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第9話「トレビアン様の1日〜土曜日編〜」


ガイア世界四大大陸の1つ、クロス大陸の南に聳(そび)える巨大な城、南クロス城。
ここでは魔法が主流とされ、城下町は多くの魔術師で賑わっている。
そんな中、あえて魔法を使わず、剣術を極めようとする者が1人だけいた。
南クロス城の王子、トレビアン・G(ガンダム)・マンダムである。
この王子、見た目は色白で美形なのだが、1つだけ欠点があった。
男しか愛せない者、つまり通称おかまである。
これは、そんな彼(彼女?)のある土曜日の出来事・・・。

「はぁ〜い!もっと足を高く上げて〜!はいっ!ハイッ!HIGHいいぃぃーーーっ!!」
・・・朝から妙なテンションである。しかし、彼にとっては至極普通のこと。
家来の兵士でもあるバイスも、困惑の表情で彼を見守っている。
「トレビアン様!あのセイルという方は女の方だったのでしょう?
 ・・・もう、奴をつけ狙う必要もないのでは?」
トレビアンはバイスを睨みつけ、激しい口調で反論した。
「甘いっ!甘いわっ!甘さ225.3%小数点以下切り捨てOKよぉっ!!
この私を侮辱したあの女だけは、絶対に生かしておかない・・・こともないのか?」
「は・・・はぁ・・・?」
意味のわからない問いかけに、さすがのバイスも動揺している。
「もっと練習を積まなきゃ、あの女には勝てないわ!!
 ・・・全国大会優勝の座を渡すわけにはいかないのっ!!」
「し・・・しかし、このままそのような厳しい特訓をし続ければ、
 トレビアン様のお体が持ちませんっ!!」
「気にしないで・・・。それが私が俺である理由だから・・・」
「ううぅぅっ・・・トレビアン様ああぁぁぁっ!!なんというご立派な考えをおぉぉっ!!」
この兵士、やはり馬鹿である。
「それにね、ついにセイルちゃんを倒すための究極の技を身につけたのよ!」
「な、なんと!!そ、それはどのような技ですか!?」
「あはん・・・名付けて〜!天使と悪魔がにらめっこ大作戦(仮)よっ!!」
彼が自信満々の笑みで、バイスにそう告げた後、しばらくの沈黙が続いた。
そして、バイスは真剣な眼差しでトレビアンを見つめ、手を握りしめた。
「バイス・・・」
「トレビアン様・・・」
お互いに手を取り、見つめ合うこと5秒・・・。バイスが口を開いた。
「兵士を辞任させていただきます」

こうしてバイスは、トレビアンのもとを去っていった。
それは暖かい日差しの土曜日の出来事・・・。


第9話 「トレビアン様の1日〜土曜日編〜」完