遠くで、地鳴りともいえる唸り声が辺り一面に響いた。 「か・・・カイン将軍!!あの声は!!」 「あぁ、間違いない!東の方角だ、いくぞ!!」 カインたちは鞘から剣を抜き、声のする方角へ走った。 森の奥、少し広い空間で、恐ろしき化け物が姿を現わした。 「あれ?・・・あそこにいるのって、魔獣じゃなくて人・・・ですよね?」 「本当だ・・・どうみても人間にしか見えません・・・」 「いや、人のような姿をしているが、あれは魔獣だ。あいつの口元をよく見てみろ」 「口元!?」 「・・・あ」 リュウは、その人型の化け物の口を、カインに言われるままに凝視した。 確かにその風貌は人のような姿をしてはいるが、凶悪な牙がそれを否定した。 カインたちの存在に気づいたのか、魔獣はこちらへじわじわと歩み寄ってきた。 「カイン将軍!!奴がこっちにきます!!」 「あの牙、すごい痛そうだ。おくすりだけは用意しとかないと・・・」 リュウは手持ちの袋から、すかさずおくすりを取り出した。 カインは剣を握りしめ、魔獣との距離を測り、2人に指示を出した。 「俺が先制をかける!みんな、後へ続け!!」 「はい!わかりました!リュウ、カイン将軍の後に続くぞ!!」 「おう、いっくぞぉっ!!」 閃光、紅蓮、天空昇と続くカインの奥義「流水」が、見事に魔獣を捕えた。 魔獣がうめき声を上げ、動きが一瞬止った時に、すかさずアランとリュウの攻撃が続く。 「リュウ、俺たちの力、みせてやろう!!」 「閃光ぉぉっ!!」 「燃えなっ!!」 「ぐおおおぉぉぉぉぉぉっ!!」 リュウとアランの連携攻撃により、魔獣はバランスを大きく崩した。 それでも魔獣はアランとリュウ相手に、鋭い爪と牙で抵抗を試みるが、 すでに次の動作に入っているカインの動きを読むことは到底出来なかった。 「光の前に消え失せろ!これが奥義・光の翼だあぁぁぁっ!!」 光の閃光がほとばしる。彼が放ったその技こそ、聖ヘレンズ帝国最強の奥義、光の翼。 魔獣の体は奥義の前に、脆(もろ)くもその場に崩れ落ちた。 「これが聖剣ファルコンの力だ!!」 カインは魔獣の死を確認すると、剣を鞘におさめた。 「カイン将軍、やりましたね!魔獣だけど、思ったより楽に勝てましたね」 「あぁ、前回の戦いで、俺たちの実力もだいぶ上がっているみたいだな。 だが安心はできない。今後、どんな魔獣が現れるかわからないからな」 「はい!」 こうしてカインたちの魔獣討伐は終わりを告げた。 |