トレ様の星 聖へレンズ城下町。 ここで愛する男のために散った、美しき薔薇がある。 その名は、トレ様ことトレビアン・G・マンダム(かおま)である。 この人、顔は良いのに男しか愛せないという困ったちゃん。しかし、その困ったちゃんぶりは、筋金入りで、幾度にも及ぶ愛する男からの仕打ちに耐え抜き、シカトに耐え抜き、集団シカトにまで耐え抜いてきた。 その筋金ぶりは、ついには聖へレンズ城下町で、愛する男のために自らの死という結末で幕を閉じた。 ・・・かに、見えた。 フリージアという女性の死に心痛め、一方的に愛されまくったトレビアン(おかま)に死なれて、復讐の鬼と化したカイン。 聖へレンズ城へと攻め込み、魔将軍の1人ラーハルトとの決戦を迎えていた。 だが、圧倒的なラーハルトの力の前に、手も足も出ないカイン。 シェイド、ユウ、ルイ、リナという面々を前にしても、魔将軍ラーハルトの力は圧倒的だった。 それでも立ち上がるカイン。 「ふ、無駄だ。これで終わらせてくれる。キル・ブレイク」 自らの最強技を放とうとするラーハルト。 だが、そのときカインは、最後の技を放とうとする。 「師匠・・・俺に力を!!」 光の翼、なぜか分からないが突然辺りが暗くなり月が現れる。 いつもならば、そのはずだった。 だが、己の限界を越えたカインが放った技は、今までとは違った。 月の変わりに、夜空にひときわ光り輝く星が現れる。 「まさか、失敗か」 あの変な月が現れるのではないかと、思ったユウ。 「いや、違う音楽を聴いてみろ!」 弟の勘違いに、ルイが注意を促した。 耳を澄ますと、なぜか響き渡る、不吉極まりないBGM。 「この音楽、まさか!」 絶句するカイン。 「何、これはどういうことだ!」 突然の事態に魔将軍ラーハルトも動揺する。 「まさか、あれは!!!」 光り輝く星を見るカインは、愕然とした。 その場にいる誰もが、思わず目を疑った。 「あっ〜は〜ん〜」 ・・・ ・・・ ・・・ 誰もが、凍りついた。 「カインちゃ〜ん〜」 なんと、夜空に現れたまぶしい星。それは見まごうはずもない、トレビカン(おかま)だった。 「お、お前!死んだはずじゃなかったのか!!!」 「死んじゃったけど。だけどだけど、お空のお星様になって、いつもカインちゃんを見守っているわよ〜。ムチュ〜」 何かすごい音がする。 「・・・」 誰も何もいえない。 さすがの魔将軍ラーハルトといえど、それは例外ではなかった。 だが、我に返る。 「カ、カイン。貴様、あのようなおかまと出来ていたのか!」 「違う!誤解だ!俺はフリージア一筋だ!」 必死になって弁明するカイン。 だが、無常。 「くらいなさい、私とカインちゃんの愛の超必殺技!!お色気流!オーガニズム・キング・アトミック・ミラクル・あっは〜ん・カインちゃん・ラブリ〜。略して、O・K・A・M・A・EXよ」 『あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっ』 夜空にとどろく不気味な笑い声。 乱舞するハートハートハート。またハート。 なぜか、お空のお星様たちが祝福するかのように、キラキラと輝いている。 『あっは〜ん、ムチュッ』 そしてなぜか響く、ものすごくバスが聞いた声と、なぞの音。 「グハッ!!!O・K・A・M・A・EX・・・恐るべし」 ―――バタリ 何気に強化されているおかまの一撃に、魔将軍ラーハルトは撃沈した。 「カインちゃん〜。私はお空のお星となっていつも見守ってるから・・・」 「ハアハア、ラーハルト手ごわい相手だった」 「よし、ラーハルトをしとめだな」 「よかった、よかった」 「カイン、よくやったな」 ・・・ ・・・ ・・・ 「グハッ、そんな〜集団無視〜」 どこまでも報われることのないトレ様なのでした。 ◆企画者のコメント◆ ユウの変な月よりもある意味嫌な月が出てしまいましたね。 でもそれでラーハルトを倒したのだから、お得かもしれません。 それでも無視される、今回も報われないトレちゃんの物語でした。 しかし、必殺技の雄叫びの長さは凄いです。息がよく持つなぁと(笑