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第14話「人外の力」


ガイア世界には火、水、光、闇の4つの属性が存在し、
それぞれの属性には主となる精霊が司っている。
彼等は実力のある精霊術士と契約を結び、その者に力を貸し与える。
そして人々は精霊召喚の事を"人外の力"と、そう呼んだ。


――――北クロス城・正門――――

「ふい〜っ……寒い。この季節になると、この地方は冷え込むから嫌いだ」
「同感だ。何とかならんものかな」
「俺達みたいな門番にとっちゃあ、城の内勤の奴等が羨ましい。
 さぞかし、暖かい部屋で食事でもしてんだろうなぁ」
「はは、そうだな。それに比べ、俺達の食事は不味いパンと牛乳だけ。
 この差は一体何なんだ……」
「一般兵と上級兵の扱いに、あまりにも差がありすぎるよな。
 まぁ、実力も差がありすぎると言われればそれまでだが……」
「認められればなぁ……。はぁ、特に門番なんて嫌だ」
「無理無理。俺達より強い奴なんて、この世に星の数ほどいる。
 城の門番でも、立派な役職だ。我侭は言っちゃいけねぇな」
「職無しよりマシってか……」
2人の門番が冬空の下、体を震わせながら会話をしている。
「おっ、見ろよ。誰か来たぞ。こんな平日に来客なんて珍しい」
「ん?誰だ?……3人いるな」
「あの鎧……あれは……まさか、いや、そんなはずは」
現れたのは、シェイド、ユウ、ルイの3人だった。
「聖ヘレンズ王シェイド・ハーベルトだ。通してもらえるか?」
シェイドは聖ヘレンズ帝国の紋章を見せた。
「は、はっ!」

静まりかえった王の間では、北クロス帝国の王、参謀キルミュール、
そして四人の将軍(※名をそれぞれシン、ロレンス、ライラ、パールという)が
全員、立派な椅子に腰掛けていた。

「待っていたぞ。シェイド王」
「遅くなりました」
シェイドが王の前にひざまずく。続いてユウとルイもひざまずいた。
北クロス王は立ち上がり、シェイドの傍に近づいた。
「こっぴどくやられたな。あの聖ヘレンズ帝国が危機に陥るとは」
「はっ……」
「まさか魔族が城に潜り込んでいたとは、予想だにしなかった事。
 奴等もなかなか頭の切れる種族のようだな」
「魔族に対抗するには、我々だけでは到底不可能な事と知り得ました。
 どうか力添えを願いたい」
「勿論、出来る限りの力は貸そう。
 魔族は我々にとっても、非常に厄介な存在だからな。
 ……ただ、それでもまだ決定的なものが欠けておる」
北クロス王は長く、白い顎髭を撫でながら再び椅子に腰掛けた。
「その決定的なものとは?」
シェイドが問いただした。
「人では無い力。即ち人外の力だ」
「人外の力……ですか」
それを聞いて、ユウが何かを閃いたかのように、口を開いた。
「人外の力って、まさか精霊のことかぁ?」
「御名答」
"にやり"と王が笑ってユウに答えた。


第14話「人外の力」終わり