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第10話「ディアという女」


「お・・・お前はいったい・・・!!」
「こいつ・・・女のくせに・・・
 この強さは、いったいなんなんだ!化け物かっ!!」
「これが・・・DCC統率者の強さなのか・・・」
3人の兵士たちは、何か化け物を見たかのような表情をし、
そして、眼前にいる1人の女性に畏怖(いふ)の念を抱いた。
「・・・あっけないねぇ。・・・もう終わりかい?」
赤髪の女性剣士は髪をそっと掻き上げ、手に持っていた2本の刀を鞘に収(おさ)めた。
この女性、聖ヘレンズ国の兵士3人を相手にまったくの無傷で、息切れひとつしていない。
その表情には少しの余裕さえ感じられる。
「くそっ!だが、何もしないまま城に戻るわけにはいかないんだ!」
1人の兵士が剣を構え、その女性に向けて間合いを詰めた。
「俺がぶっ倒してやる!覚悟、ディア!!閃光っ!!」
兵士の鋭い剣撃もあっさりとかわされ、ディアと呼ばれた女性剣士は、
素早くその刀を鞘から抜き、その兵士に駆け寄った。
「まったく、往生際が悪いね!」

そして次の瞬間・・・。それは一瞬の出来事だった。

「凍氷(とうひょう)!!山茶花(さざんか)!!」
「御影(みかげ)!!」
「無双嵐(むそうらん)っ!!」
息つく間もなく、次々と彼女の刀技が繰り出される。
「まだこんなもので終わらさないよ!」
「バルテス様から頂いたこの奥義・・・くらいなっ!!」

闇の閃光が走った。ディア最大の奥義・羅刹。
師匠バルテスから受け継いだ、駿足4連斬りである。
「くっ・・・ぐはっ・・・」
技をまともにくらった兵士のうちの1人が、その場で気を失った。
残り2人の兵士はただ唖然(あぜん)と今、目の前で起こった状況を見ていた。
というより・・・あまりに一瞬の出来事で、彼らは状況判断もできていなかった。
ディアは気を失っている兵士の傍に近づき、一言囁(ささや)いた。
「ディアってのは仮の名前さ・・・。
 ん?本名?・・・ふ、知らないねぇ・・・」

彼女の名はディア。
異教徒集団による帝国反乱軍組織「DCC」のリーダーである。


第10話 「ディアという女」完