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Afternoon of one day - 国際生 鞠子 2006/11/27(Mon) 15:13 No.41
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Afternoon of one day 投稿者:国際生 鞠子 投稿日:2006/11/27(Mon) 15:13 No.41
ラティスの村の北に位置する丘。地面には背の低い花が咲き乱れている。
「・・・ここへ来るのも久しぶりだな」
長い青髪を後ろで束ねた背の高い青年がそこに立っている。



南には教会、自分の育った村、この村を出れば聖魔の森、闇の洞窟がある。
・・・あまり考えたこともなかったがこんな小さな島の癖に色んなものがあるな。
そんなことを考えながらボンヤリそこに突っ立っていると、
「おーい、ルイお兄ちゃーん!いつー、帰ってきたのー?」
大声で叫びながら少女がこっちへ走ってくる。
「―――フィーナ」
「はぁ・・・ねえねえ・・・はぁ・・・いつ帰って・・・はぁ・・・きたの?」
かなり息が荒くなっているが、フィーナはそんなことは気にせずにルイの腕にぶら下がる。
「無理するなよ」
「うん、だからいつ?」
「さっきだ」
自分の腕に引っかかった細い腕をそっと退けて、彼はフィーナの少し後ろを小股で歩く。屈託のない笑顔がこちらを振り向く。
「テイルは?」
「聖魔の森に行っている。今頃仲間と―――」
「ルイしゃーん、ボクは今戻ってきたデシー!」
ルイは後ろを振り向いた。
「・・・帰ってきたようだ」
小さな点がすごいスピードで向かってくる。やがてクリーム色の子猫と分かるまでの大きさになり、ルイの前で急停車した。何か口にくわえているようだ。
「お土産に木苺デシ。あ、フィーナしゃん、お久しぶりデシ」
テイルが差し出した山盛りの木苺の実にフィーナが身をかがめる。思わずルイも身をかがめる。つんとした甘酸っぱい匂いが二人の鼻をついた。
「うわああ、いい匂い。ねえ、一緒にお花摘もうよ」
「行くデシー。ルイしゃん、これ預かっといてデシ」
そう言われるなり大量の木苺がルイが差し出した両手に転がり込んできた。
「ルイ兄ちゃんはー?」
遠ざかっていく背中が振り向いて質問が飛んできた。
「俺はいい、見とく」
「じゃ見ててねー」
くるり、また背中を見せて影が遠ざかっていく。



 ―――ラティスの村・・・何年ぶりだろうか。
 そこら辺に座り込み、手持ちの袋の中に木苺を入れて同じくそこら辺に放り出しておいてから彼は思った。
 今俺はあいつ―――父の仇―――を追っている。それだけで時間が過ぎていく・・・本当にこれでいいんだろうか?
ルイは手を頭の後ろに回して芝生の上に寝転がった。ふう、とため息をつく。

暖かい太陽の光が降り注いでいる。

―――親父。待っていてくれ・・・。

涼しい風がひゅう、とあっちからこっちへ自分の頬を掠めて走り去っていく。

―――いつかあいつを倒すまで・・・。

抜けるような蒼い空に途切れた雲がさあっと流れていく。

―――バジル・・・お前は今何処にいるんだ?・・・それにしても今日は―――

フィーナの笑い声が遠くで聞こえる。

―――すべてが気持ちいい日だな・・・・・・。

ルイはそのまま目を閉じた。暖かくて、涼しくて、聞こえるものは笑い声と草の揺れる音・・・・・・。



「寝てる?」
「みたいデシ」
手にいっぱい花を抱えて戻ってきたフィーナとテイルは、ぽよんとした寝顔をみおろした。
「起こさないであげようね」
「・・・それにしても可愛い寝顔デシね」
「ふふっ・・・」
「あ、木苺は何処デシ?」
「これじゃないかなあ?すぐそこにあったけど」
フィーナが転がっていた袋を拾い上げた。
「ルイしゃん・・・わかってないデシね。木苺は袋に入れたらつぶれちゃうデシ」
「気にしないのよ、テイル」
ひとりと一匹はルイの左、右横にそれぞれ座り込んだ。
「・・・気持ちいい日デシね」
「・・・そうだね」
「だからルイしゃんも寝ちゃったんデシね」
「フィーナも寝ちゃいたい」
「夜寝られなくなるデシ。全く、ルイしゃんそのこと考えてるんデシか?」
「ふふふ・・・」
フィーナはその場に大の字に寝転がった。
「何かおかしいデシか?」
「テイルって理屈っぽい・・・」
「わ、悪かったデシね!どうせボクは・・・」
「しー、起こしちゃうよ」
「あ、危ないデシ・・・ルイしゃんはそのあと何するかわからないデシ」



 ふっと目を覚ましてみると、右隣にテイルがいる・・・腹が空に向かったまま寝ている・・・無防備だな・・・。左隣にはフィーナが・・・寝ている・・・こっちも見る限り無防備だ・・・。
ルイは二人を起こさないようそおっと起き上がった。いけねえ、爆睡したか・・・そうでもないな。
「イ・・・ル・・・・・・イ・・・むにゃ」
ルイはフィーナの方向を見た。寝言で俺を呼んでいる?
「・・・え?」
「・・・イル・・・テイル・・・たいやき・・・食べよう・・・ふにゃ」
 聞いた瞬間、ルイは一気に興ざめして正面を向いた。なんだ、自分の名前かと思ってしまった。そして、聖魔相手に嫉妬気味な自分に気づく。
―――まさかこれにテイルが答えるなんてことはないだろうな。そう思ってルイはテイルの方向を見た。
「・・・食べるデシー・・・ニャー・・・」
―――本当かよ。
「フッ・・・・・・こいつらどんな夢見ているんだ」
吹き出しそうになるのを押さえて、それでも苦笑しながら再び正面を見た。すると今度は、
「ルイ・・・お兄ちゃん・・・も・・・」
「え・・・」
ルイは思わずフィーナの方向を見た。
「・・・食べない・・・の・・・」
―――やっと俺か・・・だから何で俺が聖魔に嫉妬しなくてはいけないんだ。もう問題ないじゃないか。
再び自分でクスリと笑った。
「食べるよ」
ルイはそう言ってまた地面に寝転がった。全く、こいつら睡眠が浅すぎる・・・。
そう思って再び目を閉じる。



風が三人の上を掠めて笑いながら走っていく。

太陽はやさしく見守り、

空が全てを包み込む。

聞こえるのは草の揺れる音。

この瞬間にも全ては回っている。

どこかで命が消えたとき、どこかで新しい命が芽生える。

果たしてどこまで命の回転は続いていくのだろうか、そんなの誰も知らない。

誰も知らなくてもいいのかって?

そんなもの、問題ない。



なんでもないようで幸せな1日が、そこにあった。


Fin.



あとがき

故郷の村に一時帰省したときのルイの話。外伝2『あの日の約束』の前の話ですね。
というか帰省したかどうかも分からないのに書いていいのか(ぉ
あとフィーナちゃんの感じがあまり分からなかったのでこんな風かなと。
何か読み終わったときにほっとするようなものを書きたかったので。
そう感じていただければ嬉しいですね。

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