ガイア世界四大大陸の1つ、クロス大陸の南に聳(そび)える巨大な城、南クロス城。 ここでは魔法が主流とされ、城下町は多くの魔術師で賑わっている。 そんな中、あえて魔法を使わず、剣術を極めようとする者が1人だけいた。 南クロス城の王子、トレビアン・G(ガンダム)・マンダムである。 この王子、見た目は色白で美形なのだが、1つだけ欠点があった。 男しか愛せない者、つまり通称おかまである。 これは、そんな彼(彼女?)のある土曜日の出来事・・・。 「はぁ〜い!もっと足を高く上げて〜!はいっ!ハイッ!HIGHいいぃぃーーーっ!!」 ・・・朝から妙なテンションである。しかし、彼にとっては至極普通のこと。 家来の兵士でもあるバイスも、困惑の表情で彼を見守っている。 「トレビアン様!あのセイルという方は女の方だったのでしょう? ・・・もう、奴をつけ狙う必要もないのでは?」 トレビアンはバイスを睨みつけ、激しい口調で反論した。 「甘いっ!甘いわっ!甘さ225.3%小数点以下切り捨てOKよぉっ!! この私を侮辱したあの女だけは、絶対に生かしておかない・・・こともないのか?」 「は・・・はぁ・・・?」 意味のわからない問いかけに、さすがのバイスも動揺している。 「もっと練習を積まなきゃ、あの女には勝てないわ!! ・・・全国大会優勝の座を渡すわけにはいかないのっ!!」 「し・・・しかし、このままそのような厳しい特訓をし続ければ、 トレビアン様のお体が持ちませんっ!!」 「気にしないで・・・。それが私が俺である理由だから・・・」 「ううぅぅっ・・・トレビアン様ああぁぁぁっ!!なんというご立派な考えをおぉぉっ!!」 この兵士、やはり馬鹿である。 「それにね、ついにセイルちゃんを倒すための究極の技を身につけたのよ!」 「な、なんと!!そ、それはどのような技ですか!?」 「あはん・・・名付けて〜!天使と悪魔がにらめっこ大作戦(仮)よっ!!」 彼が自信満々の笑みで、バイスにそう告げた後、しばらくの沈黙が続いた。 そして、バイスは真剣な眼差しでトレビアンを見つめ、手を握りしめた。 「バイス・・・」 「トレビアン様・・・」 お互いに手を取り、見つめ合うこと5秒・・・。バイスが口を開いた。 「兵士を辞任させていただきます」 こうしてバイスは、トレビアンのもとを去っていった。 それは暖かい日差しの土曜日の出来事・・・。 |