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第22話「無の精霊〜後編〜」


「無の精霊とは、4精霊をまとめるさらに上の精霊じゃな。
 村でいうところの長老的な存在といえば解りやすいかの?
 つまり、このワシのようにな……ほっほっほ。
 あ、ちなみにワシの名前はフォルスじゃ。宜しくな」
「あんたの名前はどうでもいいけど、あんた長老だったのね。
 それよりも無の精霊かぁ。なんだか強そうな感じね。
 ……ねえレヴィン、その精霊は召喚出来ないの?」
「無の精霊?俺が召喚出来るのは4精霊だけだよ」
「そっかぁ……つまらないわ」
ザリアは少しがっかりして、その場に座り込んだ。
「召喚出来ないなら、契約を交せばいいだけじゃよ。
 その為に、ティナという方はお主を此処まで来させたのじゃろう」
「え?」
「じゃあティナさん達って、レヴィンがリュナン様の子孫だって事も、
 無の精霊の事も知っていたっていう事なの?」
「知っていなければ、この場所の存在など教えはせんよ。
 此処は隠された聖域であるからのぉ……」
「1人しか居ないクセに何が聖域よ……」
ぼそっと老人には聞こえないようにザリアは呟いた。
「それで、どうやったらその"無の精霊"ってのに会えるの?」
「ほれ、そこに地下へと続く穴があるじゃろう?」
「え?どこ?……こっち?」
「違う違う、そっちじゃない。あそこじゃよ」
「あ、ああ、あそこね。薄暗いから解らなかったわ」
ザリアは老人が指し示した場所へ歩いていった。
そこには人が入れる穴があり、梯子がかけてあった。
中は暗く、明りを灯さないと何も見えない。
ザリアは穴を覗き込んで何も見えない事を確認すると、老人に質問した。
「この穴はどこへ続いているの?」
「この先は空洞になっておってな。奥まで1本道なので迷う事もないじゃろう。
 無の精霊は、突き当たりにおるはずじゃ」
「"はず"って……確実に居るんじゃないの?」
「今もまだ生きているかどうかは解らんからのぉ」
「精霊って……死ぬの?」
「さあ……」
「随分と適当ね……」
ザリアは呆れながら、レヴィンの方へ近寄った。
「レヴィン、降りていくわよ。さっさとこっちへ来て」
「あー……だけど面倒だな。あのさザリア。
 俺、別に無の精霊なんか喚べなくてもいいんだけど……」
レヴィンはいつものように、全くやる気が感じられない。
そんなレヴィンを見て、ザリアがとる行動はいつも同じである。
「はあ?……何言ってんの。
 無の精霊と契約しないと、此処まで来た意味がないじゃない。
 グダグダ言ってないで、さっさと奥まで行くわよっ!
 ほら、レヴィンから先に降りなさい!さあ、早く!」
そう言いながらレヴィンの背中を押し、穴の中へと誘導した。
「うわあっ……押すなって!落ちるだろっ!!」
レヴィンの意志も虚しく、ザリアによって強引に地下へと降りる事になった。


第22話「無の精霊〜後編〜」終わり