応じた。
 ──いや、正確には「応じた」とは言い難い。
 案の定、銀髪の少年はその端正な顔をしかめつつ、深い溜息を吐く。
「はあ……ったく、いつまで寝ぼけてるんだよ! 今日から新しい任務だろ。早く聖へレンズに
戻らないと、カイン将軍との待ち合わせに間に合わなくなるぞ!」
 怒鳴りつける彼に、寝転がっていた少年は焦点の定まらない視線を向けた。まだ脳の半分以上は
夢の中にいるに違いない。
「ん〜? …………ぅえっ!? も、もうそんな時間かよ!? なんでもっと早く起こしてくれ
なかったんだよ、アラン〜」
 寝ぼけ眼に銀髪の少年──アランを見上げていたリュウは、不意に完璧に覚醒したように目を
見開くと、がばっと上半身を起こす。
 一方、アランはリュウの言い分にぴくりと眉を吊り上げた。
「……あのなぁ……別に良かったんだぞ、俺だけ先に行っても。
 単にお前があとでカイン将軍に絞られるだけだし」
 リュウと同じくらいの年の頃のわりには怜悧な印象を与えるアイスブルーの瞳が、じろっと
リュウを睨みつける。
 その視線と言葉に「いっ!?」と呻くと、リュウはわたわたと近くに放り出していた鎧と
剣に手を伸ばす。
「そ、それはちょっと……。頼むから、準備するまで少し待っててくれよ〜」
「分かった分かった。早くしろよ」
 泣きつくリュウに、アランも慣れた様子で溜息混じりに応えた。
「──しっかし、この場所好きだよな、リュウも。そんなに寝心地いいのか?」
 リュウが鎧を身に着けるのを見やりながら、アランは幹に背を預けつつ問いかける。
 確かに、特に今日のような猛暑の中にあっては、この木陰はちょっとした避暑地になるが。
「ああ。な〜んか、ここで昼寝してるとよく寝れるんだよな。なんでか、この辺りは魔物も
出ないしさ」
「……そう言われてみると、そうだな。──『神宿りの樹』って呼ばれてるのも、それが由縁
なのかもしれないな」
 確かに、この丘は一番近い街である聖ヘレンズ城下町からも少し離れているため、本来なら
魔物が出てもおかしくないはずだ。
 ──にも関わらず、この場所でよく昼寝をしているこの相方が魔物に叩き起こされたという
話は聞いたことがないし、彼自身も魔物の姿を見かけたことがない。
 当のリュウはというと、
「『神宿りの樹』? ……なにそれ」
 籠手をつける手を止めて、きょとんとした顔でアランを見返している。
 これにはアランも呆れ顔だ。
「お前……そんなことも知らないでここに来てたのか?」
「え……うん」
 素直にこくりと頷くリュウに、アランは再び嘆息してから言葉を続ける。
「この大樹は……『神宿りの樹』って呼ばれてるんだ。なんで、そう呼ばれてるのかは色々と
説があるらしいけど……結局、どれが正しいかは分かってない。なにしろ、千年以上前から
生きている樹らしいしな」
「へえ〜、随分と長生きしてるんだな〜、コイツ。でも──なんか納得できるかも」
「? なにが?」
 感心したように頷くリュウがぽつりと漏らした言葉に、今度はアランが疑問符を浮かべる。
 するとリュウはぱっと明るく笑って、『神宿りの樹』を振り仰いだ。
「だって、こいつの下で寝てるとさ。なんか、ほっとするっていうか。大きな何かに包まれてる
みたいな感じがするんだよな。上手く言えないけど」
 相方の感慨深げな台詞に、アランも目をぱちくりさせる。
 ──だが、リュウの言っていることは、恐らく本当だろう。リュウはアランとは逆に、考える
より先に行動に出る性質なせいか、ある種の「感覚」に優れているところがあった。
 アランもリュウのそういうところは、よく知っている。
「そっか……本当にこの樹には『何か』が、宿ってるのかもしれないな。
 ──って、それよりリュウ! 待ち合わせの時間!」
「ああっ!? そうだった!」
 思わず、リュウだけでなくアランも話に気をとられて、時間を忘れてしまっていたらしい。
 はたと思い出して叫ぶアランに、リュウも慌てた様子で剣を腰に掛ける。
「こうなったら、聖ヘレンズまで全力疾走だ! 行くぞ、リュウ!」
「ああ! ちょっと腹減ってるけど──」
「飯なら、城下町についてから幾らでも食え!」
 ぼそっと付け加えるリュウに突っ込んでから、アランは涼しい木陰から太陽光線の真っ只中に
飛び出した。リュウもそれに続く。
 じりじりと照りつける太陽は、今まさに天頂に昇ろうとしていた。


「ディアさん、もう少しでイージスに到着します」
「……ああ。分かっている」
 男の一人の言葉に、そのすぐ背後で同じく歩を進める紅い髪の女はぶっきらぼうに応じた。
 商業都市イージス。同時に、港町でもある街から彼らは遠き西方の村を目指すため、船に乗る
つもりだった。
 マントを羽織った(恐らく、その下に覗く武装を隠すためだろう)数人の男達の中で、紅一点
らしきその女は、小さく見えてきた街並みに目を細めた。
 その横手から、先程とは別の男がわずかに顔をしかめながら女──ディアに話しかける。
「しかし、船が出せるでしょうか……。不穏な噂が流れている、とのことでしたが……」
「……無理にでも出させるさ。海路に怪物でも現れたなら、私が一刀の下に切り伏せるまで」
 普通に聞けば一笑に付すような台詞を言っているが、ディアの発する気迫は尋常ではない。
 改めて確認するまでもなく、本気で言っているらしい。
「あそこに行くには、海路を使うしかない。かといって、目的地に控えているヤツを倒す前に
くたばっている場合でもないからな。気合いを入れていくよ!」
『はい!』
 彼女の言葉に、周りの男達も気合いを入れなおすかのように大声で応じた。
 ──そうだ。あの悲願を果たすまで、倒れるわけにはいかない。そのために失ってきた、
多くの仲間達のためにも。
 より歩調を速める彼女の視界の端に、あるものがちらつく。
 思わずそちらに視線を向けると、遠く北の方角に一本の大樹が見えた。
「神宿りの樹、か……」
 彼女自身はあまり伝承などに詳しくはなかったが、かの樹が千年を超える時を生き続けている
ということぐらいは知っている。──逆に言うと、それぐらいしか知らないわけなのだが。
(「神」、か……)
 その言葉に、思わず皮肉げな笑みが浮かんだ。
 現在、聖へレンズの国教として信奉されている「ゾルダーク教」では、聖へレンズ国王──
ブレイドV世が神に等しい存在とされている。
 彼女に言わせれば──たかだか一人の人間風情が名乗る神を信じるぐらいなら、あの大樹に
宿っていると言われる「神」を信じる方がマシだ。
(まあ、本当に「神」とやらがいればの話だけどね……)
 もし、本当に神がいたならば。ゾルダーク教と彼女達と、どちらを愚かだと思うだろう。
(……ま、たとえ私達が愚かだとしても、私達は己の信じる道を行くだけだ)
 いずれにしろ、ゾルダーク教──そして「バプテスマの鐘」は悲劇しか生み出さない。
それを止めるために、彼女達は動いているのだから。
「……止めてみせるさ。嘆きの叫びは……もう、まっぴらごめんだ」
 ぼそり、と彼女自身にだけに聞こえるようにその言葉は呟かれた。
 ──もし、嘆きの鐘を止められたなら。
 神宿りの樹も、悲しみに満ちたこの世界を見ずに済むようになるだろう。
 そう、彼女は信じていた。


 日も西の空に沈みゆき、紅の空に夜の帳が近づく。
 時は、正しく「逢う魔が刻」。闇が世界を覆い、密やかに獣が──あるいは魔が翔ける刻の
始まり。
 つい先程まで夕日を浴びて地に黒々とした影を落としていた大樹は、今はそれ自体が大きな
影となって闇と同化しつつある。
 その、巨大な影の下に。いつの間に現れたのか──ぽつんと一つの人影があった。
 黒ずくめの風体は訪れつつある闇に似ながら、しかし明らかな存在感でもって辺りの闇を
逆に制している。
 フードを目深に被ったその人影は、飽きることなく眼前の影を──大樹を見上げていた。
「……神宿りの樹……か」
 低く、抑揚のない男の声がその口をついて出る。どこか空恐ろしさを感じさせるほど、男の
声音は静謐だった。
 そのとき、一陣の突風がフードをなぶり、男の顔をあらわにする。
 フードの下から現れたのは、精悍な顔つきの青年。そして無表情に大樹を見上げるのは──
鮮血のごとき、暗き深紅の瞳。混沌と魔性を秘めた、「赤い闇」。
 ──かつて、その瞳に宿っていた優しさを、大樹は知っていた。
 そして、今のその瞳にかつての優しい光がないことを嘆くように、枝葉をざわめかせる。
 わずかに舞い落ちる木の葉の一枚を掴み取り、男は薄く口元に笑みを這わせた。
 辺りの「闇」の気配が、より一層濃くなる──
「フン……そうか。貴様は知っているのか。『この男』を」
 大樹の嘆きを嘲笑うように鼻であしらうと、男は目を細める。
「──そうだな。もしや、貴様に知らぬことなどないのかもしれん。かつて……百年前に、
人間どもが愚かにも自ら我を──破滅を呼び込むさらに遥か昔から、貴様はこの場所ですべてを
『見ていた』のだからな」
 まるで、その大樹と言葉を交わしているかのように男は一人呟くと、ふと笑みを消した。
 そして、大樹の幹に片手をつき、目蓋を落とす。
 男の周りから、異質な空気が──「瘴気」にも似た何かがにじみ出る。
 男は幹に手をついたまま身動き一つせずに居たが、しばらくして再び目を開くと手を下げた。
「悲しみ、憎しみ、驕り、怒り……ありとあらゆる負の感情が、この世界には満ちている。
 そしてそれは──我らがこの世界に現れる以前から、人間どもの心に存在している。
 そう……それが元で、我もこの地に現れたのだからな」
 遠い彼方を見るような目で語った男の口調が、そこで唐突に愉悦を含んだものに変わった。
「クックッ……妙なものよ。
 貴様は、『神宿り』の名を冠していながら、我を拒むこともないのだな。
 あるいは……貴様も、この世界に嫌気でもさしているのか?
 醜い、人間どもの這い回るこの世界が……」
 面白がるように見上げる男の視線に、大樹が「応える」ことはない。
 しかし、男はなおも愉快そうに喉を鳴らすと、ばさりとマントを捌きつつ大樹に背を向けた。
「これからも、貴様はそこでこの世界を『見続ける』だけか。それもよかろう。
 ──さて……この先、貴様が見届けるのは人間どもの終末か……」
 ふわりと翼のごとくはらんだマントの下で、漆黒の剣の鞘が鈍く光る。
「それとも……我らが魔族の滅びか──」
 闇を、夜を纏い男はその場から立ち去って行った。
 男が残していった、魔の気配と凄まじい血の臭いが束の間の夜風にさらわれて行く──


 地を駆け、天を舞う風に鮮やかな緑が身を揺らし互いに囁きあう。
 雲ひとつない晴天から降り注ぐ陽の光は青々と茂った木の葉に遮られ、わずかに漏れた光は
風に揺れる枝に合わせて大地で踊る。
 ──ただ一本、緑の丘に聳え立つ大木の下で、かつて師と剣を交えていたあの少年が立っていた。
 ……いや。「少年」というには既に語弊があるだろう。彼はあの時の面影を残しつつも、精悍で
並々ならぬ覇気を感じさせる青年へと成長していた。
 それもそのはず、あの時から──すでに十年以上の時が経っているのだ。
(だが……お前にとっては、その十年も微々たる時なんだろうな)
 そう考えると、複雑な想いに表情がわずかに歪んだ。
 この十年で、自分はあらゆるモノを失った。この十年で、自分はあらゆるモノを得た。
 その全てを。体に、心に刻みながら歩んできた。
 それは痛みであり、喜びであり、悲しみであり、彼自身の存在そのものとも言えるだろう。
(まあ、その経てきた時を己の身に刻んでいるという点では……俺もお前も変わらない、か)
 千年以上の時を生き、しかし不変ではないこの大樹はまるで生ける時の証のようだ。
『この樹は時を「見ている」──』
 かつて、師がそう語った理由が、今なら分かる気がする。
 この大樹は、今迄どれだけの想いに触れてきたのだろう。
 この大樹は、今どれだけの想いを知っているのだろう。
 この大樹は、これから──どれだけの想いを感じてゆくのだろう。
 「彼」自身からすれば、あまりに短い命を持つ者達の想いをどう見ているのだろうか。
「お前は俺達の想いを知っているだろうに。でも、俺達はお前の想いを知らない──知れない。
 ……お前からすれば、俺達の存在など儚い、ものなのだろうな……」
 不意に伏目がちになって呟いた彼の顔に表情はない。
 だがその声音には僅かな憂いが、悲愴が、悔恨の色が滲んでいる。
「……己の大事なものも守れずにのうのうと生きている俺を、お前は嘲笑うだろうか?」
 そう言って、彼は顔を上げた。その顔には、自嘲めいた笑みがある。
 ──もし、仮にこの樹に表情があったとしても、彼を嘲笑ったりはしないだろう。
 それが分かっていたからこそ、彼は自ら己を嘲笑う。
 自分の問いかけが、どれだけ無意味なものかは分かっていた。
 だがそれでも、彼は問う事をやめなかった。
「遂げられない想いに、どれだけの意味がある……?」
 想い、とはある種の「力」だ。時に己も予想だにしないことを成し遂げさせ、時に己が身に
破滅を呼ぶ。
 今の自分のこの想いは──果たしてどちらだろう?
 溢れる問いに対して、答えは一向に見つからない。誰も、与えてはくれない。
「……ん……?」
 前触れもなく何かが頬に触れ、彼は頭上を見上げる。
 ブラウンの瞳に、届くはずもない緑の天蓋からはらはらと葉が何枚も舞い落ちる様が映る。
 どこか柔らかく──不思議と温かかったそれは、さながら御使いの残していった羽のよう。
 優雅に、軽やかに舞い降りてきたその内の一葉を宙で掴むと、男はしばしその葉を見つめた。
 そして、ふっと再度笑みを浮かべる。先程の自嘲めいた笑みに似た──しかし、明らかに先程
とは違う感情がそこには秘められていた。
「ふふ……お前に愚痴りに来たはずではなかったのにな。すまない」
 ──とうに、分かっていたはずの答えだ。
 今はただ、この想いを胸に前へ進むしかないのだということは。
 この想いの「力」が今、新たな時を紡ぐのに必要なのだということは──。
「……まったく……お前に宿っている神とやらは、相当な気まぐれらしい。
 その思慮を覗かせないと思えば、こうして──『導き』を与えるとは」
 彼が葉を掴んでいた手を離すと、葉は再び独特の舞を見せながら足元に落ちる。
 そして大樹に──あるいは、それに宿っているという神とやらに──にやりと笑いかけた。
「心配せずとも、俺は元より──先へ進むさ。それが、俺のすべきことだから。
 何より、俺が……俺自身がそうしたいと想うことだから、な」
 そう告げてから彼は身を翻して木陰から抜けると、ふと何かを思い出したように足を止めて
肩越しに振り返る。
「──そうだ。お前に伝えておきたかったことが、もう一つあったんだ」
 空の蒼に近い色合いの髪を持つ青年は、少し間を置くと真顔で、しかし万感の思いを込めた
口調でゆっくりと続けた。
「……ありがとう」
 恐らく、彼の想いを知っている「神宿りの樹」ならば、それが何に対する感謝の気持ちだった
のかは分かっているだろう。だから彼は、ただその一言だけを風に乗せた。
 ──そう、遠くない未来に。自分は、死を迎えるかもしれない。すでに、死神は彼の首筋に
冷たい大鎌の刃をそえていて、あとはただほんの少し引くだけなのかもしれない。
 だが、今は──。
(……まだだよ。まだ、俺は──)
 見上げる空のどこか──あるいは、彼自身の背後か──にいるやもしれない死神に向けて、
彼は不敵に笑って見せた。

 この一歩は明日へ。
 掲げる剣は彼方へ。
 抱く思いは未来へ。
 その命は短く儚きものなれど。
 まだ、彼の──彼らの「時」は途切れない。

彼と彼の接点 投稿者:氷雨 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:08 No.30   
「ヴェイク将軍!」

 南クロス大陸への遠征の任務を終え、自室に戻ろうとしていた彼はその声に呼び止められた。
 振り向いてみると、そこには精悍な──しかしどこかまだあどけなさの残る──
 顔立ちの青い髪の少年が立っていた。
 恐らく、自分を見つけて駆け寄ってきたのだろう。軽く息を弾ませている。
 彼は、その少年を知っていた。
「そんなに息を切らせてどうしたんだ、カイン? 俺に何か用が?」
「はい! その……」
 少年──カインは上がった呼吸を整えてから、彼にこう切り出した。
「ヴェイク将軍に、お伺いしたいことがあるんです。この後、お時間よろしいでしょうか?」
「俺に、聞きたいこと?」
 唐突な申し出にヴェイクは首を傾げた。しかし、真摯なカインの表情を見て、
 余程聞きたい何かでもあるのだろうと思い、ふっと微笑んで頷く。
「ああ、大丈夫だ。なら、あとで俺の自室に来るといい。そこで、話を聞こう」
「あ……ありがとうございます!」
 彼の答えにカインの表情が一転、それこそ子供のように嬉しそうな笑顔に変わった。
「では、あとで……失礼します!」
 ぺこっと頭を下げると、カインはくるりと踵を返して兵舎の方へと駆け戻っていく。
 その後ろ姿を見送りながら、彼はカインが自分に聞きたいこととは何だろう?
 ──と考えていた。
 彼自身、あの少年の名と、なぜ兵士としてこの城にいるのかは知っているが、
 今の今迄実際に話したこともあるかなしかくらいなものだ。
 まあ、将軍である自分とその自分の部下という訳でもない少年兵とでは
 接点がないのも無理はないのだが。
 そんなことを考えながら、彼もまた自室へと戻っていった。


コンコン

「空いている。入ってくれ」
 ノックの音に彼がそう応じると、僅かな軋みとともにドアが開き先程の少年が現れた。
「失礼します」
 お辞儀をしてから部屋に入ってきたカインを認めると、
 彼は読んでいた本「珍魚レギョンを食らう」を本棚に戻しつつ
 テーブルについている二脚の椅子を指し示した。
「そこに座ってくれ。どっちの椅子でもいいから」
「は、はいっ」
 ちょこんとその椅子に座ったカインはどこか落ち着かなさそうに
 きょろきょろと視線を泳がせている。
 カインの紅茶を入れてテーブルに戻ったヴェイクは、その様をみて苦笑した。
「そこまで固くなられると、まるで俺がこれから説教するみたいだな」
「あ、いや……すみませんっ」
 慌てて謝るカインにさらに苦笑を深くすると、
 彼はその前に紅茶を置いて自分ももう一脚の椅子に腰を下ろした。
「いいんだ。それに、ここに珍しい物が多いのは確かなのだし」
「?」
 どこか誇らしげに聞こえたヴェイクの台詞に今度はカインが首を傾げるが、
 ヴェイクは「いや、なんでもない」と言葉を濁した。
「……それで? 俺に聞きたいことって言うのは、何なんだ?」
「はい。あの……えっと……」
 しどろもどろに話し始めたカインだが、まだどう切り出そうか迷っているようだった。
 しばらく俯いていたかと思うと、意を決したように彼の顔を見上げ、
 先程と同じ真摯な瞳で言った。
「どうして、ヴェイク将軍は……そんなに強いんですか?」
 ようやく放たれたカインの問いに、
 自分のティーカップを口元に運ぼうとしていたヴェイクは思わず手を止め、
 目をぱちくりさせた。
 やがて、静かにティーカップを置くと、真っ直ぐにカインの目を見つめ返した。
「カインは……強くなりたいか?」
「はい!」
 何の迷いもない瞳。純真ですらある、その意志。
「そうか。君がそこまで俺を買ってくれているのは嬉しいが、
 俺は君の師匠の足元にも及ばないぞ?」
「いえ、そんなことは!──って、すみません。
 俺がそんなこと言えた立場じゃないんですが……」
 否定しようとしたカインは、しかし自分が出すぎた発言をしていると思い至ったか、
 すぐに頭を下げた。
「師匠は、俺にあなたのように強くなってほしい、と。そう、言っていました」
「…………」
「それに『お前は私だけでは駄目だ』、とも」
「? どういう意味だ?」
 黙って話の先を促していたヴェイクは、カインのその台詞の意味を掴みかねて聞き返した。
「『お前は私から学び取るだけでなく、
 もっと多くの人間から色々なことを学び取らなければいけない』。そう言われたんです」
「……なるほど」
(ジェラルド殿らしいな)
 カインの師匠──聖ヘレンズ王国最強と謳われるジェラルド・ヴァンス将軍は、
 厳しくも相手を想い接することの出来る人格者だ。
 彼自身も、その剣の腕だけではなく人柄も尊敬している人物だった。
 カインもその言葉に従い、自分の下を訪れたということなのだろう。
「それで、ようやく合点がいった。君だけでなく、
 ジェラルド殿にもそこまで買ってもらっているとは光栄だな」
 その言葉どおり、本当に嬉しそうに笑ったヴェイクにカインも少し緊張を解いた。
 その笑顔が、先程までのどこか達観したものではなく、
 人間くささがにじみ出たものだったからだろうか。
「しかし……なぜ強いのか、か……それは難しい問いだな……」
 困ったように眉根を寄せた彼は、しばし唸っていたかと思うと、
「そうだ。カイン、明日は空いているか?」
「え? あ、はい。明日は非番ですけど……」
 急に聞き返され、訳も分からずそう答えるカインに彼はにっと子供じみた笑みを浮かべた。
「よし。なら、明日良い所に連れて行ってやろう」
「え、ええっ!?」
 彼がそんな表情を──しかも、そんな提案をするとは思いもしなかったのだろう。
 今度はカインが泡を食ったような顔で叫んだ。
「で、でもヴェイク将軍!」
「大丈夫、俺も明日は休みだ。今日、遠征から戻ってきたところだしな」
「だ、だったら尚更俺なんかの為にそんな時間を取って頂いては申し訳ないです!」
 焦りまくったようにまくし立てるカインを、
 ヴェイクはその反応を楽しんでいるかのようにくすりと小さく笑ってから片手をあげて制した。
「その点については、問題ない。俺としても用事のあるところに行くのだからな。
 それに、君もついていく。
 それだけのことさ。まあ、君が俺のお供は嫌だというなら、勿論無理にとは言わないが──」
「いっ、いえ! そんな滅相もないです! 是非、お供させてくださいっ!」

ガタンッ!

 余程の感情の昂ぶりのせいか、
 物凄い勢いで立ち上がったカインは座っていた椅子を後ろに倒してしまう。
「わわっ!? す、すみません!」
「ぷ……っあはははっ! 威勢が良くてけっこう。
 それじゃあ、決まりだな。明朝、城下町の西門前で落ち合おう」
「は、はあ……」
 弾けたように笑うヴェイクに、カインは慌てて椅子を元に戻しながら間の抜けた声で答えた。


 翌日、早朝。
 聖へレンズ城下町西門で落ち合った二人は、城下町を出て西へと進んでいた。
「あの……ヴェイク将軍。これから、どちらに向かわれるんですか? 
 ……まさか、魔獣の森じゃあ──」
「残念ながらハズレだ。
 ……まあ、昨日俺が帯剣してこいと言ったんだから、そう思うのも無理はないか」
 二人並んで街道を歩きながら──
 と言っても歩幅がかなり違う為にカインはやや早歩きになっている──、
 これからの行き先のことを話していた。
 今日は互いに休日の為に鎧などの装備は身につけていないが、
 ヴェイクの言葉により剣だけを腰に帯びている。
「まあ、ついて来れば分かるさ。特に危険な場所という訳でもない。…………はずだ」
「……?」
 一瞬、何か不安にかられる一言が聞こえたような気がしたが、
 カインは気のせいだということにした。
 二人はさらに西へ進み、街道から外れた所にある林に入っていた。
 横でヴェイクが何度も地図を確認しているのを見ながら、カインも「どこに行くのだろう?」
 という疑問を胸にヴェイクについて行く。
 しばらく林の中を進み──そして何度か戻り──、
 やがて二人は立ち並ぶ木々が拓けた空間にたどり着いた。
「う〜んと……よし、ここだな」
「???」
 「ここ」と言われても、カインにはこの場所が何か特別な場所には見えない。
 ここでヴェイクは何をするつもりなのだろう?
「さて、と。──カイン」
「は、はい!?」
 急に呼びかけられたため──
 なにしろ林を進む間はヴェイクは無言で地図と格闘していたのだから──、
 カインは慌てて答える。
「昨日、君が俺に尋ねたことの答えを……残念ながら、俺は言葉で表す術を知らない。
 ……だが、同時にこうも考える」
 その拓けた空間の中央へと歩を進めながら、ヴェイクは淡々と語った。そして、振り返る。
(──っ!!?)
 それは一瞬のこと。振り返ったヴェイクの視線を、ただ浴びただけだった。
 たったそれだけで、カインは総毛立つ感覚を知る。
 それは、昨日の──いや、つい先程までの柔らかい印象を与えるものではなかった。
 今、彼を射すくめているのはあまりに研ぎ澄まされて、
 底冷えするかのような鋭さを秘めた剣士の眼差しであった。
「君が、本当に君自身の言う『強さ』を得るのに必要なのは、俺の言葉ではないだろう。
 君は、君自身の答えを自分で見つけ出さなければならない」
「…………」
「……だが、君がその答えを見つけるのに俺が切っ掛けとなることは出来る」
 完全にヴェイクの雰囲気に圧され、
 息を呑むカインの前でヴェイクは腰に下げていた剣を抜き放つ。
 それはヴェイクの愛剣である光剣メビュラスではなく、一般兵が使う普通のロングソードだった。
「カイン、俺からも再度問おう。……君は、強くなりたいか?」
 向けられる視線、言葉、そして白銀の切っ先。それらを受け、カインが怯まないわけがない。
 ──が、
「……はい。俺は……強くなりたい!」
 怯んだのも束の間のこと。カインは真っ向から切っ先を、
 その先の赤い瞳を見つめ返し自らも剣を鞘から抜き放った。
「いい返事だ」
 その答えに満足したかのように、ヴェイクも微かな笑みを口元に刻む。
 しかし、それは数瞬にして幻のように消え去った。
「ならば、その意志を己の剣で示してみろ!」
「……応!!」

ザンッ!

 駆け出したカインの足元で、踏みしだかれた雑草が悲鳴を上げる。
「はあっ!」

ギンッ!

 噛み合った鋼が軋みをあげ、火花を散らす。真っ向から振り下ろされたカインの剣は、
 容易くヴェイクの剣によって受け止められていた。
「踏み込みはいい……だが……遅い!」
 噛み合った刃をぐいっと押し返され、思わずカインはたたらを踏みそうになる。
 辛うじて踏みとどまったつもりだったが、ヴェイクにとっては充分すぎる隙だった。
「遅いと言っている!」
 瞬く間に引き戻されたヴェイクの剣が、転じてカインの喉笛を貫かんと突き出される。
「くぅっ!」
 正に喉を食い破られる寸前に、カインは自ら大きく後ろに跳んだ。
 勢いあまって背後の木の幹に背から激突するが、
 今のカインにそんなことを構う余裕などありはしなかった。
「はぁっ……はあ……!」
 最初に切り結んでからまだ然程時間は経っていないというのに、
 既に全身が汗でぐっしょりと濡れている。
 緊張と恐怖と、高揚と。ない交ぜになった感情に、全身が震えそうになる。
 目の前の──間合いの外に毅然と立っているその存在に──。
 城内の、そして城外や果てには国外の者にまでも
 その若さにして凄まじい腕を持つ剣豪として知られる者。
 尊敬の──なにより畏怖の念により、密かにこう呼ばれていることも彼は聞き知っている。
 『赤眼の剣鬼』、と──。
「どうした、カイン。もう終わりか?」
「くっ……まだまだぁ!!」
 背中の痛みを無視して、カインは自分を奮い立たせるべく声を張り上げた。
 そして、自ら一気に間合いを詰める。
「やあっ!」

 ギッ キゥンッ ギンッ!

 立て続けに斬撃を繰り出すが、そのすべてがヴェイクの剣で軽くいなされる。
 しかし、今の二人の実力の差をかんがみれば、当然の展開と言える。
 兎が獅子に向かっているようなものだ。
「ふっ!」
 カインの連撃を受けきったヴェイクは、その返す刃で重い一撃を見舞った。
 大の大人でも剣で受ければ、手が痺れて剣を取り落としかねない一撃を、
 しかしカインはあろうことか避けることなく真っ向から受ける体勢を取った。
「なっ──!?」
 これにはヴェイクも驚いた。
 が、そのままヴェイクの剣は構えられたカインの剣の横っ腹に食らいつく。

 ギゥンッ!!

「っ!」
 さすがにたまらずカインの体が、軽々と斜め後方に吹っ飛ばされた。
 そして、先程よりも強烈な勢いで木に叩きつけられる。
 ──直前に、カインはまるでそれを見越していたかのように器用に空中で体をひねり、
 がつっという音とともに木の幹に足をつけ、
 さらに吹っ飛ばされた勢いを利用して全身をバネにし、
 三角跳びの要領で空高く跳びあがった。
「ぃやああぁっ!!」
 高々と振りかぶったカインの剣が閃く。
 その閃きは、陽の光を浴びた鋼のそれでなく──眩き閃光のごとく。
「……っ!?」
 ヴェイクの瞳が、驚愕に見開かれた。
(『閃光』──!?)
 最上段から振り下ろされるカインの閃く刃と、
 振り上げるヴェイクの剣がぶつかり合い──

 ──ィンッ!!

 人の耳では捉えきれない甲高い悲鳴を残し、折れたのは──

 閃く刃の方だった。


「はっ……はぁっ……」
 いまだ治まらない荒い呼吸を繰り返しながら、
 カインは幾分と短くなった剣を手に辛うじて立ち上がる。
「……大丈夫か? カイン」
「は、い……大丈夫、です」
 言葉とは裏腹にカインが大分疲労しているのを見て取ったヴェイクは、
 自分の剣を鞘に収めて軽くカインの肩を叩いた。
「無理をするな。少し、休んだ方がいい。今日はここまでにしよう」
「……すみません……」
 彼の言葉にカインはぼそりと応えると、どさっとその場に腰を落とした。
 しばしその様をまじまじと見下ろしていたヴェイクは、ふと表情を和らげてその隣に腰を下ろす。
「剣が……」
「それは、剣に変な気合いの入れ方をしたからだろう。剣に込める気合いに揺らぎが生じたりすると、
 そういうことが起きることもあるんだ」
 綺麗に真っ二つに折れた剣を見て眉をしかめるカインに、ヴェイクは諭すようにそう告げる。
 その顔つきは、もう「剣士」としてのそれではなく普段の彼のものに戻っていた。
「しかし、カイン。君は確か、剣を習い始めてまだ一年と経っていないと聞いたが……
 もうジェラルド殿から『閃光』を教えられているのか?」
 聖へレンズ国の兵士が最初に教え込まれる剣技が『閃光』だが、
 だからといってそう簡単に扱える技ではない。
 ある程度、剣士としての基礎を身につけた者でなくては使えないのだ。
 たかだか、剣を扱い始めて一年経つか経たないか程度では話にならない。
 だが、先程のカインの剣は……
「いえ……まだ、教わってはいません。お前には早いと言われたので……」
「では、さっきの『技』はどうしたんだ?」
「あれは、その……師匠や、他の兵士の人が使っているのを見て、見よう見まねで……」
「見よう見まね、って……」
 ばつが悪そうに答えたカインに、思わずヴェイクは絶句した。
 そして、一つ溜息を吐くと半ば呆れた口調で話を続ける。
「カイン。早く技を覚えたいのは分かる。
 だが、ちゃんと基礎を積んだ上でしっかりと教わらなければ、
 それは『剣技』として機能しないぞ。さっきだって、剣が折れてしまっただろう?」
「はい……すみません」
(……しかしまあ、確かに不安定ではあったが……
 見よう見まねで、剣を折ってしまうほどの気を練りこむとは……)
 先程の攻防の際、彼が持っていたのが仮に名高き光剣メビュラスであったなら。
 折れたのは剣の強度の違いという見方も出来たが、
 実際のところ彼がカインの一撃を受けたのもカインと同じ通常のロングソードだ。
 もっとも、彼としてもカインの腕のほどを正確に見切るためにメビュラスでなく、
 この剣を持ってきたのだが……。
(ジェラルド殿が見込むだけはある……ということか)
 内心で感嘆の言葉を呟くと、ヴェイクはカインの頭にぽんと手を置いた。
「ともかく。今の技は、もう使うんじゃないぞ。
 もっと訓練を重ねて、ちゃんとした『閃光』を教わるんだ。
 剣の道に焦りは禁物。……基礎的な訓練の中ででも、学ぶことはたくさんあるはずさ」
「……はい」
「よし。それでこそ、俺がここに君を連れてきた甲斐があるというものだ」
 ヴェイクは軽く笑うとすっと立ち上がり、折れ飛んだカインの剣の方へと歩き出す。
 その背を見つめながら、カインは素朴な疑問を投げかけた。
「でも、どうして城の訓練場でなく、この場所に俺を……?」
 その問いを背で受けたヴェイクはカインの剣を拾い上げてから、ゆっくりと振り向く。
 振り向いたヴェイクの表情は、どこか自嘲めいた苦笑に変わっていた。
「そうだな……これでも、将軍の地位というのは色々厄介なことも多いということだな」
「え?」
 意味の取れない答えに疑問符を浮かべるカイン。
「君は師匠のジェラルド『将軍』から稽古を受けているだろう?」
「あ……はい」
「当然、君がジェラルド殿が連れてきた弟子だということを城内の者は知っている。
 だが、君の稽古相手が俺となると、城内の見方は変わってくる。
 ジェラルド殿の時は『弟子が師匠から稽古を受けていた』のが、
 俺の場合は『部下でもない少年兵が将軍から稽古を受けていた』となってしまうのさ。
 そうすると、良くない見方をする者も──悲しいことだが──出てきてしまう。
 ……言っている意味が分かるかい?」
「え、ええ。なんとなくは……」
 青空を振り仰ぎ、静かに語るヴェイクの口調は穏やかだが、どこか憂いを帯びていた。
「つまり、一国の軍を率いる将軍が『たかだか』一般兵に目をかけすぎていては示しがつかない、
 と言う者が出てくるんだ。
 ……別に俺は、そんなことの為に将軍になった訳じゃないんだがな……」
 視線を戻したヴェイクはそう言って笑ったが、カインにはその目がとてつもなく悲しそうに見えた。
「俺は──」

 ザァッ──

 突如、吹いた一陣の風に、草が、葉が宙を舞う。
 緑に遮られた次の瞬間、再び視界に現れたその紅の瞳に、カインは言葉なく目を見張る。
 揺るぎない凛とした強い輝きが、カインの瞳に、そして心に一瞬にして焼き付いた。
「……それが熟練の兵士であれ、まだ未熟な兵士であれ。誰一人として、無駄に命を散らせない。
 その為に、光剣メビュラスとともに将軍の座を賜った。この意志は今も、そしてこれからも変わらない」
 ──分かった、気がした。この人が、なぜこんなにも「強い」のか。
 血のにじむような研鑽を積み、幾多の修羅場をくぐり、数え切れぬ傷を負ってもなお。
 この人は、その「意志」を捨てずに来たのだろう。人を想う、優しさというその「剣」を──
「……なんて、ちょっと格好つけすぎたな。ははっ」
 照れくさそうに笑うヴェイクに、カインはしばし黙り込んだ後、しっかりと顔を上げて言った。
「ヴェイク将軍」
「ん?」
「俺……強く、なります。あなたのように。自分の意志を、貫き通せるように……!」
 己を見上げるブラウンの瞳を見て、ヴェイクは優しい笑みを浮かべ大きく頷いた。
「ああ……君が俺を超えるぐらい強くなる日が楽しみだな」
 その双眸に宿る光が、いつか彼自身の大切な何かを護ることが
 出来るほど強いものになるように──。
 導いてゆくこともまた、今の自分の負った責任だとヴェイクは思っていた。
「今日は、本当にありがとうございました!!」
「いや……。そんな礼を言われるようなことはしていないさ。
 それに──」
 そこで言葉を区切り、ヴェイクはあらぬ方向に視線を投げた。次の瞬間、

 ヒュンッ!

「!?」
 一瞬、カインは目の前で起こったことが理解できず動きを止めた。
 ヴェイクがどこかを見やったと思った次の瞬間、その手が霞んだのだ。
 そして、さらに今気付いたのだがその手にあったカインの折れた剣(切っ先の方)が消えている。
 カインがヴェイクの視線の先を辿ると、
「……と、トカゲ?」
 ──そう。そこには見るからにグロテスクな風貌の
 (明らかに魔物の一種だ)白と黒の縞模様の蜥蜴(とかげ)が、
 ヴェイクの放ったと思われる折れた剣に貫かれて事切れていた。
 ぎょっとして固まっているカインに構う風もなく、当のヴェイクはすたすたとその蜥蜴に歩み寄る。
「ふむ……どうやら、情報どおりだったようだな」
 訳の分からない台詞を呟き、しゃがみこむとその蜥蜴の尻尾を引っこ抜いた。
「あ、あの……ヴェイク将軍……それは、いったい……?」
「ああ、これか? これは毒々蜥蜴の変種でな。滅多にお目にかかれないヤツなんだ。
 その尻尾ともなると大変な希少価値で、
 茶トラ柄のケットシーの赤い長靴にも匹敵しかねないぐらいで……」
 口元を引きつらせながらやっとの思いで尋ねるカインに、
 ヴェイクは蜥蜴の尻尾を大事そうに荷物袋にしまいながら、
 何事もなかったかのようにさらりと答える。
 それどころか、素人には到底理解できなさそうな説明を始めようとしていたので、
 カインは慌てて話を逸らそうとした。
「もしかして、ヴェイク将軍が昨日仰っていた『用事』というのは……」
「勿論、これのことだが?」
 さも当然という風に断言されては、カインも二の句が継げない。
「さて、これで用事も済んだことだし。そろそろ城に戻るか、カイン」
「(もしかしなくても……ヴェイク将軍って……珍しい物が好きなのか?)……え? は、はい!」
 しばし面食らっていたカインは、ややあってヴェイクの呼びかけに気付き、慌てて頷いた。
「──そうだ。カイン」
「はい?」
「さっき、君の剣が折れてしまっただろう? あれは、軍の支給品だったんじゃないか?」
「あっ……そうでした……」
 すっかり忘れていた。
 支給された剣を折ってしまった(しかも任務外で)となれば、
 上にこっぴどく言われるのは目に見えている。
「やはり、な。なら、この剣を持ってきて正解だったな」
 落ち込んでしまったカインに苦笑し、ヴェイクは腰に下げていた自分の剣を鞘ごと抜いた。
「これは、俺が兵に成り立ての頃に使っていたヤツだ。
 それだけに古いが……そう使い勝手は悪くない。これで良ければ、使ってくれ」
「そんな──悪いです!」
「いや、俺も折ってしまった一因なのだしな。そう言わずに受け取ってくれ」
 差し出された剣を前にカインはためらっていたが、さすがに断りきれずに剣を受け取る。
「ありがとう、ございます。大事に使わせてもらいます」
「はは、そんな大層なものじゃない。気兼ねなく使ってやってくれ。その方が、こいつのためだ」
 すっかり恐縮しているカインに、そう言葉をかけてヴェイクは城に戻る道へと歩き出す。
 その後ろで、カインは渡された剣をしばし見詰めていた。
 カインの目にも、相当使い込まれているのが分かる。柄が、握り手の形にすりへっていた。
(お前も……あの人の意志を、支えてきたんだな)
 カインはその剣を腰に下げると、幾らか先を歩くヴェイクの背を追った。

 ──いつか、必ず。あの背を、追い越してみせる。

 新たな主の思いを、その剣は知ったのだろうか。


「ぅお〜い、カイン。そろそろ出発の時間だぞ……って、何してんだ?」
 聖へレンズ城の一室で。いつもの調子で主に断りなく入ってきた銀髪の男は、
 目の前の光景にきょとんとした。
「いや……少し、昔のことを思い出していた。
 ──それよりユウ。いい加減、他人の部屋に入るときは断りの一つも入れろ」
 無言で刀身を見詰めていたカインは、剣を鞘に収めると半眼でユウを睨み付ける。
「ああっ? 別にいいだろ、こちとらお前が来ないからわざわざ迎えに来てやってるってのに」
「よくないから言ってるんだろうが。ったく……」
 カインは手にしていた剣をテーブルの上に丁寧に置くと、
 その隣に置いてあった装飾の施された剣を手に取る。
 聖剣ファルコン。師より遺志とともに継いだ、現在の彼の愛剣だ。
「よし、行くぞ。ユウ」
「そりゃ俺の台詞だっつーの。それより今回の任務だけどよ──」
 バタン、という音ともにカインとユウの声が部屋から遠のく。
 部屋に残されたのは、テーブルの上に置かれた簡素な一振りの剣。

 ──二人の人間の意志を知る、ひどく使い古された剣だけだった。

たった一人の友達 後編 投稿者:リンカ 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:05 No.27   
…………いつまでこの状態が続くだろう…………

…………あの子には…体力というものが…無いのか?…………

…………『チビとしか言いようの無い』あの子には…………


テ「なんかどっかでチビという言葉が聞こえたような…」
心の叫びも聞いてしまう地獄耳女…名をティアナと言う

デ「気にしないでいいんじゃない♪」
テ「微笑が妙に気にくわない。」
…勘の鋭いチビだ…
テ「あ……。」
デ「でっ。」
急に私の服から手を離す。背中に軽い痛みが走る。
まぁティアナの背を考えれば全然痛くないのだが
テ「そうそう!!手配書見たよ!!偽名使ってたの!?」
デ「本名忘れた。」
テ「アホじゃん!!」
デ「この頃忘れっぽくてね。」
…チビにアホとは言われたくないね!!
デ「アンタのコトも忘れる寸前だったよ。」
テ「げ!!異常じゃん!!」
…だからチビに(以下略)
テ「ちなみに本名は○○○(理由あってお教えできません)だからね。」
デ「これから禁句としよう…。」
どう見ても焦っている顔だった…それを見て微笑むティアナは『小悪魔』だ。
テ「で、今日から『ディア姉(ねえ)』って呼ぶからね!!」
デ「どうでもいいから。」
テ「じゃ、行こうか…。」
話し終わるとまた引きずられる運命となった…。


…………沈黙の時……うざったい女との話が途絶えるこの時間に……
私は幸福を感じてしまう…………

…………引きずられたまま1つの建物が目に入る…………
セントへレンズじょ…う?
デ「え!?」
テ「どしたの?」
デ「どうしたも何もこの先はセントへレンズ城だよ?」
テ「あ、なんだそんなこと…。
この先のセントへレンズ城の裏に洞窟があって、
遠回りもメンドイから突っ切って行こうと思って…。」

…………ズボラ…………

デ「てことは城壁を登るのか…。」
ティアナにはよくこんなことでつきあっているのでなんとなく判る…。
まあ、つきあっていて生きているのがおかしいと思うこともあるけど…。
テ「泥棒と勘違いされて兵士が追ってくるかも…」
デ「小さな泥棒ねぇ…あ、失言。」

…今、少しティアナのデコが動いたような気がした…

テ「とりあえず、兵士がいなければいいんだけどね〜……大当たり…」
ティアナの見た方向を確認するとそこには銀髪の…
デ「銀髪…。」
その青年『ユウ』は何かをブツブツ語っていた…。

ユ「リナめ覚えてろよ…。何が、買い物行くからお掃除お願い♪だ!!
オマケに、私の部下達と訓練もしといてね♪と来た!!
もうリナの前で暇だなぁなんて大声でいわねえぞ!!リナは…」

テ「無視するにも城壁登ったら、バレるよね…」
デ「それ以前に声大きいよ…」
ユ「んあ?ディアと…子供?お前の?いつ出来たんだ?」
……2人が…キレた……

ユ「で…そいつは…誰な…んだ。」
テ「後で呪ってやる…。」

ディアはティアナのことを少し話す。

ユ「ほ〜。お前の友達ねぇ…。」
明らかに疑いの目がディアに行く。
デ「何が言いたいの?」
…笑顔だ…怖さを物凄く感じる笑顔だ…
ユ「いや、何でもない」
テ「で!!こいつは誰?」
ユ「こ、こいつぅ!?俺に向かってそんな口たたくんじゃねぇ!!」
デ「四大将軍のユウ・スティンまたは銀髪」
ユ「おい!!その説明はひどいだろ!!」
テ「ユウ・スティン…?」
ティアナの顔が青ざめてゆく。
テ「こいつが!?」
間を空けて驚いたように話す…。
テ「こいつが幽霊嫌いのユウ・スティン〜!?」
ビリビリと声が響き渡る…。
テ「幽霊をバッタバッタとなぎ倒す、幽霊の天敵!!」
ユ「幽霊の話はするなぁ!!」

テ「…。」
ユ「え?なんか悪いことした?」
デ「(小声)アイツは幽霊大好き女だ!!」
ユ「(小声)なにー!!」
テ「そこ、うっさい!!」
デ「(小声)そして地獄耳だ!!」

テ「とにかくこいつはあとでやるとして、雪女ちゃんに会いに行かなきゃ♪」
ひらきなおった。
このときディアは初めて知った、会う幽霊が雪女だということを…。
テ「でも、もう遅いしあとでにしようじゃあね〜♪」

開き直りの早い女だ…。
2人ともそう思っただろう…。
ユウはあきれながらへたり込む。
ユ「なんだ、あのガキ…。物凄い殺気とオーラが…」
この発言をしたとき、ディアはクスリと笑う…。
デ「いま、ガキって言ったね?」
ユウは何故ディアが笑っているのか判らない…。
デ「銀髪の歳は20だったよね?」
軽くうなずく。
デ「ティアナは24歳だよ…クススススス。」
大笑いを始めるディア。
そして、
ユ「うそだろーーーーーーーーーーーーー!?」
と、驚きを隠せないユウであった。

ヴェイク戦T 投稿者:mrゲームキューブ 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:04 No.25   
ヴェイク「聖へレンズ4大将軍が相手かふっ面白い」

カイン「ヴェイク最後の決着をつけよう」

ユウ「行くぜ」

リナ「あなたがいる限り嘆きの鐘は止まらないのよ」

シェイド「油断するなよ」

30分経過

カイン「みんな光の翼で終わらすぞ」

ちゅどーん

ヴェイク「ふんそんな攻撃効かんは」

カイン「くそっ」

ヴェイク「そろそろ堕天の翼で終わらすとしよう」

ダーク参謀「おーいお前たちたった今レア酒パニョール・ピニョールが入荷したぞ」

カイン「何っ!」

ヴェイク「レア酒だと」

カイン「ヴェイク決着はまた今度だ」

ヴェイク「ああ」

たたたっ

ユウ「ああ行っちゃった」

シェイド「くだらん帰らせてもらう」

シェイドの本心は「レア酒飲みたい」

酒場

ヴェイクアンドカイン「レア酒P・Pくれ」

店主「P・Pならさっきあの方が全て買いました」

カイン「あいつは」

ヴェイク「異形なる生物(トレビアン)」

カイン「ヴェイクあいつをしとめるぞっ」

ヴェイク「ああ」

カイン「光の翼光の翼光の翼光の翼光の翼ぁぁぁぁぁぁぁぁ」

ヴェイク「堕天の翼堕天の翼堕天の翼堕天の翼堕天の翼ぁぁぁぁぁぁぁぁ」

トレビアン「ぐはっチョモランマ〜」

2人「やったか」

トレビアン「覚えてなさい」

2人「まだ生きてるこいつは不死身なのか」

一応トレビアンを倒した経験値0を手に入れた10ペイン手に入れたP・P×100(腐っている)を手に入れた。

2人「腐っている…」

なぜかトレちゃん復活

カイン「光の翼光の翼光の翼光の翼光の翼光の翼光の翼光の翼光の翼光の翼光の翼光の翼光の翼光の翼ぁぁぁぁぁぁぁぁ」

ヴェイク「堕天の翼堕天の翼堕天の翼堕天の翼堕天の翼堕天の翼堕天の翼堕天の翼堕天の翼堕天の翼堕天の翼堕天の翼
   堕天の翼堕天の翼堕天の翼ぁぁぁぁぁぁぁぁ」

トレちゃん死亡経験値ペイン共に0

ユウの夢にて 投稿者:犬ころ 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:04 No.24   
きっかけはラーハルト司令のこの言葉からだった
「最近ユウが寝坊しているから将軍全員で起こしてこい」

シェイド「というわけでユウを起こしに行く。」
リナ「なんで私達が・・・?」
シェイド「何でも起こしに行った兵が毎回大怪我して帰ってくるから
     もう被害者を出したくないとか。」
カイン「俺は行かないからな。」
シェイド「ああ、そういえばカインが駄々こねたら
レア酒B・Pの入荷を中止するとか何とか言ってた様な・・・。」
カイン「さあ行こうか。」
このときシェイドとリナの脳がシンクロした。
((単純すぎる))

こうして3人は武装してユウの寝室に来ていた。

シェイド「ただ悪夢にうなされているようにしか見えないのだが・・・。」
リナ「確かにそうとしか見えないわね。」
カイン「じゃあ、俺が起こしてくるんで。」
カインがユウに近づき、体に触れた瞬間
ユウ「く、くるな!くるな!き、きえろーーーーー!!!」
カイン「おい!ユウどうしたんだ?」
シェイド「なあ、リナあの時と似てると思わないか?」
リナ「あの時って?」
その瞬間ユウがどこからともなくヘブンズブレイドを取り出し
ユウ「く、く、くらあええ!!ひかああありいいのおおつばあああさあああ!!!!」
カイン「おい!ユウやめろ!」
とかいってる間に見事に発動して
カ!ちゅどーん!
ユウの寝室が崩壊。
しばらくすると瓦礫の山の二箇所が同時に吹き飛び、
中から全身傷だらけのシェイドとリナとカインが出てきた。
別の所から鎧を着た蒼髪で空色の目をした男が1人出てきた。
三人がユウを探すとユウは傷ひとつなくなおかつまだ眠っていた
シェイド「こいつは一度お仕置きしたほうがよいようだな。」
三人「同感です。だな。」
シェイド「ん?お前は誰だ?」
?「俺はラクス。傭兵だよ。」
カイン「お前も瓦礫に埋もれたのか?」
ラクス「そうだよ。人が朝飯食いながら歩いてたらいきなり空から降ってきてな・・・。」
シェイド「ふむ。あとで私が朝飯をおごってやろう。」
ラクス「いや別にいいですよ。」
シェイド「そうか・・・。まあとりあえずあいつにお仕置きするか。」
三人「そうですね、だな。」
そして四人は各々の武器を持って猛然とユウに襲い掛かる。
ユウ「ん〜よく寝たな。ってなんだよあれ?」
最悪のタイミングでおきたユウが見たものは殺意を宿した目をした四人組
ユウ「ちょ、ま!」
そんなユウの言葉は無視され4人の技がユウに襲い掛かる。
まずカインの『月光』がユウを襲い、
次に遠距離からリナは闘気を麒麟の形に圧縮し放つ技『麒麟』を発動、
と同時にラクスが剣に呼びかけ刀身を禍々しい漆黒の刃に変化させ
闇の衝撃波を放つ技『暗黒閃』を放つ。
彼らの技が命中と同時にシェイドがユウを剣の腹で切り上げ
さらに龍の形に闘気を圧縮して放つ『天竜』を発動しユウを吹き飛ばした
ユウ「うっぎゃーーーーーーーーーーー!!」
と叫びながら空の彼方に飛んでいった。
4人「ふう、終わったな。」
カイン「これから酒場に行って飲みませんか?」
シェイド「悪くないな」
リナ「じゃあ私も。」
ラクス「俺も混ざっていい?」
カインはラクスの剣を見ながら
カイン「もちろん。ところでその剣・・・レアだな。」
ラクスは自分の剣を見て
ラクス「たぶんレア・・・だな。」
カイン「詳しい話を聞かせてくれ。」
こんな会話をしながら4人は酒場にむかって歩いていった。
ちなみにユウは2日後に飛竜山の麓で死にかけていたところを発見され無事保護された。

まっぱの誓い(続き) 投稿者:Reinhalt 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:02 No.22   
フリージア「男って、男ってぇ・・・・。」
男連中「だから、全部おまえが・・」
フリージア「でていけー!!イフリート力を貸して!」
イフリート「何事・・・・ぶーーーーーー(鼻血)。」
フリージア「しまった、イフリートは(一応?)おとこだった!」
イフリート「ぶーーーーーーーーーーーーーーー。」
フリージア「いつまでも見てんじゃないーーーーーーーーー!!!帰れ!!」
イフリート「あ、もう少しだ・・・。」
フリージア「えーと、えーと、女の召喚獣は・・・・はっ、
そうだ!シヴァ!お願い力を貸して!」
シヴァ「わらわに何用じ・・・(ドロ)。」
フリージア「しまった!シヴァは氷の召喚獣!溶けちゃった!」
男連中「そもそも、おまえがあそこにいるから・・・」
フリージア「ぶち。い、いい加減にしな・・・」
男連中「だーかーら・・・ん、なんか殺気が・・・。」
フリージア「さーーーーーーーーい!!!!!!!!!!」
カトレア直伝の絶頂に怒り鉄拳パンチがとびだした。
どっかーん!!!!
男連中「うわああああああああ!!」
・ ・・・・どこかの森の中・・・・・・
ユウ「ぶ、無・・・事な・・奴い・・る・・か・・・?」
シェイド「だ・・め・・み・・・た・・・い・・・だ・・・。」
カイン「・・・・・・・・・・・・・・・。」
ヴェイク「・・・・・・・・。」
果たして無事に帰れたのでしょうか?
帰ったとしても何が彼らを待ち構えているのか?
そして、リナは無事なのか・・・?

リナおまえもか・・・・・ 投稿者:Reinhalt 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:02 No.20   
カイン「う〜ん・・・・」
この日カインは悩んでいた。
天使のメダルの左側と右側ではどちらがレアなのではなく・・・
カイン「どうして、将軍は四人いるのにレア物好きは
3人(カイン、ダグラス、ヴェイク)しかいないんだ・・・」
そう、彼はとてつもなくくだらない事を今、人生で一番悩んでいるのだ。
カイン「しかも身近にいるにはいるがダグラスはこの頃酒場で飲んだくれていて話にならない・・・
かといって真面目なヴェイクはいつも近くにいない・・・」
近くにいたらどうなるか彼は考えていない。
カイン「しかたがない!これは使いたくなかったが・・・俺の長年の研究で発明したこの薬であいつを」
翌日・・・
カイン「リナー、レア酒B.P.(ビュウティ・パニョール)が手に入ったんだけど飲まない?」
リナ「カイン、私はお酒は飲まないっていってるでしょ。」
カイン「おっ、これを飲むと女は綺麗になるって説明書に書いてある。」
リナ「(!?)カイン飲酒は体に良くないの。」
カイン「おおっ、しかも飲んでアンケートに答えてくれた方にはお好きなレア武器をさしあげますだって。」
リナ「(!?武器!?)」
カイン「(よーし、のったな)」
リナ「ま、まぁ、適度な飲酒は身体に良いって聞いた事もあるし・・・頂きましょう。」
カイン「ハイ。」
カインからワインの入ったグラスを受け取り・・・ゴク・ゴク・ゴク・・・・バタン・・・
カイン「えっ、お、おいリナ・・・。」
30分後
・・・・・・お・・・・・おぃ・・・・・・おい・・・・・おいリナ!!
リナ「ハッ!」
カイン「リナ、起きたか。」
リナ「私は一体・・・。」
カイン「レア酒B.P.を飲んだら倒れたんだ。おまえ、酒に弱かったのか・・・」
リナ「レア酒B.P.!カイン!それをどこで!!」
カイン「イージスの酒場にあったんだ。」
リナ「行きましょう!」
カイン「(薬が効いてるみたいだな)ああ、俺も一本ストックが欲しいからな。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・イージスの酒場・・・・・・・・・・・・・・・

マスター「ごめんねーB.P.もう無いのよ。あそこの人が最後の一本を買っていったわ。」
カイン「!!」
ヴェイク「んっ、ああ!!カインじゃねーか!」
カイン「ヴェイク勝負だ!」
ヴェイク「こ、ここでか?町がめちゃくちゃになるぞ。」
カイン「ああ。(外に行く途中で飲まれたら困るからな)ここでだ。」
リナ「私もその勝負に入れてもらうわ。」
ヴェイク「ああ、どうぞ。カインだけじゃ相手にならねーか・・・」
リナ「いいえ、カインもレア酒を狙ってるなら私の敵よ!」
ヴェイク「なるほど・・・そういう事か・・・良いだろう!俺に勝ったらこのレア酒をくれてやるぜ!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・聖へレンズ城下町・・・・・・・・

兵士A「おいおい、魔王ヴェイクとカイン将軍とリナ将軍がイージスの街の中で戦ってるって・・。」
兵士B「まじかよ・・・なんだって町の中で・・。」
兵士C「それがレア酒をめぐってらしいんだ・・・。」
ユウ「ま、まじかよ!なんでリナまで・・・。」

・・・・・・・・・・イージスの町・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

カイン「紅蓮!月光!光の翼!」
リナ「光の翼!光の翼!光の翼!」
ヴェイク「シャドウ!シャドウ!シャドウ!」
カイン「はぁ、はぁ、さすがリナ将軍・・・・連続で光の翼を出すなんて。
でも、攻撃力は俺の方が上みたいですよ。」
リナ「そういってる貴方だって肩で呼吸をしていますよ。」
ヴェイク「フン、俺から言わせれば両方とも弱すぐだ。」
ユウ「やめろ!3人とも何で町の中で勝負なんて・・・。」
リナ「ユウは黙ってて!あのレア酒B.P.は手に入れなきゃいけないの!」
ユウ「お、おい、まさかさっきのは本当だったのか・・・リナおまえもか・・・・」

リナ「ユウは黙ってて言ってるでしょ!」
ユウ「ハイ」
カイン「良いのかユウ。ここでおまえもレア物好きだって言えばリナに認めてもらえるかも・・・。」
ユウ「!」
カイン「更にここで俺とリナとヴェイクを倒して
レア酒B.P.を手に入れればかなり認めてもらえるかも・・・・・。」
ユウ「!!!!!!!!」
リナ「いくわよカイン!」
ユウ「ちょーっとまったー!!」
リナ「な、何よ。」
ユウ「実は俺もレア酒B.P.を探しててな・・・悪いけど手を引いてくれねーか。」
リナ「い・や・よ!」
ユウ「ふっ、そう来ると思っ・・・・。」
レイン「ドラゴンフォール!!」
ユウ「うわああああああ!!」
レイン「長いんだよ!」
これで更に状況は悪化とうとうユウまで戦うことに。
そこにやはり話を聞きつけてきました・・・・この人。
シェイド「貴様ら、この町の中でなにをやっている・・・。」
カイン「(にや、やはり来たなシェイド将軍)シェイド将軍もレア物には目がないですよね。
丁度今レア酒をめぐって勝負してるんですよ。」
シェイド「何、寝ぼけた事を言っている!俺はそんな物になど興味は・・・」
カイン「き・・・も・・・だ・・・め・・・し。」
シェイド「!!無い事も無いが・・・(カインは黙らせておく必要があるな)」
この戦いは終らない・・・・
終わり

FREEJIA〜トレビアンと愉快な箱〜 投稿者:朝倉優希 投稿日:2006/11/27(Mon) 14:57 No.15   
今日は、カインの誕生日。
皆がプレゼントをもって、カインのところへ集まってきた。

「カインしゃん、お誕生日おめでとうダニ」
「ありがとう!」
「おめでとうデシvvv」

ふと、カインは想った。
いつもなら、絶対に出てくるアイツがいない。

「・・・おかしい」
「どうしたんですか?」
「ああ・・フリージアか・・いや、トレビアンがいないんだ」
「心配なんですか?」
「いや、絶対心配じゃない。むしろ消えて欲しいんだが」
「とうとう、カインも目覚めたか」
「さ、ユウ・・質問だ!火葬と土葬どっちがいいか?」
「オレは、火葬かな」
「そっか、火葬だな・・」

カインは、ポケットからライターをとりだした。
ユウの青ざめた顔を横目に、フリージアは2匹をつれて呑気にお散歩をしていたのだ。

「フリージア!!助けてくれ!!」
「そのまま燃えちゃえば」
「最悪だ!!」
「フリージア・・お前は悪魔か!!」
「ユウは、また何かやらかしたのか」
「ディアさん!お弁当つくったんですか?」
「ああ、つくってきたぞ」

ユウを横目に、みんなは弁当を食べ始めた。

「あっ!ディアの手作り弁当!!」
「ユウしゃん、おいしいダニよvv」
「くぅぅ・・・」

そんな会話をしながらも、ユウはカインと鬼ごっこをしていた(マテ

「あ、あの・・カインさん宛てにこんな箱が落ちてたんですけど」
「ソラか、箱が落ちてたのか?見せてくれ」

急に止まったカイン。
それに驚き、ずっこけるユウ。
そんなユウを、無視してご飯を食べる2人と2匹。

「・・トレビアンからだと・・!?」
「あけてみましょうよ!」
「ソラ・・カッターナイフをかしてくれ」
「はい!」

何故持っている、そんなもの。
というツッコミはなしとして、カインはカッターナイフで慎重に箱を開けた。

「いたい!」
「箱の中から声がした!」
「・・・なんだと」

カインは、箱を勢いよく開けた。
なんとそこには、頬に切り傷を負ったトレビアンがいるではないか!

「お誕生日おめでとぉ〜ん、私からのプレゼントは私よぉん」
「・・・っ!!」
「カ・・カインさん!」
「消えうせろぉぉぉ!」

光の翼。

「いやぁぁぁん」
「うわぁぁぁ」

トレビアンは星になった。
そんな騒動があったにも関わらず2人と2匹は、黙々とご飯を食べていたのだった。

「もう、アイツからの物はうけとらん!」
「カインさん・・ご苦労です」
「・・ん、ユウは何処だ?」
「さっき、光の翼を発動したときに、声がしたのですが・・」
「ま・・まさか!?」

その頃のユウは・・

「いやぁん、痛いわよ!」
「近寄るな!!」

トレビアンと一緒に木にぶらさがっていましたとさ。

Fin

+願いの叶う花+ 投稿者:朝倉優希 投稿日:2006/11/27(Mon) 14:56 No.14   
ルカが、森で珍しい花を拾ってきました。
図鑑で調べてみると、何でもお願いを叶えてくれる
不思議な花だったのです。


カイン「ルカ、よく拾ってきたな」
ルカ「お手柄ダニか?」
ユウ「おお、お手柄だぞ!ルカ」
フリージア「お願い事かぁ・・何にしようかな!」
カイン「レアなものだ、大事にしなくては・・!」
ルカ「この花は1回しかお願いを聞いてくれないダニ。」
ユウ「何!?じゃあ早く、お願い事を決めなくては・・」
カイン「・・レアすぎる!」
フリージア「でも、誰のお願いをかなえてもらうのですか?」
カイン「オレだ」
ユウ「いいや、オレだ」
カイン「何!?やるのか?」
ユウ「やってやろうじゃないか」
カイン「光の翼ぁ!!!」
ユウ「まだまだぁ!」
ルカ「始まってしまったダニ・・」
フリージア「本当ですね」
ルカ「その間にお願い事をするダニ」
フリージア「そうだね、何をお願いしよっか?」
ルカ「ん〜・・たい焼きがいっぱいでてくるようにダニ!」
フリージア「そうしようか!」

ドサドサドサ

ルカ「いっぱいでてきたダニ♪」
フリージア「テイルにもあげようね」
ルカ「はいダニ☆」
カイン「光の翼ぁ!」
ユウ「おっと!!」
ルカ「まだやってるダニ・・・」

ルカの災難 投稿者:朝倉優希 投稿日:2006/11/27(Mon) 14:55 No.12   
カイン達は、キャンプに行っていました。
楽しいキャンプになるかと思っていたのに、そこに邪魔者(?)トレビアンが乱入。
カインに珍しい紅茶を渡したが、
彼は、紅茶を飲まずユウに飲ませたのだった・・・。
そこから、ユウの記憶はぶっとびました。


ユウが気絶から目覚めた朝。
ルカが、寝言を言っていました。


ユウ「・・お、ルカが何か言ってるぞ」
ルカ「ユウしゃん〜早く起きてダニ・・・」
ユウ「ル、ルカ・・・(泣」

ルカの優しさに少し熱いものがこみあげる。
だが次の瞬間、熱いものは、冷たいものへと発展した。

ルカ「ユウしゃん・・もっと強くなってダニ、弱いダニ・・」
ユウ「・・・ル・・ルカ・・?!」
ルカ「・・ユウしゃん、どこ見てるダニ、ヘンタイダニか・・」


純粋なルカは、悪気があっていっているのではありません。
皆さん許してあげましょう。

ユウ「さて、俺も、もう一眠りするか。」
ルカ「ZZZ・・・」

そこから、何分経ったでしょうか。
なにかの悲鳴にユウたちは目を覚ましました。

ルカ「にゃ〜〜〜〜っ!!!!」
ユウ「・・ルカ!?どうした?!」
ルカ「キモチわるいダニ、放してダニィィ」
トレビアン「カインちゃ〜んv私の熱い口付けをうけてちょうだぁぁぃん」
ルカ「にゃぁぁぁぁっぁ←エコ―でw」

トレビアンは、夢を見ていました。
カインと、どんなことをしているのでしょう・・・。
それは、皆様のご想像に願います。
カインは、心の中で、ルカに謝っていました。

カイン「(すまない、ルカ、俺のおとりになってくれて・・・)」

カインの凶悪化はさらに悪化するのでした。
フリージアは、皆仲がいいのねと、くすくす笑いながら
この光景を見ていました。
・・・何処をどう見て、仲が良いと見えるのかが謎ですが・・・。


End


ルカ「終わるまえに、助けてダニィィィィ!!」

本当に本当の終りですw

ユウとレアな紅茶 投稿者:朝倉優希 投稿日:2006/11/27(Mon) 14:55 No.11   
カインたちは、キャンプにきていました。
夕飯も食べ終わって、休憩タイムというところでしょう。
と、奥のほうから、ガサガサと音がする。
カインがいち早く気付き、声をあげる。

カイン「誰だ!」
???「カインちゃ〜〜んvvv」
ユウ「げっ・・トレビアン・・・」
トレビアン「げっ・・とは何よ!失礼しちゃうわね!」
フリージア「キモチわるいです・・・」

見かけによらず、酷いことをいうフリージア。
トレビアンは、苦笑いで見ていた。

トレビアン「今日は、カインちゃんのために、レアな紅茶をもってきたのよぉんv」
カイン「何っ!レアだと!」
ユウ「凄く、危ないような気がする。」
フリージア「私も思います・・・。」
カイン「さっさと貸せ。」
トレビアン「それには、私のあつ〜いキスをうけてからよ・・・ぐはっ!?」

カインは、地面に落ちていた木の棒を投げつけレアな紅茶を手に入れた。

トレビアン「いったぁ・・木の棒にあたった時、舌かんだぁぁ・・」
ユウ「どーいう当り方したんだよ」
カイン「フリージア、つくってくれないか?」
フリージア「はい♪」
トレビアン「私が、いれてあげるわ〜ん」
カイン「遠慮しておく」

コップに、粉をいれ、お湯をそそぐ。
何だか匂いが怪しい。
と、カインは、思いついた。

カイン「・・・ユウ、お前が飲め」
ユウ「え・・い、いいよ、俺は遠慮しておく・・」
カイン「飲めっていってるだろう」
ユウ「は・・はい」

そのときの、カインの顔が恐ろしく笑顔だったらしい。

ユウ「・・飲む前に聞くが、これは何処で手に入れたんだ?」
トレビアン「それは、私がカインちゃんのために、血と汗と涙で作ったのよん」
フリージア「血は余計です・・」
トレビアン「うるさいわね!って・・また舌かんだぁ・・」
カイン「・・・どうやったらかむんだ。」
ユウ「とにかく、いただくぜ・・」

ゴクッ・・・。

フリージア「大変です、ユウが倒れました!」
カイン「・・それほどまずいのか・・・」
トレビアン「んま!失礼ね」
フリージア「何をいれたんですか?」
トレビアン「ティーパックをこじあけて、無理やり粉を出した後、
      とうがらしと、わさびをいれたわ〜♪燃える恋よねぇ♪」
カイン「・・・・・・。」
フリージア「・・レアでも何でもありませんね・・」
カイン「あ・・ああ・・(飲まなくてよかった・・)」

それから、ユウは1日中気絶していたらしい。
・・その後のトレビアン?
あぁ、その後にカインとフリージアにボコボコにされて、帰っていきましたよ(ぇ

トレビアン「そんなのないわぁぁぁぁ〜〜」

End

対決 投稿者:唯菜 投稿日:2006/11/27(Mon) 14:54 No.10   
カインたちは休暇を取り、海へとやってきていた。
今カインたちはフリージアが持ってきていたビーチボールで遊んでいた。
「試合しようぜ、試合」
ユウのその一言で試合をすることになった。
「ただの試合じゃ面白くないから・・・ 勝ったチームが負けたチームに何でも命令できるって言うのはどうだ?」
「それいい!」
カインが言った提案に、ユウは同意した。
「じゃ、試合開始〜」
と、試合を始めようとしたその時――
「ふっ、その試合、我々も混ぜてもらおうか?」
そこには何故かヴェイクと魔将軍のキリトとソフィアの3人がいた。
「な・・・なんでここに・・・・・・」
「ふっ、我々も休暇中さ」
(・・・・・・魔王軍も暇なのか・・・・・・・・・?)
そしてしばらくの間何故か沈黙が続いた。
「・・・・・・・・・だぁ〜!」
沈黙に耐えられなくなったユウが叫んだ。それに対してルカがツッコミを入れる。
「うるさいダニ!」
「ぐはっ」
ユウはルカに体当たりされ、しばらく倒れていた。――が、すぐに復活した。
「・・・で、ヴェイク。お前たちも混ざるって・・・」
「ふっ、面白そうじゃないか。
 勝ったほうが負けたほうに何でも命令できるんだろう?だから混ぜてもらう」
「じゃ、勝負だ!」
こうして、カインたちとヴェイクたちはビーチボール対決をすることになったのだった――
「じゃ、行くぜ〜」
最初のサーブはユウ。ユウは気合を入れてボールを打った。
そのボールをキリトは簡単に上へと上げて、ヴェイクへと続かせた。
そして、ヴェイクのスパイクを決めようとしていた。
「俺が受け止めてやるぜ〜」
ユウがヴェイクのスパイクを受け止めようと、構えた。
「無駄だ」
ヴェイクは力を込め、スパイクを決めた。ボールに何かが纏って、ユウに向かっていった。
「な・・・なんだよ、これはあああぁぁぁぁ!?」
ユウは大声で叫びながらヴェイクが打ったスパイクをかわす。
「何やってるんだよ、ユウ!」
「だってさぁ〜・・・」
それを見ていたルカは呟いた。
「ユウしゃんは役立たずダニ・・・」
「ふっ、今度はこちらからだな。このままだとこっちが勝ちそうだな」
ヴェイクは不敵な笑いをし、サーブを決める。
「今度は打ち返すぜ」
「ちゃんと打ち返せよ、ユウ」
「あぁ」
今度は何も纏ってなく、ユウは受け止めることが出来た。そしてカインが向こう側へと返していった。
「今度はちゃんと返したぜ〜」
「ユウ、集中しろ」
カインは集中しないユウに一言だけ言う。
1セットが終わり、休憩を取ることになった。ユウはぐったりとしていた。
「ユウしゃん、大丈夫ダニか?」
「う〜・・・疲れたぜ〜・・・・・・」
「ユウしゃんが叫びながらするからダニ」
「のど渇いた・・・。何か買ってきてくれ・・・・・・」
「自分で行くダニ」
ルカはぐったりしているユウに突っ込みを入れる。
「ぐはっ・・・・・・」
第1セットが終わった時点でヴェイクたちのほうが勝っていた。
「はぁ・・・言い出したほうがヤバイのは・・・・・・」
カインたちはため息をついた。
カインは立ち上がった。
「どこに行くの、カイン?」
「飲み物買ってくる」
「カイン、俺のも・・・・・・」
まだぐったりしていたユウがカインに言う。
「あぁ、分かった」
休憩が終わり、第2セットが始まった。
ぐったりしていたユウはジュースを飲んで元気になっていた。
「次も頑張るぜ〜」
ユウのその叫び声で第2セットが始まった。
「この私の予知能力で、次に来るボールの起動を・・・・・・痛っ!
 ひどいなぁ、まだ予測していなかったのに・・・・・・」
「そんなことは知らん。試合が始まったから打ったまで」
カインが打ったサーブは見事、キリトの顔に命中した。
なんだかんだで第2セットの試合が開始したのだった。
――数分後、第2セットの試合は終了した。
苦戦しながら、なんとかカインたちが勝利をおさめ、1対1の同点のため、
もう1セット試合をすることになったのだった。
「なかなか手ごわいですね、ヴェイク様?」
「あぁ。だがそうでなくては面白くない」
「そうですわね」
「次は必ず勝つぞ。の前に・・・飲み物買ってこよう」
といい、ヴェイクは立ち上がった。
「それなら私が行きますが・・・」
「いや、いい。私が行ってくる」
それを見ていたカインがヴェイクに言う。
「ヴェイク、道に迷わないようにな〜」
「誰が迷うか!!」
――数分後・・・・・・
「・・・・・・ここは・・・どこだ・・・・・・・・・?」
ヴェイクは見事道に迷っていたのだった。
それからさらに数分後、なかなか帰ってこないヴェイクを心配して、
探していたキリトとソフィアがヴェイクを見つけ、試合は再開された。
余談だが、道に迷っていたことを誤魔化すのは一苦労だったらしい。
そしていよいよ試合は大詰め。両チームとも、後1点で勝負が決まるところまでやっていた。
そんな時――。
「あら〜、カインちゃんたちじゃない〜」
そこにいたのは、トレビアンだった。
「・・・・・・お腹すかないか、フリージア?」
「うん、お腹すいたね」
「じゃ、そろそろ戻って食事と行こうぜ」
そういってカインたちは宿へと帰っていった。
「ヴェイク様、私たちも帰りませんか?」
「そうだな、我々も帰るとするか」
ヴェイクたちも帰り、そこにはトレビアンだけが残った。
「こ・・・これが・・・・・・噂の・・・集団無視〜〜〜〜〜〜〜〜!!??」
そしてトレビアンのその叫びがこだまするのだった。

決着をつけたのは一つの酒 投稿者:自由男 投稿日:2006/11/27(Mon) 14:52 No.7   
リナ:「まったく・・・スマイルなんてあるわけないでしょう?」
ユウ:「いや・・・ちょっとした冗談のつもりでよ。」
シェイド:「そんな下らん冗談に付き合わされた私達の身にもなれ。」
カイン:「くっ・・・わからない、どれが珍しいんだぁ!」
ユウ:「まだ悩んでたのかよ!?」
ヴェイク:「珍しいのはどれなんだ・・・!」
ソフィア:「あの・・ヴェイク様、早くお決めになられてください。」
リナ:「あの声は・・・?」
カイン:「ヴェイク!!」
ヴェイク:「カイン・・・か。奇遇だな。」
ユウ:「(どんな偶然だよ・・。)」
ヴェイク:「シェイド、相変わらずブラックが好きなようだな。」
シェイド:「そういう貴様も魔王になっても珍しいものが好きなようだな。」
カイン:「ヴェイク!!なんでお前がこんな所にいるんだ!」
ヴェイク:「お前は喫茶店にマントを買いに来たとでも思うのか?」
ユウ:「いや・・そういうことじゃねぇだろ。」
リナ:「ヴェイク将軍!本当にあなたは・・。」
ヴェイク:「我は魔王ヴェイクだ。それ以外の何者でもない。」
カイン:「ならばここでお前を倒す!!」
ヴェイク:「ふっ・・我々魔族のティータイムの邪魔をするか。いいだろう、望みどおり殺してやる・・。」
カイン:「俺とあいつと一対一で決着をつけたい。悪いがみんな下がっていてくれ。」
リナ:「カイン・・。」
シェイド:「ふっ・・あいつの強さは本物だぞ。お前で勝てるのか?」
ユウ:「シェイド、お前が人を褒めるなんて珍しいじゃねぇか。」
シェイド:「事実を言っただけだ。ジェラルド師匠と二大将軍だった男だからな。」
ヴェイク:「ソフィア・・・下がっていろ。お前の力は必要ない。奴一人ならな。」
ソフィア:「ヴェイク様・・。」
カイン:「行くぞヴェイク!!」
カイン:「光の翼・・・これで終わらせる!!」
ヴェイク:「堕ちろ・・・光の翼!!」
ダーク:「おぉ・・リナ将軍、カイン将軍はいるか?」
リナ:「ダーク参謀!?カインなら今あそこで・・。」
ダーク:「おおいたいた。おーいカイン将軍、パニュール・ピニョールが入荷したぞ!」
カイン:「パニュール!?」
ヴェイク:「ピニョール!?」
カイン:「ヴェイク!」
ヴェイク:「カイン・・。」
カイン&ヴェイク「一時休戦だ!!」
ユウ&リナ&ソフィア&シェイド:「へ・・?」
リナ:「・・・どうしましょうか・・?」
シェイド:「私はもう帰るぞ!!下らん・・・。」
ソフィア:「あの・・私も帰らせていただいてよろしいでしょうか?」
ユウ:「お疲れさん・・あんたも大変だな・・。」
ダーク:「ん?わしなんか余計なことしたのか?」

夏の浜辺とユウの受難 投稿者:自由男 投稿日:2006/11/27(Mon) 14:51 No.6   
カイン達一行は・・・なぜか真夏の海にいた。
早々と着替えを済ませたカインが同じく着替えたユウに話し掛けた。
カイン:「なぁ・・・ユウ。」
ユウ:「ん?・・・どうした?」
カイン:「本当に俺達が海水浴に来ても大丈夫なのか?」
ユウ:「そのことかよ。大丈夫だって、ちゃんとラーハルト司令にも許可をもらったんだぜ?」
カイン:「そうか・・・。」
ユウ:「それにしてもフリージアもリナもおせぇなぁ・・・。」

????:「お待たせ!!」

ユウ:「おっ!!」
クルッ!!
トレビアン:「カインちゃん!どう、この水着?似合ってるぅ?」
バタッ!!
カイン:「誰か!手を貸してくれ!!ユウが倒れた!!」
トレビアン:「まっ!!失礼ね!!」
ユウ:「なんで・・・ビキニなんだよ・・・。」

着替えの終わったリナやフリージアも合流した。
ちなみにトレちゃんはカインの鉄拳を喰らって早々退場。
そしてユウも復活し、ユウが自信満々で海に入ると・・・。

ユウ:「はぁっ!!」
バッシャーン!!
フリージア:「凄〜い!!ユウ、泳ぐの得意だったんだ!!」
ユウ:「まぁな。多趣味な俺様の趣味の一つに水泳があるからな!」
フリージア:「いいなぁ・・・あたし、泳げないから・・。」
ユウ:「なんだぁ?フリージア、泳げないのかよ?」
フリージア:「うん・・・だってずっとスノースリーブスにいたんだもん。」
カイン:「なら、俺が教えてやろう。コツさえ掴めば簡単に泳げるようになるぞ。」
フリージア:「本当?ありがとう!!」
タッタッタ・・・。
ユウ:「・・・行っちまったな・・。」
ユウ:「(はっ?待てよ・・・これはもしかしてチャンスじゃねぇか?)」
ユウ:「リナ!!・・・ってあれ?リナがいねぇ・・・。」
ヒューーー・・・バッシャーン!!
ユウ:「高飛び込みぃ〜〜〜!!」
ユウ:「うわっ・・・しかもめっちゃはええ・・。」
シェイド:「なんだ。お前たちも来ていたのか。」
ユウ:「シェイド!!お前なにしてんだよ!?」
シェイド:「見てわからんか?海水浴だ。」
ユウ:「いや・・・そうじゃなくてな・・・。」
サーラ:「シェイド様!待ってください!!」
シェイド:「サーラ!早く来い。じゃあな・・・。」
ユウ:「・・・・・。」
カイン:「ほら、もっと背筋を伸ばして!」
フリージア:「はい!」
ユウ:「・・・・・。」
ルカ:「ユウしゃん、どうしたダニか?」
ユウ:「泳いでくる・・・。」
ザバザバ・・・。
ユウ:「なんか・・・空しいな。」
???:「ちょっとあんた!釣りしてるところに入ってくるんじゃないよ!!」
ユウ:「ディア?」
ディア:「なんだ・・・ユウかい。」
ディア:「こんなところで、一体何をしてるんだい?」
ユウ:「いや・・・皆で海水浴にきたんだけどな・・・。」
ディア:「なんであんたは一人で・・・」
ユウ:「・・・(無言でカイン達の方を指差す。)」
ディア:「なるほどね。よくわかった。」
ディア:「じゃ・・一緒に魚でも食べるかい?今から焼くから・・。」
ユウ:「マジか!?・・・じゃあ・・。」

ゴゴゴゴゴ・・・。

ユウ:「な、なんだぁ?」
ディア:「魔物だ!」
ディア:「いくよ!ユウ!!」
ユウ:「おう!って・・・ヘブンズブレイドがねぇ!!」
ディア:「ユウ!!なにやってんだい!!」
ユウ:「剣を置いてきちまった!取ってくる!!」
タタタタタタ・・・。
ユウ:「待たせたなぁ!!俺様の愛と愛と愛でぇ・・・。ってあれ?」
カイン:「怪我は無かったか?フリージア。」
フリージア:「うん。・・・ありがとう。」
シェイド:「ふっ・・・話にならんな。」
サーラ:「シェイド様もカイン様も素手でもお強いですね!」
リナ:「これで終わりですか?」
カイン:「そうみたいだな・・。」
ディア:「あんた達、やるねぇ。」
フリージア:「ディアさん!来てたんですか?」
ディア:「ああ・・・。ちょっと釣りにね。」
ルカ:「そういえば・・・ユウしゃんはどこに行ったんダニ?」
ディア:「ああ・・・さっき会ったよ。剣をとりに行ったみたいだけど・・。」
ユウ:「よぉ・・・。」

そのころ・・・聖へレンズ城では・・・。

ラーハルト:「さて・・・あいつらがいない間に終わらせねばならんな。」
ラーハルト:「私がパズル好きだというのはあまりイメージに合わんからな・・。」

ルカの長い一日 投稿者:自由男 投稿日:2006/11/27(Mon) 14:49 No.5   
 「あーいい天気ダニ・・・。」
 ここは聖へレンズ城の屋根の上。ここがボクの一番のお気に入りの場所ダニ。
 こうして日向ぼっこしてるのがボクは一番好きなんダニ・・・。
 あ、もちろん木苺も大好きダニよ!?それにユウしゃんも・・。
 それにしても気持ちいいダニね・・・。
 ずっとこうして・・・。
 と思った途端、突然・・・。

 ゴォーーーーっ!!

 「と、突風ダニ!!」
 逃げなきゃまずいダニ!!でも・・・。

 ガサガサ!!

 「い、痛いダニ・・・。」
 どうやらボクは屋根から落ちてしまったみたいダニ・・・。
 落ちた場所が生け垣だったのが、不幸中の幸いだったダニが・・・。
 「あーっネコちゃんがたおれてる!!」
 突然声が響いてきたダニ。子どもの声ダニか・・?
 「ど、どうしてこんなとこに倒れてるんだろ・・。」
 「こいつ、今上からふってこなかったか?」
 「おそらをとんできたのかなぁ?」
 続々と集まってきたダニ・・・。ってそうダニ。
 「助けて欲しいダニ・・・。」
 ボクは助けを求めたダニ。生け垣から出れそうになかったから・・・。
 「ん?ロイド、今なんか言ったか?」
 「な、なんにも言ってないよ・・。」
 空耳じゃないダニよ!仕方ない・・。
 「助けてくれダニ!!」
 今度は大きな声で叫んだダニ。
 「あ〜!ネコちゃんしゃべったぁ!!」
 女の子がキラキラした目でボクを見てるダニ。
 「うわぁ!?」
 「すっげぇ〜!!」
 驚いてる男の子と、興奮してる男の子、反応も人それぞれダニね・・。
 ってそれどころじゃなかったダニ。
 「悪いけど、ボクをここから出して欲しいダニ・・。」
 「ど、どうするの・・・?」
 「ね、出してあげようよ!!」
 女の子がそういうと、さっき興奮してた男の子がボクを引っ張り上げてくれたダニ。
 「ありがとう・・・助かったダニ。」
 ボクがそういうと、
 「ね、ネコちゃんはどうしてしゃべれるの!?」
 「お前、そらとべんのか!?」
 「ま、魔物じゃないよね・・・。」
 一斉に質問してきたダニ・・。
 「みんなで聞かないで欲しいダニ!!」
 「まずボクは空は飛べないダニ。屋根から落っこちてしまったんダニ!」
 「それとボクは魔物じゃなくて、聖魔ダニ。だから喋れるんダニ。」
 これで納得してくれたダニか・・・?
 「ね、ね、せいまってなに!?」
 「やねってどこのだよ!?」
 「せ、聖魔がどうしてこんなところに・・・?」
 ・・・質問攻めは終わらないダニ。

 ひとしきり質問が終わったら、お互いに自己紹介したダニ。
 子ども達の名前は、女の子がシア、ちょっと弱気な男の子がロイド。
 わんぱくな子がレンっていう名前らしいダニ。
 それで・・・。助けてくれたお礼に、一緒に遊ぶことになったダニが・・。
 「おれたちのとっておきのところに連れてってやるよ!!」
 とレンが言うのでついていったダニ。
 でも、そこは城壁の外だったダニよ!
 外は魔物が出て危ないというのに、レン達は
 「へーきへーき!」
 と聞いてくれないダニ。
 仕方なく、ボクはもう言うのをやめて、一緒に鬼ごっこを始めたダニ。

 「シア捕まえたダニ!次はシアの鬼ダニよ!?」
 「う〜〜、ルカちゃんはやすぎるよ〜!」
 けっこう楽しいダニね。こうやって遊ぶのも・・・。ボクは久々の遊びを満喫したダニ。
 だからダニか。ここが外だというのを忘れてしまっていたダニ。

 みんなが疲れて一時中断となったダニ。そしたら・・・。
 「ねぇレン。やっぱり危なくないかな・・。」
 「何いってんだよロイド!!大丈夫だって!!」
 レンが言ったその時ダニ。
 「グルルルルル・・。」
 「魔物ダニ!!」
 むこうから魔物が突っ込んで来たダニ!
 「早く逃げるダニ!」
 ボクはみんなにそう言うと、魔物に向かって体当たりをかましたダニ!
 「ガァッ!」
 魔物は動かなくなったダニ。
 「すっげぇ、ルカ!!お前つよいんだな!」
 「そ、それほどでもないダニよ・・・。」
 そんなやり取りがあった直後、魔物がむくっと起き上がったダニ。
 「みんな、早く城壁の中に入るダニ!!」
 凄く悪い予感がしたダニ。ボクじゃ勝てない。そんな感じが。
 「きゃ!」
 「シ、シア!」
 シアが転んでしまったダニ。
 魔物はシアの方に狙いを定めたダニ。
 「危ないダニ!」
 もう一度体当たりをかましたダニ。
 「・・・・・・。」
 悪い予感が当たったダニ。魔物にはもうボクの体当たりは効かなかったダニ。
 「うわぁ〜〜ん!!」
 「あ・・・あ・・・。」
 泣き出すシア。固まってしまったロイド。
 「ちくしょ〜〜!」
 魔物と闘おうとするレン。
 助けなきゃ!!たとえ効かなくても・・。
 ボクがそう思った時ダニ。
 「邪魔だぁ!」
 白い影が魔物を切り上げたダニ。
 あの影は・・・。
 「ユウしゃん!」
 「こら!お前ら!危ないから城壁の外に出るなよ!・・・ってルカぁ?
  お前何してんだ!?」
 珍しく、ユウしゃんが将軍らしく頼もしく見えたダニ。

 聖へレンズ城の屋根の上。
 そこはボクのとっておきの場所ダニ。
 でも・・・。ボクはしばらくあそこを使いたくないダニ・・・。

一人と一匹の絆 投稿者:自由男 投稿日:2006/11/27(Mon) 14:48 No.4   
第一章 「一人と一匹のケンカ

「ユウしゃんとはもう絶交ダニ!」
「なにぃ!俺ももうルカなんかとは口も聞いてやるもんか!」
二人分の怒鳴り声が響く。いや・・・正確には一人と一匹のだが。
「またやってるのか・・・。」
呆れた口調でそう呟きながら青年が部屋に入ってきた。
彼の名前はカイン・ヴァンス。聖へレンズ帝国の中でも四人しかいない、
将軍の地位につく男である。
先ほど口も聞いてやるもんか!と叫んでいた男の名はユウ・スティン。
彼もまたその将軍の一人である。
そして・・・そのユウと言い争っていたのは一見すると猫にしか見えないが、
”聖魔”という生き物。名前をルカといった。
彼は昔殺されかけたところをユウとユウの父親に救われた。
・・・彼の父親の命と引き換えに。
そんな彼に恩返しをしたいと思い、それからずっと一緒にいるのだが・・・。
「大体ユウしゃんはいつも・・・」
「またケンカしてる・・。」
呆れた口調で今度は少女が入ってきた。
彼女の名はフリージア・ラスター。精霊術士の少女である。
また、という言葉でわかると思うが、彼らのケンカは日常茶飯事なのだ。
そしてその理由も他愛のないものなことが多い。
今回のケンカもまた他愛の無いもので、ユウの鯛焼きをルカが食べたんじゃないか
とユウがルカに怒っただけなのだが・・。
「もうユウしゃんのそばにはいたくないダニ!!」
そういうと、ルカは外に向かって駆け出していった。
「おい、ユウ。いいのか?」
カインがユウをたしなめる。
「いいんだよ、もう絶好したんだからな!」
「やれやれ・・・。」
まぁいつものことだ、とカインもユウをたしなめるのをあきらめた。


第二章 「一人の指令」

「ユウ将軍、指令を言い渡す。」
王の間に、四大将軍が集結している。そこでユウも指令を受けていた。
「貴公の任務は魔獣の森の調査だ。」
「以前カイン将軍にも調査をしてもらったが、万が一ということもあるからな。
 また、調査にでてもらう。今回は危険も少ないだろうから、貴公一人での任務となる。」
「わかりました」
王の間を出る四大将軍。カインがユウを呼び止めた。
「おい、ユウ。大丈夫なのか?」
「大丈夫だって。この俺様にかかればなぁ、一人でも大いなる愛と愛と愛で・・・」
「じゃなくて!」
カインが否定する
「ルカのことだ。探さなくていいのか?」
「ルカ?ああ、きっと腹が減ったら戻ってくるじゃねぇか?」
「まったく・・。」
カインはもう何もいえなかった。
「じゃあ行ってくるぜ!」
ユウは一人魔獣の森へ調査にむかった。


第三章 「一人と一匹の森」

「ユウしゃん・・まったくひどいダニ!」
ルカはそう呟いた。木々の生い茂る森の中で。
彼は部屋を飛び出した後、魔獣の森へと来ていたのだ。
彼は元々森で暮らしていたからか、森の中が落ち着くのだろう。
気がつくとこの場所まで来ていた。
ザッザッザッ・・・。
木の葉を踏む音が聞こえる。男が一人歩いてきた。
「(!ユウしゃん!!)」
やってきたのはユウだった。
「(全く、何しに来たダニか・・。)」
ルカはとっさに身を隠した。
「特に異常はねぇか。ま、この間カインが討伐に来たからな。」
ルカには気づかない。そのまま戻ろうとしたその時・・・。
「おや、あなたは・・・。」
ユウに向かって放たれた声。それは黒いマントを着た一人の金髪の青年から発せられた。
「!お前は!?」
「ふふ・・・どうやら貴方お一人のようですね。
 今のうちに邪魔な四大将軍には消えてもらいましょうか。」
次々と集まる魔物たち。彼は魔族の幹部、魔将軍のキリトというものだった。
「へっ!お前らなんかなぁ、俺様の愛と、愛と、愛でぇ・・・。」
「強がりはやめて下さい。一人でこの数には勝てませんよ。」
キリトから殺気が放たれる。
「(!大変ダニ!)」
ルカは走り出していた。
ケンカしていたことなどもうとうに忘れていた。
カイン達に知らせなければ、彼の頭の中にはその事しかなかった。
彼の瞳から涙が流れだした。似すぎている。あのときに。
あの日、黒いマントを着た男に、自分が殺されかけたとき。
そして・・・ユウの父親が死んだときに。
「(ボクが馬鹿だったダニ・・・。ユウしゃんに恩返しがしたくてそばにいたのに!!)」
ルカは自分を恥じた。
彼の足から、胴体から、血が流れだす。
どこかで切ってしまったのだろう。だが、彼にはもう痛みなどなかった。
「グルルルル・・。」
彼の前に魔物が立ちふさがった。
「そこを・・・退くダニ!!」
迷いはなかった。魔物達に向かって体当たりをかました。
そして、なおも走り続けた。


第四章 「一人と一匹と仲間達」

「よく頑張りましたね、お一人で。でも・・・」
キリトの手に黒い光が集まる。
「これで終わりですよ。」
「ちっくしょう・・。」
ユウの顔にあきらめの色が見えた。既に全身ぼろぼろとなっていた。
彼は一人でも勇敢に戦った。だが・・数が違いすぎた。
「さようなら・・。」
キリトが手をユウに向けた。その瞬間・・・。
「燃え尽きろ!!」
キリトの体に赤い閃光が走った。
「くっ・・・。」
そこにはカインが立っていた。
キリトに聖へレンズ帝国騎士団の技、紅蓮を放ったのだ。
「炎の精霊、イフリート!!お願い、力を貸して!」
召還される炎の精霊。次の瞬間、魔物たちは炎に呑まれた。
フリージアがイフリートを召還したのだ。
「ユウ、無事ですか!?」
更に四大将軍唯一の女性、リナ・ロンドがユウに声を掛ける。
「お前達、なんでここにいるんだ?」
ユウは驚いていた。何故一人の任務だったのにカイン達が駆けつけたのか、と。
「ルカが教えてくれた。」
カインが答えた。
「ユウしゃん・・・無事で良かったダニ。」
フリージアの腕の中、傷だらけのルカがユウに微笑んだ。
「ルカがぼろぼろになって走ってきて、ユウが危ないって・・。」
フリージアが説明した。
ユウの心に、熱いものがこみ上げてきた。
「へっ・・ありがとな、ルカ。お前は、やっぱり俺の親友だぜ!」
ケンカをしていても、自分の命も顧みず走った親友に、ユウは感動していた。
その感動からか、ユウの体から疲労の色が消えうせた。
「最大の技で、一気に攻めるぜ!!」
「光の波動が俺を導く!!」
「闇を切り裂く大いなる光と!!」
「俺様の愛と愛と愛で!!全てを断つ!!」
「邪悪なるものよ!!光へ消え去れ!!」
ユウがまさに技をキリトへ放とうとした瞬間!!
「この人数では分が悪いですね。ここは一度退きましょう。」
あっさりとキリトが引き上げた。
「あ・・・。」
ユウの体から力が抜けていった。


第五章 「一人と一匹の連係」

「まったく、とんだ任務だったぜ・・。」
城下町に戻ると、ユウが愚痴をこぼした。
「ごめんな、ルカ。」
ずっといえなかった言葉をユウが口にした。
「ボクのほうこそ、絶好だなんていってごめんダニ・・。」
二人は仲直りをした。
「お帰りなさい、カイン将軍!!」
カインの部下のリュウが全員を出迎える。
その口に・・・餡子がついていた。
「リュウ・・その口についてるのはなんだ?」
カインが聞く。
「あ、これですか?さっきあっちにおいてあった鯛焼きを・・。」
ごごごごご・・・。
ユウとルカの体からものすごいオーラが放たれた。
「リュウ・・・とりあえず逃げろ。」
カインがリュウを逃がそうとした。だが遅かった。
幻のユウとルカの合体技がリュウに向かって放たれた。

さて・・それからのユウとルカだが・・。
「ユウしゃんは聖魔づかいが荒いダニ!!」
「なにぃ!」
あんまり変わってなかった。
「まぁ・・ケンカするほど仲がいいと言うしな・・。」
カインから半ばあきらめのような言葉がでた。

ユウしゃん、それは違うダニ・・・。 投稿者:自由男 投稿日:2006/11/27(Mon) 14:47 No.2   
ここは聖ヘレンズ国城下町の喫茶店。
たまには酒場でなく・・・ということで、
カイン達四大将軍はここで打ち合わせをしようと集まっていた。

ユウ:「あ〜〜リナ!!お前!!」
リナ:「な、なんです!?ユウ?」
ユウ:「なんだもなにもそのコーヒー、砂糖入れすぎじゃねぇか!?」
リナ:「・・・コーヒーには砂糖を入れるものでしょう?」
ユウ:「限度があるだろ。五杯は入れすぎだ。・・・リナ、お前・・・。甘党だったんだな。」
シェイド:「ふっ・・よくそんな甘ったるいコーヒーが飲めるな・・・。」
ユウ:「そういうシェイド、お前もその真っ黒いコーヒーはなんだ?」
シェイド:「コーヒーはブラックに決まっているだろう。」
リナ:「シェイド・・・。よくそんな苦いのが飲めますね。」
ユウ:「本当になんも入れないコーヒーだな・・・。見ているだけで胃が悪くなりそうだぜ。」
シェイド:「貴様らにはこの苦味の良さはわからん。」
ユウ:「で・・さっきからメニューと睨めっこしてるカインは・・。」
カイン:「(エメラルドマウンテン・・・いや、カフェ・ロワイヤルが珍しいのか?)」
ユウ:「レア物に迷ってる・・っと。」
リナ:「ユウ、先ほどから人に色々言っているあなたは、一体何を頼むのです?」
ユウ:「へっ俺か?俺はなぁ・・・。」
ユウ:「スマイル一つ!」

トレビアン現る!!おかまはレアな敵!? 投稿者:自由男 投稿日:2006/11/27(Mon) 14:44 No.1   
カインとヴェイク将軍は、ある任務のため二人で旅をしていた。
その道中、いきなり甲高い声が聞こえたかと思うと・・。

トレちゃん「ハ〜イ!!もっと足を高く上げて〜〜!!はいっハイっHIGH〜!!」
ヴェイク「な、なんだ?」
カイン「うるさいのが来た・・・!」
トレちゃん「カインちゃ〜ん。おひさしぶりね〜〜!!」
ヴェイク「!!お、おかま・・・!?」
トレちゃん「ん・・カインちゃん!!誰よこの男!!あたしというものがありながら〜!!」
ヴェイク「何!?カイン・・・お前・・そういう趣味が・・・。」
カイン「・・・真に受けないで下さい・・・。」
ヴェイク「ふっ・・・冗談だ。」
ヴェイク「で・・・お前は結局何の用があるんだ?」
トレちゃん「ふ・・それはね・・・。」
カイン「行きましょうヴェイク将軍!!一刻も早く目的地に行かなくては!!」
ヴェイク「そうだな・・・これ以上犠牲を出させるわけにはいかないからな!!」
トレちゃん「こ・・・これが噂の・・師弟無視!!」
トレちゃん「更に高等テクニックの聞いといて無視まで!!」
トレちゃん「あんた達・・やるわね!!」
カイン「さ・・行きましょう。」
ヴェイク「(ん・・・待てよ?オカマ・・オカマ・・レア・・レアな・・敵?)」
ヴェイク「(レアな敵・・・=レアなアイテム!)」
ヴェイク「待てカイン!!」
カイン「ヴェイク将軍!?」
ヴェイク「アイテ・・・いや!お前のためにもあいつはここで倒しておこう!!」
トレちゃん「はふん・・・中々みれないカインちゃんのその驚いた顔もス・テ・キ(ハート)」
ヴェイク「悪いが手加減は出来ない・・・」
ヴェイク「光の翼ぁ!!(←マジ)」
トレちゃん「げふっ!!・・チョモランマ〜!!」

しばらく足元を探したあと。
ヴェイク「むなしい・・・戦いだったな・・。」
カイン「ヴェイク将軍・・・。」
ヴェイク「(アイテムを・・落とさなかった・・!)」

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