ガイア世界には火、水、光、闇の4つの属性が存在し、 それぞれの属性には主となる精霊が司っている。 彼等は実力のある精霊術士と契約を結び、その者に力を貸し与える。 そして人々は精霊召喚の事を"人外の力"と、そう呼んだ。 ――――北クロス城・正門―――― 「ふい〜っ……寒い。この季節になると、この地方は冷え込むから嫌いだ」 「同感だ。何とかならんものかな」 「俺達みたいな門番にとっちゃあ、城の内勤の奴等が羨ましい。 さぞかし、暖かい部屋で食事でもしてんだろうなぁ」 「はは、そうだな。それに比べ、俺達の食事は不味いパンと牛乳だけ。 この差は一体何なんだ……」 「一般兵と上級兵の扱いに、あまりにも差がありすぎるよな。 まぁ、実力も差がありすぎると言われればそれまでだが……」 「認められればなぁ……。はぁ、特に門番なんて嫌だ」 「無理無理。俺達より強い奴なんて、この世に星の数ほどいる。 城の門番でも、立派な役職だ。我侭は言っちゃいけねぇな」 「職無しよりマシってか……」 2人の門番が冬空の下、体を震わせながら会話をしている。 「おっ、見ろよ。誰か来たぞ。こんな平日に来客なんて珍しい」 「ん?誰だ?……3人いるな」 「あの鎧……あれは……まさか、いや、そんなはずは」 現れたのは、シェイド、ユウ、ルイの3人だった。 「聖ヘレンズ王シェイド・ハーベルトだ。通してもらえるか?」 シェイドは聖ヘレンズ帝国の紋章を見せた。 「は、はっ!」 静まりかえった王の間では、北クロス帝国の王、参謀キルミュール、 そして四人の将軍(※名をそれぞれシン、ロレンス、ライラ、パールという)が 全員、立派な椅子に腰掛けていた。 「待っていたぞ。シェイド王」 「遅くなりました」 シェイドが王の前にひざまずく。続いてユウとルイもひざまずいた。 北クロス王は立ち上がり、シェイドの傍に近づいた。 「こっぴどくやられたな。あの聖ヘレンズ帝国が危機に陥るとは」 「はっ……」 「まさか魔族が城に潜り込んでいたとは、予想だにしなかった事。 奴等もなかなか頭の切れる種族のようだな」 「魔族に対抗するには、我々だけでは到底不可能な事と知り得ました。 どうか力添えを願いたい」 「勿論、出来る限りの力は貸そう。 魔族は我々にとっても、非常に厄介な存在だからな。 ……ただ、それでもまだ決定的なものが欠けておる」 北クロス王は長く、白い顎髭を撫でながら再び椅子に腰掛けた。 「その決定的なものとは?」 シェイドが問いただした。 「人では無い力。即ち人外の力だ」 「人外の力……ですか」 それを聞いて、ユウが何かを閃いたかのように、口を開いた。 「人外の力って、まさか精霊のことかぁ?」 「御名答」 "にやり"と王が笑ってユウに答えた。 |