「カイン将軍、指令を言い渡す」 「はっ」 ラーハルト司令の声が、王の間に響いた。この王の間には、四大将軍たちが集結していた。 ここへ招集されるのは、かならず四人の将軍が一緒の時である。 各将軍への指令は、いつも一度に下される。 そして今日、初めて将軍としてのカインへの指令が言い渡された。 「貴公の次の任務は、魔獣の森の調査だ」 「魔獣の森・・・ですか」 「そうだ。現在、あの森は魔物たちの巣窟となっている。 今叩いておかないと、今後より勢力を増すことになる。それだけは阻止せねばな」 「わかりました」 カインは深々と頭を下げ、王の間を後にした。 「おぃ、カイン!初任務で魔獣の森とは、厄介な任務に当たっちまったな」 同じ将軍のユウ・スティンが後ろから声をかけてきた。 「・・・そんなに危険な場所なのか?」 「おぃおぃ、魔獣の森の怖さを知らねぇのか?危険なんてもんじゃねぇぜ。あの場所はよぉ」 ユウは軽く身震いのジェスチャーをし、カインの肩に手をついた。 「いいか、よく聞けよ。あの森がなぜ魔獣の森って言われているか・・・」 「魔物たちが数多く生息するからでしょう?しかも、かなり実力のある魔物たちが、ね」 「げっ!リナ!?いたのかよ」 将軍の中で、唯一の女性であるリナがユウの代わりに答えた。 「でも、あまり奥まで行かなければ心配する必要もないですよ。 入り口付近は、空魚レベルの魔物ばかりですから」 リナはそう言い残すと、足早にカインたちを後にし姿を消した。 「まぁ、確かに最深奥に行かなければ問題はねぇか」 「わかった。奥へは行かないことにしよう」 「まぁ、この俺様にかかれば最深奥だろうが、炎の洞窟だろうが、 大いなる愛と愛と愛でだなぁ・・・ってあれ?カイン??」 そこにカインの姿は、すでになかった。 カインは将軍になったことで、1つだけ学んだことがあった。 それはユウの長話だ。とにかくユウの話は長いことで有名だ。 リナもそれを察知していたのだろう。早々とこの場を離れた最大の理由はそこにあった。 カインは城を出ると、城門の所で待機していたアラン、リュウと合流した。 「カイン将軍、お疲れ様です」 「任務はどこですか?」 アランとリュウは、わくわくしながらカインの答えを待った。 2人とも、根っからの冒険好きである。早く戦いたいのであろう。 カインは魔獣の森のことを説明した。 「魔獣の森・・・ですか。魔物が強いことで有名じゃないですか・・・ はぁ・・・嫌だなぁ・・・なんか憂鬱(ゆううつ)」 急にアランは気落ちし、その場にしゃがみこんだ。 城の兵士といえど、その仕草(しぐさ)はやはりまだ子供である。 「魔獣の森かぁ!強い魔物どーんと来いっ!俺が全員やっつけてやる!! ・・・でも、腹が減ったぁ・・・。カイン将軍、先に飯食べに行きましょうよ!」 リュウは元気だが、それは頭の中、食べることしか考えていないためである。 カインは頭を抱え、自分自身にこう言い聞かせた。 「この先、不安だ・・・」と。 |