FREEJIA投稿小説
[リストに戻る] [ホームに戻る] [新規投稿] [スレッド表示] [トピック表示] [留意事項] [ワード検索] [管理用]
タイトルカイン、シェイド、そして精霊の剣を使う者
投稿日: 2007/08/24(Fri) 22:23
投稿者ハルマキ  <saikyou_harumaki@yahoo.co.jp>

ヴィッツア大陸の北西部
魔獣の森よりもさらに西に人も寄りつかない
霧に包まれた湿原がある。
ミスト湿原と聖ヘレンズ帝国の人間はそう呼んでいる。
この湿原のことは国王ブレイド3世はおろか、
ラーハルト司令、ダーク・ヘイストン参謀、
そしてカイン達4大将軍もあまり詳しいことは知らない。
ただ、知っているというのは、この湿原を発見したときに
なにやら巨大な蛇のような魔獣の姿が目撃されたということである。
そこでラーハルト司令はこの魔獣を倒すため、
二人の人間をミスト湿原に向かわせた。
その二人とはカインとシェイドである。
前述したようにカイン、シェイドら4大将軍は
この湿原のことをよく知らない。ゆえに今回の任務は
難航を極めると確信していた。
やがて、二人は問題の湿原に到着した。
「ここか・・・ミスト湿原というのは・・・
 本当に霧に包まれた湿原だな」
カインが言った。
「こう霧が深いと魔物がどこにいるかわかりにくい。
 気をつけて進むぞカイン。」
「わかったシェイド」
二人が湿原へと進もうとしたとき、向こうに人影が見えた。
「ん?誰かいるぞシェイド」
「待て、魔物かもしれない・・・」
シェイドは鞘から聖剣ドラゴンズ・アイを抜き、構えた。
カインも鞘から聖剣ファルコンを抜き、同様に構えた。
二つの聖剣の先に立っていたのは、
容姿がカインそっくりの青年だった。
(なんだ・・?カインそっくりじゃないか?
 ひょっとして変身能力をもつ魔物か?)
シェイドはそう思い、さらに身構えた。
「ん?あんた達は一体?」
青年がそう聞くと、シェイドは青年に詰め寄った。
「その前に自分が何者なのか教えてもらおうか?
 返答次第では容赦なく斬る!」
すると、カインそっくりの青年はこう答えた。
「俺はバインツ。レモリア大陸でハンターをしている。」
「バインツだと!?」
反応したのはカインだった。
「そうか、お前がダグラスの言ってたバインツか・・・」
カインは以前ダグラスに聞いていた。
レモリア大陸にカインそっくりの奴がいると・・・。
「一度会ってみたかった」
「俺も、一度本物のカイン将軍に会ってみたかったんだ。
 本当にそっくりだな・・・」
カインもバインツも一度自分とそっくりの人に会ってみたいと
思っていた。それが、今、果たされたのだ。
でも、そんな中でシェイドはまだバインツに警戒していた。
「ここへは何の用で来た?」
シェイドはさらに詰め寄った。
「たぶん、あんた達と同じ理由さ
 ここにいる魔獣を倒しに来たんだよ。」
バインツは答えた。
「シェイド。あいつはどうやら普通の人間だ
 変身能力をもつ魔物じゃない。」
カインはバインツに質問ばかりするシェイドをなだめた。
「しかし、カイン・・・。
 何かがあってからじゃ、遅いのだぞ!」
「シェイド・・・」
「あのさ・・」
二人の会話にバインツが入ってきた。
「もし、良かったら俺もあんた達についてっていいか?」
「別に構わない。目的が同じみたいだからな」
「おい!カイン!
シェイドはカインを止めようとした。
するとカインは言った。
「シェイド・・・。そんなに怪しいんだったら
 一緒に行動してみたほうがいいんじゃないか?
 そのほうが確認しやすい。」
カインの考えはもっともだった。
そんなに怪しいのだったら、一緒に行動してみて確認したほうが
早いと・・・
「少しでも怪しい素振りを見せたら容赦なく斬るからな・・・」
「それじゃ、そういうことで・・・
 ところでさっきから俺を警戒しているあいつは?」
バインツがカインに尋ねた。
「あいつはシェイド・ハーベルト
 俺と同じ聖ヘレンズ国の将軍だ。」

カイン達三人は湿原の中を進んでいた。
「そういえば、お前は聖剣インペリアルを持っていると
 ダグラスから聞いたんだが・・・」
カインがバインツに尋ねた。
聖剣インペリアルとは、カインの聖剣ファルコンや
シェイドの聖剣ドラゴンズ・アイと同じ、
七大聖剣と呼ばれる代物である。
「ああ、あれか。最近、イージスの町を歩いてたら
 鑑定屋のじっちゃんに呼び止められてな、
 偽物だっていうことがわかった。」
「に・・偽物・・・」
「それで、あまりに悔しくてその剣は売ってしまった。」
カインはなんとも言えない彼の哀しさに少し同情した。
「でも、そしたらお前の武器は?」
「ま、楽しみは後に取っておくさ・・・。
 それよりシェイド将軍。例の魔獣に近づいているみたいだぜ」
バインツは前方にいたシェイドに声をかけた。
「お前も聞こえたか。
 ああ、確実に私達は魔獣に近づいているらしい。」
シェイドはどうやら魔獣のうなり声を聞いたらしい。
同様にバインツも聞いたらしい。
カインだけは何も聞こえなかった。
だが、何かが動く気配だけは彼にも読み取れた。

湿原の奥、そこはそれほど霧も深くなかった。
上空には若干だが青空も見える。
だが、三人はそんな空を見る暇さえなかった。
例の魔獣とついに出くわしたのである。
「こいつは、ミドガルズオルム・・」
シェイドが言った。
魔獣ミドガルズオルム。
ヨルムンガルドとも呼ばれている大蛇の魔獣。
よく、沼地などに生息している。
「なるほど、確かにこういうところほど生息しやすいな。
 気をつけるべきはあの鋭い牙と太い胴体だな・・・」
カインは敵を分析し、そして飛びかかっていった。
「どけぇ!」
カインの[閃光]が敵を貫く。しかし、その刃は
ミドガルズオルムの胴体を貫通しなかった。
「くっ・・・硬い鱗に守られているのか・・
 ならば、これでどうだ!
 刃よ突き上げろ!!」
今度は[天空昇]でミドガルズオルムを天へと突き上げた。
しかし、さほどダメージを喰らった様子はない。
その時、カインに向かってミドガルズオルムが突進してきた。
すんでのところでかわしたが、もしまともに喰らってたら
かなりのダメージだっただろう・・・。
「奴には、普通の攻撃が効きにくいか・・・。
 カイン!私に任せろ!」
「頼んだ!シェイド!」
今度はシェイドがミドガルズオルムに向かっていった。
「この戦いに終止符を打つ!光の翼!」
聖ヘレンズ国の奥義[光の翼]が炸裂する。
これは効いた。翼のような光の刃が次々とミドガルズオルムを
突き刺していく。
「カイン!光の翼を効果があるみたいだ!」
「わかった!」
「なら、俺も混ぜてもらっていいかい?」
バインツが言った。
「バインツも光の翼が使えるのか?」
「いや、似たような技なら使える。」
そう言うと、バインツは鞘から剣を抜いた。
その剣は神々しい光を纏っていて神秘的だった。
「その剣は・・?」
カインが尋ねた。
「この剣は精霊剣コスモス・・・。
 光の精霊コスモスの加護を受けた剣だ。」
「な!?精霊剣・・・!?」
精霊剣というのは、ガイア世界に存在する
4大精霊の加護を受けた剣で、それぞれの精霊から加護を受けた剣が
一本ずつ存在する。
精霊剣イフリート、精霊剣ノア、精霊剣コスモス、
そして精霊剣カオス。
これらの剣は七大聖剣が誕生した時代に、
精霊達が自分たちの力を残すために作ったとされる剣であり、
その在処は今も解っていない。
「そんな剣をなんでお前が!?」
カインの言うとおり、在処が解らない剣の一本を
なぜバインツが持っているのか?
彼はその答えを言った。
「うちに代々伝わる剣らしい。
 先祖は高名な精霊術士だったらしくてな
 その時代に手に入れたらしい・・・。」
「・・・・・・・・・。」
カインはその答えに納得したのか、黙り込んでしまった。
「さて、早いとこ奴を倒すか・・・。」
バインツは剣を構えると、ミドガルズオルムに向かっていった。
「光の精霊コスモスよ。
 汝の力を解放せよ!」
それは、一瞬の出来事だった。
神々しい光が翼のように連なり、一つ一つ音もなく
爆発していく。
光が消えた時にはミドガルズオルムは跡形もなく消えていた。
「光翼爆とでも言っておこうか・・・」
そうバインツは言った。
これを見たカインとシェイドはただ、唖然としているだけだった。

「だが、バインツの助けがなければ、あの魔獣を
 出来なかっただろう・・・。本当に助かった。」
カインがバインツに礼を言った。
「いいって、気にするなよ。」
「しかし、あれほどの力を出せるのなら、
 レモリア王国の将軍になれるのでは?
 なぜ、ならない?」
シェイドはバインツに尋ねた。
「悪いけど、俺は自由のほうが好きなんだ。
 あまり城に仕えるというのは性に合わなくてね。」
バインツは答えた。
彼の発言からすると、バインツはカインとは正反対の人間なのだろう
ただ、姿が似ているだけで性格は一致しない。
前にダグラスもそう話していたのをカインは思い出していた。
「それじゃ、俺はこの辺で・・・
 報酬をもらいにレモリア大陸へ戻らないといけないしな。」
「ああ、またいつか会おう。」
カインがそう言うと、バインツはイージスの町の方面へと
消えていった。

帰り道の途中でカインはシェイドに聞いた。
「なあシェイド。精霊剣ってどこかを探せばきっと見つかるよな?」
「知らん。そもそも精霊剣がどこにあるなど、
 誰も知る由がない。」
「でも、どこかの大陸を片っ端から探せばきっと見つかるだろ?」
シェイドの足が止め、カインに聞いた。
「お前は精霊剣が欲しいのか?」
「ああ、だってレアだからな・・・。
 なんてったって1本ずつしかこの世に存在しないんだぜ?
 ああ!コレクターの血が騒ぐ!」
シェイドは頭をかかえてこう思った。
(聞いた私が馬鹿だった・・・。)



あとがき
カインに似た青年バインツ再登場です。
今回はカインの他にシェイドとも絡ませてみましたが
またぐちゃぐちゃになってしまいました・・・。
さて、前回は聖剣インペリアルを持っていたバインツですけど
偽物にした理由はこの剣は○○ィ○が所持しているらしいので、
物語を崩したくないのであえてこうしました。
その代わり、精霊剣という新たな物が出てきましたが、
これはオリジナルの設定で
ガイア世界に存在するのかはわかりません。(爆)
とにかくまあ、読んでもらえたら光栄です。




- 関連ツリー

カイン、シェイド、そして精霊の剣を使う者 - ハルマキ 2007/08/24(Fri) 22:23 No.55


- 返信フォーム

お名前
Eメール
タイトル
メッセージ
参照先
暗証キー (英数字で8文字以内)
投稿キー (投稿時 投稿キー を入力してください)
文字色