「カイン・ヴァンス」 聖ヘレンズ国最高司令官の声が青髪の青年の名を呼んだ。 「はっ」 名前を呼ばれた青年は、司令の次の言葉を息を呑んで待った。 「このたびの貴公の功績、真に見事であった。よって、本日より将軍の地位を授ける」 「光栄です」 この青髪の青年の名はカイン・ヴァンスという。昨日19歳になったばかりだ。 彼は今回の任務、"魔獣ケルベロス討伐"に成功し、見事将軍の地位まで昇りつめた。 そして、今日がカインにとって待ちに待った将軍の認定日なのである。 ここ聖ヘレンズ城・王の間には大勢の兵士と、そして3人の将軍が集まった。 本日をもってカインが将軍になったことで、この城の将軍は4人となった。 「おい、カイン。やったじゃねぇか!ついに将軍かよ!」 ちょうど横にいた銀髪の男がカインの肩をポンと叩いた。 彼の名は"ユウ・スティン"。彼もまた聖ヘレンズ国4大将軍の1人である。 「カイン、本当におめでとう。やっと努力が報われましたね。 その若さで将軍になるなんてすごいですよね、シェイド?」 「・・・偶然だ」 ユウの次に話しかけたのが金髪の女性"リナ・ロンド"。外見はおしとやかで、綺麗な女性にみえる。 そして、リナに答えたのが長髪の男"シェイド・ハーベルト"である。将軍の中でも最強の実力を誇る。 彼らもまた、カインやユウと同じく将軍の地位にある実力者なのだ。 つまり地位の構成をまとめると、この国の王ブレイドV世の下に、ラーハルト司令、 そしてその下に4大将軍であるカイン、ユウ、リナ、シェイドが、 さらにそれぞれの将軍の下に一般兵がいるというわけである。 当然カインにも2人の部下が与えられた。今回の任務で共に戦った仲間でもある。 カインは彼らとこの後、町の酒場で待ち合わせをしていた。 「カイン将軍、今日はゆっくりと休むといい。将軍としての新たな任務は明日伝えることにしよう」 「はい。それでは、今日はこれで失礼します」 城を即座に出ると、カインは疲れを癒すため、酒場へと駆け込んだ。 彼にとっての休息は宿で体を癒すことではなく、酒場で仲間たちと雑談することであった。 聖ヘレンズ城下町のほぼ中央に位置する"酒場マリン"では、夕方からすでに人々で賑わっていた。 |