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第3話「魔獣の森」


「カイン将軍、指令を言い渡す」
「はっ」
ラーハルト司令の声が、王の間に響いた。この王の間には、四大将軍たちが集結していた。
ここへ招集されるのは、かならず四人の将軍が一緒の時である。
各将軍への指令は、いつも一度に下される。
そして今日、初めて将軍としてのカインへの指令が言い渡された。
「貴公の次の任務は、魔獣の森の調査だ」
「魔獣の森・・・ですか」
「そうだ。現在、あの森は魔物たちの巣窟となっている。
今叩いておかないと、今後より勢力を増すことになる。それだけは阻止せねばな」
「わかりました」
カインは深々と頭を下げ、王の間を後にした。
「おぃ、カイン!初任務で魔獣の森とは、厄介な任務に当たっちまったな」
同じ将軍のユウ・スティンが後ろから声をかけてきた。
「・・・そんなに危険な場所なのか?」
「おぃおぃ、魔獣の森の怖さを知らねぇのか?危険なんてもんじゃねぇぜ。あの場所はよぉ」
ユウは軽く身震いのジェスチャーをし、カインの肩に手をついた。
「いいか、よく聞けよ。あの森がなぜ魔獣の森って言われているか・・・」
「魔物たちが数多く生息するからでしょう?しかも、かなり実力のある魔物たちが、ね」
「げっ!リナ!?いたのかよ」
将軍の中で、唯一の女性であるリナがユウの代わりに答えた。
「でも、あまり奥まで行かなければ心配する必要もないですよ。
入り口付近は、空魚レベルの魔物ばかりですから」
リナはそう言い残すと、足早にカインたちを後にし姿を消した。
「まぁ、確かに最深奥に行かなければ問題はねぇか」
「わかった。奥へは行かないことにしよう」
「まぁ、この俺様にかかれば最深奥だろうが、炎の洞窟だろうが、
大いなる愛と愛と愛でだなぁ・・・ってあれ?カイン??」
そこにカインの姿は、すでになかった。
カインは将軍になったことで、1つだけ学んだことがあった。
それはユウの長話だ。とにかくユウの話は長いことで有名だ。
リナもそれを察知していたのだろう。早々とこの場を離れた最大の理由はそこにあった。
カインは城を出ると、城門の所で待機していたアラン、リュウと合流した。
「カイン将軍、お疲れ様です」
「任務はどこですか?」
アランとリュウは、わくわくしながらカインの答えを待った。
2人とも、根っからの冒険好きである。早く戦いたいのであろう。
カインは魔獣の森のことを説明した。
「魔獣の森・・・ですか。魔物が強いことで有名じゃないですか・・・
はぁ・・・嫌だなぁ・・・なんか憂鬱(ゆううつ)」
急にアランは気落ちし、その場にしゃがみこんだ。
城の兵士といえど、その仕草(しぐさ)はやはりまだ子供である。
「魔獣の森かぁ!強い魔物どーんと来いっ!俺が全員やっつけてやる!!
・・・でも、腹が減ったぁ・・・。カイン将軍、先に飯食べに行きましょうよ!」
リュウは元気だが、それは頭の中、食べることしか考えていないためである。
カインは頭を抱え、自分自身にこう言い聞かせた。
「この先、不安だ・・・」と。


第3話「魔獣の森」終わり