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第4話「ルイとテイルが出会った日」 ぷち/著


イタズラ好きで泣き虫で、でも頑張り屋さんなルカしゃんは
ボクの自慢の弟デシ。これからもずっと一緒デシよ…。

満月の夜。その日は珍しくルカがおとなしかったのでテイルは心配していた。
テイルはルカの隣に座り一緒に大きな月を見上げた。
しばらくしてルカは重い口を開いた。
「ボク、ユウしゃんについて行くダニ。」
その声はとても小さかったけれど、テイルの耳にはハッキリ聞こえた。
「ボク、ユウしゃんのパパさんに命を助けてもらったダニ。
今度はボクの番…ユウしゃんのそばにいたいダニ。」
テイルは何となく気づいていた。ルカが自分から離れていくことを…。
「…うん。分かったデシ。ボクたちは兄弟だから離れていても大丈夫デシね。」
それはテイルの精一杯の言葉だった。
満月の夜の約束……
ボクたちは離れていても大丈夫…。

次の日、ユウとルカは亡くなった父親の意志を受け継ぐために、
王に仕える道を選び、朝早くに家を出た。
テイルはルカを笑顔で見送った。
ルカの小さな背中が見えなくなると、一粒の大きな涙を流した。
「ボクはまた1人になったデシね…。木苺摘みも…。」
するとテイルの後ろで足音がした。ユウの兄のルイだった。
ルイは大きな荷物を抱えてテイルの方を見た。
「…お前も来るか?」
涙で溢れそうな目をこすりながら、テイルはルイにかけより
小さな手でルイのマントをつかんだ。
「俺は親父を殺した奴を必ず捜し出す。辛い旅になるかもしれないが…。」
テイルは首を横に振り、もう一度、今度は強くマントをにぎった。


…ルカしゃん、ボクたちは離れていても兄弟だから大丈夫デシ。
…ユウ、俺たちは離れていても大丈夫。親父は俺たちの心の中で生きているのだから。

こうしてユウとルカ、ルイとテイルはそれぞれの思いを胸に
それぞれの道へと歩き出した。
ルカとテイルが再開する日はもう少し後の話…。





第4話 「ルイとテイルが出会った日」完